「ほっほっほ。という訳で来日したぞい」
現在俺達は兵藤家の最上階にあるVIPルームにいた。
そこにはオーディンさまもいた。
何でも日本に用があって来たらしい。
そして序でにこの街を観光していたんだとか。
下手なところよりも、悪魔、天使、堕天使の三大勢力が統治するこの町にいた方が安全らしい。
俺の家、とうとう神様が来ましたよ。
家には俺やグレモリー眷族全員プラス黒歌が集合している。アザゼル先生もオーディンさまが来訪したのを聞いて、久しぶりに顔を出していた。
結局あの後朱乃とのデートは中断。
俺達を探していたリアスたちと合流し、そのまま家にオーディンさまを連れて帰ってきた。
「どうぞ、お茶です」
リアスが笑顔でオーディンに応対していた。ついでと言っちゃなんだが、ついさっき頬を思いっきり抓ってきた。あとでゆっくりお話があるんだと。……たっぷり搾られそうだな。
「構わんでいいぞい。しかし、相変わらずデカいのぅ。そっちもデカいのぅ」
……おい北欧の主神さま。
「もうオーディン様!イヤらしい目線を送っちゃダメです!此方は魔王ルシファー様の妹君なのですよ!」
と、銀髪のお姉さんのハリセン突っ込みが炸裂した。オーディンさまは頭をさすりながら半眼で言う。
「まったく堅いのぉ。サーゼクスの妹と言えばべっぴんさんでグラマーじゃからな。そりゃ、わしだって乳ぐらい見たくなるわい。と、こやつはわしのお付きヴァルキリー。名は────」
「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知り置きを」
その女性……ロスヴァイセさんが挨拶してくれた。冥界の時のような鎧を着てないから印象が違うけど、美人だな。
年齢は俺達とそこまで変わらないのか?
「彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」
爺さんが笑いながら言う。
するとロスヴァイセさんは酷く狼狽しだした。
「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁぁっ!わ、私だって、好きで今まで彼氏が出来なかった訳じゃないんですからね!好きで処女な訳ないじゃなぁぁぁぁいっ!うぅぅっ!」
ロスヴァイセさんがその場に崩れ落ちて床を叩き出す。
……ギャップが激しいな……。
「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量良しでもなかなか芽吹かない者も多いからのぉ。最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での、こやつもわしのお付きになるまで職場の隅にいたのじゃよ。ふむ……そうじゃ。赤龍帝の小僧、こやつを嫁にどうじゃ?」
「「………………は?」」
思わず俺とロスヴァイセさんの声が重なる。何言ってんの、この主神さま?
オーディンさまは続ける。
「お主は女の体にも興味津々な年頃じゃろ?それにロスヴァイセは中々スタイルも良いぞ?」
……まあこの人、出るところは出てるし、引っ込むところは引っ込んでる。確かにいいスタイルしてるけど。それに可愛いし。
「お、オーディン様!?」
「よいではないか。赤龍帝はまだ若いが実力はある。サーゼクス達も認めるほどにな。実力も備わっておるし、容姿も優れとる。将来有望株じゃぞ?……それにロスヴァイセよ。お主、赤龍帝に焦がれ、惚れ込んでおるじゃろ?……さっきのも嫉妬じゃろ?」
「え……そうなんですか?」
ニヤニヤと言うオーディンさまに、ロスヴァイセは此方を見てきた。
そのまま硬直するかと思ったら、どんどんと顔が赤くなっていき───。
「よ、余計なお世話ですぅぅぅぅぅぅ!!!」
そのまま、オーディンさまの脳天にハリセンが炸裂した。……否定はされなかったんだけど。
「さて、爺さんが日本にいる間、俺達で護衛することになっている。バラキエルは堕天使側のバックアップ要員だ」
「よろしく頼む」
言葉少なにバラキエルが挨拶をくれた
「爺さん、来日するにはちょっと早すぎたんじゃないか?俺が聞いていた日程はもう少し先だった筈だが。今回来日の主目的は日本の神々と話をつけたいからだろう?ミカエルとサーゼクスが仲介で、俺が会談に同席───と」
「まあの。それと我が国の内情で少々厄介事……と言うよりも厄介なもんにわしのやり方を批難されておってな。事を起こされる前に早めに行動しておこうと思ってのぉ。日本の神々といくつか話をしておきたいんじゃよ。今まで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」
オーディンさまが長い白ヒゲをさすりながら嘆息する
どこの勢力でも厄介事の一つや二つはあるようだな。
「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたクチか?お願いだから『
「ヴァン神族はどうでも良いんじゃが……。ま、この話をしていても仕方ないの。それよりもアザゼル坊。どうも『禍の団』は禁手化出来る使い手を増やしているようじゃな。怖いのぉ。あれは希有な現象と聞いたんじゃが?」
やはり度々起こる各勢力への襲撃は、神器所有者を禁手にさせるためか。
「ああ、レアだぜ。だが、どっかのバカが手っ取り早く、それでいて恐ろしく分かりやすい強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。それは神器に詳しい者なら1度は思い付くが、実行するとなると各方面から批判されるためにやれなかった事だ。成功しても失敗しても大批判は確定だからな」
「その方法とは……」
「リアスの報告書で概おおむね合っている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。まず、世界中から神器を持つ人間を無理矢理かき集める。殆ど拉致だ。そして洗脳。次に強者が集う場所────超常の存在が住まう重要拠点に神器を持つ者を送る。それを禁手に至る者が出るまで続ける事さ。至ったら強制的に魔方陣で帰還させる。お前らの対峙した影使いが逃げたのも禁手に至ったか、至りかけたからだろう」
アザゼル先生が更に続ける。
「これらの事はどの勢力も、思い付いたとしても実際にやれはしない。仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向かって同じ事をすれば批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。自分達はそれを望んでいなかった。だが、奴らはテロリストだからこそ、それをやりやがったのさ。人間をそんな方法で拉致、洗脳して禁手にさせるってのはテロリスト集団『禍の団』ならではの行動ってわけだ」
「それをやっている連中はどういう輩なんですか?」
俺の問いにアザゼルが続ける。
「英雄派の正メンバーは伝説の勇者や英雄さまの子孫が集まっていらっしゃる。身体能力は天使や悪魔にひけを取らないだろう。さらに神器や伝説の武具を所有。その上、神器が禁手に至っている上に、神をも倒せる力を持つ神滅具だと倍プッシュなんてもんじゃすまなくなるわけだ。報告では、英雄派はオーフィスの蛇に手を出さない傾向が強いようだから、底上げに関してはまだわからんが」
「禁手使いを増やして何をしでかすか、それが問題じゃの」
オーディンさまは特別深刻そうな顔でもなく、普通に茶を飲みながら言った。
「まあ、調査中の事柄だ、ここでどうこう言っても始まらん。爺さん、どこか行きたいとこはあるか?」
アザゼル先生がオーディンさまに訊くと、オーディンは厭らしい顔つきで両手の五指をわしゃわしゃさせた。
「おっぱいパブに行きたいのぉ!」
「ハッハッハッ、見るところが違いますな、主神どのだ!よっしゃ、いっちょそこまで行きますか! 俺んところの若い娘っこどもがこの町でVIP用の店を開いたんだよ。そこに招待しちゃうぜ!」
「うほほほほっ! さっすが、アザゼル坊じゃ! わかっとるのぉ! でっかい胸のをしこたま用意しておくれ! たくさんもむぞい!」
「ついてこいクソジジイ! おいでませ、和の国日本! 着物の帯をくるくるするか? あれは日本に来たら一度はやっておくべきだぞ! 和の心を教えてやるぜ!」
「たまらんのー、たまらんのー」
二人は盛り上がって、部屋を早々と退散していった。このエロ総督とスケベ爺さんが本当に、堕天使の総督と北欧の主神なんだよな……。
リアスも額に手をやって、眉をしかめていた。俺も頭が痛いよ。
「オーディンさま! わ、私もついていきます!」
ロスヴァイセさんが追っていったけど……大丈夫かね?
部屋に残された俺たち眷属とバラキエルは同時にため息をついていた。黒歌は笑ってたけど。
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「赤龍帝殿。貴殿と話がしたい」
そう言われ五階の廊下で朱乃を連れたバラキエルさんに向かい合っていた。
「……赤龍帝殿、あらためてあの日の礼をさせていただきたい。妻と娘を救ってくれたこと、心から感謝している……!」
そう言って床に手と膝をつき頭を下げた……。
「……あの日も言いましたけど俺がしたいようにしただけですよ」
「それでも貴殿のお陰で私は妻と娘と幸せな日々を過ごしていける……!貴殿に受けた恩、忘れはしない」
「私からもあらためて。もしもイッセーさまが来てくれなかったら、私は母さまを失い、父さまを……堕天使の血を恨んでいたかもしれません。……本当にありがとう。イッセーさま」
「……赤龍帝殿。一誠くんと呼ばせていただく。貴殿は既に何人かの女性を囲っているそうだな。……朱乃のことはどうするのだ?」
「……朱乃も他の皆も大切にするだけです。そう決めている」
「……私は貴殿なら信じる。朱乃のことよろしく頼む」
「ありがとうございます。バラキエルさん」
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次の日。俺たちグレモリー眷属はグレモリー家主催で冥界のイベントに主役として参加していた。
「はい、ありがとう」
握手とサイン会だった。
俺たちの前に長蛇の列ができ、子供一人一人にサイン色紙を渡して、握手をしていく。
子供たちは俺の悪魔文字で書いたサインをうれしそうに受け取り、握手をしてあげると満面の笑みで、
「モテモテドラゴン! がんばってね!」
と、声をかけてくれるんだ。
その光景を見ているだけで、俺は鎧のなかで涙腺をゆるませていた。
とてもうれしいじゃないか!
俺、この子たちのためにモテモテドラゴンやっていこう。
俺の隣の席ではデレデレ姫として出演している部長が笑顔で子供達と握手をしている。
「ふふふ。最初はこの役に対して思うところがあったけれど、子供達の笑顔を見ているとこういうのも悪くないって思えてくるわ」
「俺もそう思うよ。何だかんだで、楽しんでますし」
俺とリアスは笑いながら握手を続けていく。
ちらっと木場の方を見ると女の子がすげー並んでる。俺の方にも並んでるけど木場は特に女の子中心に人気があるな。
木場も番組内では敵組織の幹部『ダークネスナイト・ファング』として出演しており、今もその格好をしている。
騎士の鎧を着こんだ木場は結構様になっていて、イケメンを更に引き立たせていた。
かわいらしい獣ルックの衣装を着る小猫ちゃんのところには大きなお友たちがたくさん。
小猫ちゃんも『ヘルキャットちゃん』としてモテモテドラゴン味方役になっていた。小猫ちゃん、嫌がらずにていねいに対応してる。
プロだ! 小猫ちゃんにプロ魂を見た!
サイン会もひと通りこなし、俺たちは楽屋のテントへと戻っていった。
ふぅ。俺も鎧を解除して、素の状態に戻っている。
そこへスタッフが近づいてきた。
「イッセーさま、お疲れさまですわ」
タオルを持ってきてくれたのは縦ロールヘアが特徴の女の子。
「ありがとう。レイヴェル」
そう、その女の子はライザーの妹であるレイヴェル・フェニックスだ。
俺は礼を言ってレイヴェルからタオルを受け取り、汗を拭いた。
レイヴェルは俺たちが冥界でイベントすると聞きアシスタントとして、協力してくれていた。
「こ、これも修業の一環ですわ!それに冥界の子供達に夢を与える立派なお仕事だと思えるからこそ、お手伝いをしているのです!べ、別にイッセーさまやグレモリー眷属の為ってわけじゃありませんわ!……ま、まあ?多少、半分、それなりには?イッセーさまのためというのもなくはその……」
結構真剣に仕事をしてくれてるんだよね。
最初の頃は高飛車なところが見られたが根は真面目らしい。
「やっぱりすごいな、子供って。真剣に悪くないと思えてきたよ。この仕事」
「子供達は皆、夢中ですもの」
「あぁ。だからこそ、守らないとな」
そこへリアスが俺の楽屋テントへ入ってきた。
「イッセー、そろそろ人間界に帰還する時間よ」
「そうだったな。この後オーディンさまの護衛だっけ」
「そう、早く戻らないといけないわ。レイヴェルもお疲れ様。今日はありがとう」
「い、いえ、勉強の為ですから」
「じゃあレイヴェル、また今度な」
「はい、イベントの時は呼んでください。わ、私でよろしければ手を貸して差し上げますから」
そんなやり取りをした後、俺はリアス達と共に人間界へ帰っていった。
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