《いやぁ、参っちまいますね。完全にあっしの負けでさ》
死神の代名詞とも言える鎌を砕かれ、堕天使たちに囲まれたあっしは手を上げて降参を示す。いやもう、これはどうしようもない。
鎌をなくし、深手こそないものの傷を負ったあっしじゃほとんど無傷の上級堕天使の男6人はちょっと……無理ですねえ。
《死神が命乞いなんて冗談にしかなりやせんし、一思いにやってほしいですね》
どうしようもない。諦めて殺されるくらいしかない。……すいませんね、旦那。あっしはどうやら此処で終わりみたいです。
しかし堕天使のリーダーらしい男は首を振った。「殺しはしない。お前を使わせてもらう」、ニヤニヤと下種な笑みを浮かべて男は言う。元天使とは思えない顔ですぜ。
《使うって……言っておきやすがあっしは人質とか取引材料とかにはなりはしませんぜ。確かにあっしは最上級死神の娘ではありやすが、それぐらいでクソ親父とハーデスさまは動きやしやせん》
と、純然たる事実を伝えるが男はまた首を振る。さらに下種な笑みを深くして「殺さないさ。お前の体を、俺達で使わせてもらう」、そしてあっしの体に手を伸ばした。
《……あんたら元は天使でしょうに。一度堕ちるとそこまで堕ちちまうもんなんですね》
堕天使の男たちと共に転移させられたのは廃墟のような、暗く薄汚れた建物の中だった。ニヤニヤと男たちが笑いながらあっしへとじりじりと近づいてくる。男の一人が「まずは仮面を剥がさせてもらおうか。そんなおどろおどろしい面じゃ、萎えちまう」あっしの仮面へと手を伸ばし、それを引き剥がした。何か特別な結界でも張ってあるのか、先ほどよりもさらに力が抜け、抵抗することも出来ずに仮面が取られてしまった。
こんな奴らに触れられるくらいなら舌でも噛み切って死んでしまいたいですが、その力も出ない。
《「意外と可愛い面じゃねえか」、ね……そりゃどうも。嬉しくて死んでしまいたくなりますぜ》
せめてもの抵抗で皮肉と共に睨みつけるが、男共から笑みが消えることはない。むしろどんどんと深まるばかりだ。……嫌だ。
別の男の手があっしのローブを剥ぎ取り、さらにその下の肌着にまで手が伸ばされる。いやだ。
でも体は動かない。抵抗できない。いやだ……っ。
《あっしみたいなロリっ娘に寄って集って、天使とか以前に大人として恥ずかしくないんですかい?》
何とか絞り出した言葉も男たちには通じない。こいつらはあっしの言葉になんて耳を傾けない。ただあっしの体を好きにすることしか考えていないんだ。
ビリっ、と容赦なく男の手があっしの服を破いた。誰かが口笛を吹いて、あっしの体を舐めまわすように視線が這い回る。気持ち悪い。
下着をつける習慣なんてないあっしはあっという間に裸へと剥かれる。旦那にしか見られたことのない、あっしの全部が男共の視線に晒される。気持ち悪い……っ。
《っ、あっ……》
せめてもの抵抗で隠していた胸と恥部の腕を外され、壁に設置されていた鉄の腕枷に繋がれ、あっしは頭の上で腕を固定され、隠すことも出来ずにただ視線に耐えることしかできなくなる。気持ち悪い……っ!
男共も下半身を露出させ、リーダーらしいさっきの男が一歩前へ出て、あっしの眼前へと汚らしいモノを近づける。顔を背け、少しでもそれから距離を取ろうとするが両手で頭を掴まれ、逃げることも出来ない。
そして――
《っ!》
男は掴んでいたあっしの頭を強引に引き寄せ、口の中に侵入しようとする。口を強く閉じ、それを拒むが男はあっしの鼻をつまむ。息が出来ない。
ならいっそこのまま窒息死してやりたいが、自分の意思に反して体は呼吸を求めてやがて口を大きく開けて酸素を取り込もうとする。
《んぶっ――!?》
……けれど勿論あっしの口に入って来たのは酸素だけではなく、汚らしい男の肉棒が突き立てられる。「このまま強引に口の中犯されるんのと、自分で奉仕すんの、どっちがいい?」男が言うが、そんなものは決まっている。あっしが奉仕なんてするのは旦那だけだ。旦那以外のものなんて見たくも触れたくもなかった。
《んぐっ、うぶっ、ぐっ、ごぷっ……!》
無理矢理に、自分勝手に、強引に、男はあっしの口を犯す。いやだ。きもちわるい。だんな……っ。
あっしは目を瞑り、ただ旦那のことを思い出す。旦那は無事ですよね。こいつらはあっしの事を狙っただけで、旦那は何にもされてないんですよね。
《んごっ、うぐっ、ごぽっ、んぐぅ!》
けれど乱暴に突き入れられる男の肉棒のせいで思い描いた旦那すらも消えていく。くるしい、くるしいですよ、だんな……。
《はぐっ、んぎっ、ごぷっ!》
口は汚らしい肉棒が出入りする音と汚らしいあっしの悲鳴のような音だけを響かせる。
そしてそれを繰り返す内に、肉棒に変化があった。知ってる、この動きは……出されるっ。
《ぐっ――んぐぅ!?》
最後に一際大きく腰を引き、一気に喉の奥へと突き刺し、一番奥で男は果てた。喉の奥で震えているのが嫌でも伝わって来る。直接食道に男の欲望が吐き出されているのが分かる。
《う……ぐっ、げほっ! ごほっごほっ!》
ゆっくりと肉棒が引き抜かれ、完全に口から離れた瞬間、すぐに咳き込んだ。息苦しさから解放されたことと、出された汚い液体を少しでも吐き出したかったからだ。でも無駄だ。食道に排泄された液体はすでに胃に到達し、あっしの体に溜まっている。それがどうしようもなく気持ち悪かった。
咳き込むあっしの上で、リーダーの男が他の男たちに何かを伝えている。どうせ次はそいつらにあっしを犯させるんでしょうが。
《この下種野郎……!》
もうあっしは普段の口調も忘れ、怨みを込めてそう吐き捨てた。
リーダーの男は下がり、部屋の隅に用意されていた椅子に座って愉しげに此方を眺めている。今度は見て愉しむ腹か、クソ天使め。
新しく男が二人、あっしを挟むように壁際に立った。そしてもう一人があっしの目の前に。口の次は性器ですか。そうやってお前たちは旦那の為の場所を全部上書きして汚していくのか。
《えっ……?》
壁際の男二人が片足ずつを持って、あっしの体を持ち上げた。でも違う。ほんの少しだけど持ち上げる角度が高い。それじゃあまるで――
《あ、ぎぃ――!?》
あっしが想像してしまった通り、あっしの目の前に立った男は持ち上げられ、良く見えるように掲げられたあっしの尻穴へと肉棒を突っ込んだ。
そこはっ、そこは旦那も触れたことのない場所なのに――! こんな、こんな下種に……!
痛みよりも怨みだけがあっしを襲う。
《殺してやる……お前ら全員その粗末なものを狩り取ってから冥府に送ってやる……!》
リーダーの男を睨み付け、あっしは低い声で告げる。だけど男は気にした風もなく、待機していた男二人に何かを伝えていた。けどその二人の下卑た表情からして碌なことじゃない。次こそ性器か、それとも両方同時か、それとも目でも潰してみるのか。何をしようといい、最後には全員殺してやる。
足を持ち上げている男たちが自由な手を使って今度はあっしの胸を乱暴に掴んだ。尻穴を犯す男が立ち位置を変えたせいでリーダーや残りの男たちが視界から消える。あいつらを見ているのも嫌だが、こんな奴の胸板を見るというのも屈辱だ。
《下手糞が触らないでほしいんですがね……》
苦痛の声や表情が男共を喜ばせるだけだと理解した私は冷たい声で男共に告げる。「うるせえ口だが、もうすぐ塞がるんだから何とでも言っていいぜ」乱暴な責めを続けながら男が言う。
《うっ、くっ……》
胸だけでなく尻穴を犯す男も最初から手加減などなく乱雑に、力任せに腰を動かしてあっしを犯す。
《っ、そんな必死に腰振って、カラスどころか豚みたいですぜ?》
男は馬鹿にしたような声で「豚はお前だよ、雌豚」なんて何の捻りもない罵倒をあっしに向ける。
《体の責めもヘタなら言葉責めもひっどいですねえ。旦那ならもっとうまく、やりますぜ》
そうだ。旦那ならもっとずっとあっしを気持ち良くしてくれた。幸せにしてくれた。
いつまでこいつらがあっしを犯すのか知らないが、こんな苦痛しか感じない責めではあっしは屈しない。
あっしはただこいつらへの恨みと憎悪を高めて期が来るのを待てばいい。
《あっ、ぐっ……ぅ!》
執拗に乳首を責める男共に耐えていても苦痛の声が漏れてしまう。この下手糞。
旦那ならこんな責めはしない。もっと優しく、包み込むような愛撫だ。こんなんじゃ何時間犯されようと気持ち良くなんかなりやしない。
《くっ……ほら、どうしたんですかい? 息が上がってやすぜ》
豚のように息を荒げて腰を振る男にそう言ってやるとムキになってさらに激しく腰を振り始めた。下手糞。痛いだけだ。
旦那が望むならいつかこっちの方も使ってもらうのも良いと思ってたのに、こんな奴らに旦那よりも先に……許せない。
腰を打ち付ける男も限界が近いことが動きから分かる。本当にただ痛いだけだ。
《ずいぶんと酷い面じゃないですかい。下手糞な上に早漏とは救いようがないですねえ。ひょっとして堕天の理由もあんまりに早撃ち過ぎたからとかですかい?》
あっしの言葉が聞こえていないのか、男は荒い息と共にあっしの腸内に欲望を吐き出した。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い……っ。
《うっ……んっ、くっ……!》
感じたことのない感覚に声が漏れるが、それも噛み殺し、表情を無表情に保つ。
「次は俺たちだな」
あっしを床に下ろし、二人の男が言った。残り4人……どうせ一度で満足なんてしないのは分かってる。けど2,3回も輪姦せばこいつらもとりあえずは満足するはずだ。そうなればどうにか隙を見て――「けどその前に」――え?
床に下ろされたことで尻穴から肉棒が抜け、入れていた男が横にずれたことで後ろで待機していた男たちの姿が再び見えるようになる。
その男たちが何かを手に持っている――あれは、あっしの仮面だ。
でも持ち方がおかしい。まるで仮面を器のようにして、掴むのではなく仮面の表面を下にし、それを支えるように掌に乗せている。まるで中に入ったものを零さないような持ち方。
それを持った男がゆっくりと近づいてくる。そしてあっしの前で膝を床に着け、あっしの目線の高さに合わせた。
それによって仮面の中に入っていたものが見えた。まさか。
《ひ――っ》
そのおぞましいモノを見て、あっしはしゃくりあげるような悲鳴を上げた。
仮面を器に見立て、その中に注がれていたのは白い、白濁とした液体。ドロリとしたそれは、今あっしの胃に溜まっているものと同じ、尻から溢れているものと同じモノ――。まさか。
「その仮面は萎えちまいそうだが、うるせえ口は塞がねえとなあ?」
男たちの笑い声が聞こえる。壁に設置されていた手枷がジャラリと音を立てて鎖が伸び、あっしは床へと仰向けに押し倒される。やめて。
そして目の前の男は仮面に入ったソレを零さないようにゆっくりとあっしの顔の真上まで持ち上げた。い、やだ。
《や、やめ――》
あっしの震える唇は最後まで言葉を紡ぐことが出来ず、視界と共に白く汚され――。
◇◆◇◆
バシンッ! と旦那が本を乱暴に閉じた。
《どうしたんですかい? 旦那らしくもない乱暴な音を立てて》
ソファに寝っ転がり、あっしは対面に座っていた旦那を見る。その顔は赤く染まっていた。
《「なにこれ」って……あっしが執筆した官能小説ですぜ。タイトルはまだ未定ですが……そうですね、【堕天使の狂宴~死神少女の仮面は白濁に染まる~】なんてどうでしょう?》
羞恥からかそれとも怒りからか旦那はぷるぷると震えている。
《勿論フィクションですぜ? 心配しなくとも大丈夫でありますよ》
「そういうことじゃない」と旦那は低い声で言う。あ、これは怒ってる声ですね。
《ほら旦那って奥手じゃないですか。だからこうしてあっしが所望するプレイを文にしてみたんでさ。それを参考に今夜はハッスルしやしょうぜ?》
飄々とそんなことを言ってはみますが、正直顔がニヤケそうでさ。だって旦那が嫉妬してるんですぜ? あっしが書いた文の中の人物に。
そりゃ嬉しくてたまらないって話ですよ。
けどあんまり意地悪すると旦那も本気で怒りそうですね。本気で怒らすと大変ですからねえ、いやあっしも旦那に無視されるのは辛いものがあるんでありますよ。
《大丈夫ですって。あっしは旦那以外にそんなことはされやしません。あっしの実力は大したことありませんが、あっし自身と旦那を守るぐらいの力はありますぜ。いや、守ってみせます》
あっしの鎌に誓いやしょう。あっしは旦那が望むなら最強の死神でも何にでもなってみせやすから。
だから旦那は心配しないでください。危ないこともしないでください。ただあっしを待っててくださいよ。
旦那が待っててくれるんなら、あっしは必ず旦那の所に帰って来ますから。
立ち上がり、ポフ、と音を立てて俯く旦那の膝の上に座って背中を旦那の胸に預ける。
《大好きですぜ、旦那》