《……どうです旦那、見えますかい?》
旦那の部屋、ベッドの上。
ベッドヘッドに背を預けるように手足を後ろ手に縛られ、布で猿轡をされた旦那が座っている。
そこから少し離れ、ベッドの真ん中であっしは胡坐をかいて座り込んでいる。
《ほら、もう少し頭を下げれば見えそうな角度ですぜ?》
あっしの言葉に旦那は「んー! んー!」と抗議の声を上げてるようで、猿轡を外そうと首を振るばかりで頭を下げようとはしない。まあこの状況ですぐに下げられたらあっしもちょいと引いちゃいますが。
状況をもう少し詳しく説明するなら、旦那の格好は下着だけ。あっしはローブを脱いだ、いつものチャイナ風の肌着だけ。あ、文字通り肌着だけですぜ? あっしは下着は身に着けない主義なんで。だから少し角度を工夫すればスリットの隙間から色々と丸見えなんでさ。まあ旦那は見ようともしていませんが。
《それにじっと目を凝らせば色が薄いから、透けて見えるかもしれやせんね》
旦那は相変わらず唸るだけであっしの言葉を聞いているのかいないのか。やれやれ、もう少しおっぱいドラゴンの旦那みたいに欲望に正直になってほしいもんでさ。
《まあ、汗をかけば嫌でも透けちまいますが》
涼しくなってきたとはいえ、まだ暖房を入れるには早い時期ですからねえ。このままだとすぐに暖まって、汗でじっとりと濡れる。そしたら完全に透けちまいやす。
さてさて、何であっしが旦那を縛ってこんなことをしているのか、まあ別に理由は大したもんでもないんですが。
たまには旦那に襲われたいんでさ。いつもあっしから誘ってますからねえ。誘えば旦那も断らないんですけど、どうにも旦那は優しすぎる。あっしら死神は激しいのが好きだったりするんで。あ、他の死神に聞いてどうなっても責任は持ちませんぜ、あっしが勝手に言ってるだけですから。あっしの性癖という可能性もあるのであしからず、ってことで。
《それに旦那だって気になるでしょう? いっつもあっしに言ってますもんね。「見えそうだから下着を穿いて」って。でも本当は気になって気になって仕方ないんでしょう? スリットに手を突っ込んで捲し上げて、そのまま突っ込んでみたかったじゃないんですか?》
やっぱり首を振るばかりの旦那。強情ですねえ。
《旦那のは正直なのに。そうやって見ないようにしてても、旦那のは想像だけで大きくなってますぜ》
旦那の下着は持ち上がり、旦那の肉棒の形が浮き上がっている。まだ全開ではないですが、もし直接あっしのを見たらきっと下着から飛び出すぐらいに大きくしてくれるんでしょうね。楽しみですぜ。
《けど旦那が見たくないってんなら、じゃあ見ないようにしやしょうか》
あっしは立ち上がり、ベッドの脇に置いておいたあっしの仮面を手に取る。いつも被ってるあの髑髏の仮面。
こいつをちょいと下にずらして旦那に被せてっと。
《ほら、これで何にも見えないでしょう?》
これで旦那の目は塞がって、あっしからも旦那の額ぐらいしか見えなくなる。……しかし自分の仮面とはいえ、男が下着一枚で髑髏の仮面を被るって、かなり危ない格好ですよねえ。写真を撮って、後で旦那に見せましょうかね。
《……ふー》
少し間を空けてから視界を塞がれた旦那の耳に息を吹きかける。気配を消すのは得意なんで、旦那からしてみれば何処からどんなことをされるのか全く分からない。いいですね、次の機会ではあっしがそうされる側に回るとしやしょう。気配に敏感だから旦那がどう責めてくるかは分かっちまいやすが、それでもそういうシチュは燃えそうですぜ。
急に耳に息を吹きかけられた旦那は面白いようにビクッと肩を震わせた。ゾクゾクするでしょう? あっしは耳を責められるのが好きなんで、よーく分かりやす。
《……ん、ちゅ……じゅる》
だからこうして耳を舐められたりすると、たまらないってのも分かるんですぜ? 自分では絶対に出来ないですからね。耳を舐めるなんてのは。
じっくりと耳をなぞるように、それも音をわざと立てて舌を這わせる。ほら、またビクビクしてる。
息遣いも荒くなってやすねえ。仮面の中は旦那の息が籠って蒸れているだろう。いいですぜ、もっと興奮してください。そうやって旦那の興奮した息が染み込んだ仮面をあっしが後で被るんでさ。旦那の匂いがついて、湿って、そんな仮面を被る。きっとすごい興奮しちまいやすぜ。
だからほら、もっと興奮してくださいよ。
ほら今度は反対の耳。
《じゅる……じゅるるっ》
今度は吹きかけるんじゃなく、吸ってみる。また違ってくすぐったさでしょう? でもくすぐったいだけじゃなく、普段感じることのない快感のはずですぜ。あっしは知ってる。だってあっしが旦那にしてもらったことですもんね。あっしの気持ちいいを、旦那にも知ってもらいたいんでさ。
あっしは旦那にこういう風に気持ち良くして貰ったって、知ってほしいんでさ。
そしたら今度はもっと気持ち良くしてくれやすもんね。
旦那はあっしが口ですると、申し訳なさそうにしますけど、あっしは嫌じゃないんですぜ? だって旦那が気持ち良くなるのがあっしは嬉しいですし、旦那は気持ち良くなればその分、あっしも気持ちよくしてくれますもんね。だからどんどん気持ち良くなってくださいよ。
ほら、次は周りじゃなく、耳の中も気持ちよくしてあげますぜ。
《……ちゅ、ずっ、じゅるる!》
あは。旦那、すごいビクビクしてる。分かりますぜ、気持ちいいんですよね? まるで頭の中を犯されているみたいで、水音が頭の中に響いて、興奮しちゃいますよね?
《ん、はぁっ……ねえ旦那、気持ちいいですか?》
一度耳から口を離し、耳元で囁く。同時に指を太腿に這わせ、じっくりと上に向かってなぞっていく。
《気持ちいいですよね。だって旦那の、すごい大きくなってますもんね。下着を穿いてても分かりやすぜ。旦那の匂い、どんどん強くなっていくの》
反対側の耳に向かって囁き、指は脇腹を通って脇へ。あはは、また震えた。
今度は肩をゆっくりと上って、首元。鎖骨をなぞる。
《ねえ旦那、下だけじゃないですぜ?》
さらに上がって旦那の喉仏で円を描き、そこから今度は真下にゆっくりと下がっていく。
ちょうど乳首の高さで止まり、とん、とん、と胸を焦らすようにつつく。
《おっぱいドラゴンの旦那に聞いたんですが、胸が小さい娘は感度が良いらしいですぜ。あっしの胸でも気持ちいいなら、旦那の胸はどれだけ気持ちいいんですかねえ?》
指の腹を離して、爪先を左右にゆっくりと動かす。旦那の荒い息遣いがあっしの耳に届く。でも旦那、あっしの息も荒くなってるのも、聞こえますよね。それとも興奮しちゃってそれどころじゃないですか?
《ほら。右が良いですか? それとも左ですかい?》
爪先で∞を描くように乳首の周りをなぞっていく。たまらないですよね? 焦らさないで責めてほしいですよね? 分かりやすぜ? だってあっしも旦那にしてもらいましたもんね。あっしの時、旦那はあっしの顔を見て、「切なそうな顔だね」なんて笑って言って、「可愛い」なんて言いながらキスしてくれましたけど、今は旦那の顔が見えないんでさ。旦那も切なくて、可愛い顔をしてるんですかね? してるんですよね。だってこんなに息を荒くしてるんですもんね。
《それともやっぱり下の方がいいですかねえ?》
乳首には触れず、爪先は下へ。ヘソをくるくると回る。下着の端をつまんでみたり。あは、少し下着を持ち上げただけなのに、旦那の肉棒の熱さが伝わってきましたぜ?
《でも旦那は優しくて、気が長いですからね。まだまだじっくりといきますぜ?》
部屋が暖まったことと興奮からしっとりと汗で濡れた旦那の体をまた指が這い始める。下着の線をなぞるように腰を横に回って、あっしとは反対の脇腹へ。脇腹を少し上がって、またこっちの脇腹へ。
ほら、また上がる。期待しちゃいますよね? じっくりといく、って言われたのに、体は期待しちゃうんですよね。乳首に触れてほしくて、体が震えてますよ。
《……あは、旦那、すごく汗かいてますぜ》
一気に汗の量が増え、旦那の体はじっとりと湿っていた。
《熱いですよね。仮面のせいで息苦しいですよね。……そうだ、窓を開けましょう。きっと風が気持ちいいですぜ》
あっしが立ち上がり、窓に手を伸ばすとギシッとベッドのスプリングが音を立てる。窓を開ければ心地よい風が肌を撫でた。冥界とは違う、人間界の風。
《仮面はそのままで……せめて猿轡だけは外しましょうか。息が辛くて、ボーっとしちゃいますもんね》
仮面を上にずらし、視界は塞いだままで猿轡になっている布に手を掛ける。外す前にまた耳元に口を近づけて、一言だけ。
《でも旦那、窓が開いてるから大声でおねだりも出来ませんぜ?》
そして猿轡を外し、旦那が何かを言おうと口を開いた瞬間、あっしは唇を重ねた。
《ちゅ、じゅる……ん、ちゅ、じゅるるっ、じゅっ、んくっ》
今まで焦らす動きをしていた指とは裏腹に、激しい口づけ。猿轡をされたせいで溜まっていた唾液で旦那の口の中はいつも以上にドロドロとしていた。それを舐めとるように舌を動かし、旦那の唾液とあっしの唾液が混ざり合う。
キスをしながら指もまた動き始める。けど指はまた焦らす動きのまま。
旦那、焦らされてたから激しいキスは気持ちいいでしょう? でもキスだけじゃ満足できなくて、体はもっと期待に固くなっちゃいますよね。でもまだですぜ。まだ肝心な所には触れません。
《んっ、むっ……ぷはっ》
旦那の口の中を堪能し、唇を離す。唾液が唇を繋いでいる。それがゆっくりと旦那の肌へ落ちていく。
旦那が酸素を求めた荒く呼吸を繰り返す。切なさに体を震わせながら。
《ほら旦那、どうします?》
肩に身を寄せ、耳元で囁く。あっしが触れる度、旦那はビクリと震える。
《あっしもそろそろ我慢できないんですよ。だからこのまま、外には聞こえないように声を抑えて気持ち良くなりますか?》
一度言葉を切り、息を耳に吹きかける。旦那の体がゾクゾクと震えている。
《それとも――窓を閉めて、この閉め切った部屋で大声で気持ち良くなりやすか? 誰にも邪魔されないで、誰の目も気にしないで、あっしと気持ちいいこと、しましょうか?》
荒い息のまま、旦那は短く、切なげに「……ベン、ニーアっ」あっしの名前を呼んだ。それだけで十分だった。
すぐに窓を閉めて、ベッドヘッドに体を預けていた旦那をベッドへと押し倒す。
《んっ、じゅるる! ちゅる、んっ、じゅっ》
もう焦らさない。旦那に跨り、まずは乳首を口に含んで、舌で転がす。反対側は指でつまんで、くりくりと責める。あっしが気持ち良かったように、旦那にも同じようにしてあげる。旦那は可愛らしい喘ぎ声を上げた。
それが一層あっしの責めを激しくさせる。もっと聞きたい、もっと、もっと気持ち良くしてあげたい。
《あっ、はぁっ、はぁっ……旦那、もう焦らしたりしませんぜ。激しく、ぐっちゃぐちゃになるくらい、絡み合いましょう》
旦那は無我夢中といった様子で「うんっ……うんっ」と頷く。だから旦那、そういうのがあっしを興奮させちゃうんでさ。
下着を一気に下ろし、完全に大きくなったそれを一切の躊躇いも間もなく口に咥える。
《ふぁんなっ、ふぁんな……っ!》
旦那を呼びながら、激しく首を振って旦那の味を確かめる。既にべちょべちょに濡れた旦那の肉棒はあっしの唾液と混ざりながらあっしの口をいっぱいにしてくれる。
あっしももう我慢できませんよ。
数度の出し入れをして、すぐにあっしは口から抜いて、旦那の肉棒を入れるべき場所へと宛がう。
ね、旦那、分かったでしょう? あっしは下着を穿いてないから、いつでも旦那が望む時にすぐ出来るんですぜ?
《んっ――――くっ、あぁっ!》
あっしの旦那の喘ぎ声が重なり、閉め切られた部屋に響いた。
旦那、今日は徹底的にあっしが責めてあげますね。
だから明日は、旦那があっしを責めてくださいね? 今日よりももっとじっくり、激しく。
あっしが旦那みたいに懇願するくらい。
もっと、二人で気持ち良くなりやしょうね?
PCの奥底から発掘した過去作なので続きません。