崩壊世界で押しCPと家族になった 作:夢@実験中
今回は開幕ラブラブじゃない描写に注意。この世界こういう人もたくさんいると思います。
そんでとりあえずここの出来事が終わったら本格的に序章を終えられると思います。
前回のあらすじ、女神様襲来するも、コーハイ君の狂いっぷりがウケたらしくお土産までもらっちゃった。
でもそろそろ危機感がはっきりしてきたし戦力の為のリソース補充にユクゾー!デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
社会倫理や警察機構に法秩序等が機能しなくなったポストアポカリプスな世界になると、十中八九「力こそが正義」とか「この世は弱肉強食、強い者が弱い者を好きにできる」とか言い出す存在の活動が活発化し可視化されるイメージがあるのは筆者だけではないだろう。
現代に生きる文明人としては、そんな原始的な話はフィクションの中でだけ楽しむにとどめたいと思うのだが、いかんせん本作の舞台はその言行がまかり通ってしまう崩壊世界。
人を超えた力を持つ怪物達や、それに対抗ないし遥かに凌駕する存在も往来するようになり、人類が地球上における生態系の頂点を名乗り続ける事ができるかどうかの瀬戸際。だがそんな危機においてもなお、残念な事に目先の欲に駆られ刹那的な暴力を同族に向ける人間は決していなくならないのである。
そのコンクリートが打ちっぱなしの部屋には大人数の声が響いていた。その声は大別すれば二種類である。
「あぁっ……あっ……あっ、あっ、あっ……!」
「いや、いやぁ……っ!!もう、やめてぇ……」
数多くの女性達の嬌声……いや、悲鳴と言った方がいいものと、
「ひっ、ははははっ……!!」
「オラァッ、泣けっ、鳴けっ!!」
「英雄サマもこうなっちまったら只の肉便器だなぁ!?」
より多くの男性達の下卑た笑い声だ。
ここで行われているのは愛を交わし合う交わりではなく一方的な暴行。世界の混乱に乗じて暴力で他者を好きにしようという男達がそれなりの数集まってしまい、彼らに捕らわれた者たちの中で『使える』者達がこうして慰み者として宛行われているのだ。
捕らえることができた者は片っ端からここに繋ぎ、その中から男達は好きなときに好きなように好きな相手を抱き、犯し、辱める。
女性たちの中にはまだ若い学生もいる。若夫や子供のいる母親もいるし、なんならその目の前で娘を一緒に犯している者もいる。更には人間だけではなく、何らかの力を使って無力化したサーヴァントですら一騎やニ騎ではなかった。
そんな多種多様な存在が一様に自分達に一方的に犯され、逆らうことができず、屈服していくしかない事に、男達の暴力性や支配欲は大層満たされているのだろう。
端的に言って、人の作り出す醜さの坩堝の一つがそこにあると思う。
さてそんな部屋の光景を、一人の男が壁に持たれかかりながら眺めていた。別にその男が女性に無理矢理する趣味がないから仲間に入っていない、ということはない。
既に彼はこの数時間で数え切れない程の女をハシゴしており、流石に一息入れるかと休憩に入ったところだっただけである。
「ククカカ、最高だ。つい先月までのクソつまんねー世界じゃこんな光景拝めねぇからな。全くありがたいこったぜ」
現代文明が健在の世界では、同じことをすれば、いや場合によってはその前段階の時点で警察にしょっぴかれて終わり。男にとってそれは酷くつまらなく、息苦しい世界だった。
だが世界は変わった。警察も政府も機能せず、くだらない倫理や法の鎖はなくなったこの世界なら力で弱い奴を食い物にすることができる。男は今、生まれて初めての自由を全身に感じ、嗤っていた。
「ククク、グワッハッハッハッ……!!」
だがしかし、忘れてはならない。力により理不尽を強いる者は、より大きな理不尽にぶつかった時、その絶頂を終えるのだ。
そう、丁度今、休憩していた男が壁の向こうから聞き取ったかすかな音の発生源のような。
「……ん、何だこの音。ここ地下だぞ?だが聞き間違いじゃなけりゃこれは……バイクのエンジン音?」
次の瞬間。男が他の者に聞いた音の事を伝えるよりも早く、その音は辿り着く。
ドッッゴオォォォォォォンン!!!!!
爆音とともに吹き飛ぶ壁の一面。
壁に持たれかかっていた男はそれごと吹き飛ばされ、破壊された壁の破片が何人かの男に命中する。
「な、なんだはぶっ!」
「敵しゅぶへっ!!」
言葉を放とうとした何人かの男は言い切る前に、飛んできた巨大な何かをぶつけられ吹き飛んだ先で下敷きになる。
巨大な何かは、人間が一人貼り付けにされた十字架だったがその事についても、十字架が下敷きになった男ごと床下が崩れて階下に落ちて行った事も気にしている余裕は男たちにはなかった。
何故ならどんな不可解な現象であっても、それを明確な敵意をもってぶつけてくる襲撃者が目の前に現れたという状況よりは優先することはできなかったからだ。
男達の口から次に聞こえるのは怒声か、それとも悲鳴か。
どちらも発する猶予すら与えられずに、バイクに跨ったままやってきた襲撃者の群れは男達に襲いかかる。
それはまさに、捕食者と非捕食者が入れ替わる瞬間だった。
※
『あー、死ぬかと思った』
どうもコーハイ(仮名)です。リソースを稼ぎにお外を皆で捜索していたら、猛烈な勢いで突撃してきたバイクの集団にピンポイントで一人だけ捕まり十字架に貼り付けにされてバイクに引き回され、最終的に急停車の勢いで十字架ごとすっぽ抜けて壁を2枚くらい突き破った感覚があった直後の感想がこれ。
そう、さっきのシーンに出てきた十字架に貼り付けにされてた人が俺です。あの場にいた人は皆他の事に夢中で気づかなかったと思うしそもそも俺の事知らんと思うけど。
そういえば、物凄い勢いのせいでわからなかったけど突き破ったのこれ壁じゃなくて床かもしれない。だってほら、頭に血が上ってる感覚がするもん。なお、冷静なのではなくあまりの壮絶な体験に語彙力他が死んでいるだけである。
ちなみに、突き破る際頭から突っ込んでいるので、十字架のサイズが俺より一回り以上大きくなければ身体がぶつかり、貼り付けの縛り方がギッチギチじゃなきゃ落下するなどしてマジで死んでたと思う。引き回されているうちに眼鏡がぶっ壊れて周囲がぼやけてしか見えなくなるくらいで済んだのは不幸中の幸いという体験なのか。
「程度はどうあれあなたが傷付いている時点で私にとっては幸いではなく辛い出来事だけどね」
あ、そうっすね。いくら相手がこの世界によくいる理不尽存在であったとは言えやっぱりダメージ受けないに越したことはないですもんね。なので政府としては再発防止に尽力したいと思っております。
さて、今こうして意識共有ではなく声を直接かけて来ているという事ははくのん先輩はこの場にいるということでこれはとても嬉しい。首から上十字架ごとはまっちゃってるから全く見えないけど!そうでなくても眼鏡ないなったからぼやっぼやにしか見えないんだけども!!
まぁそれは置いておいても先輩の周囲の音から露骨に敵に囲まれてたりしないという事も確認できて安心したし、手が空いていれば俺の拘束や逆さ吊りになってる状態から解放してもらえる味方が側にいてくれるというのはとても安心感がある。見知らぬ場所で拘束されたままいつ助かるかわからないのは辛いからね……
「ごめん、私も
はーい勿論です俺にとっては俺の身動きより先輩の手の方が遥かに重要ですし作業効率的にも優先されますからね!でもなるべく速く助けて欲しいのは事実ですね頭が血でぼーっとしてきたから!
と、先輩の事情を考慮しながらもはっぱをかけるくらいには切羽詰まって来ている俺は先程からの描写で伝わっていればいいのだが上半身は壁だか床だかの先にあり、先輩いるのとは別の部屋に存在しているわけなのだが。
「う、うぅんん……」
その俺の頭が聞き覚えのない声を察知した。前述の通り眼鏡がない上薄暗いので視界には頼り辛いのだが、何となく誰かが起きた時のような、そんな声だった。
『先輩、どうしましょ。俺うるさくして誰か起こしちゃったみたいなんですけど』
『困った。手が治ったら1回そっち側に降ろしてからあなたを解放しようとしていたからお互いに邪魔になるかもしれない。敵意とかはありそう?』
確認してみようと声のした方向を見ようとしてみる……が。
『ぼやけてわっかんねぇ……』
『知ってた』
辛うじてそこに人がいるということがわかるだけ。後今気づいたけど先輩にこの視界を共有してもぼやけた光景しか伝わらないという事が判明した。俺の役に立たないポイントが増えてしまったな……
と、まぁそうなったら確認する方法は声しかないなと、声掛け事案へのチャレンジを開始した。
「あのー、変な所からすみません。起こしてしまったのであれば申し訳ない」
そう声をかけると相手の人は「ん、んーっ!」と伸びをすると
「っと、いいよいいよ。もう随分とグッスリ寝てたみたいだし、むしろ丁度いい感じ?」
と、気さくに返してきた。
しかしこのような反応でも困ってしまうのが俺という対人能力弱者。相手がこんな明るい反応でも敵意を隠しているのかどうかてんでからぬ。わかったのは相手が女の人だろう声であったことと、なんか身じろぎしたときに金属音がしてたことぐらいか……?
「ありがとうあなた。その情報で充分。今からゆっくり下に降ろすからなるべくじっとしててね」
どうやら、俺には判断できない部分でも先輩には充分だったようで、俺の縛り付けられている十字架が揺れ、引っかかりが取れたのかゆっくり下の部屋へと降ろされていく。
そして、そうなれば必然、下の部屋から聞こえていた女性との距離が近づいていくことになり、思っていたよりも着地点が女性の間近だったこともあってその姿が眼鏡のない目でも見えた。顔立ちは整っており、アイマスやらラブライブのメインキャラでもしてそうな美人だという感想を懐き、更に下がることで、彼女の全身が見えた。
……見えてしまった。
両手両足を繋ぐ鎖。身じろぎしていた時に鳴っていたのはこれだ。
繋がれる真っ白な手足に目を移せば大量の痛々しい痣や傷が刻まれ。
手足だけでなくその負傷は全身に及んでいて。普段であれば女性的な魅力をこれでもかと詰め込んだような、それこそ二次元アイドルのようなスペックがあるだろう美貌を、今は直視するのも辛いほどに痛々しい。
当然、それを確認できるのは彼女が何も服を身に着けていないからで。
更に全身だけでなくその足元には異臭を放つ染みができており、それだけの条件が揃えばいくら察しの悪い俺でもここで彼女に対して
(お前、こんなっ、こんな陵辱モノでしか見たことの無いようなバカな事やる奴おるんか?やるようになっちまったんかこんな世界になったから?)
俺は基本純愛の方が好きだが、作品の都合とか展開上仕方なくあったりとか、絵柄とかシステム目当てとかまぁ色々な理由でそういうタイプの作品も嗜む事はあったし、その中でも傷とかの描写が少ないもので好みのアングルとかがあればそれこそ
「あー、ゴメンね?見苦しいものを見せちゃって」
あろうことかそんな状態の女性に心配されるくらいには酷い顔をしてしまったらしい。とても情けない気分でいっぱいだが、相手がこっちを心配できるタイプの人物であることがわかり、先輩の目に狂いはなかったようだ……それにしてもこの人状態の悲惨さからは想像できないほど凄く受け答えとかはっきりしてるんだけど、声と見た目のダメージのアンバランスさもまたその目で見るまで彼女の状態に気づけず、その姿を直視してしまった原因であるともいえる。
そして俺を降ろし終えると、先輩も続いて降りてきたことで、繋がれた女性を目撃することになる。先輩は一瞬眉をひそめたが、すぐにやるべきことに取り掛かる事にしたようだ。
「彼女の介抱にも手が要るからあなたの方から先にするね。それから悪いけど動けるようになったらすぐに手伝って」
「ラジャーです、先輩」
俺だけで判断していたら俺よりこの女性を優先させようとしていただろう。先輩の状況判断能力は本当に頼りになるなあって、しみじみ思いながら十字架から解放される俺なのであった。
※
さて、そんなこんなで偶然遭遇したこの女性を解放して介抱しようとした我々は作業をしながら互いの情報を交換することにした。
まず、彼女の名前は北条遠華。世界がこうなる前は大学に通っていたが、この騒ぎで逸れてしまったお兄さんを探して回っていたところ、社会秩序の機能が麻痺したところを狙ってやんちゃしだした連中とかち合ってしまい、彼らのアジトらしき場所の牢獄(つまり我々が今いるところである)に囚われの身になっているらしい。
で、連中は北条さんと同じように沢山の方々を捕らえては「男は殺せ女は犯せ」的なテンプレ山賊かな?とでも言いたくなるような扱いをしていて、北条さんも例に漏れず今の姿を見ての通り鎖に繋がれて襲われたのだが……この人そのままの状態で犯してきた野郎共全員逆に搾りきることで返り討ちにしたらしい。連中はサーヴァントだろうと変な薬を使ってヤッてるらしいが彼女は生身の人間であるが故にサーヴァントに対する薬も効かなかったことも有利に働いたんだとか。そこまで聞いてよく見たら俺達の足元にその絞り切られた野郎共まだ落ちてて思わず飛び上がっちゃったね。何故俺は山賊ムーヴしているしている野郎共より襲われた女性から恐怖を浴びせられ続けているのだろうと先輩に手をつないで貰うまで震えが止まらなかったよ。
しかしながらそんな凄まじい彼女と言えど囚われている以上、時間が経てば彼女にも効く何かを連中が時期に持ってくるだろうしいつまでもこうしていられないなと思っていた矢先、なんか凄い揺れがしたと思ったら騒ぎが起こったらしく見張りもそちらに駆り出されて……といったところで俺達が落ちてきたらしい。
「って事だから、私的にはすっごく良いタイミングで落ちてきてくれてありがとーって感じかな」
「どういたしまして……と言いたいところだけれど」
「そうっすね先輩。残念ながら俺達ではこっから救い出すには力不足みてぇで」
話を聞きながら試してみたが、やはりサーヴァントも拘束できるように作ってあるのかサーヴァントでも戦闘型マスターでもない俺達では鎖も牢獄の鉄格子も破壊も解錠もできなかった。尤も、仮に解錠できたとしてもBBちゃんのいない状態では人間以上の存在と遭遇して突破できるか怪しいし、そういった存在にエンカウントしないように脱出できる自信もまたないのだが。
既に感覚共有を通してBBちゃんに俺達の位置や状況は伝えてあるが、流石に距離を放されすぎた事もあって到着にはまだ少しかかる模様。とりあえず落ちていた野郎共を万一のことを考えて縛っておいたり、手持ちのウェットティッシュで北条さんの身体を拭いたりするのがこの場でできる精一杯だが……如何せん時間がない。
騒ぎが収まるなり事態が進行するなりすれば誰かしらこの場に来るだろうし、それが山賊(仮)でなくさっきのバイク連中であったとしても俺達に有効的ではなさそうな訳だからどっちが来てもアウト。そうなったら今度は北条さんだけでなく先輩にまで手が伸びるだろうからどうにかせにゃならんのだが……
と、手札の少なさから何をすればいいのかわからずにいる俺に進むべき道を指し示してくれるのはまたしても先輩であった。
「……よし、丁度いいや。ここで戦力を補強しよう」
戦力の補強。元々俺達が外に出かけたのは、当初からの予定だったリソースの回収と並んで、まともに見を守れる戦力となる人材を入手するためであった。その為、周囲の状況を探ったりとかしていたのだが、先だって我が家に襲来した女神様から「お土産」としてこの近辺で魔力が高まっている場所や他所の世界との壁が薄くなっている場所のリストを貰ったのを契機として、その場所のどれかには俺が新たにサーヴァントやそれに類する力の持ち主を召喚できる場所がある可能性が高い、という話になっていたのだった。
「しかし、意図的な召喚はどこでもできる訳じゃあないからそれに適した場所を探すってのも探索の目的でしたよね?」
「BBにこちらの位置を伝えた時、私達の現在地がリソース回収の目的地候補の1つだってわかったの。それでこの場所を私の感覚を通して調べてもらったら、最長でも建物1つ分の誤差なら充分に召喚できるってBBが計算してくれたよ。丁度召喚用の素材も落ちてたし」
俺の質問にそう返して落ちていた野郎共をチラ見するはくのん先輩。なるほど、確かにその条件の上でこれだけいれば血液や魔力を使っても使い尽くして不必要に死なせることもないだろう、流石先輩とBBちゃんが組めば何でもできるな本当に。
更に、それを聞いていた北条さんからも提案をされる。
「あ、もしかしてここで召喚するの?『満たせ満たせ』とかって奴。それなら私も協力したい!繋がれたままでも、私の魔力とかをあなた達が使う分には問題ないと思うんだ、今起きたばかりで元気も有り余ってるし」
「じゃ、お言葉に甘えましょうか。時間もないですし、指示お願いしますね先輩!」
この場の3名とも発言に悲壮感とかが感じられないが、割と切迫した状況下。先輩の支持の下可能な限りテキパキと作業を進めていく。
汚れた床に魔法陣を書く。成功率を高めるために陣の素材は魔力を回収しやすい落ちていた野郎共や北条さんの血液や体液で行う。
だが既に幾つもの行程を挟んで行った俺達の作業は、タイムリミットに到達するにもこれまた充分な時間をかけてしまっていた。
牢獄のある部屋のドアがバタンと音を立てて開く。
それに反応して振り返るよりも速く、パン、と乾いた音が鳴り、俺の身体を鋭い痛みが貫き、俺はそのまま床に倒れ伏した。
「あなたっ!」と先輩が俺に駆け寄るのを余所に
「オイオイオイオイ、置きっぱでトンズラも勿体無いから回収にきて見りゃ上物が増えてんじゃねぇか?」
下卑た笑い声と共に声と足音からして男が一人、部屋の中へと入ってきた。
話を聞く限りはどうやら北条さんをここから別の場所に移送としているようで、恐らくはそいつが部屋に入るなり利用価値が低いと見て俺の事を撃ったのだろう。一瞬で判断を終えている辺り相当なヤり手……まぁ女にしか興味が無いだけかもしれないが。
さて、撃たれておいてなんだが、ここまで思考を回していればおわかりの通り(いやどうだろう。創作界隈だと結構死に際にペラペラ喋るから実際どうなのかコーハイわかんない)俺の意識は闇に飲まれたりとかしてなかった。
(やべー、やべー奴だよ。ドア開けてノータイムで発砲してきたよ躊躇一切無しでキル判断してきたよアイツ。BBちゃんにシェイプシフターを防弾チョッキ代わりに服の下に仕込まれてなかったら即死だった……!!正直最初はエロゲに出てくる触手鎧みたいで怖いとか思ってすいませんでしためっちゃ助かりました……!!)
と死んだふりをキメながら脳内だけでリアクションをしつつ、それをそのまま先輩に送信することで自分の無事を伝える。と同時に急にホッとした素振りを見せて俺が無事なのを敵に悟られないようにしてほしいともお願いしておく。また撃たれたら痛いからね……
「どっから入ったか知らねぇがこんなところにいたのが悪いのさ、お陰で俺は目的の検体の他に上物を拾えたから後の楽しみができたがな」
「アンタ、相手の旦那さんを撃っておいて抱くつもりなの?」
俺達が先輩と感覚共有だけで情報共有している間も、下衆な声で下衆な欲望を漏らす男の声に北条さんが蔑むような声で言い返していたが
「へぇ、やっぱそうだったか。ますます滾るわ、今日はツイてら」
と、男は変わらない調子で近づき、かちゃかちゃと音を立て出した。部屋の構造からして恐らく牢屋の鍵を開けているのだろう。話から察する目的から考えてまだ北条さんの鎖を外すだろうことが予想され、更に奴はここから早く逃げ出そうとしているらしい事から今すぐここでコトに及ばないだろうとは思うが、正直先程までの発言をしている奴が先輩に近づくだけでも俺としては嫌だ。とても嫌だ。
そんな俺の意思を汲み取ったのか、男が牢の鍵を開け終わるよりも早く。俺に縋りついて悲しむ演技を突然中止した先輩の言葉に男は手を止める。
「ねぇ、お前みたいな人に言うべき言葉、知ってる?」
「は?」
俺はその先輩の言葉で準備が終わったことを悟り、
「獲物を前に舌なめずり。三流のすることだな」
瞬間、男の身体に衝撃が走り、次いで牢獄の鉄格子が丸ごと飛んできてそのまま男は壁と鉄格子に挟まれて押し付けられる格好になった。
「な、何だぁ?」
先程俺はタイムリミットが来た、といった感じの事を言ったが、召喚準備が整っていないとは言っていない。我々はBBちゃんから遠隔でサポートしてもらっているから抜かりはなく、なんなら感覚共有を踏まえて詠唱を分担までしてもいいのである。(まぁ我々がやろうとしてる召喚や我々の状況が特殊だから主にBBちゃんが可能にしてしまった事なんだけど)
まぁそんな理由もあって、目の前の男が我々を前にしてすぐに遅いかからず台詞を喋って余裕たっぷりに作業していてくれたお陰で、無事に俺達は当初からの目的であった戦力の確保……つまりは俺が契約するサーヴァント、いやそれに類する存在の召喚に成功したのだ。
その姿は壁に押し付けられたままの男も、鉄格子の隙間から目視できているし、当然仕掛けた側である俺達の側からもこの逆転を起こした存在の姿は見えている。
1つは黒い女性。
全身を黒一色に統一した衣装は頭部につけた黒のヴェールによって、西洋の喪服のような意匠を思わせる。
それに膝辺りまでありそうな長さのブロンドの綺麗な髪とブルーの目が合わさり、理想的な西洋の喪服美女と言えるだろう。
……口元の咥えタバコ、手に抱えている対物ライフルと、衣装の下半身にスカートやズボンが存在せず、ガーターごとアダルティな下着を丸見えにしている事を除けば。
そしてもう1つ、こちらは白の女性。
白を基調とした和風の甲冑を身に纏い、長刀を構えるその姿は、聖杯戦争の舞台で出会えばどこかの名のある武将だと思うに違いない。
こちらもまた腰まで届く綺麗な黒髪を持ち、我々日本人にとって馴染みやすいその用紙は和風美人とでも言うべきか。
そんなある種対象的な二人の美女が我々の声に応えて助けに来てくれたのだ。当事者としてこんなに盛り上がる展開は早々お目にかかれまい!
……いやでも何で二つ?俺が思ったより多く引けたのか?と浮かんだ疑問は次に飛び出した発言で解決した。
「あ、なんか私にも来てくれたみたい!ほらほら!」
と言って既に切断されている鎖のついた手を振って見せる北条さん。なんということでしょう(劇的並感)その甲には赤く光る見事な参画の令呪の姿があるではないですか。
恐らく彼女に召喚された方が早速自身の召喚主を助けたのでしょう。手口からして刀を持つ白い方かな?いやー、素晴らしい忠義者だ(汗)
『うわぁ……あの人、召喚の仕方を横で聞いてその中に自分の魔力を少し混ぜて貰っただけで術式に潜り込んで自分の召喚も「ついで」でされるようにしちゃってます。しかもほぼ意図せず感覚だけで成功させるとかどれだけ才能ウーマンなんですか』
……なんというか、下手したら俺達が今回発掘した最大の利益は北条さんの方なんじゃないかと思えるほどのチートっぷりが続々出てきますねこの人。彼女と遭遇したとき安易に敵対しないで有効的態度を模索して本当に良かったね。
まぁそれについては後々だな。敵の目の前な事には変わりないんだし。
「さて
黒い方の女性……俺の召喚に応えてくれた方が俺に尋ねる。どうやら俺の事を立ててくれるらしい。向こう側からも歩み寄ってくれる彼女のそんな気遣いは嬉しいし、俺も頑張らないと。俺は起き上がりながらも俺の足りない頭で思いつくだけの
「目の前の
「ふっ、呼び出して早々に注文の多い御主人様だな。だが、いいだろう」
黒衣の彼女が俺のオーダーを聞いて不敵な笑みを浮かべ、白い武将がこくんと頷いて隣に立つ。
そこまで来てようやく男が我に返ったか、怒りの形相を浮かべて怒鳴り散らす。
「いきなりサーヴァントの召喚だと?ふっざけんなよ!!それにそんな程度で俺を突破できると確信したツラしてンのもムカつくんだよテメェ!!」
男の怒号と共に、部屋の出口を塞ぐように3体の影が現れる。奴が従えているサーヴァントだろう。……何気にこの男が複数契約してそれを維持できているかなりの実力者である説が浮上して来たが……問題はないだろう。
「安心して、戦闘時の後衛でのサポートは私の専門だから。あなたは召喚で体力や魔力を持っていったし、後ろで私を通して見ていていいよ」
「では、お言葉に甘えて。月の勝利者の可能性の一つの戦いをその場で見れる歓びに打ち震えさせていただきます」
俺は俺の嫁のマスターとしての実力を信じてるからな!(他力本願寺)
そんな俺達夫婦の間で定番になったバカップルコントで先輩の士気を上げるものの、敵さんは俺の横で興奮している北条さんと違ってお気に召さなかったらしく、言葉にならない罵声を飛ばし、彼の使役するサーヴァントを襲いかからせた。
俺は目の前で異世界の存在同士のドンパチを見ることができるという状況に不謹慎にも少し興奮しながらも、変に油断して皆のお荷物にならないようにと気を引き締める。
そして、迎撃する黒衣の彼女の号砲と共に、この牢獄部屋での戦いが始まった。
「ゲームスタート。商売の時間だな」
なお、実際には俺はメガネがなく直接見ることができないという以前に、先輩の視界を見せて貰ってすら全く戦闘速度に追いつけず何も見えない為、状況をリポートすることすらできないために割とあっさり敵を片付けた次のシーンまでモノローグは飛ぶことになるということを、俺はまだ知らないが、筆者は読者には先に伝えておくのであった。
と言う訳でお外に出たことで崩壊世界に生きる人々と続々エンカウントして行くコーハイ一行。果たして無事に平穏な日常を過ごせるのか。
今回コーハイ一行が突撃した山賊(仮)は某財団ではないと思いますが技術が流用されていたり試作品を実地試験する為にばら撒かれたりしたのを使っていたりはするかもしれませんね。
さて、コーハイと北条さんが呼び出した黒と白の女性は一体誰なのか。ヒントはどちらも別々の型月以外のR-18作品出身キャラ。やっとまともに原作カテゴリ色々感が出せるぜ。
次回、山賊組織(仮)壊滅。デュエルスタンバイ。