※この作品はR-18です。

ハイスクールDXD~転生した最強の覇者~   作:グルジオ

66 / 80
二条城での決戦! Phase two

 

 

プスプスと煙を上げる地下ホーム、至る所が黒焦げになっていた。

 

 

 

影使いの男は煙を上げて倒れ伏しており、既に影の鎧は解除されている。

 

 

全身にかなりの火傷を負っていた。

 

 

 

まともに戦う事も出来ないだろう……。

 

 

 

「……強い。禁手になっても……天龍には届かないと言うのか……」

 

 

 

影使いの男が体を震わせながら立とうとする。

 

 

 

「まだやるのか?それ以上やったらあんた死ぬぞ!」

 

 

 

俺の忠告を聞き入れずに男は何度も転びながら立ち上がろうとした。

 

 

 

「……死んでも良い。あいつの……そ、曹操の下で死ぬのなら本望だ……」

 

 

 

その叫びは心の底からの物だった。

 

 

 

「あんたは曹操に洗脳されていないのか?」

 

 

 

「ああ、そうだよ……。俺は俺の意志で曹操に付き従っている……。何故かって?くくくく……」

 

 

男が苦しそうに息を上げながら話し始める。

 

 

口の中も熱で痛んでいるにもかかわらず、男は話した。

 

 

「……神器を得た者の悲劇を知らない訳じゃないだろう?……神器を持って生まれた者は誰しもその力によって良い人生を送れた訳じゃない……。俺のように影を自在に動かす子供が身内にいたらどうなると思う……?気味悪がられ、迫害されるに決まってるだろう。俺はこの力のせいでまともな生き方が出来なかったよ。……でもな、この力を素晴らしいと言ってくれた男がいた」

 

 

「それが曹操ってことか」

 

 

 

「この力を持って生まれた俺を才能に溢れた貴重な存在だと言ってくれた……。……英雄になれると言ってくれた……。今までの人生を全て薙ぎ払うかのような言葉を貰ったらどうなると思う……?───そいつの為に生きたいと思っちまっても仕方無いじゃないか……ッ」

 

 

絞り出すように男はそう独白した。

 

 

そこまで曹操を慕っていても、奴はテロリストだ。

 

 

今も九重の母親───八坂を拉致して“実験”とやらを行おこなおうとしている

 

 

 

「利用されているだけかもしれないんだぞ?」

 

 

 

「それの何処が悪い?奴は、曹操は!俺の生き方を、力の使い所を教えてくれたんだぞ……?それだけで充分じゃないか……ッ!それだけで俺は生きられるんだ……ッ!クソのような人生がようやっと実を得たんだぞ……ッ!それの何処が悪いってんだよぉぉぉぉぉっ!赤龍帝ッ!」

 

 

 

ただ黙って聞く俺に男は涙を流し、思いの丈を吐き出した。

 

 

 

「……クソのような扱いを受けて、クソみたいな生き方を送ってきた俺達神器所有者にとって、あいつは光だった……ッ!俺の力が、悪魔を、天使を、神々を倒す術に繋がるんだぞ……ッ!こんな凄い事が他にあるってのか……ッ!?それにな……悪魔も堕天使もドラゴンも元々人間の敵だ……ッ!常識だろうが!そしてあんたは───悪魔でドラゴンだ!人間にとって脅威でしかないッ!」 

 

 

脅威ね……確かに俺は人間から見れば恐ろしい存在だろう。

 

 

曹操は神器によって悲劇の人生を送ってきた所有者に生きる道を与えた……。

 

 

それはこの男にとっても人生の転機だったのかもしれない……。

 

 

男は足をガクガクと震わせながらも立ち上がり、俺の方にゆっくりと歩みを進めてくる。敵意も消えていなかった。

 

 

「俺達人間を舐めるなよ……ッ!悪魔……ッ!」

 

 

 

そう叫んで少しずつ近付いてくる。

 

 

 

俺は拳を握り締め、歩みを進めた。

 

 

 男の顔面にパンチを繰り出す。

 

 

 

「……そうだな。悪魔だよ、俺は」

 

 

 

ゴウッ!

 

 

 

俺の一撃を食らった男は後方に大きく吹き飛び、ホームの柱に背中を強く打ち付ける。

 

 

そのまま気を失い、その場に突っ伏した。

 

 

 

倒れる男に俺は呟いた。

 

 

 

「あんたのやってる事で泣く奴がいる。どんな理由でも俺はそれを殴り飛ばすだけだ」

 

 

 

男を一瞥した後、俺は暗がりの線路の先に視線を向けた。

 

 

あの先を進めば二条城前に出られる。

 

 

 

「九重、行くぞ」

 

 

「うむ!」

 

 

 

俺は九重を背中に乗せ、ドラゴンの翼を広げて線路の先へ飛び出した。

 

 

 

途中襲い掛かってきたアンチモンスターを蹴散らしながら、たどり着いたのが二条城の東大手門。

 

 二条城の東大手門に向かうと──数人のメンバーが集まっていた。

 

 

「わるいな、遅れた─」

 

 

と、謝りながら近づくと───、

 

 

「おげぇぇぇぇぇ……」

 

 

 

近くの電柱で吐いてるヴァルキリーの鎧を着たロスヴァイセさんの姿が……。

 

 

 

匙が「大丈夫っすか?」と背中をさすってる。

 

 

 

「あれは刺客にやられたのか?」

 

 

 

そう尋ねると木場は苦笑しながら否定した。

 

 

 

「実は昼間に飲んだ影響で……動いたら気持ち悪くなったみたいなんだ」

 

   

……まあ、それはそうと、アーシアたちも無事に到着していて、フェニックスの涙を使う必要もないらしい。俺と木場が一つずつ持っている。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……。

 

 

 

 情報交換もひと段落したところで、鈍い音を立てながら巨大な門が開き始めた。

 

 

 

 完全に開け放たれた門を見て、木場が苦笑した。

 

 

「あちらもお待ちしていたようだよ。演出が行き届いている」

 

 

 

「まったくだ。舐めるな」

 

 

 

 木場が皮肉を言い、俺は息を吐く。

 

 

 全員、確認しあうと二条城の敷地へと歩を進めていった──。

 

 

 

 

「僕が倒した刺客は本丸御殿で曹操が待っていると倒れる間際に言っていたよ」

 

 

木場が走りながらそう言う。

 

 

俺たちは二条城の敷地内を進み、二の丸庭園を抜けて本丸御殿に続く『櫓門』を潜くぐった

 

 

辿り着いたのは古い日本家屋が建ち並ぶ場所。

 

 

英雄派の気配を探る俺たちに声が投げ掛けられる。

 

 

「禁手使いの刺客を倒したか。俺達の中で下位から中堅の使い手でも、禁手使いには変わりない。それでも倒してしまうキミ達はまさに驚異的だ」

 

 

 

庭園に曹操の姿が見え、建物の陰からも英雄派の構成員が姿を見せる。

 

 

「母上!」

 

 

 

 九重が叫んだ。九重の視線の先に──着物姿のキレイな女性が佇んでいた。頭部に狐の耳、複数の尻尾が見える。──間違いなく九尾の御大将、八坂だ。

 

 

 

「母上! 九重です! お目覚めくだされ!」

 

 

 

 九重が駆け寄って声をかけても八坂は反応しない。瞳も陰り、無表情だった。

 

 

 九重が曹操たちを睨みつける。

 

 

「おのれ、貴様ら! 母上に何をした!」

 

 

 

「言ったでしょう? 少しばかり我々の実験に協力してもらうだけですよ、小さな姫君」

 

 

 曹操はそう言うと、槍の石突きで地面をトンッと叩く。刹那──。

 

 

 

「う……うぅぅ、うああああっ!」

 

 

 

 八坂が悲鳴をあげはじめ、様子が激変していく。 体が光り輝き、その姿を徐々に変貌させていった! どんどんデカくなっていって、九つの尻尾も膨れ上がっていく!

 

 

 オオォォォォンッ!

 

 

 

 夜空に向って咆哮をあげる巨大な金色の金色の獣──。俺たちの眼前に現れたのは巨大な狐の怪物だった!

 

 

 

 十メートルぐらいあったフェンリルと同じぐらいあるんじゃないか? 九つの尻尾の分、フェンリルよりも大きく見える。

 

今の八坂さんの瞳には感情が感じられない。

 

完全に英雄派に操られている状態なのだろう。

 

俺は曹操に問い詰める。

 

 

 

「曹操! こんな疑似京都を作って、しかも八坂さんまで操って、何をしようとしている!? 」

 

 

 

曹操は槍の柄を肩にトントンとしながら答えはじめた。

 

  

「京都はその存在自体が強力な気脈で包まれた大規模な術式発生装置だ。名所と呼ばれるパワースポットが霊力、妖力、魔力に富んでいる。この都市を生んだ古き陰陽師たちが都そのものを巨大なひとつの『力』にしようとしたからだ。まぁ、それゆえに様々な存在を呼び寄せてしまったわけだが……。この疑似空間は京都から極めて近く限りなく遠い次元の狭間に存在し、気脈のパワーはこちらにも流れ込んできている。そして、九尾の狐は妖怪でも最高クラスの存在。龍王クラスとも言われている。京都と九尾は切っても切り離せない関係だ。だからこそ、ここでおこなうことに意味がある」

 

息を吐く曹操。

 

 

「──都市の力と九尾の狐を使い、この空間にグレートレッドを呼び寄せる。本来なら複数の龍王を使ったほうが呼び寄せやすいんだが、龍王を数匹拉致するのは神仏でも難儀するレベルだ。──都市と九尾の力を代用することにしたのさ」

 

 

「グレードレッド? あのでっかいドラゴンを呼んでどうするつもりだ? あいつ、次元の狭間を泳ぐのが好きで実害はないんだろう?」

 

 

「ああ、あれは基本的に無害なドラゴンだ。──だが、俺たちのボスにとっては邪魔な存在らしい。故郷に帰りたいのに困っているそうだ」

 

 

 

 ──オーフィスか。

 

 

 

 俺の脳裏にある少女姿のオーフィスが思い出される。テロリスト共のボス。三大勢力から見たらラスボス的な存在だよな。

 

 

「……それでグレードレッドを呼び寄せて殺すのか?」

 

 

 

 俺の問いに曹操は首をひねる。もうそろそろか……。

 

 

 

「いや、さすがにそれはどうかな。とりあえず、捕らえることができてから考えようと思っているだけさ。いまだ生態が不明なことだらけだ。調査するだけでも大きな収穫を得ると思わないか? たとえば『龍喰者』がどれぐらいの影響をあの赤龍神帝に及ぼすのかどうか、とか。まあ、どちらにしろ、ひとつの実験だ。強大なものを呼べるかどうかのね」

 

 

 ……ドラゴンイーター?

 

 

 初めて聞く単語に俺は訝しくなるが、どうせろくでもない代物だろう。

 

 

 

「……よくわからないな。よくわからないが、おまえらがあのデカいドラゴンを捕らえたら、ろくでもないことになりそうなのは確かだな。それに九尾の御大将も返してもらう」

 

俺がそう言うと、ゼノヴィアが剣を曹操に向ける。

 

 

 

──鞘ごとかまえたデュランダル。鞘の各部位がスライドしていき、変形していく。

 

 

 

ズシュゥゥゥゥゥッ!!

 

 

 

激しい音を立てながら、鞘のスライドした部分から大質量の聖なるオーラが噴出する!

 

更に刀身をオーラが覆い尽くし、極太のオーラの刃と化していく。

 

これが新しいデュランダルか。オーラを上手く纏められているみたいだ。

 

その証拠に攻撃的なオーラが周囲に影響を与えていない。

 

あの鞘がデュランダルの力を制御してくれているようだな。

 

「イッセーの言う通りだ。貴様が何をしようとしているのかは底まで見えない。だが、貴様の思想は私たちや私たちの周囲に危険を及ぼす。───ここで屠るのが適切だ」

 

 

 

ゼノヴィアの宣戦布告に木場が頷く。 

 

「意見としてはゼノヴィアに同意だね」

 

「同じく!」

 

 

イリナも応じて光の剣を作り出し、匙が嘆息しながら言う。

 

「グレモリー眷属に関わると死線ばかりだな……。ま、学園の皆とダチの為か───」

 

 

 

匙の腕、足、肩に黒い蛇が複数出現して体を這い出した。

 

 

全身に黒い蛇を纏った匙の足下から黒い大蛇も出現する。

 

 

大蛇は匙の傍らに位置すると黒い炎を全身から迸らせてとぐろを巻く。

 

 

 

匙の左目が赤くなり、蛇の如き目になっていった

 

 

「……ヴリトラ、悪いが力を貸してくれ。兵藤がフォローしてくれるそうだからよ、今日は暴れられそうだぜ?」

 

 

そう呟く匙の周囲にも黒い炎が巻き起こり、大蛇が低い声音で喋り始めた。

 

 

 

『我が分身よ。獲物はどれだ?あの聖槍か?それとも狐と蜘蛛が混じった化け物か?どれでも良いぞ。我は久方ぶりの現世うつしよで心地よいのだよ。どうせなら、眼前の者共を全て我が黒き炎で燃やし尽くすのも良かろうて』

 

ヴリトラは相手を捕らえ、動きを封じる力を得意としている。

 

 

 

とりあえず暴走させられた八坂を捕らえて欲しいと言おうとした瞬間───。

 

 

ズォォオオオオオオッ!

 

ズォォオオオオオオッ!

 

 

 

ゼノヴィアが天高く掲げるデュランダルがオーラを大きく噴出させる。

 

 

極太の上に天を突こうかとばかりに膨れ上がった聖なるオーラの刀身が誕生していた。

 

 

「───初手だ。食らっておけッ!」

 

ゼノヴィアは巨大な聖なるオーラの剣を英雄派の方に振り下ろした!

 

巨木が横倒しになるように新デュランダルの一撃が曹操たちのほうに放たれていく───。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。