とある廃工場。
そこに俺たちグレモリー眷属+イリナは訪れていた。
すでに日は落ちていて、空は暗くなっていた。今その廃工場にはいくつもの神器所持者たちが怪我を負ったり、死体だったりと倒れていた。
ここ連日、俺たちグレモリーの管轄で『禍の団』の英雄派の神器所有者が現れ、俺たちに戦いを挑んできている。
英雄派の神器所持者に俺たちを襲わせる行動は、イリナの考察によると、禁手化させるための経験値稼ぎや実験なんかに俺たちが利用されているのだということだ。
何十人、何百人死のうと一人が禁手に至れればいいという狂った考え方のようだ。敵の一人、影使いが見せた変化。あれは禁手化だということだろう。
後日、アザゼル先生に敵の目的を聞くことになるだろう。先生なら俺達よりももっと深いところまで考えていそうだし。
そういうわけで、今日は解散となった。
俺は朱乃がいれてくれたお茶を飲んでから帰り支度を始めた。
皆も同様に帰り支度をしていくなか、朱乃が鼻歌を歌っていた。
すごく嬉しそうだけど、何か良いことでもあったのか?
「あら、朱乃。随分とご機嫌ね。S的な楽しみでもできたの?」
部長の問いに朱乃さんは満面の笑みで答える。
「いえ、そうではないの。うふふ。明日ですもの。自然と笑みがこぼれてしまいますわ。明日はイッセーさまとデート。やっとその日がやって来ましたわ」
そのことか。
ディオドラの眷属との戦闘の時に小猫ちゃんのアドバイスで俺が言ったやつだ。うん、俺もしっかり覚えてる。
俺だって明日が楽しみだよ。
空気が変わり、女性陣の殺意が俺に向いていた。おぅふ……。
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「どうですか……?」
「うん、気持ちいいよ」
「もっと気持ちよくしてあげるにゃん♪ほら、むにゅぅぅぅっ」
俺の部屋にて、ぴったりと、俺の胸に抱かれる猫耳モードの小猫ちゃんがそう訊いてくると、俺はそう返した。
小猫ちゃんの隣に抱いている黒歌はおっぱいをむにゅぅぅぅっ、と押しつけてくる。
今何してるかといえば、俺は現在小猫ちゃんと黒歌に仙術の治療を受けていた。
こうやって気の流れをうまく操れば、疲れとかも取れるし、自然治癒力とかも向上するんだ。
他にも血行促進とかも…………実際小猫ちゃんと黒歌に気を当ててもらってるけど、暖かいんだよな。
二人が薄い布地の白装束を着ているのもあるのだろうね。身を清め、良い気を練られるということで朱乃からもらったらしいけど……この白装束は薄いから女体の肉感がダイレクトに伝わってくるんだよな。黒歌はもちろんのこと、小猫ちゃんって小柄だけど体がとてもやわらかいんだよな。
「……こうすれば、疲れを取ると同時にイッセー先輩が覇龍を使った負担も回復していきます」
「もともとそんなにないけどね~」
まあ、それが理由だ。ヴァーリは膨大な魔力を消費して僅かながらに使えるらしいが、それでも数分程度だそうだ。俺はヴァーリよりも魔力は上だし、深刻なほどでは全くない。
「……仮に先輩が死んだら、悲しむ人が多いです。……私も、先輩が死んだら、嫌です。もしものときはこうやって、一生かけても私が治しますから……一人で背負い込まないでください……」
小猫ちゃんは懇願する様に上目遣いでそう言う。
……キュンとしたよ。
「私もよ、イッセーちん?イッセーちんが死ぬのは嫌にゃん」
「勿論さ。俺も死ぬつもりはないよ。……小猫ちゃんや黒歌、皆を残して死ねないさ」
「……はい」
「にゃん♪」
小猫ちゃんは「ぎゅうっ」と一層抱き締める力を強める。
黒歌もより強く抱きついてきてさらにむにゅぅぅぅっとおっぱいが押しつけられる。
「せ、先輩……実は、もっと手っ取り早い方法が、あるんです」
「へぇ、どういうのなんだ?」
「…………ぼ、房中術です」
「……聞き間違いかな?それはつまり……そういうことだよね?」
「はい。……気の使い方に長けた女性が、男性に気を分け与える事で、生命力の活性化を大きく促す術です。つまり……だ、男女が、ひとつになることで……仙術使いの女性から直接気を送る術です…………」
「わ~、白音大胆にゃん♪」
「…………いやいやいや、出来ないよ!」
「わ、私では、不満ですか…………?」
小猫ちゃんは上目遣いで此方を覗き込みながらそう言った!
ぐっ!その上目遣いは反則だ!!
「いや!そう言うわけじゃなくて!小猫ちゃんは、その…………」
俺が返答に困っていると、小猫ちゃんは決心するかの様に此方に言ってきた!
「か、体と胸はちっこいですけど…………ち、ちゃんと、エッチ出来ます……!子供も、作れます。そ、それに先輩が本当に危なくなったら、強制的に房中術をするしかないと思います…………か、覚悟は出来てます……!」
──と、そんなときリアスたちが入ってきてうやむやになった。けどまあ、小猫ちゃんは体がまだねぇ……気持ちには答えるけどね。
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次の日の休日、遂に訪れた朱乃とのデート当日。
俺は先に待ち合わせ場所である駅近くのコンビニの前に到着していた。
時計が午前十時になろうとした時、フリル付きの可愛らしいワンピースを着た女性がやって来た。
「あ、朱乃」
「ゴメンなさい、待たせちゃったかしら?」
朱乃はいつものポニーテールではなく、髪を全て下ろしていた。
「そ、そんなに見つめられると恥ずかしいわ………今日の私、変?」
もじもじしながら恥ずかしそうに言ってきた。
「いや、すごく可愛いよ」
俺がそう言うと、朱乃は恥ずかしそうにしながらも嬉しそうだった!
「今日だけイッセーさまは一日私のモノですわ。卑しい牝の私にたっぷりかまってください、イッセーさま」
「……とにかくいっぱい楽しもうか朱────乃………」
───なんか後方から殺気が飛ばされてきた。
そちらを見ると、電柱の陰からサングラスと帽子を被った紅髪の女性……リアスが俺たちを窺っていた
更にレスラーの覆面をした2人の人影……ゼノヴィアと小猫、その内の1人は猫耳を出しているし、間違いない。
紙袋を被った怪しい奴……ギャスパーと普段着の祐斗に、メガネをかけた金髪女性……アーシア。
もしかしなくても、それはオカルト研究部のメンバーだった……。
……尾行してきたのか?
「あらあら、尾行するにしては多過ぎね」
朱乃も気付いていたらしく、見せつける様に俺に身を寄せ、唇を重ねてきた。
バキッ……。
後方からした鈍い音。
振り返って見ると───怒りに震えている様子のリアスが電柱にヒビを入れていた……。
……見なかった事にしよう。
「とりあえず行こうか」
「ええ」
こうして、俺と朱乃は町へと繰り出した。
デートを始めてから三時間
その間の朱乃は終始年頃の女の子……だったかな?だいたい俺を敬う感じだしな……。
洋服店に行っては「ねえ、イッセーさま。これ似合う?」「それともこっちかしら?」と洋服を比べて俺に訊いたり、露店で買ったクレープを一緒に食べて「美味しいね、イッセー」と訊かれたりした。年頃の女の子モードと俺に奉仕する牝モードが混ざってるらしい。
今度はゲームセンターに行ったあと水族館に向かった。
「深海魚って変な顔の子が多いのね」
水族館から出たばかりの朱乃は楽しそうに言った。
久しぶりに町の水族館に来たけど、良いものだな。
朱乃も満足しているようだし。
しかし、紅髪の追跡者様ご一行がずっと、俺達の後ろを追ってきてるんだけど……。
凄まじいプレッシャーだ。
俺、このデートが終わったら死ぬかもな……。
朱乃も紅髪のご一行様を確認した。
可愛いイタズラ笑顔を作ると、俺の手を引っ張りだした!
振り向き様、朱乃が楽しそうに言った。
「リアスたちを撒いちゃいましょう!」
なんと!
そうきたか!
リアス達も俺達が逃げると知って、急いで駆け出したぞ!
数分走ったところで物陰に身を隠し、リアス達の様子を窺う。うん、とりあえずやり過ごしたな。
「うふふ、リアスたちを撒けたみたい」
……俺、あとでお仕置きだろうな。
さて、ここは……?
見渡すと、「休憩○円」「宿泊○円」の文字が書かれた看板があちらこちらにあった。
………どう見てもラブホテル街だよ‼しくじった!さすがに予定と違う!早くこの場を離れよう!
俺は瞬時にそこから離れようとすると朱乃さんが袖を掴んできた。あ、朱乃?
「……いいよ」
「は?」
朱乃が何を言っているのか分からず、俺は聞き返してしまった。
「……イッセーが入りたいなら、私、いいよ……。……だいじょうぶだから」
「……いや、ここではねぇ……ん?」
なんか気配が……。
「まったく、昼間っから、女を抱こうなどとやりおるわい、赤龍帝の小僧」
視線を移す。
そこにいたのは帽子を被ったラフな格好の爺さん。
背後にはガタイの良い男性とパンツスーツを着た真面目そうなお姉さん。
……というかこのお爺さんは……。
「……オーディンさま?」
「ほっほっほ、久しいの、赤龍帝。北の国から遠路はるばる来たぞい」
何と目の前には北欧の主神であるオーディンさまがいた。 ディオドラとの一戦以来じゃないか。
「ど、どうして、ここに?」
あまりの展開にわずかながらに戸惑いながらもオーディンに話しかける朱乃。
そうだ。
なんでオーディンさまが日本にいるんだ?
テロが活発な時期にこんなところに来るなんて不用心だと思うが。
「オーディンさま! こ、このような場所をうろうろとされては困ります! か、神様なのですから、キチンとなさってください!」
お姉さんが爺さんを叱りつける。
冥界であった時は鎧着てたよな、このお姉さん。
「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」
「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃだめよ。ハイスクールの生徒でしょ?お家に戻って勉強しなさい勉強」
ふむ、オーディンさまだけでなく俺達まで注意されてしまった。
───と、横を見れば朱乃さんが付き添いの男性に詰め寄られていた!
「あ、あなたは……!」
……あー、この人あの時の。
「朱乃、これはどういう事だ?」
あら、若干キレ気味。
なかなかの迫力。
「……関係ないでしょ!それよりも、どうしてあなたがここにいるのよ!」
朱乃の方も目付きを鋭くして、その男性───朱乃の父である堕天使組織グリゴリ幹部、バラキエルさんを睨み付けていた。
「関係なくはない!私が言っているのはこんな汚い場所に来るなと言っているのだ!こんな場所じゃなく、するなら家でしなさい!!」
「そんなの貴方に指図される……………え?」
「こんな不衛生な場所よりもその方がいいに決まっている。その方が元気で明るいたくましい可愛い子供が生まれるに違いない。だからこそ、私は怒っているんだ。何故このような場所に来ているのかとな」
………………えっと。
「私はお前の…いや、お前たち二人の事を思って言っているのだ。わかってくれ、朱乃よ」
当人である朱乃は目を潤ませて感動していた。
「お父様…ご免なさい。私が間違っていました。そうですよね、こんな場所何かより家の方がずっといいに決まっていますよね。わかりました。私、頑張ります!頑張ってイッセーさまと元気な子供を作ります!」
朱乃は父──バラキエルさんに向かって強い意思をもって宣言した……ちょっと待って。
「あぁ、頑張れ朱乃。私も朱璃も朱乃の事を応援しているぞ。そして、私達に早く二人の元気な可愛い孫を見せてくれ」
バラキエルは朱乃に優しく言った
「はい!お父様!」
……置いていかないでくれ。まあいいや。
「……お久しぶりですね、バラキエルさん」
「久しぶりだな、赤龍帝殿」
……本当に久しぶりですねぇ……。
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