発言上とりあえず☆つけます。
俺たちグレモリー眷属とイリナは、夜、ホテルを抜け出てアザゼル先生の先導のもと、街の一角にある料亭の前に立っていた。
料亭の『大楽』。どうやらここに京都入りしているセラフォルー・レヴィアタンさまがいるらしい。
俺たちとアザゼル先生はセラフォルーさまからの誘いを受けた。先程はそれでアザゼル先生が呼びに来たわけだ。
なかに通され、和の雰囲気漂う通路を抜けると個室が現れる。
戸を開けると──着物姿のセラフォルーさまが座っていた。
「ハーロー! イッセーくん、リアスちゃんの眷属の皆、この間以来ね☆」
いつもながらテンション高いな。だけど、それにしても……。
「着物も似合ってますよ」
長い髪も今日は和服に合うように結ってあるし、綺麗だ。
俺の褒め言葉に、セラフォルーさまはうれしそうに両頬を手で隠してニヤけている。
「いやん☆ イッセーくん。今夜、着たままする?私はOKだよ?」
「……またの機会に」
「お、兵藤」
「匙?それにシトリー眷属の皆も。先に来ていたのか」
しかし、『騎士』の巡さん、『戦車』の由良さん、『僧侶』の花戒さんと草下さんといいソーナや椿姫ちゃん以外にも生徒会には美人が多いな。生徒会で一人だけ男子の匙が肩身が狭そうだ。
「ここのお料理、とてもおいしいの。特に鶏料理は絶品なのよ☆ イッセーくんたちも匙くんたちもたくさん食べてね♪ あ、イッセーくんはこっちね☆」
そう言いながら隣に敷いた座布団をポンポンと叩くセラたん。少し悩んだが隣に座り、俺のあとに続くように他の全員も席に着いた。
席に着くとセラフォルーさまが料理をどんどん追加する。俺たちは先ほど料理を食べたばかりだったが、運ばれてくる料理がおいしく、ついつい箸が進んでしまう。見れば、皆もそのような様子だった。
「あ~ん☆」
「ありがとう。セラフォルーさま」
料理を摘まんだ箸を俺の口元へと持っていき、隣で俺の世話を焼くセラフォルーさま。うれしいんだけどさ……。
「それで、セラフォルーさまはどうしてここに?」
俺の問いにセラフォルーさまは横チョキで答える。
「京都の妖怪さんたちと協力態勢を得るために来ました☆」
妖怪たちとの協力態勢か。
しかし、セラフォルーさまは箸を置き、少々顔を陰らせる。
「けれどね……。どうにも大変なことになっているみたいなのよ」
「大変なこと?」
俺の問いにセラフォルーさまが答える。
「京都に住む妖怪の報告では、この地の妖怪を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明なの」
「──っ! 八坂が行方不明!?」
まさかあいつが!?
「……知り合いだったのか?」
アザゼル先生が聞いてくる。俺はそれにうなずく。
「以前にね。……そうか、それはつまり……」
「アザゼルちゃんからあなた達の報告は聞いてるよ。おそらく、そういうことよね」
アザゼル先生が杯の酒を呷り、言う。
「つまり、ここのドンである妖怪がさらわれたってことだ。関与したのは──」
「十中八九、『禍の団』よね」
と、セラフォルーさまが真剣な面持ちで言った。
…………。
「お、おまえら、また厄介な事に首突っ込んでいるのか?」
目元をひくつかせている匙。
「ったく、こちろら修学旅行で学生の面倒見るだけで精一杯だってのにな。やってくれるぜ、テロリストどもが」
アザゼル先生も忌々しそうに吐き捨てる。
「ああ、本当にどうしてくれようか……」
「お、おい、兵藤?」
匙が驚いてこちらを見る。見れば他の全員も驚いた様子でこちらを見ている。
自然と殺気が漏れていたようだな。怒りを飲み込み心を静めて、反省する。いまここで怒ったとしても雰囲気を悪くするだけだな。
「どちらにしてもまだ公にすることはできないわね。なんとか私たちだけでことを収束しなければならないの。私はこのまま協力してくださる妖怪の方々と連携して事に当たるつもりなのよ」
「了解。俺も独自に動こう。ったく、京都に来てまでやってくれるぜ。やっこさんどももよ」
再び酒を飲みながらアザゼル先生は毒づく。
「俺達は……?」
俺が訊くと、アザゼル先生は息を吐きながら苦笑した。
「とりあえず、旅行を楽しめ」
「けど……」
俺の頭をアザゼルが手でわしゃわしゃと撫でる。
「何か遭ったら呼ぶ。でも、お前らガキにとっちゃ貴重な修学旅行だろ?俺達大人が出来るだけ何とかするから、今は京都を楽しめよ」
……先生の一言にグッときたよ。
普段はちゃらけた総督なのに、こう言う時は良い事を言ってくれる。
「そうよ、イッセーくん、ソーナちゃんの眷属ちゃん達も。今は京都を楽しんでね。私も楽しんじゃう!」
セラフォルーさまも笑顔でそう言ってくれる。
余計な心配を掛けない為に俺たちはひとまず観光を継続する事に決めた。……八坂、絶対に助けてやるからな。
早朝。旅行二日目の朝。空が白け始めた頃、俺はアーシアとホテルの屋上を借りてトレーニングをしていた。
──今よりもっと力を引き出すために。
一歩ずつ、それでも確実に前に進むため、トレーニングする!
「悪いなアーシア。修学旅行にまでこういうの付き合わせて」
俺がそう言うと、アーシアは首を横に振る。
「いいんです。大好きなイッセーさんと朝の京都は楽しいですよ。……あとでたくさんエッチなことしてくださいね?私のオマンコ、イッセーさんのデカチンポ食べたくてよだれ垂れてるんです♡」
満面の笑みでそう言ってくれる。ああ、なんていい子なんだろうか。……エッチなことの辺りから艶のある表情になったが。エロいなぁ……。よだれって……愛液だよな?
「あぁ~ん♡イッセーさんのデカチンポォ~♡オマンコでパクって食べたいですぅ~♡ザーメンを私のオマンコでごくごく飲みたいですぅ~♡」
アーシアはジャージごしに胸を揉んで身体をくねくねと揺らす。……いやらしくていいね。
「イッセーさぁ~ん♡私のエッチな体操見てくださぁ~い♡んっ……あぁんっ♡あぁ~ん♡あっはぁ~ん♡」
アーシアは自分の身体を胸から腰、尻にいたるまでいやらしく撫で回す。そして、尻をこちらに向けていやらしくふりふりと揺らす。とても扇情的な眼だな……興奮する。
そのあと、少しして──。
「相手がいたほうが効率がいいんじゃないかな?」
木場の声。見れば木場だけじゃなくゼノヴィアもいた。
そうして、木場たちも混ざりトレーニングを再開した。ちなみにゼノヴィアはデュランダルがないので有事の際のために木場から聖なる短剣を受け取っていた。禁手となったことで魔剣だけではなく、ちょっとした聖剣も創りだせるようになったんだったな。本場の伝説の聖剣に比べると全然力が足りないようだが……。
「──じゃあ、野郎ども! 行くわよ!」
「「おおーっ!」」
桐生がメガネをキラリと光らせながらバス停を指さし、松田と元浜が雄叫びをあげた。
大変なこともあった初日だったが、先生たちのお言葉に甘えて観光できるうちに観光しておこうと想った。匙たちも今日は各所を回るって言ってたしな。
二日目は京都駅前のバス停から清水寺行きのバスに乗ることから始まる。俺たちは京都駅でバスの1日乗車券を買うと他の生徒たちと共に並びながらバスを待った。
乗車したあとは清水寺までバスで移動だ。見知らぬ街の風景を眺めながら下車する予定のバス停に到着。
周辺を軽く探索し、坂を上って清水寺を目指す。おおっ、趣きのある日本家屋のお店が両脇に建ち並んでいる。
「ここ三年坂って言って、転ぶと三年以内に死ぬらしいわよ?」
と、桐生が言う。
「はぅぅぅっ! それは怖いです!」
アーシアがマジで怖がり、俺の腕につかまった。
……まあ、確かにアーシアはドジな所もあるから俺の腕に掴まるのが安全だろう。
──と、ゼノヴィアも俺の腕に掴まってきた。
「どうした、ゼノヴィア?」
俺が訊くと、ゼノヴィアは表情を変えずとも若干震えて言う。
「……日本は恐ろしい術式を坂に仕込むのだな」
「……ただの言い伝えだ。どちらにしても、俺が守るから、転ばせたりしないよ」
「「イッセー(さん)……♡」」
アーシアとゼノヴィアが蕩けた顔で瞳を潤ませて俺を見る。
こうして俺は二人の美少女を両脇にしながら坂を上ることとなった。その間、アーシアとゼノヴィアは体を擦り付けてきていた。耳もとで、
「イッセーさん好きぃ~♡好き好きぃ~♡カッコよくてオチンポをオマンコにズボズボしてほしくなっちゃいますぅ~♡」
「ああ、本当にカッコいいな、イッセー♡子作りしたくなってしまう……イッセーのザーメンを私のアソコに注いでほしい……♡」
なんて囁かれ続けた。
坂を上り切ると大きな門が現れる。ここが清水寺だ。
門──仁王門を潜り、寺へ。
「見ろ、アーシア! 異教徒の文化の粋を集めた寺だ!」
「は、はい! 歴史を感じる佇まいです!」
「異教徒バンザイね!」
教会トリオは興奮気味に失礼なことを言い合っていた! キミたち、いちおうここにも神さまや仏さまがいるんだからさ。見ていると思うし、あまり失礼のないように、ね?
清水の舞台。 下を眺めると……まあ、俺なら落ちても平気だろう。などと思ってしまう。いかんいかん。俺、戦闘的なものが身にしみすぎてるな。
「ここから落ちても助かるケースが多いらしいわよ」
……それは人間か?もしくは人外か?
境内に安全と合格の祈願や恋愛成就を願う小さなお社などがあった。
いちおう、賽銭箱に小銭を入れて願っておく。俺も学生だしな。しかし悪魔だから、どこまで仏さまが叶えてくれるかわかったもんじゃないか。
「兵藤、アーシアと恋愛のクジやってみたら?」
桐生に促され、俺とアーシアは恋愛のくじを引く。
「大吉だって。将来安泰。俺達お似合いだってさ、アーシア」
俺がかいつまんでクジの内容を伝えると───アーシアは頬を赤く染めて大喜びしていた。
「はい!嬉しいです!……嬉しいです、本当に……」
くじを大切そうに抱いて、涙ぐむアーシア。
「俺はアーシアのこと、一生愛してるよ」
「イッセーさん……♡んっ……ちゅっ♡」
アーシアがぷるぷるの唇で俺の唇にキスをする。
俺も嬉しくなり、もう一度ここの仏様に拝んでおく。
「良かったな」
「ええ、良かったわ」
「私も何だか安心したわ」
ゼノヴィア、イリナ、桐生が嬉しそうに頷いていた。
「……俺達、蚊帳の外じゃね?」
「泣くな、松田よ。ホテルに帰ったらイッセーを殴れば良い」
松田と元浜が隅でどんよりと重い空気をかもし出す。
その後は寺を一回りし、記念の品を手軽く買ってからバス停に歩みを進めた。
「次は銀閣寺。パパッと行かないと時間なんてすぐに過ぎてしまうわよ」
桐生が時計を見ながら先導する。
気付けば時刻はいつの間にか午前十時を過ぎていた。
俺たちは銀閣寺行きのバスに乗り、清水寺を後にした。
「銀じゃない!?」
銀閣寺に到着し、寺を見たゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。
そのショックぶりは尋常じゃなく、開いた口が閉じない程だった……。
「……ゼノヴィアさんはお家でも『銀閣寺は銀で金閣寺は金。きっとまぶしいんだろうな』って瞳を輝かせて言っていたものですから」
アーシアが震えるゼノヴィアの肩を抱きながら、そう言った。
「建設に携わった足利義向が死んだから銀箔を貼るのを止めたとか、幕府の財政難で中止になったとか、諸説あるけど、銀箔じゃないわね」
桐生が銀閣寺について説明する。
銀閣寺も一通り回ると、近くのお店で昼食を済ませる。そのまま次は金閣寺へ向かった。
「金だっ!今度こそは金だぞ!」
金閣寺に到着し、寺を見たゼノヴィアが開口一番にそう叫んだ。
先程とは一転、「金だぞぉぉっ!」と物凄くはしゃいでいた。
他の生徒達も金閣寺に来て撮影しており、松田も夢中でカメラで撮っている。
俺も記念に写メしておくか。駒王学園にいるメンバーに送信。
見て回った後はお土産を買い、お茶屋で一休みする
「どうぞ」
和服の女性が淹れたての抹茶と和菓子を運んできてくれた
抹茶のほろ苦さが和菓子の味をより引き立てる
「うん、悪くないわね」
「少し苦いです」
「……金ピカだった」
イリナは抹茶を気に入って、アーシアは少し苦手なのかちょっとずつ飲む。
一方、ゼノヴィアは金閣寺によっぽど感動したのかいまだ覚めぬ夢のなかのようだ。目を爛々と輝かせている。
「ゼノヴィア、記念に祈っておきましょう!」
「そうだな」
「私もお祈りします!」
イリナの提案にゼノヴィアは頷き、アーシアも続いて「「「ああ、主よ!」」」と天に祈った。
時刻は既に午後二時、時間が早く感じるな。
「ひ、ひったくりよ! 誰か捕まえて!」
お茶屋で休憩していると、外から女性の叫び声が聞こえてきた。出てみると、こっちに向かって鞄を持った男が走って来ていた。
「逃がしはしな……」
「おらぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
俺が男の前に立ちはだかろうとした次の瞬間、横から飛び込んで来たスーツ姿の男性の飛び膝蹴りが男の顔面に突き刺さり、男は悲鳴と共に倒れた。
「すげぇな佐藤!おまえそんなことできたのか!?」
その男性の知り合いが驚きの声を上げている。
「見過ごせなかったからな。やりたいからやったんだ」
うーん、昨日の伊藤さんといい、京都の人ってアグレッシブな人が多いな……。
「イッセー君」
そんな風に男性たちを眺めていると、ロスヴァイセさんがやって来た。
「アザゼル先生からあなた達を迎えに行くよう言われました。今から私と一緒について来てください」
「え、でも松田達が……」
俺の言葉は最後まで続かなかった。 アイツ等寝てる?
「すみません、勝手ではありますが、あの方達には眠って頂きました」
俺たちの前に、お茶屋の店員さんが姿を見せる。……獣耳と尻尾が生えてる。じゃあこの人も妖怪か。敵意が感じられなかったから見過ごしていた。
「改めて自己紹介を。私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。昨日の件で我等が姫君が謝罪の場を設けたいとの事でして、皆様をお連れしたく存じます」
……九重か。こちらがどこへと訊くまえにあちらが答える。
「我ら京の妖怪が住む──裏の都です。魔王さまと堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」
俺たちが足を踏み込んだのは──異界ともいえる場所だった。それほど変わってないな。
江戸時代の町並みのセットのごとく、古い家屋が建ち並び、扉から窓から通りの道から、面妖な生き物たちが顔を覗かせていた。
金閣寺の人気のない場所に設置してあった鳥居。そこを潜ると一転して別世界だった。
薄暗い空間。独特の空気。先ほど説明した古い家屋群。そして、そこの住人たちが俺たちを迎えてくれた。……一つ目の大きな顔の妖怪、河童らしき頭部に皿のある妖怪、立って歩く狸などなど、お話で聞いていたような生物がたくさんいる。
皆、好奇の視線を向け、俺たちを見ていた。
九重のもとまで狐のお姉さんの案内で歩く俺たち。薄暗いなか、唯一の光源といえる灯火が道の先まで点々と続いている。
「うきゃきゃきゃ」
提灯に目と口が現れて突然笑いだした。提灯お化けか。
「すみません。ここの妖怪たちはイタズラ好きで……。害をなす者はいないと思いますが……」
と、先導の狐のお姉さんが歩きながら謝ってきた。
「ここは京都に住む妖怪が身を置く場所です。悪魔の方々がレーティングゲームで使うフィールド空間があると思いますが、あれに近い方法でこの空間を作りだしていると思ってくれてかまいません。私はたちは裏街、裏京都などと呼んでおります。むろん、ここに住まず表の京都に住む妖怪もおりますが」
「……人間か?」
「いんや、悪魔だってよ」
「悪魔か。珍しいなや」
「あのキレイな外国の娘っ子も悪魔か?」
「龍だ、龍の気配もあるぞ。悪魔と龍……ってか、龍の気配の旦那もしかしてよ……」
「ああ、そうだなや」
妖怪たちの話し声が聞えてくる。悪魔が珍しい感じだ。
家屋が建ち並ぶ場所を抜けると、小さな川を挟んで林に入る。そこをさらに進むと巨大な鳥居が出現した。
その先にデカい屋敷が建っている。古さと威厳を感じさせる佇まいだ。
あ、鳥居の先にアザゼル先生、それに着物姿のセラフォルーさまがいる。
「お、来たか」
「やっほー、皆☆」
アザゼル先生とセラフォルーさまは妖怪の世界に来ても変わらないな。 二人の間に金髪の少女──九重がいた。今日は巫女装束ではなく、戦国時代のお姫さまが着るような豪華な着物に身を包んでいた。
「九重さま、皆さまをお連れ致しました」
狐のお姉さんはそれだけ報告すると──ドロンと炎を出現させて消えた。……あれは……狐火だったか。
九重は俺たちのほうに一歩出てきて口を開く。
「初めて会う者もいるのでまずは自己紹介としよう。私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者──八坂の娘、九重と申す」
自己紹介をしたあと、深く頭を下げてきた。
「まずは昨日の謝罪を。お主達の正体の裏付けもせず、襲撃してしまった事、心よりお詫び申し上げる。あの者達はあの者達なりに母上を心配して行動したようじゃが、こちらの事情を知らないお主達からすれば迷惑極まりなかったであろう」
まあ、こうして謝ってもらったのだし、俺としては特に何かを言うつもりは無い。みんなも同じだったようで、それぞれに気にしていない旨を口にした。
「……咎のある身で悪いのじゃが……どうか、どうか! 母上を助けるために力を貸してほしい!」
それは少女の悲痛な叫びだった。
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