※この作品はR-18です。

ハイスクールDXD~転生した最強の覇者~   作:グルジオ

65 / 80
お楽しみくださいませ。


二条城での決戦! Phase one

俺が戦う準備を終えてロビーにやって来るとテーブル席に先生とロスヴァイセさんが座っていた。先生が席から立ち上がる。

 

 

 

 

 

「イッセー、こっちに来てくれ」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 何事かと怪訝に思いながら近づく俺に、先生は懐から何かを取り出す。──赤く輝く宝玉みたいなものだった。先生が言う。

 

 

 

 

 

 

 

「さっきな、ホテルの外で女性に暴行しようとした男をこらしめた男がいてな、その男の体からこれが飛び出してきてな。もしかしたらと思うんだが……」

 

 

 

宝玉が……? そういえば、京都に来てから妙にそういう人が多かったな……。

 

 

 

『その宝玉は──』

 

 

 

 

 

 

 

 ドライグが俺と先生に聞こえるように言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 

「どうした、ドライグ」

 

 

 

 

 

 俺が訊くとドライグが言う。

 

 

 

 

 

『ああ、それは新幹線でおまえのなかから飛び出していった箱の中身だ』

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

「やっぱりか。宝玉を軽く解析したら、おまえのオーラが検出できたんでな」

 

 

 

 先生は予想が当たっていたようでうなずいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 先生から宝玉を受け取る。

 

 

 

『うむ。間違いない。俺とおまえの波動を感じるぞ。これは……なるほど』

 

 

 

ドライグは納得した声音となった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

 俺が訊くとドライグはある事実を告げてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

『……軽く宝玉の情報を調べてみたのだが……、箱の中身、おまえの可能性は……様々な人間の体を移りながら京都中を旅して回ったようだ。どうもそいつらの持っていた誰かを護る、誰かに迷惑をかけようとする輩を許せないという想いを高め、集めていたようだ』

 

 

 

……そうだったのか。

 

 

 

「あー、なるほどな。そういったことが京都の各地で連日起こってたのは、おまえの可能性──この宝玉が人間を媒介にして行っていたのか」

 

 

 

 

 

「……それは良かったんだろうな。それでドライグ、この宝玉の塩梅はどうなんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

『……まだわからん。力が高まっているのは確かなのだが……どうもあと一つ何かが足りないらしい……』

 

 

 

そうか……ん?何やらロスヴァイセさんの様子が……。

 

 

 

(……やっぱりイッセーくんはカッコいいですね……キスしてセックスしたいです……)

 

 

 

「しかし、どうもイッセーの可能性は何か特異な力でもかき集めているのか? ……新異力と書いて『にゅーパワー』と呼ぶようなものが魔力やドラゴンの力以外にイッセーのなかにあるとか……? イッセーをみているとあり得そうでな」

 

 

 

……さて、どうでしょうね。

 

 

 

「いつも他者を救ってますね、イッセーくんは。カッコよくておもわずキ……うっぷ、また吐き気が……」

 

 

 

 

 

 

 

 小声でつぶやきながらも口元に手をやり吐き気と戦うロスヴァイセさん。俺は背中を擦ってあげる。

 

 

 

先生がため息を吐きながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

「おまえ、大丈夫か? ホテルに帰ってきてから吐きっぱなしなんだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

「あなたがあんなところで昼酒をしているから……うっ、吐きそう……」

 

 

 

「ま、悪かったよ。って本当に大丈夫か?」

 

 

 

「……ちょっと、トイレ行ってきます」

 

 

 

 

 

 あらら、我慢できなくなったのか、トイレへ駆け込むロスヴァイセさん。

 

 

 

 

 

 

 

「……ゲロ吐きヴァルキリーか。とりあえず、宝玉は持ち主であるおまえが持っていろよ、イッセー。何が切っ掛けで力が溢れてくるか分からないからな」

 

 

 

……そうだ、アザゼルに三国志の曹操はどんな人だったのか訊いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

「おまえはどういう認識なんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

「……劉備のライバルで、悪役とされていますね」

 

 

 

 それを聞いてアザゼルが苦笑する。

 

 

 

「まあ、そういったイメージは『三国志演義』の影響だろうな。確かに曹操は虐殺などの悪行を行なった。だが、当時としては画期的な政治をやったのも曹操だ。俺が個人的に一番と思うのは人材の発掘か。曹操は才能があればどんな身の上の者でも使った。そのせいか、魏は人材に富んだ国となったよ。皮肉なことに英雄派の曹操もまた人材に目を向けたようだ。あいつはあらゆる才能をかき集めているらしいからな。祖先と違う点もあるが。奴は人間を中心に人材を拉致に等しいやり方で集めている。人材は悪魔でも天使でもなく、あくまで人間。そこに英雄派のこだわり、目的が見え隠れするところだ。そして、目的のためならそいつらを洗脳してまで使い、テロに投入する。禁手使いの増加と魔獣創造のためにやった一連のテロはやり方としては実にえげつないところだ」

 

 

 

 

 

 

 

 人間、ね。正義のあり方、というモノか。

 

 

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、人間がどうの、悪魔がどうのと考えていました。……それと英雄。英雄派の正メンバーは英雄の子孫とかで形成されていて、身体能力が天使や悪魔に引けをとらないんですよね? 『英雄』って実際なんなんでしょうかね? あ、意味的なものではなくて、存在についてですよ」

 

 

 

 

 

 

 

「英雄ってのは特別な力、能力を持ち、本来ならばそれを使い、人類にとって大きな功績を残したり、巨悪を倒すことができる存在だ。ヒーローになれる力を持って生まれたといってもいい。まあ、そういうのは神器を持って生まれた者がほとんどだ。神器ってのは人々を救うために、一部の人間に神が与えたものなんだろうが……すべての神器所有者が英雄になれるわけではないし、幸せになれるわけでもない。『英雄になれる力を持って生まれた』ってのと、『英雄になった』というのは必ずしもイコールじゃないからな。なかには力をふるい、悪者として名を轟かせた者もいた」

 

 

 

「英雄、か。まあ、俺は悪魔でドラゴンだから、英雄、ヒーローにしてみればいい悪役でしょうね」

 

 

 

「悪魔になった自分の存在と、英雄──人間という相手の存在について考えていたのか。……ったく。おまえは何になりたい? 何がしたい?」

 

 

 

 

 

 先生が俺に訊く。俺は間髪入れずに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「上級悪魔になる。眷属やリアスたち、愛する女のためにがんばる、そこは何も変わることはないですよ」

 

 

 

「それでいいじゃねぇか。それで突き進め。おまえはそれで問題なくいけるだろう?」

 

 

 

 

 

 先生がそう言う。まあ、だろうな。

 

 

 

「それともうひとつ。──八坂を助ける!」

 

 

 

 

 

 

 

 ハッキリとそう大きな声で宣言した俺の頭をアザゼルがくしゃくしゃと撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

「おまえがそれで良かったよ。しかし、おまえはいいが、アーシアたちは相手が人間だと割り切れない部分もあるだろう。だが、おまえが突き進む限り、あいつらもついてくるはずだ。おまえはおまえのままでいろ。それが眷属の成長に繋がる」

 

 

 

 

 

 

 

「了解。仲間と共に突貫してきますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 俺は先生にそう宣言して、丁度ロビーに下りてきた仲間と合流した。

 

 

 

ホテル入り口から出ようとすると、自動ドアの先でシトリー眷属が集まっていた。

 

 

 

 

 

「元ちゃん、無理しちゃダメよ」

 

 

 

「そうよ、元ちゃん。明日はみんなで会長へのお土産買うって約束なんだから」

 

 

 

「おう、花戒、草下」

 

 

 

 

 

 

 

「元士郎、テロリストにシトリー眷属の意地を見せてやるのよ?」

 

 

 

「わかってるよ、由良」

 

 

 

 

 

「危なくなったら逃げなさい」

 

 

 

 

 

「足なら鍛えてるよ、巡」

 

 

 

 

 

 

 

 匙が仲間に激励をもらっているところだった。そういえば夏休みが明けてから眷属同士がいっそう仲良くなったってソーナがうれしそうに話していたな。

 

 

 

と、俺の肩に木場が手を置く。

 

 

 

 

 

「部長不在のいま、仮としての僕たちの『王』はイッセーくんだ」

 

 

 

 

 

「──っ! マジか。俺が『王』?いいのか、それで?」   

 

 

 

 

 

「何を言ってるんだい。キミは将来部長のもとを離れて『王』になろうとしている。それならこのような場面で眷属に指示を送るのは当然となるんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

「……まあ、それはそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 木場は続けて言う。

 

 

 

 

 

 

 

「昼間の渡月橋での一戦、キミは咄嗟の判断で、僕たちに指示を出していた。それが最善だったか、良案だったかはわからないけれど、僕たちは無事にいまここにいる。だから、僕は少なくとも良い指示だったと思える。──だからこそ、今夜の一戦、僕たちの指示をキミに任せようと思うんだ」

 

 

 

横からゼノヴィアも言う。

 

 

 

 

 

「そうだな。私やイリナ、アーシアは指示を仰いだほうが動ける。昼間のおまえは部長の欠けたチームをうまくまとめたと思うぞ」

 

 

 

 

 

「うんうん。けど、イッセーくんは無茶して飛び出しすぎるのはダメよ?」

 

 

 

 

 

「そうです。無理は禁物です」

 

 

 

 

 

「このチームに入って間もない身なので、チームでは先輩のイッセーくんに任せます」

 

 

 

 

 

 

 

 と、イリナとアーシアに続いて、ロスヴァイセさんも言う。 

 

 

 

視線をゼノヴィアの手に持っているものに向ける。魔術呪文を記して布で何重にも巻いて封印している長い得物。ああ、使うのか。

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアが俺の視線に気づき、長い得物を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、これか。先程教会側から届いたばかりだ。───改良されたデュランダルだよ。いきなり実戦投入だが、それも私とデュランダルらしくて良いだろう」

 

 

 

 

 

「わりぃ、少し話し込んじまった」

 

 

 

 匙が手で謝りながら合流してきた。他のシトリー眷属は「オフェンスお願いします」、「共に明日を迎えましょう」と激励をくれたあと、素早く京都駅のほうへ向っていく。

 

 

 

 

 

 グレモリー眷属+イリナ、そして匙。これが二条城に向うオフェンス陣だ。

 

 

 

 

 

「よし、二条城に向かおう」

 

 

 

 

 

 こうして俺たちは一路、曹操が掲示した場所、二条城へ──。

 

 

 

 

 

ホテルを出て、京都駅のバス停に赴く。

 

 

 

 ここからのバスに乗って二条城まで行く予定だ。一応、皆、冬服の制服姿。ゼノヴィアやイリナは例の教会特製の戦闘服を下に着ているそうだ。いざとなったら、制服を脱いで動きやすくするらしい。

 

 

 

 

 

「うっぷ……」

 

 

 

 

 

 

 

 ロスヴァイセさんが口を手で押さえて時おり襲ってくる吐き気と戦っていた。いまだ体調は優れないようだ。どれだけ酒を飲んだんだよ……?

 

 

 

 

 

 

 

 ────と、バス停でバスを待っているときだった。俺の背中に何かが飛び乗る。

 

 

 

「イッセー! 私も行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 金髪の巫女装束幼女──九重だった。なぜここに? 妖怪のいる裏京都で待機してるはずでは?

 

 

 

 

 

 

 

「……九重。どうしてここに?」

 

 

 

 

 

「私も母上を救う!」

 

 

 

 …………。

 

 

 

「危ないから待機しているよう、うちの魔王少女様や堕天使の総督に言われたろ?」

 

 

 

 

 

 

 

「言われた。じゃが!母上は私が……私が救いたいのじゃ!頼む!私も連れて行ってくれ!」

 

 

 

九重の気持ちも分からなくはない……。

 

 

 

それに九重の存在が八坂を助ける切っ掛けになるかもしれない。

 

 

 

そう考え、九重の意志を尊重しようとしたその時───足下に薄い霧が立ち込めてきた……。

 

 

 

 

 

 

 

同時にぬるりとした生暖かい感触が全身にまとわりつく。

 

 

 

 

 

昼間にも味わった霧───『絶霧』!

 

 

 

 

 

 

 

この現象を把握した時には、霧は俺達の全身を覆っていた……。

 

 

 

 

 

気付けばそこは地下鉄───京都駅のホームだった。

 

 

 

 

 

 

 

俺は周囲に視線を配らせる……人気が無い……否、肩に九重が乗っかっている。

 

 

 

 

 

「……こ、ここは地下のホームか?」

 

 

 

「ああ、どうやら昼間の現象をまた食らったようだな」

 

 

 

「じゃ、じゃあ、ここも別の空間に創られた疑似京都なのか?きゃつらの持つ技術は凄まじいのぅ」

 

 

 

 

 

 

 

九重の言う通り、何の予兆も無しに俺たちを包み込む霧の使い方の巧みさ、京都駅周辺にも同様の疑似フィールドを創り出す技術は驚嘆するものだな。

 

 

 

 

 

ふいに俺の携帯の着信音が鳴る。

 

 

 

「もしもし、木場か?今何処だ?この奇妙な空間に転移してるんだよな?」

 

 

 

 

 

 

 

『うん。こちらは京都御所。ロスヴァイセさんと匙くんも一緒だよ。そちらは?』

 

 

 

 

 

 

 

「九重と一緒で、京都駅の地下ホームだ。ちょっと待て、今地図を出す」

 

 

 

俺はは九重を肩から下ろし、眷属全員に渡された地図を懐ふところから出してホームの床に広げる。

 

 

 

 

 

 

 

「このフィールド、まさか広大か?丁度この二条城中心にした地図が範囲じゃないか?」

 

 

 

 

 

『そうだね。二条城を中心に京都の町を広大に再現しているんだと思う。ゲームのフィールドでもこのぐらい広いのがあるから不思議じゃないけど、やはりレーティングゲームのフィールド空間を徹底的に研究しているようだ』

 

 

 

 

 

「木場、合流は二条城で良いか?」

 

 

 

 

 

『うん、了解。アーシアさん達への連絡はそちらが取るかい?彼女達もこちらに着いていると思うからね。僕達は英雄の方々から招待されたようだから』

 

 

 

 

 

 

 

「こちらからかけてみる。そちらは外の先生達に連絡を取ってくれ。まったく、唐突なご招待だ」

 

 

 

 

 

 

 

木場との連絡を終え、アーシア達とも連絡が取れた。

 

 

 

教会トリオが仲良く集まっていたようで、アーシアの傍にゼノヴィアとイリナがいるので安心出来た

 

 

 

 

 

そちらにも二条城での合流を伝えた後、もう一度木場から連絡が届く。

 

 

 

 

 

外の先生達とは連絡が取れなかったらしく、俺もかけてみたが繋がらなかった。

 

 

 

 

 

どうやら携帯などの連絡手段が通じるのは疑似フィールド内にいる者に対してのみで、外部との連絡は取れないようだな。

 

 

 

これ以上考えても仕方無い。まずは皆との合流を目指そう。

 

 

 

昼間の観光帰りはホテルへ帰る手段として、二条城近くの地下鉄から電車に乗って京都駅まで帰ってきた

 

 

 

線路沿いに進んでいけば地下から二条城前の地下鉄駅まで行けるな。

 

 

 

 

 

移動の都合が整ったところで俺は籠手を出現させておく。

 

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

俺は赤い閃光に包まれ、オーラが鎧の形に形成される。

 

 

 

 

 

 

 

それを見ていた九重が感心するように言う。

 

 

 

 

 

 

 

「うむ。天龍の鎧は美しいな」

 

 

 

 

 

 

 

「九重、俺がお前のお袋さんを救うからさ。俺の傍を離れちゃダメだぞ?九重の事は俺が守るよ、絶対に」

 

 

 

 

 

「う、うむ!よきに計らえじゃ!」

 

 

 

俺の一言を聞いて九重は顔を真っ赤にしている。 

 

 

 

その時、俺に敵意を送る誰かの気配を感じる。

 

 

 

ホームの先に視線を送ると、英雄派の制服を着た男性が歩みを進めてきた。

 

 

 

男は目と鼻の位置で足を止め、笑みを見せる。

 

 

 

 

 

「こんばんは、赤龍帝殿。俺の事は覚えてくれているかな?」

 

 

 

 

 

「…………いや、覚えがある気もするが若干、記憶が……悪いな」

 

 

 

 

 

俺の答えに男は苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、そうだろう。あんたにとってみれば俺なんてそうそう記憶にも残らない程の雑魚なんだろうさ。──けどな、あの時に得た力によって、俺はあんたと戦えるようになった」

 

 

 

 

 

 

 

そう言った直後、男の影が意志を持ったようにウネウネと動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

それを見て俺はふと思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

黒いコートを着て影を自在に操り、他の影から攻撃を転移させた神器所有者を……。

 

 

 

 

 

 

 

「思い出した。俺の町を襲撃してきた影使いの神器所有者か!」

 

 

 

俺の言葉に影使いの男は含み笑いを見せる。

 

 

 

「ご名答。俺はあの時、あんた達にボコボコにされちまった。でも、今は違う。あんた達にやられた悔しさ、怖さ、自分への不甲斐なさが俺を次の領域に至らせてくれた。見せてやるよ。本当の影の使い方を───」

 

 

 

 

 

 

 

底知れない重圧を感じ、男の周囲にある柱や自動販売機などの影が不気味に動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

そして男は低い声音で一言呟く

 

 

 

 

 

 

 

「───禁手化」

 

 

 

 

 

 

 

ズズズズズッ……。

 

 

 

 

 

男から放たれるプレッシャーが増し、周囲の影が男を包み込んでいく。

 

 

 

徐々に影が形を成していき、鎧のような物が形成される。

 

 

 

それはまるで俺の禁手と同じ……影で作った全身鎧だった。

 

 

 

 

 

「───自分のような禁手だ。そうは思ったのかな?」   

 

 

 

俺の心を見透かしたように、影使いの男は愉快そうに呟く。

 

 

 

 

 

 

 

「そう、あんた達にやられた時、俺はより強い防御のイメージを浮かべた。あんたみたいな鎧が欲しいと感じたよ。それだけ赤龍帝の攻撃力は恐ろしくて力強くて感動的だった。───『闇夜の大盾(ナイト・リフレクション)』の禁手状態、『闇夜の獣皮(ナイト・リフレクション・デス・クロス)』。さあ、赤龍帝、あの時の反撃をさせてもらうぜ?」

 

 

 

影の鎧は生きているように各部位が蠢いており、影に覆われた顔は眼光を鋭くこちらに向けていた。

 

 

 

一見すれば影のモンスターである。

 

 

 

さてと……アーシアがいないからプロモーションは出来ない。ったく、作戦開始早々ツイてないと言うか……仕方ない───プロモーション無しでやるか。

 

 

 

俺はひとまず拳を握り、背中のブーストを噴かして影使いに突貫していく。

 

 

 

 

 

俺は猛スピードの拳打を繰り出すが───攻撃が相手の体を通り過ぎる……。

 

 

 

 

 

 

 

男は煙の様に霧散していき、当たった手応えも全く無い。

 

 

 

 

 

 

 

何事も無かったかの如く佇んでいる影使い。

 

 

 

 

 

 

 

俺は直ぐ様振り返り、ダッシュして男の背後から跳び蹴りを食らわせようとするが───これも相手の体を通り過ぎただけで終わってしまう

 

 

 

 

 

 

 

元の位置に戻ってきた一誠は改めて体勢を取り直した

 

 

 

 

 

 

 

「この影の鎧に直接攻撃はおろか、どんな攻撃も無駄だ」

 

 

 

 

 

 

 

男は嘲笑した口調でそう言ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

直接攻撃が無意味だと理解しても逃げる訳にはいかないよな。

 

 

 

 

 

 

 

俺は手元から小規模の魔力彈を乱れ撃ちで男に放つが───魔力彈は男の体の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

まるで吸い込まれたかのように……おっと不味い、この神器の元々の能力は───!

 

 

 

ホーム内の物陰から魔力彈の乱れ撃ちが転移され、俺に襲い掛かってくる。

 

 

 

俺は九重を脇に抱えて、向かってくるドラゴンショットを避けたり蹴飛ばしてやり過ごす。

 

 

 

「ちっ、こっちの能力も相変わらずか!」

 

 

 

ザワザワザワ……ッ!

 

 

 

 

 

 

 

更にホーム内の影が意志を持ったように俺の方に向かってきた。

 

 

 

 

 

 

鋭い刃と化した影が俺を襲うが、それを凪ぎ払う。

 

 

 

「ハハハハ!やるなぁ。さすが赤龍帝。けど、そちらの攻撃もこちらに効かない!」

 

 

 

 

 

「えいっ」

 

 

 

ボオッ!

 

 

 

 

 

俺の脇に抱えられていた九重が手を前に突き出し、男に小さな火の球を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

影使いの男は避ける素振りを見せずに火の球を手で掴んで握り潰した。

 

 

 

「これは小さな狐の姫様。狐火ですかな?この程度の熱量では、俺には無駄ですぞ?熱さが足りない」

 

 

 

「お、おのれ!」

 

 

 

 

 

影使いの男は嘲笑い、九重は悔しそうに歯噛みする。

 

 

 

 

 

 

 

……ここで俺はある事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

───熱さが足りない───。

 

 

 

 

 

 

 

それはつまり、影の鎧を装着していても熱さは感じると言う事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

何となく攻め手を見つけた俺は背中からドラゴンの翼を生やして九重を包み込んだ。

 

 

 

「ドライグ、九重を翼で何とか頼む」

 

 

 

『それは良いが。相棒、どうするつもりだ?』

 

 

 

 

 

 

 

俺は大きく息を吸って空気を溜め込み、腹の中で小さな火種を作り出した。

 

 

 

 

 

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

 

『Transfer!!』

 

 

 

俺は腹に生まれた大火力の炎を口から一気に噴き出した。

 

 

 

 

 

ボオオオオオオオオオオオオッ!

 

 

 

 

 

大質量の炎がホーム内を包み込み、地下ホームは炎一色に塗り潰された。

 

 

 

「───炎だと!こ、この熱量は……!」

 

 

 

影で転移させようにもホーム全てが炎に包まれているので逃げ場は無く、影の鎧はダメージが無くても“熱”までは避けられない。

 

 

 

 

 

 

 

「元龍王直伝の火炎だ。熱さは保証付きだよ。───蒸し上がれ」

 

 

 

 

 

 

 

「くそぉぉぉおおおおおおおっ!赤龍帝ぇぇぇえええええっ!」

 

 

 

炎が男の周囲に渦巻く。

 

 

 

男は炎の熱にやられ、その場で絶叫を上げてのたうち回る。

 

 

 

 

 

直接攻撃は受け流す事が出来ても、炎の高熱までは受け流せない……。

 

 

 

 

 

俺は『深紅龍帝の鎧』───ドラゴンの鎧を纏っているし熱に強くノーダメージだ。

 

 

 

 

 

「……龍の炎……」

 

 

 

 

 

ドラゴンの翼に包まれている九重がボソリと呟いていた───。




先程新しい活動報告を載せました。是非ご覧くださいませ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。