あの後、リアスと眠りについた次の日。
「メイド&執事喫茶はどうです?」
という俺の意見。
「悪くないのだけれど、もう少し何かほしいわね……」
と、リアスはそう言いつつホワイトボードに書き込んでいく。
その日の部活動は学園祭で催す予定の出し物についてだった。
「じゃあオカ研の女子メンバーで人気投票とか?」
俺が何気なくそういうと女子部員が互いの顔を見合わせた。
「二大お姉さまのどちらが人気か気になりますぅ」
そうギャスパーが言うと────。
「「私が一番に決まってるわ」」
リアスと朱乃の声が重なり、にらみ合いを始めた!
二人とも笑顔だけど目が笑ってないんだけど!
「あら、部長。何かおっしゃいました?」
「朱乃こそ。聞き捨てならないことを口にしなかったかしら?」
……あはは。
部室の隅でお茶を飲んで会議を静観していたアザゼル先生が、外の夕暮れを見てボソリと呟く。
「……黄昏か」
それを聞いた皆は真剣な面持ちになった。
部活終了のチャイムが学園中に鳴り響く。
「
『はい!』
アザゼル先生の言葉に俺たちは気合いを入れ、決戦の時を迎える。
――決戦の時刻。
すでに日は落ちて、夜となっている。
俺たちはオーディンの爺さんと日本の神さまが会談するという、都内のとある高層高級ホテルの屋上にいた。
高いところにいるせいか、風がびゅーびゅー激しい。
周囲のビルの屋上にシトリー眷属が各々配置され、待機していた。遠目で小さな人影が佇んでいるのがわかった。
匙は遅れるって言っていたな。……どんな特訓をさせられているのやら……。戦闘終了後に登場なんてことだけは止めてくれよ匙くん。
先生は会談での仲介役を担うために爺さんのそばにいる。
戦闘には参加できない先生の代わりにバラキエルさんが同じく俺たちと屋上で待機。
ロスヴァイセさんも戦闘に参加ってことで鎧姿のまま待機中。
遥か上空にはタンニーンさんも! さすがにそのままでは人の目に留まって大騒ぎになるかもしれないので、普通の人間には目視できないよう術をかけているようだ。
ヴァーリたちは少し離れたところでそのときを待っている。黒歌が今回、ヴァーリたちのチームをサポートする。
「────時間ね」
リアスが腕時計を見ながら呟く。
会談がスタートし、後はロキが来るのを待つのみとなった。
「小細工なしか。恐れ入る」
ヴァーリが苦笑した直後、ホテル上空の空間が歪んで大きな穴が開いていく。
歪みから姿を現したのは───悪神ロキとフェンリル!
……正面から、堂々と出てきたな。
「目標確認。作戦開始」
バラキエルさんが耳につけていた小型通信機でそう言うと、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔法陣が展開し始めた。
ソーナを始めとしたシトリー眷属が俺たちとロキ、フェンリルを戦場に転移させるため、大型魔法陣を発動させたんだ。
ロキがそれを感知するが、不適に笑むだけで抵抗は見せなかった。
そして、俺たちは光に包まれ──。
…………。
次に目を開いたとき、そこは大きく開けた土地だった。
岩肌ばかりだ。確か、古い採掘場跡地だったな。いまは使われていないらしい。
眷属を確認。リアスを始め、イリナも含めて全員いる。ヴァーリたちプラス黒歌も少し離れたところに転移していた。
そして、前方にロキとフェンリル。確認したところでプロモーションする。
「逃げないのね」
リアスが皮肉げに言うとロキは笑う。
「逃げる必要は無い。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻れば良いだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」
「貴殿は危険な考えにとらわれているな」
「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと……。元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合ったことから、全てが歪み出したのだ」
「話し合いは不毛か」
バラキエルさんが手に雷光を纏わせ、十枚もの黒き翼が展開していく。
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』
俺は深紅龍帝の力、ヴァーリは白龍皇の力を具現化した全身鎧に身を包む。
俺とヴァーリが同時にロキの前に出ると、ロキが歓喜した。
「これは素晴らしい!二天龍がこのロキを倒すべく共同すると言うのか!こんなに胸が高鳴る事はないぞッ!」
ヴァーリが仕掛けた!空中で光の軌道をジグザグに生みながら高速でロキとの距離を詰めていく。
俺もそれに併せて背中の魔力噴出口を全開にした!
空中からヴァーリが、地上から俺が突っ込んでいく!
「赤と白の競演ッ! こんな戦いができるのはおそらく我が初めてだろうッ!」
嬉々としてロキは全身を覆うように広範囲の防御式魔法陣を展開させる!
──と、思ったら、その魔法陣から魔術の光が幾重もの帯となって、俺たちに放たれるッ!
追尾性の高い攻撃みたいだ! 空中を飛び回るヴァーリ目掛けて、幾重もの光の帯が向かっていく!
俺のほうにも何十もの攻撃が前方から放たれてきた!
ヴァーリは空中で曲芸のように飛び回って、それをすべて回避した。俺は当たろうが何されようがお構い無しに突貫した!
バッ! ババッ!
俺の体に魔術の攻撃が突き刺さるが──このぐらいなら全然問題ない! 一気に詰める! 右拳に力を込め、ロキ目掛けて低空飛行の最大加速で突っ込んでいく! 背中からはドラゴンの翼を生やしていた!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
バリィンッ!
俺の突撃にロキを覆う魔法陣が全部音を立てて消失する!風圧でロキも体制を崩す。そこへヴァーリが空中からバカげた質量の魔力の一撃を──。ヴァーリの手元に魔力以外の術式が展開した。
あれが覚えたばかりの北欧の魔術か?
「──とりあえず、初手だ」
バァァァァァアアアアアアアッ!
掃射した! 俺は瞬時にその場をあとにする! 危なないな。あいつ、ロキの防御を俺が崩した途端に間髪入れずに攻撃してきたよ!
この採掘場の三分の一ぐらいを包むほどの規模の一撃!
なんつー攻撃だ……。
攻撃が止んだあと、ロキのいた場所を見れば──底の見えない大きな穴が生まれていた。
これでも攻撃範囲は狭めたんだろうけど、一撃の攻撃力がハンパじゃない。
…………改めて思う。俺のライバルは異常だ。俺もか?
「ふはははは!」
──ッ! 高笑いが聞えてくる。
その方向を見れば、宙に漂う人影。──ロキだ。ローブはいくらか破れているが、ロキ自身は無事な様子だった。
あの一撃で無傷か。……神さま、怖ろしい。
こうなったら、例の秘密兵器! 俺は腰につけていたハンマー──ミョルニルを手に取り、魔力を送って手ごろなサイズにする!
両腕を振り上げて、ロキに突きつける。
ロキがそれを見て目元をひくつかせた。
「……ミョルニルか。レプリカか? それにしても危険なものを手にしている。オーディンめ、それほどまでに会談を成功させたいか……ッ!」
俺がこれを持っていることよりも、オーディンさまがこれを渡したことにキレている様子だった。
振り上げ、構えた格好で背中からブーストを噴かす!
ゴオオオオオッ!
ロキに高速で向かっていき、目標を捉えて一気にハンマーを振り下ろした!
出ろッ! 神をも倒せるという雷よっ! 念じながらぶっ放す!
ドオオオオオオオオンッ!
ロキに避けられた! 地面に大きなクレーターが生まれていたが……肝心の雷が発生しなかった!
……どういうことだ? これ、神をも倒せる雷が生まれるんじゃないのか?
俺はその場で何度も振り回してみるが……雷はビリッとも発生しなかった!
ふ、不良品か、これ!
「ふははは」
そんな俺の姿にロキが笑う。
「残念だ。その槌は、力強く、そして純粋な心の持ち主にしか扱えない。貴殿に邪な心があるのだろう。だから、雷が生まれないのだ。本来ならば、重さすらも無く、羽のように軽いと聞くぞ?」
マジか! 邪な心? ………………う、うん。心当たりがあるな。
俺、わりとエロだし、モテモテドラゴンだし!ふーむ、天使あたりが妥当なのか?
「そろそろ、こちらも本格的な攻撃に移ろうかッ!」
フェンリルが1歩前へ進みだした。
「──神をも殺す牙。それを持つ我が僕フェンリル! 一度でも噛まれればたちまち滅びをもたらすぞ! おまえたちの相手はこの獣だ!」
ロキはフェンリルへと指示を出す、その瞬間──リアスが手を挙げた。
「にゃん♪」
ブゥゥゥイイイイイイィィィィンッ!
黒歌が笑むのと同時にその周囲に魔法陣が展開して、地面から巨大で太い鎖が出現した。
──魔法の鎖、グレイプニル。予定より早めに届いたはいいが持ち運ぶのが難儀だったため、黒歌が独自の領域にしまい込んでいたんだ。それをタンニーンさんとバラキエルさん、俺の仲間たち、ヴァーリの仲間達が掴み、フェンリルの方へ投げつける!
「ふははははは! 無駄だ! グレイプニルの対策など、とうの昔に────」
バヂヂヂヂヂヂヂヂッ!
ロキの嘲笑空しく、ダークエルフによって強化された魔法の鎖は意志を持ったかのようにフェンリルの体に巻きついていく!
オオオオオオオオオンッ……
フェンリルが苦しそうな悲鳴を辺り一帯に響かせる。
「────フェンリル、捕縛完了だ」
バラキエルさんが身動きが出来なくなったフェンリルを見て、そう口にした。
とりあえず、これでフェンリルは封じた。フェンリルの動きを封じれば、あとは油断しなければ眷属たちだけで余裕で倒せるはず。
──となると、こちらはロキだけか。
ロキはフェンリルの動きを封じられたことで、焦るかと思ったのだが、まだ不適に笑っている。
「スペックは落ちるが───」
グヌゥゥゥゥン。
ロキの両サイドの空間が激しく歪み出した。
……な、なんだ? 何をする気――。
ヌゥン。
空間の歪みから、何かが新たに出てくる。
灰色の毛並み。鋭い爪。感情がこもらない双眸。
そして、大きく裂けた口!
「スコルッ! ハティッ!」
ロキの声に呼応するかのようにそれらは天に向って吼えた。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
夜空の雲が晴れ、金色に輝く満月が姿を現す。
月の光に照らされて、二匹の巨大な獣――狼が咆哮をあげていた。
……フェンリルッ!なぜ……いや、これは!
俺だけじゃなく、全員が驚き顔になっていた。いや、唯一、ヴァーリだけが楽しそうにしていた。
二匹の新たなフェンリルを従え、ロキが言う。
「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの2匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、そして貴殿らも屠れるだろう」
……やはり子供がいたのか、フェンリルに……。
ミドガルズオルムもそんなこと言ってくれなかった! あのドラゴンも知らなかったことなのか!……仕方ない、ここは……!
ロキが二匹のフェンリルに指示を送りだす!
「さあ、スコルとハティよ! 父を捕らえたのはあの者たちだ! その牙と爪で──」
「ドラゴ・バスター!」
ズドドドドオォォォンッ!
「──なっ!?」
叫ぼうとしていたロキが驚愕の声をあげる。
当然だろう。轟音が鳴り響いたかと思えば、新たに出現した二匹のフェンリルの内、一匹が急に攻撃を受け地面に沈んだのだから。
「ハティ!?」
ロキは狼狽しながら傷ついたフェンリルに声をかける。するとそのフェンリルはフラフラになりながらも起き上がった。……ちっ、しぶといな。
「先ほどは油断してしまったが、もう油断も容赦もしない! ──さあ、スコルとハティよ! 父を捕らえたのはあの者達だ!その牙と爪で奴らを食らい千切るがいいっ!」
ビュッ!
風を切る音と共に二匹の狼が俺の仲間たちのもとへ向かっていく!
一匹はヴァーリのチームのほうへ。もう一匹はグレモリー眷属の方へ向ってきた!
くっ! もう鎖はない! あの親フェンリルのほうに使ってしまったからな!
「ふん! 犬風情がっ!」
ゴオオオオオオオッ!
タンニーンさんが業火を口から吐きだしていた! さすが元龍王! 子フェンリルを大火力の炎で包み込んだ!
……けど、子フェンリルは炎のなかでも何事も無かったように動き続けている! ダメージは受けている! でも、決して怯む様子はなかった!
あの二匹は真っ正面から倒すしかない! 俺が仲間のほうへ視線を送っていると、ロキがドデカい魔術の球を撃ちだしてくる!
ズバァァァンッ!
俺は魔力彈で相殺する!かなりの威力だな。
「……相手が神格だと半減の力がうまく発動できないからな。少しずつでもその力を削らせてもらう!」
ドゥ! ドオウ! ドオオオオンッ!
ヴァーリの手元から幾重にも魔力の攻撃を北欧の術式と混ぜながら撃ちだしていた。そのことごとくがロキの魔術でなぎ払われるが、全部が打ち消されるわけでもなく、何発かロキの体に当たっていた。しかし、まだまだダメか。
「さすがは白龍皇! 短期間で北欧の魔術を覚えたようだが──甘い!」
七色に輝く膨大な魔術の波動をロキが放っていく。ヴァーリは背中の光の翼を大きく展開して迎え撃つ格好だった。
『DividDividDividDividDividDividDividDivid!!』
「──これぐらいの攻撃ならば触れなくとも半減の力は発動できる。が、消耗が激しいのでね」
あの半分にする領域の応用技か? ロキ本体にはまだ効かなくても、その攻撃には有効なのか。こいつも成長して新しい力を得ているようだ。
だけど、いくつか撃ち漏らしたものがヴァーリの鎧を撃ち抜く! 白龍皇の鎧が大きく破損するが、ヴァーリはすぐさまそれを復元させていった。
「くらえっっ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
俺も間髪入れず、ドラゴ・ショットを特大でロキに放つ! ハンマー使えないなら、こうやって攻撃していくしかないな!
ドオオオオオオオッ!
鋭く向かっていく俺の一撃だが、ロキは不適に鬼気迫る表情を浮かべて真っ正面から俺の攻撃を受け止め──。
ドンッ!
ヴァーリのほうへいなす! ヴァーリへ俺のドラゴ・ショットが向うが──奴は高速で動いて避けてしまった。
「ふはははは。白龍皇のほうは熟練した強さを誇り、赤龍帝のほうは凄まじいまでの一撃を連続で放てる、か。想いのこもった一撃というものはうちに響くもの。どれだけの想いをいまの攻撃に込めたものか」
赤龍帝の力を最大まで引き上げてヴァーリに譲渡するか……。
「──赤龍帝! 倍加した力を譲渡されるのは面倒極まりない! そちらからぶっ殺しだッ!」
ちっ! ちょうど俺が考えていたことを読まれたか!
ロキはこちらを向く。──先に俺を取る気か!
「無視はいただけないな」
ブゥンッ!
ヴァーリが瞬時に動いて、こちらに攻撃の矛先を向けていたロキの背後を捕らえた!
いける! ヴァーリは手にデカい魔力の一撃を込めている! あれが間近で当たればいくらロキでも──ってヤバい!
バグンッ!
ヴァーリが──横から現れたフェンリルの大きな口に食われた。
「ぐはっ!」
吐血するヴァーリ! 牙が白銀の鎧を難なく砕き、ヴァーリの体を完全に貫いている。
ヴァーリの鮮血がフェンリルの口もとを赤く濡らす。
子フェンリルじゃない。親のほうだ! ……なぜ親フェンリルが! 見れば鎖がついていない。まさか!
振り向けば子のフェンリルが口に鎖をくわえていた! 俺の仲間と戦う振りして、親を解放したのか!
「ふははははっ! まずは白龍皇を噛み砕いたぞ!」
哄笑するロキ!
「ヴァーリッ!」
俺はヴァーリを救出するためにフェンリルへ突貫する! ハンマーは元のサイズに戻しておく。予定通りにいかないものだ!
ヴァーリ! ここでおまえが終了というのも作戦が成り立たないんだよ!
俺が鼻面に力のこもったストレートを打ち込もうとする! ──が。
ズガンッ!
──ッ!
前足を薙いでくる!爪で拳がぶつかって弾かれる!
「ぬぅ! そやつはやらせんっ!」
タンニーンさんが火炎の球で俺たちを支援してくれる! すごい熱量と大きさの炎だ! しかし、フェンリルはやはり逃げる素振りも見せない!
怪獣対決! サイズは似たようなものだ! だったら、狼よりもドラゴンのほうが強く見える──いけるか?
オオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
例の透き通る美声での咆哮ッ! タンニーンさんの炎がこの一帯の空気を震わせる狼の咆哮に打ち消されていく! マジか! 龍の一撃も咆哮ひとつで削除するか!
ビュッ!
ザシュンッ!
「ぐおおおおおおおおっ!」
……タンニーンさんの体がずたずたに切り裂かれてるッ! タンニーンさんの血液が戦場に舞う!
神速で動き、タンニーンさんを爪で切り裂いた!
……………ッ! 俺はもどかしい思いに駆られていた! 伝説のドラゴン! 俺を鍛えてくれた恩人! あんなに強くて雄大なタンニーンさんが為す術もなく切り裂かれたッ!
ドラゴンってのは最強の生物だと、聞いたのに! ドラゴンは誰よりも誇り高いと聞いていたのに!
眼前のフェンリルはすべてを軽く破壊していくんだ!
───エボリューションブーストでいくか?
タンニーンさんは血を口から吐きだしながらも奥歯にしまっていた何かを噛み砕いて飲んでいた。瞬時にタンニーンさんの傷が煙を立てながら消えていく。タンニーンさんはフェニックスの涙を使ったんだ。いちおう、メンバー全員フェニックスの涙を所持しているからな。フェニックスの涙は今回の一戦のために悪魔サイドが送ってくれた物資だ。
しかし、危なかった。あの爪、なんて攻撃力だ 龍帝の鎧の硬さがあいつ相手だとまるで意味を成さない! だから、ヴァーリの鎧も難なく砕いたのだろう。おっさんの体もあれだけ大きく切り裂いた。フェンリルは牙、爪、その他全部が規格外なんだろうな。伝説のドラゴン三体を相手にして、無傷で全部突破とはどういうことだよ……ッ!親の方は本当にヤバいな!前衛の俺とヴァーリはフェニックスの涙をいくつか持たされている。でしかし、噛まれている状態だと、フェニックスの涙を使ったところで貫かれている状態は変わらないから、意味がない。あそこから、解放してやらないと。
『霸龍』でいくか?
「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」
ロキの足元の影が広がり、影から体が細長いドラゴンが複数現れる
それを見たタンニーンが憎々しげに吐いた
「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」
「マジか!しかも五匹!」
量産型のミドガルズオルムが一斉に炎を吐くが、タンニーンさんの火炎で全て吹き飛ばされる!
ヴァーリチームとグレモリー眷属も子フェンリル達と死闘を演じていた!
そんなとき──。
「……兵藤一誠……ロキと、その他はキミと美猴達に任せる。この親フェンリルは────俺が確実に殺そう」
ヴァーリの言葉を耳にしたロキが笑う
「ふははははははっ!どうやってだ!既に瀕死ではないか!強がりは白龍皇の名を貶めてしまうのではないか?」
「───天龍を、このヴァーリ・ルシファーを舐めるな」