ふむ、アーシアをどうにかしてやれないかね?
あの後は色々あってアーシアがお祈りしてダメージ食らった後、午後の修業に移った。アーシアがお祈りできるように出来ないものか……。
それから何日もの間、山にこもって修業をした。
途中、上手くグレイフィアさんに連絡を繋いでもらってフェニックス家の『フェニックスの涙』という回復アイテムが公式のレーティングゲームでは使われること等を教えてもらった。初心者の者をボコボコにしていい気になるカッコ悪い婿で良いのかと聞いてやったわけだが。どうも公式なレーティングゲームではチームごとに二名が所持出来るとのこと。そういったルールをどう利用していくか。
一週間が過ぎた深夜のこと。
俺が台所で水を飲んでいると……。
「あら、起きてたの?」
リビングのテーブルに部長が座っていた。
「こんばんは」
「ちょうど良かったわ、少しお話ししましょう」
俺はテーブルを挟んで部長の対面の席に腰をおろす。
赤いネグリジェ姿の部長は紅の髪を一本に束ねてメガネをかけていた。
「そのメガネは?」
「あー、これ?気分的な物よ。考え事をしているときにメガネをかけていると頭が回るの。ふふふ、人間界の暮らしが長い証拠ね」
それからフェニックスについてのことを聞く。『不死身』の特性のこと等、そして……
「ライザーを倒す方法は二つ。圧倒的な力で押し通すか、起き上がるたびに何度も何度も倒して相手の精神を潰す。身体が再生して不死身でも心、精神までは不死身じゃないわ。倒すたび確実に相手の精神は疲弊する。フェニックスの精神を押しつぶせば私たちの勝ちよ。再生も止まり、相手は倒れるわ」
…………問題は。
「……部長」 「なにかしら?」
「レーティングゲームでは過剰な攻撃による死亡は事故ということになるそうです」
「……それがどうしたの?」
「部長が皆を傷つけないために『投了』≪リザイン≫しても自分が弱かったからだと思うやつらばかりです。死にたいほどの恥にもなるかもしれませんね」
「…………だから?」 部長が目を細める。
「取り敢えずルールを決めましょう。戦闘の苦手なアーシア以外全員が倒れるまで『投了』禁止。破れば木場あたりでも重い罰を与えます。部長だって親しい人に役立たずとして扱われるのは辛いでしょう?」
「……私は…………」
情愛の深いグレモリーとしては答え辛い所もあるか。
「部長」 「…なにかしら?」
「どうして今回の縁談を拒否しているんですか?」
俺の問いに部長は嘆息する。
確かにライザーは女たらしで最低そうだが、お家の事情も考えると無下に断れないものだろう。
「……私はグレモリーなのよ」 「それは……」
「私はあくまでもグレモリー家の人間で、どこまでいってもその名が付き纏うの」
……ふむ。
「嫌なんですか?」
「誇りに感じているわ。けれど、私個人を殺しているものでもある。誰しも私のことをグレモリーのリアスと見るわ。リアス個人として認識してはもらえない。私が私として充実できるのは、この人間界にいる間だけ」
部長は遠い目をして寂しさを瞳に乗せていた。
……俺も前世では民や大陸を統治する立場でしかも力は最強ときている。他者との様々な違いに思い悩むこともあった。
「私はグレモリーを抜きとして、私を、リアスを愛してくれる人と一緒になりたいの。それが私の小さな夢」
…………ふむ…………。
「俺は別にグレモリーとかその辺どうでもいいですけどね。部長はリアスで、リアスはリアス。それだけでしょう?」
部長はそれを聞いて目を丸くする。
「正直ライザーのやつは願い下げですが。見ていて不愉快で煽ってそれで差し向けてきた『兵士』を蹴り飛ばしてやったわけだし。それはともかく俺は力を抑えてまであなたの『兵士』になったんだ。その選択に後悔はない。あなたは甘いところもあるが、己の眷属に深い情愛をもって向き合っている。そんなリアスの可愛らしい乙女の想いが聞けて嬉しいし。もう一度言います。リアスはリアス、他の誰でもない。俺はそんなあなたが好きなんですよ」
これは嘘偽りない想いだ。………………なんかリアス部長の顔真っ赤なんだけど。
「……部長?大丈夫ですか?」
聞くと部長は「……何でもないわ……」と言う。目を潤ませてるけど……。
「……部長、そろそろ寝ます。お休みなさい」
「……待って、イッセー」
ん?何ですか?そう思っていると部長は俺の頬にチュッ❤とキスをした。
「……とても嬉しくてドキドキしたわ。ありがとうイッセー、ゆっくりお休みなさい」
「……はい、お休みなさい」
……やれやれ、うちの部長は可愛らしいこと。
「イッセー、ハイブーステッド・ギアを使ってみて」
次の日、練習を始める前に部長が俺にそう言う。
………………正直、やり過ぎるのはね。怪我で済む程度に気をつけないと。
結論から言うと、やり過ぎた。木場は怪我で済んだが二回の倍加で山を軽く消し飛ばした。
ちなみに能力の増大は上限は一応あるが、許容量がとてつもなくまずそこまでする相手とやる予定もないことだ。ライザーは……策があろうとなかろうと軽くひねり潰せるわけだ。
「……イッセー。あなた本気出したら最上級悪魔にも負けないんじゃない?」
…………まあ、いいさ。
そして俺たちは決戦当日を迎えた。
俺の服装は駒王学園の学生服。アーシアがシスター服。他は皆学生服だ。
「皆さん、準備はお済みになられましたか?開始十分前です」
グレイフィアさんが確認すると皆が立ち上がった。グレイフィアさんは説明を始める。
「開始時間になりましたら、ここの魔方陣から、戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんなに派手なことをしても構いません。使い捨ての空間なので思う存分にどうぞ」
……アーシアに頼んでアレらも用意出来てるし、準備は万端。好きにやらせてもらおう。
ちなみに部長のもう一人の『
「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドフィールドでの戦闘をご覧になります」
無様はさらせないね。
「さらに魔王ルシファーさまも今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように」
……魔王がねぇ。
「お兄さまが?………そう、お兄さまが直接見られるのね」
……ん?
「部長。魔王さまがお兄さまなのですか?」
俺がそう聞くと木場が……。
「うん、部長のお兄さまは魔王さまだよ」
と答える。
先の大戦で前魔王は亡くなり悪魔は後継者が四大魔王の名を受け継いだそうだ。
「最上級悪魔として部長のお兄さんが魔王に選ばれたわけか」
「サーゼクス・ルシファー。『
…………サーゼクス・ルシファーねぇ。
だから部長が家を……。
「そろそろ時間です。皆さま、魔方陣のほうへ」
グレイフィアさんに促され俺たちは魔方陣に集結する。
「なお、一度あちらへ移動しますと終了するまで魔方陣での転移は不可能となります」
魔方陣の紋様がゲーム用?のものへと変わり、光を発した。そして俺たちを光が包み込み、転移が始まったのだった。
…………さあ、ゲーム(蹂躙)を始めようか。
次はいよいよレーティングゲームです。
場合によっては一話で決着までいきます。
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追記、イッセーのセリフを一部変更しました。
己の眷属に深い愛情をもって向き合っている。
↓
己の眷属に深い情愛をもって向き合っている。