初めましてハレル家です。
初のR18小説ですので不定期ですが、ボチボチ頑張りたいと思います。
最初のタイトル没案は『アニヲタ、推しサバと旅するってよ』です。
前略。
お父さんお母さん元気でしょうか? 喧嘩しすぎて離婚とかしてないでしょうか?
あなた達の子供である
単身で飛び込み、社会の荒波に飲まれながらも必死で泳ぎながら溺れないように頑張っています……最初は頑張って働いてもお金が貯まりませんでしたが、最近になって昇給したので少しずつ貯まっています。
ただ、一つの悩みと言えば、親しい友人がいない事ですね……趣味を語ろうにも職場に同じ趣味を持った人がいないので自慢したり雑談できなくて残念です……恋愛に関しても出会いが無くて孫の顔を見せるのはまだまだ先になりそうです。
さて、なぜ俺がこんな
「あっぶな!? かすった! ギリギリかすった!!」
現在進行形で宙に浮いている本に、襲われています。
詳しく説明すると二時間前に遡る……一人暮らし故に本館と別館の二つに別れている珍しいタイプのデパートで日用品を買いに来た俺は余った時間を利用して各フロアのお店をひやか……ウィンドショッピングをしている最中に大きな揺れが発生した。最初は地震かと思ったが、次の瞬間に悲鳴が響き渡った。
驚きで振り返った先にいたのは宙を浮く本――スペルブックだった。何故FGOのエネミーキャラがいるのかわからなかったが、その近くで倒れている顔面が陥没した男性の死体を見てアレは殺す気だと察した。
幸いにも距離は遠く、気付かれる前に離れようと動こうとした瞬間にバサバサ、という本が開く音が後ろから聞こえた。
スペルブックが複数いた事に固まり、近くにあった消火器を手にとって振り返るとスペルブックが三冊も浮いていた。
正確にはジャ●プ、サ●デー、マガ●ンの有名な少年漫画の週刊誌が浮いていた。
「…………」
……いや、確かに少年達にとっては心踊る物語が描かれた魔法のような本だけど……
予想外の登場に呆然としていたらバシュン、という音ともに何かが放出され、持っていた消火器の下半分を消し飛ばした。
持っている武器が無駄になり、素早く地面に落ちた消火器の粉を拾って三冊のスペルブックに向かって投げ、全力疾走による逃走。スペルブックも俺の後を攻撃しながら追いかけ、現在に至る。
「マジでふざけんなコノヤロー! 俺を追いかけるなら、少年達の夢を追いかけろよ!!」
自分でもよくわからない言葉を言いながら必死で逃げていると、本館と別館をつなぐ橋の辺りで突然スペルブック達の動きが止まった。
「……あ? なんだ?」
それだけじゃなく、まるで遊びに飽きたかのように来た道を引き返して本館に戻っていった。
「どうなってやがんだ一体……?」
突然の行動に首を傾げながら、橋から外の様子を覗いた。
そこは、一言で『地獄』だった。
ある者は剣を持った骸骨に斬り殺され、
ある者はドラゴンに似た生物に噛み殺され、
ある者は上半身が人で下半身が蛇の生物に絞め殺され、
ある者はロボットの機関銃で文字通り全身を蜂の巣にされていた。
「……オヴェ!」
気持ち悪い吐き気に襲われ、吐いてしまった。幸いにも胃液しか出なかったが、本当の意味でこの世界が壊れてしまったと理解してしまった。
……親父は無事か? お袋も無事か? そもそも生きて出られるのか? この世界に安全な場所なんてあるのか?
「……どのみち、ここから出る事を考えないとな」
疑問が頭に埋めつくしながら、これからの事を考えようと思考を切り替えようとした瞬間、自身の視界が反転した。
「……え……? ……ッ!? ア"ア"ア"ア"!!」
本館の橋の出入口まで吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた事で攻撃された事に気付き、激痛に悶える。方角的に別館からだと判断した俺は目を向けると、その攻撃の主が現れた。
「……デーモン……!」
青い肌に蝙蝠のような翼、鋭い爪や角に悪魔のような姿をした化物が口から赤い液体がよだれのように滴りながらゆっくりとこちらに近付いて来る。
その姿を見て、二つほど俺は気付いた。
一つ目はスペルブックが逃げた理由……あれは諦めたのではなく、俺がデーモンがいるエリアに入ろうとしたから逃げたんだと。
二つ目は
「……」
その時に身体の奥底から溢れだしたのは助からない絶望でも、かといって理不尽に対する憤怒でもない……込み上げた感情に口角を上げ、立ち上がる。
「……簡単には死ねない……せめて、足掻いてお前を道連れにしてやる」
自身の口から喧嘩口調の言葉が出た事に笑うと同時にゆっくりと近付いて来たデーモンが速度を上げて鋭い爪を振りかぶる。その様子を俺はただ見つめ、そのまま――
「あなたには高さが足りまセーン!」
――上から降ってきた何者かがデーモンの頭を両手で掴み、そのまま押し倒すようにデーモンの頭部を地面に叩きつけた。
「……え?」
叩きつけられたデーモンの頭部はそのまま地面にクモの巣状のヒビを作り、スイカ割りのスイカのように破裂した。
しかし、俺の思考は別の所に向いていた。成人男性が五人がかりでも殺せるか怪しいデーモンをたった一人の女性が赤子の手を捻るかのように殺した事よりも、俺はその女性に釘付けだった。
ポンチョのような南米の服に一目で高身長だとわかる体格、日の光に反射して金色に輝く金髪に何かしらの絵が描かれた盾と棍棒に黒曜石の刃を埋め込んだオールにもノコギリにも見える武器……そして何より、輝く星のような翠の瞳をしたラテン系の女性が俺を見ていた。
だが、俺の中では助かった事よりも疑問で溢れていた。
理由は一つ。
そう考えていると右手に焼き印を押されたような痛みが現れ、咄嗟に押さえる。痛みが引いていくと手の甲に何かの紋章が描かれており、それは俺が見慣れたモノでサーヴァントと契約を結ぶ事で現れる令呪だった……それが意味する事は……
令呪を見てた俺の様子を察したラテン系の女性は少し微笑み、太陽のような明るい笑顔で自己紹介した。
「ハーイ! 女神ケツァル・コアトル、出番と聞いて駆け付けたわ! フフッ、背の高いお姉さんは嫌いかしら?」
そう。目の前にいるラテン系の女性はケツァル・コアトル。
ソシャゲであるFGOで俺が愛用している推しのサーヴァントが目の前にいた。
画面にいるハズの彼女が、ここに現れた。
……R18 なのにエロがないのはこれいかに……
~おまけの備忘録~
【
この物語の主人公。
名前の由来はFGOの主人公の国籍と名前の『弘太』を別で読むと『
夢を追いかけて関西から飛び出した男性。そこから五年間はブラック企業や安月給の会社、詐欺やクズみたいな同僚等々社会の荒波に飲まれながらも足掻く感情表現豊かなお人好し。
FGOに関しては論理系脳筋プレイヤー。
刑部姫が弱い? ハンギングガーデンオブキャメロット姫路城の恐ろしさを知らねぇのか?
ジャガーマン星3乙? ヤツは星5と喧嘩できるスペックだ。
全てのサーヴァントが強いと思っているが扱いきれず、スター生産からのクリティカル連打という脳筋プレイが基本戦法となった。
【ケツァル・コアトル】
主人公に召還されたアステカ神話の神様系サーヴァント。ラテン系と言うべき陽気な性格で人間とルチャとお酒が大好きで主人公にデレデレだが、時として飴と鞭の差が激しい。愛情が深く激しく……オリベェが言っていた言葉は間違ってなかった……
だが、悔いはない!! 悔いはない!!
余談だが、作者はこの人物の喋り方がいまだに慣れていない。
【カーフ・ブランディング】
ケツァル・コアトルがデーモンの頭部を爆発四散させたプロレス技の一種で日本名は『仔牛の焼印押し』。
本来ならコーナーにもたれ掛かっている相手に対してトップロープに登り、相手の頭を自分の両手で掴み、相手の後頭部に自分の右膝を押し付ける。その状態のまま前に飛び、相手の頭・顔からマットに叩きつける技。
とある有名人曰く『プロレスで最も難易度の高い技』であり、某超人レスリング漫画ではテリーマンとその息子テリー・ザ・キッドの得意技でもある。
なお、余談だが作者はバッファローマンが好き。