まずはプロモーションだな。
『騎士』にプロモーションするか、それとも『僧侶』か。 いや、実戦での練習にこだわっていても相手が悪すぎるか。ここは一気にいこう。
「アーシア! 『女王』にプロモーションだ!」
「はい!」
アーシアの同意により、俺は『女王』となった! 体に力が流れ込む!
あれからもトレーニングはした!実戦でもある程度各駒の特性を使った!ここで少し成果を出してみようか! ドラゴンの翼を展開し、背中のブーストを勢いよく噴出させる!
ゴオオオオォォオオッ!
『JET!』
拳を突き出したまま猛スピードで曹操に一撃を繰り出す! あれこれ考えたが、やっぱり、まずは突貫で様子見だッ!
前方に猛進していく俺! 曹操は槍をくるくると器用に回しながら、俺の拳が当たる寸前で身を軽やかにかわした!
──ッ! 俺の突進には対応できるか! なら──ッ!
俺はその場でブーストの軌道を変えて、曹操の避けた方向に二度目の突貫をかます!
同時に両手に魔力を集める! 曹操が避ける瞬間を見計らって、ドラゴ・ショットのダブルを野郎に──。
ガッ!
曹操は俺の右手を蹴り上げ、槍の払いで左手を横に弾いた。ドラゴンショットが先ほどと同じようにあらぬ方向に撃ちだされていってしまう。
ちっ! やはり、出来る限りの最小の動きだけで俺をいなしてるな───ッ!
ズッ!
俺の腹部に曹操の槍が刺さる──俺は直ぐ様それ以上深く刺さらないよう距離をとる。
「けふっ」
腹から込み上がってきた血が口から吐き出された。
──瞬間、俺の腹部、否、全身にいくらか激痛が走り回った。傷口を中心に体のあちらこちらから煙も上がり始める。
……い、いてぇな……。聖なる槍だからな……痛みと効果が……。
「イッセーさんっ!」
パァ。
俺の体を緑色のオーラが包み込んだ。腹の激痛がしだいに緩和していく。
……アーシアが回復のオーラを飛ばしてくれたか。危なかった。いま、多少意識が飛びかけたぞ。
だが、まだ傷口が完全に塞がらない。煙も少し上がっている。というか、再び傷が開こうとしているじゃないか! 遠距離からの回復だと心もとないってことか。
俺は懐からフェニックスの涙を取りだし、腹の傷にかけた。……傷が塞がっていく。さすがフェニックスの涙だ。
「危なかったな。聖槍に貫かれると案外、すんなりと逝きそうだろ?」
軽く笑う曹操。
……まあ、確かに厄介すぎるな。
曹操が肩に槍をトントンしながら言う。
「よく覚えておくといい。いまのが聖槍だ。キミがどんなに強くなってもこの攻撃だけは克服できない。──悪魔だからね。あのヴァーリであろうとも悪魔である限り聖槍のダメージは絶対だ」
さて、どうしたものかね。
曹操が俺の反応を見て、きょとんとしている。
「……あらら、ビビんないな。もっと怖がっておもしろい様を見せてくれると想像していたんだが……」
「あ? まあ、多少怖いところもあるがビビってもいられないさ。おまえの顔に一発いれないとあとで皆に怒られそうだしな。赤龍帝やってるんだしな」
「アハハハハハッ!」
曹操が突然大笑いした。……なんだ、こいつ。さっきから表情がコロコロ変わりやがるぜ。
「いいな、それ。ヴァーリがキミを気に入る理由が少しわかった気がする。なるほど、これはいい。ヴァーリ、いいのを見つけたなぁ」
笑い声を指で拭うと──曹操は槍の先端を開かせて光の刃を作り出した!
「──やろう」
ピリッ……。
曹操からのプレッシャーが増した。ちったぁやる気になったってことか?
俺は右手を突き出し、ドラゴンショットを極大で撃ちだそうとした!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
ドンッ!
どデカい一発を曹操に放った!
「そいつを生身にもらうのはマズいか」
曹操は槍でそれを弾こうと──。俺はそれを予想していた。撃ちだした瞬間に背中のブーストを噴出させて、飛び出す!
魔力の弾を弾いたところを横殴りする!
曹操が槍で勢いよく極大のドラゴ・ショットを──両断した!真っ二つですか!まあいい!槍を振るったところに右拳を一閃!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
増大した威力のパンチで曹操に殴りかかるッ!
「パワーのなかのパワーを感じるよ!」
曹操は嬉々としながら、槍を素早く戻して俺の腕を払おうとする。いまだ! この右の一撃は大味のフェイントだ! 右拳を相手の直前で止める! 曹操の払いが空を切った。
俺は次の左の拳を突き出す! 同時に籠手の中に収納しているアスカロンに力を譲渡した!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
『Transfer!!』
アスカロンの刃を籠手から出現させ──俺はその場から飛び退いた! 飛び退き様にアスカロンから波動を繰り出す!
バシュッ!
アスカロンのオーラが曹操に向かった。
ズバァッ!
鮮血が舞う。アスカロンから放ったオーラが曹操の片腕を切り落としたのだ。
そうしたら、曹操はフェニックスの涙で片腕を治した!何やら裏ルートで金さえ払えば手に入る物だと言っているが……
フェニックス家の者はこれが俺達に回っているなんて露つゆ程も思ってないだろうとも言っている。
どうしてやろうかと考えていて──そんなときだった。
「イリナさん!」
アーシアの悲鳴交じりの叫びが聞こえてくる!
「あら?こちらはまだやってるんだ?」
ジャンヌの声がし、そこに目を向けると…血まみれのイリナを抱えていた。
「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりはやるんじゃないの?」
今度はジークフリート……六本に増えている腕に抱えているのは……木場とゼノヴィアだ。
「俺が赤龍帝とやればよかったぜ」
巨躯のヘラクレスが俺の眼前に何かを放り投げる。──それは、銀髪を血に濡らしたロスヴァイセさんだった。
『グオオオオオオッ!!』
向こうでは、ヴリトラが九尾化した八坂の九本の尾に縛られ、苦痛の声を漏らしていた。……匙までか……。
さて、どうしたものか……と考えていたそんなとき。
『───イッセー』
俺の内に語りかけてくる誰か……。
声の主は女性最強の赤龍帝と呼ばれる者───エルシャだった。
俺の神器の内部にいる先輩だ。
「この声は……エルシャさん?」
『ええ、そうよ。イッセー、今こそあなたの更なる可能性を解き放つの』
「……分かりました。どうすれば?」
俺の懐から強い光が溢れ出す。
懐から取り出された宝玉が一層強く輝き、この一帯全てを揺らす程の光量となった。そして魔方陣が現れる。
「……何だ?」
曹操たちも俺の方に顔を向ける。
『さあ、呼びましょう』
何をですか?
『あなたの力を解放するための最後のピース。───あなたの『王』を!』
……リアスを?…………………よし、やるか。
『さあ、一緒に叫んで!召喚、『王』!───と』
「召喚ッ!『王』ゥゥゥゥゥッ!」」
すると、魔方陣が輝き出した。
魔方陣の中央が一瞬の閃光に包まれた直後、魔方陣から現れたのは───。
「リアス!」
紅髪の部長こと制服姿のリアスが召喚された。
風景が変わった事に気付いたリアスは仰天し、周囲に目線を配らせる。
「な、何事!?ここは何処?ほ、本丸御殿……?きょ、京都?あ、あら、イッセーじゃないの?どうしてここにって、私がどうしてこんな所に!?しょ、召喚されたの!?え?え?」
酷く狼狽しているリアス。
俺も、曹操たち全員も呆気に取られていた……。
そしてエルシャの口からこんな言葉が俺に伝えられた。
『───キスしなさい』
「え……?」
『彼女とキスをするの』
「……キスするんですか?」
『そうよ、するの。───ちゅっ、と』
「ちゅっ、と!?いや、してどうする?」
困惑する俺などお構い無しにエルシャは続ける。
『あなたの可能性を導く新たな最後の決め手。それは彼女───リアス・グレモリーとの愛の口づけなの。
それがスイッチ───。あなたの可能性と言う名の扉を開く為のスイッチなの。リアス・グレモリーはあなたの可能性に触れ、ある意味で次のステージに進んだのよ。限界を超えた。デレデレ姫の限界を───。第二フェーズに突入したと言っても良いわ』
……いやいや、何それ?
『彼女との口づけであなたは変わる。劇的な変化を遂げるわ』
……マジか。
『あなたの中の「悪魔の駒」はあと一押しで力を解き放つ。その一押しが───』
キス───。リアスと───か。
俺はリアスのもとに歩み寄り、頭部のマスクを解除する。
「……イッセー?」
リアスは怪訝な表情で首をかしげる。
俺はそんな彼女に真っ正面から言った。
「────リアス、俺と口づけを交わしてくれ」
「───ッ!」
リアスは絶句し、少し考えた後に言う。
「……よく分からないわ。よく分からないけれど……分かったわ!あなたとのキスならいくらでもするわ!」
……すごいな、言葉が通じた!
「……じゃあいくぞ、リアス」
「ええ、来て。イッセー……」
俺は目を閉じたリアスのやわらかいぷるぷるした唇に───自分の唇を重ねる。
「んっ……ちゅっ……はぁんっ……♡」
彼女の口からトドメの艶声が……。
カッ!
リアスの全身がまばゆい閃光を放ち始める。
「こ、これは……!あ、ああああああああっ!」
リアスから放たれた輝きが疑似空間全体を桃色に照らしていき、更に極大の桃色閃光が全てを包み込んでいった……。
光が止むと、リアスはこの空間から消えていた
同様に魔方陣も消えていく。
「……あの、エルシャさん。リアスは?」
『元の場所に帰っていきました』
「この為だけに呼ばれたのか!?」
……帰ったら話をしないとな。
「……何だったんだ、あれは?」
曹操も今の現象にどう対処して良いのか分からずにいた。
そんな時、俺の全身が徐々に脈動していく。
『来たわね。さあ、行きましょうか!』
エルシャが叫ぶと俺の鎧の各部位にある宝玉から赤い閃光が溢れ出てくる。
体の内側から力強い何かが沸き上がってくる
『覇龍』のような戦慄さは一切無く、今までに感じた事も無い力の波動だった。
「ドライグ、これは────」
『ああ、俺も感じるぞ、相棒……。懐かしいものを思い出させてくれる。これは───本来の俺のオーラだ。激情に駆られ、「覇」の力に身を任せたものじゃない。呪いでも負の感情でもない。これは───俺が肉体を持っていた頃の気質だ。ただただ、白いあいつに勝ちたかった頃の───』
ドライグの楽しそうな声音が聞こえた直後、全身から迸ったオーラが俺と周囲を包み込んでいった。