崩壊世界で押しCPと家族になった 作:夢@実験中
世間では色々起こっているようですが今後も本作は書き上がり次第の平常運行マイペース。好き放題崩壊世界に謎要素を不法投棄していこうと思いますのでよろしくお願いします。
さて今回は難産だったこともあり変化球の予定でしたが幕間のようでそうでないようで。話を進める前の伏線蒔いたり蒔かなかったりする奴かもしれないしただいちゃいちゃしたいだけかもしれないお話です。
割と突貫工事のようなモチベとかの関係で見直しが甘いかもしれないようながあるかもしれないので誤字報告とかがあればよろしくお願いします。
終盤、少し三人称っぽい視点になります。それではどうぞ。
大きめのベッドで目を覚ました俺の隣には、はくのん先輩がすーすーと可愛いらしい寝顔で眠っている。
起こさないように毛布を少しめくれば、両者共に衣服の類いを何も身に付けていないことがわかる。
更にははくのん先輩は両の手脚をがっちりと俺の身体に巻き付けており、このままでは俺は起き上がることができない。
全力で盛り上がった初夜は、体力がそこまで持たない俺も夜通し行うために臨床実験も兼ねて薬も次々投入され、最後の方は軽く暴走状態になっていたらしい。……まぁ、それでも元が限りなくクソ雑魚だから一回か二回で逆転され、そこからははくのん先輩に組伏せられて絞られていたらしいのだが。一方のキシナミ先輩はBBちゃんをずっと鳴かせていた。やっぱ本場の主人公はすげぇと思う。
その後やはり急な無理ができるほど体ができていない俺が二日くらい動けなくなって謝られたりはくのん先輩にお世話されたりとかあったが……まぁ今はその反省も踏まえて普通にいちゃいちゃしている。
例えばこうしてえっち無しでもお互いを抱き枕のようにして一緒のベッドで寝たり。こういうのも、なんか恋人や夫婦っぽくていい感じがする。はくのん先輩にも好評だし、BBちゃんにも是非キシナミ先輩とやって欲しいと推してきた。キシナミ先輩も乗り気だし、あと一息だと思う。
……ところでこういうシチュエーションを経験してみて思ったのだが、所謂『朝チュン』について思うんだけど、世界が崩壊していて以前のような鳥類がまだ現存しているか怪しいってか雀の鳴き声聞こえないんだけど『朝チュン』のままでいいんだろうか。
てか一瞬雀の存在しない世界で類似した意味の言葉があったりするのだろうか、あるとしたらどんなものなのだろうかと考えたが、それは異世界移動系の出来事が始まってからの今度にしようと置いておくことにした。
よくよく考えてみたら実装もされてるからどうせ誰かが雀呼び出してるだろうし。
そんなことを考えている間に、はくのん先輩も起きたらしく、ゆっくりと身動ぎをしていた。とりあえず寝惚け眼で俺の顔を確認して嬉しそうにする姿が可愛い。後でBBちゃんにも共有すれば絶対に喜ぶと確信できる可愛さだ。
「────?」
「おはようございます、先輩」
「おはよ」
なんの変哲もないやりとりと、先輩のへにゃっとした微笑みに心が暖かくなりたまらず抱き締めてしまう。
俺とは一回りほどの体格差がある小柄な身体。それと同時に、俺にとってはその勇姿に憧れて何年も追い続けた遥かに遠い理想の1つであった背中でもある。
そして、そんな大好きな相手の直接肌が触れる感触と、首筋を始めとした全身に確認できる『朱い跡』に、彼女を既に幾度も『抱いた』記憶も呼び起こされ、起きたばかりであらば発生する生理現象も相まって。下半身はしっかりと反応してしまい、その事実は抱き締められている先輩にもしっかりと把握されてしまっていた。
「……シたいの?」
「いえ……どっちかと言えば、今はもう少し、こうしていて落ち着きたい気分というか……あ、勿論──」
不快だったり他に望みがあるのであれば貴女を優先します。そう言おうとする前に、はくのん先輩の方からぎゅっと抱きしめ返してきて、俺の言葉を遮る。
「えへへ、私も。あなたとこうしていると、全身であなたを感じられて嬉しい。えっちなのもいいけど、こうしてただあなたと一緒に過ごすのも私は好き」
あ~~~~っ、もう~~~っ、貴女はさぁ~~~~(語彙消失)
「好きです」
「私も」
その後もずっと布団の中でただただ抱き締め合い、結局互いにムラムラしてしまい抜き始め……起こしにきたBBちゃんが現場を目撃して顔を真っ赤にしてしまうのが約一時間後。
世界が崩壊してから、一週間。
相も変わらず世界が大変なことになっているのは事実なのだが。
俺に限って言えば、こんな風に崩壊する前より穏やかな朝を迎えるのが恒例になっていた。
さて、初日の夜から濃厚なグループえっちで始まった崩壊世界ライフであったが、それから我々が何をしていたのか。
今回はそんなを日常をダイジェスト的にお送りするところから始まりたいと思う。
「俺以外は日中東京の方に出てる間に崩壊が始まったらしいんだけど、それぞれ向こうで人を囲えるだけの力のあるところに入り込めたみたいで当面は大丈夫そうだって。こっちのことについてはサーヴァントやそれに類するものの存在は報道されてるから、真名は伏せるけどウチにもそういうのが来てくれて助けてもらってるから家ごと無事って言っておきました!」
「あなたの家族、かぁ……いずれはご挨拶しないとね」
「彼がはくのんと結婚した以上、自分たちとも親族になるんだ。生きている限り筋は通さないとな」
BBちゃんのお陰で通信機器も問題なく使えたので家族と連絡を取って互いの無事を確認し、落ち着いたら会いに行こうと計画を立てたり。
「はい先輩、あーんしてください」
「あーむ。ん、おいしい」
「でしょう?これもBBちゃんの指導の賜物ですよ、ほら、BBちゃんもあーんやって、この俺すらできることができないわけないでしょ?」
「で、できますよ!?できますけど!?できますけど少し待ってくださいまだセンパイとこうして平和な日常を過ごせるという事態に対する心の準備とかがまだ──むぐ」
「これ、自分の作った分なんだけど、うまくできてるかな」
「~~~~~っ、めちゃくちゃ美味しいです」(感涙)
お互いの結び付きを強くする為という名目で皆でいちゃいちゃしたり。
「崩壊前の地図情報、道路や建物が破壊されて細かい道は変わってるけど大まかな参考にはなるね」
「それをBBが集めてきた現在情報とすり合わせてと……これだとこっちの
方角の情報が知りたいかな」
「ではシェイプシフターの次の派遣先はこちらの方にしますね」
シェイプシフターが集めてきた周辺の情報や改めて確認したメンバーそれぞれの性能を元にリソース集めの探索ルートの計画を練ったり。
「あらヤダ、あちきに歌で勝とうだなんて小生意気なトカゲちゃんだコト、そのビンビンにそり立った態度とモノ、んもぅバッキバキにへし折ってあげるわ!!」
「それはこっちのセリフよ子ザル!ブタどもがアタシたちの新曲に夢中になってる横で寂しく悔し泣きすればいいわ!」
「ええぃくそっ!奴らを動かすには俺もこの布袋の仮面を被って歌うしかねぇ!逝くぞーーーっ!!」
「BB避難誘導急いで!(恐らく無意味だとは思うけれど)彼の犠牲を無駄にしてはいけない!」
一般通過自称キング・オブ・デジモンと一般通過エリザベートの
「俺の『イカした彼女はラ・フランス』が負けるなんて……」
「よしよし、あなた、良くがんばったね」
「たまたま通りがかってくれたあのVの人には感謝しないとね」
「SNSの情報で紫式部さんもこちらの世界に来ていると伝えたら喜んでいましたけどお知り合いなのでしょうかねぇ?」
前述の衝撃波対決を解決する際にたまたま通りかかったVの者に手を貸して貰い、色々と情報交換をしたり。
「うわあああ痛い痛い痛い!!君たちはなんでこんな残酷なことができるんだ!」
「うるせぇ、安らかに眠っていた筈の大事な相手の死体を無理矢理起こした挙げ句その体使って取り返しのつかない悪事重ねておきながら、歯を磨いたばかりの口の中にソースをぶちまけられるくらいで混沌に還して貰えるんだから文句言うな」
「やることの落差のせいでぐうの音も出ないド正論が微妙にズレ見えてしまうようなシュールな拷問はコーハイさんお手のものですね。あ、誤解のないように言っておきますと全く誉めてないです」
「BBちゃんからこの辛辣なツッコミをわざわざ受け取れる光栄さによる天にも登る心地に乗せてトドメだァ!一匹見つけたら同じ世界に百匹はいると言われる黒いの!」
「よりにもよって夏場の台所とかに出るアレみたいな呼び方しないでくれないかな!?」
「しくしく、あなたと一緒にされて台所のアレが可哀想です……ついでなので、その分も3000倍にして返しておきましょう」
先輩の夢の中を通してまたこちらに顕現しようとしたアレにぶちギレた俺とBBちゃんがボロボロになりながらも全力で煽り散らかし、最終的にクロスボンバーを決めて撃退したり……
なんだか、始まって早々に凄く濃い生活をしているのはどうしたものだろう。
ともかく、当初はBBちゃんが保有しているリソースもあるし、もう少し余裕があるつもりだったのだが、こうも頻繁に事件に巻き込まれるのだと考えると、そのための消費も含めて意外と余裕がない。
速いところ丁度いいリソース稼ぎを見つけなければ。そんな議題が解決しないまま、世界の崩壊から一週間程が経過していったのであった……次はそんな頃のお話である。
※
前にちょっと言ったかもしれないが我が家のはくのん先輩は可能な限りほぼ一日中俺から離れようとしない。
BBちゃんから聞いた話によれば、現在、世界の壁を越えてやってきた存在たちの多くは向こうの世界で今まで会えなかったことによって思いが募りに募ったりして愛する相手への執着が強く現れているらしいので、はくのん先輩のこれもその一環なのだろうと見なされている。
なお、BBちゃんが比較的いつも通りに近い状態なのは、愛する相手にずっと会えないという状態が原作の時点から変わらないからと自己分析され、それを聞いた岸波先輩達が泣きながらBBちゃんを抱き締め、俺も号泣しながらそれを撮影した。
はくのん先輩の話に戻ろう。現状、俺もBBちゃんも全く困らないのではくのん先輩のしたいままにさせているが、原作での描写を正常とした場合、彼女のこの状態が正常とは言いがたい。岸波白野には確かに最初に救い上げてくれたパートナーサーヴァント等に向けて一緒にいないと不安になる等依存傾向がある節は確かにあったと俺は認識しているが、それでも四六時中密着し続けようとする程ではなかった。
彼女のこれが単に他の岸波白野との差異、個性であるならば問題ないが、この世界やそれに影響を及ぼしている大きな力の余波やらなんやらで歪められてしまっているとしたら……その恩恵を何も考えずに享受しては俺の嫌悪する蒙昧どもと同類に堕ちてしまうだろう。
社会秩序も一部物理法則も乱れ、何が正しくて何が悪いのか、余計に分からなくなってしまったこの世界。倫理や道徳といった枷が外れたそんな世界において、俺もまたそうそう正気ではいられない。例の邪神の力を前にして発露させた欲望を見てもわかる通り、もしも自由に願いを叶えられたり、力を行使できる状況になれば、簡単に知的好奇心や生理的本能的な欲求を他を省みずに満たそうとするだろう。
だが今の俺がそうしていないのは、その為の力がないからという理由よりも、『そんな俺を容認する岸波先輩やBBちゃんを見たくない』という感情に他ならない。
どちらにせよ俺の個人的な欲望に帰結している訳だが、その方が自分を本能レベルで納得させやすいと結論付ける。
更にいえば、岸波先輩やBBちゃんと共にあることを俺という面倒極まりないザビBB限界オタクが容認できるような存在に俺自身がなろうとするのは、めちゃくちゃ高い向上心を持つのに等しいのだから……
あれ、なんかごちゃごちゃ考えたけどこの方針でいいのでは?理由はどうあれ向上心を持って自身を高めようとするのは普通に健全な目標だ。
よし決めた。俺の今後の個人的な目標は、『先輩逹やBBちゃんと一緒にいてもいいくらいの存在であろうとする』ということで。
はくのん先輩からのらぶらぶ攻撃に溺れないように、日々精進して行きたいと思います!(決意)
さて、一人で考察したりその結果雑な決意をしたりしているが、なぜ今長々とそんな話をしているのかと言えば、今もまた、俺がはくのん先輩に堕落させられてしまいそうになっているからに他ならない。
「どう?気持ちいい?まだ痒いところはある?」
……場所はお風呂で、先輩が泡にまみれた身体をぴったりとくっつけて擦り付け、その柔らかな身体で俺の身体を洗ってくれているという夢のような状況でも、俺は意思を強く持たなければならないのである。
「んっ、ふぅ、んっ」
耳元に聞こえる色っぽい吐息、背中にはボディソープでぬるぬるあわあわに覆われていながらも、全く損なわれることのない俺の二十数年の人生で触れた中で最も心地好い柔らかさ暫定一位の感触である、先輩のおっぱいが角度に合わせてふにゅふにゅと形を変えながら俺の背中に押し付けられ、動かされる度に双丘の頂点にある固くなった突起が背中を引っ掻き、このコリコリした感触もまた俺の理性を溶かしていく。
「……先輩、こんなことどこで覚えたんです?」
「あなたの見てたえっちな画像とか動画かな。色んな女の子が色んなことしてたから、いっぱい勉強できたよ」
突然背筋にツララを差し込むかのようなゾッとする返答をされてしまった。なにしろめっちゃ心当たりがあるしその事を配偶者に指摘されてしまう経験は当然初めてだが、気まずいってレベルではない。比喩でなく嫁にエロ本が見つかったときの心境ってこういう感じなのか……!?ネットとかで体験談は聞いていたが確かに恐ろしいな!
しかし、先輩がそういうのが不快だと言うならば資料価値的にとても勿体無いが手持ちのそういった類の物を破棄するのもやむなしなのだが、こういうときってやはりまずは初手で謝るべきなんだったか……?
と女性との交際経験皆無な混乱をしつつも必死で対応を考えようとしては空回りする俺だったが、先輩の続けた言葉は想定したものとは大きく違っていた。
「うん、わかってるよ。この世界には色んな子のえっちなものがいっぱいあるから、見たくなるのはしょうがない。それに、私だけにして欲しいって思っても、そもそも私のそういうのが少なくて見つけられなかったんだものね。でも、そのおかげで……」
そう言うと先輩は俺の前側に回ると向き合うようにして膝の上に乗り、俺の腕を抱くようにして胸に挟むと、なんとそのまま身体ごと大きく前後させることで膝と腕を同時に洗い出した!
当然だが、先輩は今は何も身に付けていない。視力0.1で眼鏡が無くてははっきりものが見えない俺だが、そんな俺にすら見える至近距離に泡まみれで身体を擦り付けるあられもない先輩の姿があり、太ももにはふにふにとした先輩の大事なところが直に擦られていて、その部分が泡のそれではないぬめりを帯びている事をしっかりと感じることができてしまう。こんな幸福な状況が他にあるだろうか?
「きっと、多くの平行世界の中で
【朗報】俺の嫁の心が広すぎる件【良妻賢母】
画面の向こうから俺をずっと見ていたというだけあり、俺のツボをことごとく押さえたあまりにも俺に都合の良すぎる言葉を先輩はかけてくれる。その甘美な提案の数々にはどうしても易きに流されやすい人間という生き物のひとりである俺は、先ほどまでのモノローグを速くも忘れて溺れそうになってしまう。
しかし、しかしだ。前述の通りただ甘やかされるだけの存在に成り下がった奴が先輩の隣にいることをどうしても許せないのが俺だ。
それに前々から都合の良すぎる展開の物語を面白くないと好まなかったこともあるが、このまま奉仕を受け入れるだけでは俺の性癖は真に満足することがない。
なぜなら『俺が彼女に幸せにして貰う』よりも『俺が彼女を幸せにする』ことの方が大きな喜びを感じる性質だからだ。
だがしかし先輩から与えてくれるものを拒否することもまたできるはずもなく。故に今俺にできることは、この幸せを全力で享受しながらもそれに溺れきることなく、俺もまた俺が考えうる限りの全力の献身で応え、俺が幸せにされる以上に先輩を幸せにしてやるほかない。
そう決意した俺は先輩の肩に洗い終わった方の手をおいて掴む。
「なら、順番にやっていきましょう、時間の許す限り全部。そうすれば俺の今までの人生で得た知識全てが貴女の為に捧げられることになります」
「ぜ、全部かぁ……」
照れながらも少し困ったように目を逸らすはくのん先輩の今までにない反応に何か間違ってしまったかと考えること6秒ほど。
……あっ、ダメじゃん!みてた画像やら動画やらの全部だと参考に見たり表紙詐欺されたりで見たリョナグロとか下品系のスカトロとか、それ以上にエグいプレイの数々も入っちゃうじゃん!それに当然のようにNTRものも母数の多さから目に入ってるわけだし全部っていったら含まれちゃうな、確認すればするほどダメな発言だったわ!
「す、すみません!全部は言い過ぎました。当然先輩が嫌がるようなことまで含めるわけではなくってですね……」
「うん、わかってる。わかってるよ。でも、でもね……」
だがしかし、大慌てで訂正しようとする俺への先輩の反応は、少しだけ予想と違ったものであった。
「私、ヘンなんだ。あなたの言う通り、私にだって嫌なことはある。けれどあなたが望むなら、それすらもしてあげたくなってしまうの。あなたが好きな、『
「それは……」
思わず口ごもる。確かに俺は変質を好んではいない。元々の作品のファンであるからして作品そのままの存在の方を好むのは普段の発言から自明の理だ。そしてその事を俺をずっと見てきた彼女はとてもよく知っている。だからこそ、彼女は恐れているのだ。変質した自分が俺の愛する『
「あなたの事を思うと、BBが
先輩から告げられる不安に、俺はなんと答えればいいのだろう。
恋愛経験のない俺に、どういうものが優しい言葉や不安を和らげる言葉なのか判別できないため、かけることはできない。
そして先輩が抱く不安は互いの存在の根本に関わっている。俺が俺である限り、先輩が先輩であるかぎり、ふたりが愛そうとするならば付きまとう類の問題だ。故にこの場でパッと解決することは全能でない俺にはできない。
だが、今俺にもわかる重要なことは先輩が不安を、恐怖を感じているということ。だから俺のやるべきことは。そう考えて、即決できずに決断に十秒以上もかけて。
「先輩も知っての通り、俺には対人技術がほとんどありません。言葉の裏を読んだり駆け引きしたり、そういうことはほぼできません。俺にできるのはただ貴女に対して可能な限り誠実に、正直にあることだけです。そして貴女はそんな俺に、自分がどう怖がっているのかを伝えてくれました」
先輩の顔を見つめ直してしっかりと目を合わせた後、抱き締める。こうするのが、俺が知るなかでは一番、お互いのかかえる不安を和らげられる方法だ。互いの接触面積を大きくし、『自分はここにいる』ことと『あなたもここにいる』ことを物理的に確認しあう。
そんな意図を彼女に伝えながら、言葉を続ける。
「無理せず、少しずつやっていきましょう。ふたりが幸せになれること、全部。焦らなくてもいいはずです。俺はずっと先輩と一緒にいますから。BBちゃんも、キシナミ先輩とも協力して、みんなでそうしていられることを目指しましょう、俺の知ってる先輩となら、どんな困難相手でも進んでいけるって俺は思ってますから」
何度でもいうが俺に対人スキルは全く備わっていない。だから俺にできるのはただひたすらに正直に己の心情を伝えることだ。そして、俺が先輩たちとつきあっていく上で、それが最善なのだと、今の俺は思っている。
「それに先輩、最初に質問したとき即答ましたよね?BBちゃんの事が大好きだって」
「うん、大好き。
「そうであり続けてくれるなら、俺は大丈夫ですよ。俺はBBちゃんに魂を売った男ですから。BBちゃんは先輩のことが大好きで、先輩以外愛しません。そして無数にある先輩の可能性ひとりで、BBちゃんの気持ちをちゃんと受け止めたり、受け入れたり。そうしてくれている方々の貴女が、私のこともBBちゃんと同時に好きだと言ってくれた。だから俺は、先輩と結婚しましょうと言いました」
先輩が自分のことをヘンだと言うなら俺は元から狂っている。
BBちゃんが先輩を命がけで愛したあの姿に魅せられ、それに生きたまま同じ世界で直接出会ったが故に空っぽだった目的が固定化された駒の1つだ。
BBちゃんのことを愛している。岸波白野を愛したBBちゃんの愛を愛している。彼女の為にこの命も魂も全て捧げられることは俺にとって至上喜びだ。そう迷いなく言いきれてしまう狂信者だ。
だが、俺の目の前にいるはくのん先輩は、『そうである俺』を好きだと言ってくれているのだ。愛してくれるというのだ。だからこそ。俺は俺のまま、はくのん先輩の思いに答えるのだ。BBちゃんの為に生きながら、先輩のことも妻として愛する。BBちゃんは生きている限り先輩の為に行動をするのだから、俺の中でそれは=で結ぶことができる。
無論、それは俺の生き方だ、変えることは出来ないが他者に押し付けることはない。が、そうであると伝える努力は不器用ながら惜しまない。
そしてはくのん先輩との間であれば、今現在、互いにどれだけすれ違おうと、離れる気は全くないということは言葉から読み取れた。
互いに離れる気が無いのであれば、一緒にいるということで、一緒にいるならばもっと言葉をかわし、これから少しずつ話し合えば言い、わかりあおうとすればいい。そうやってふたりで歩み寄ろうとしていくのも、結婚生活というものだと俺は認識している。
そんな、言葉と思いを伝えた。
「そっか……うん、そうだね。夫婦ってそういうもの、だものね」
それを受けて、先輩がどう解釈したのか、どう感じたのか。俺には全くわからない。だから反応を待つがその時間は酷く長く感じる。もっとうまく言えたのではないか、もっと正確な表現はあったのではないか。そんな思いはきっと永遠に絶ええないのだろう。だかそれでも。
「あなたが、私と真剣に夫婦になろうとしているのが伝わった。それが凄く嬉しい」
そう言って、俺に微笑んでくれた先輩の言葉と笑顔に、嘘はないと俺は思えて。それは俺が先輩の不安を少しでも和らげることができたのだと、先輩の役に立てたのだという実感を返してくれるもので……とても誇らしいものだ。
「けど、1つだけ間違い。あなたは、私に誠実でいることだけしかできないって言ってたけど、他にもできることはいっぱいあるよ」
陶酔に浸る間もなく、状況は動く。
ぬちゃ、と粘性の音が下腹部から聞こえ、ほんの少しの感触と、絶大な快感が俺の下半身からかけ上がってきた。
互いに抱き締めあった体勢故に、お互いの気持ちを伝えあっている間にもふたりの性器が擦れあっており、俺の男性器が硬く、熱く完全に勃起していることも、先輩の女性器が洪水といっていいほどに愛液を垂らしている準備万端な状態であることが、お互いに理解できてしまっていたのだ。そして、問題だ。果たしてこんな盛り上がった状態で、こんな最適なシチュエーションで。おあずけをくらっいた新婚カップルが我慢できるだろうか?
「まずこうして、あなたのことが欲しくて欲しくて堪らない、そんな私を気持ちよくすること。どうすればそれができるのか、あなたはわかるよね?」
俺の顔を覗き込む先輩の顔には、もはや不安は感じられない。あるのは、頬を上気させ、妖艶な表情で俺を求めようとする女の貌だけだ。そして、俺はそんな先輩に抗う術もまた、持っていないのである。観念してしばし先輩に溺れる事にした俺の理性は、最後にこう囁かれて振り切れたのであった。
「じゃあ、早速……ふたりで気持ちよくなる全部の1つ。あなたのだーいすきな、おふろでのえっち、しよ?」
このあと、めちゃくちゃはげしくおふろえっちした。
※
「はぁ、はぁ……まったくコーハイさんってば、はくのん先輩にあんなトロトロの顔させるなんて……思っていたよりできるじゃないですか♡」
『ほら先輩、鏡に映った自分の顔、見えます?』
『いやっ、わた、し、こんな、かお……してっ……ふっ、あっ!』
『これ、俺はBBちゃんからの感覚共有は自由だから、今視覚を覗かれたらこの幸せいっぱいな顔、一緒に見て貰えますねぇ』
『……っ!!…………
いっぱいいっぱい幸せになってるところっ、全部、みてぇ……』
感覚共有の先でご指名だ。それならばと、こちらからも返答と、盛り上げるための少しのイタズラをしてあげる。
「はーい、ご希望通り、センパイの幸せとろとろなお顔、しっかり見てますよー♡なので遠慮なく、もーっと気持ちよくなってくださいね?セ・ン・パ・イ♡」
恐らく、本当にリアルタイムで見られていると思っての発言では無かったのだろうが、先輩に返答を返してふぅーっと耳元に息を吹き掛ける感触を与える。
すると、先輩のがひときわ甲高い声をあげるとともに身体がビクビクと激しい痙攣を起こし、それに合わせてコーハイも限界を迎えたのか、くぐもった声をあげる。
互いに限界を迎えたのかそのまま倒れこみ、キスをかわして笑いあう二人。
先輩の相手が自分でないのは残念だ。しかし。
「ああ~っ、今、はくのんセンパイ、わたしの声で……」
思わず感極まった声を漏らしてしまう程のことはあった。
それにしても、だ。愛しい相手と触れ合い、共に過ごし、彼らの幸せな日常を側で見守ることができる。それがこんなにも心を温かくさせるなんて。ずっと夢に見て、けれど自分にはそんな権利はない、そんな未来はない、ありとあらゆる障害で不可能だと思っていた穏やかな日々。
この世界に来るときに
さて一見、彼女はただ同居しているカップルのもう片方の情事を覗いているだけだが、かれらがBBのことを話題に出して興奮を高めていたことからもわかる通り、結局BBが絡んだ方があのふたりは喜ぶのだ。そのため、感覚共有のテスト調整も兼ねて彼女の監視は暗黙の同意のもと行っていることである。だからといって、はくのんセンパイのえっちな姿が見たくないとは、照れ隠しをあまり行わないこの世界のBBは言わないが。
更に、BBは同時進行で複数の仕事もこなしている。周囲を探索するシェイプシフターへの指示、掌握している家電他へのリソース供給、集まった情報の取捨選択、とある筋で取引している存在とのアレコレ……そんな多忙であっても、彼女には先輩たちとの生活を優先して動けるくらいには余裕すらあった。
なにしろ、この世界に先輩達と共にやってきて数日経ちやるべきことは確かに多いとはいえ、月の裏側を掘り進んでいたときに比べれば遥かに少ない仕事量だ。現にこうして一息入れる余裕すらあるし、先輩たちの様子を常に見ている片手間でも可能だ。まぁ、比較対象が自我を失いそうになるほどの負荷のかかる、実行できただけでも奇跡のような難行なのだから当然だが。
戦力となる人材は始まったばかりというとこともあり、大事な先輩たち以外は自身の使役するシェイプシフターと、自己申告通り人間の平均以下の性能しかないコーハイが1人だけ。だが、それもちゃんと言うことを聞いて可能な限り忠実に行動しようとしてくれる、離反の心配が0の相手というだけで歴代のBBの味方の中でも5指に入る程信用の置ける相手だからストレスは少ない。(が、同時に今までの部下の恵まれなさを改めて思い知り溜め息は増えた)
そしてなにより生活環境。先輩と1つ屋根の下で暮らし、共同作業の機会も多数。コーハイ、はくのんセンパイ組と違いまだ名言はしていないものの実質新婚生活とも言えるらぶらぶモード。しかもこの家のライフラインがBBの支配下にあることで、彼らの生活を支えてあげることができているという奉仕欲求と管理欲求を同時に満たせるBBにとって最高過ぎる環境が整っていた。
「こんなに幸せだとなんだか突然の落とし穴がないか心配になってしまいますね……このネガティブな未来予感はコーハイさんの影響でしょうか?いいえ!センパイもわたしも経歴からそう考えるのは自然ですよね!……自分で言っていて嫌になりますけども。はぁ……」
そんなことを言っていると、早速なのかどうなのか、外部からの通信が届く。巷では世界崩壊からじきにサーヴァント同士の通信システムが多く利用されることになるが、現在のところ、彼女はBB自身の性能と適正が高いことから専用のネットワークとシステムを使っている。なので、彼女に通信を届けられる相手は極めて限られるのだが……
通信のコードから通信相手の素性を確認すれば、この世界に来てすぐの頃いくつか取引をした相手だ。力は相手の方が圧倒的に上。少なくとも軽い気持ちで敵対できるような相手ではないので、無視するわけにもいかず通信を繋げ、丁重に対応する。
「なんのご用でしょう?先日渡したお薬に関しての注意なら同封のテキストデータに書いておいたはずですよ?」
『はい。お陰様でマスターの状態も私のみで行った場合より早く安定させることが可能になり、目覚めるまで夢の中で楽しむこともできるようにまでなりました。やはりあなたに依頼したのは正解でしたね』
「はい、元健康管理AIの人間知識が女神様のお役にたったのであればなによりです。それで……今日はわざわざお礼を言いに?」
『ええ、それもあるのですが、本題は別です。そちらにはあなたもそうですが、なかなか見所のある愛の持ち主がいるようですね』
……なんだか雲行きが怪しくなってきたんですけど。
『それでいて、少し不思議な形でもある。そこで、マスターも安定したことですし、少し観察してみることにしました』
──しました。
つまり相手の中で既に決定した事項であるということだと理解し、電脳生命の反応速度で家全体と周囲数十キロに渡って非常警戒体勢を敷くが……相手が何十歩も先を行く存在だと思い直す結果にしかならなかった。
通信の向こうから強い光が発せられた次の瞬間、突如として強大な気配が出現したのだ。
まさに今、自分たちがいるこの家の中に。
「まさかそんなことって……」
あまりの想定外の規格外に思わず冷や汗すら流れたBBだったが、キシナミセンパイが急いでこちらに向かいながら事態を伝えてくることで気を取り戻す。
「BB、
「はい、こちらでも観測しています。不幸中の幸いとして、相手の正体はわたしが把握していますので、まずははくのんセンパイとコーハイさんを集めてください。最悪の場合、ここを捨てて逃亡することも視野にいれての準備です」
キシナミセンパイに指示を出し、この当たってほしくなかった嫌な予感フラグをどう切り抜けるか考える。
「はぁ……どうしてわたしとセンパイには平穏が長く続かないんでしょう……」
頑張れBBちゃん、負けるなBBちゃん。センパイとの幸せ新婚生活を満喫するために君は今日も戦うのだ!
???「来ちゃった」
割と色々な理由から早めに遭遇しておかないとなと思ってしまいやってしまった筆者であった。反省はしていない。
おまけの情報開示
BBちゃんからのコーハイへの好感度はシェイプシフターと自分の手足か手袋とかの中間くらい。
自分の体の延長と考えることではくのん先輩とのイチャイチャに嫉妬を覚えないようにしています。
はくのん先輩がコーハイ君を取られてBBちゃんに嫉妬することはかなり発生率が低い。BBちゃんからコーハイに対する感情が前述の域だし、そもそもこのはくのん先輩はコーハイと同じくらいBBが大好き。(コーハイがBBに向けるのと同じくらい、とはくのんがコーハイに向けるのと同じくらいの両方の意味で)
ではそれぞれ、他の存在が入ってくるとどうなるのか……?
と言った感じになってくる次回以降。
大御所面談回です。