義勇さんの小さな屋敷に住み込みしている炭治郎。
二人は師匠と一番弟子の関係だった。
炭治郎が屋敷に来た 
初日、義勇さんは酒をぐびぐび飲んでいた。
酔った勢いで 炭治郎のことを「嫌い」と言った・・・
それに対して 炭治郎はなにを思ったのか・・・

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夏も終わりの頃、
オレ担当のカラスからの手紙で
蝶屋敷にある
柱のしのぶさんのところへ行くように書いてあった。
しのぶさんが「柱じゃなくて しのぶがいいわ」と
ほほえんで言ったので
それからは「しのぶさん」だ。
今日の受講生はオレ、善逸、伊之助の3人。
蝶屋敷の前で ばったり会った。
「わ~二人とも元気だった~!?」
と善逸が半泣きで言った。
「この前、会ったじゃんか」
伊之助が腕を組んでそっぽ向いている。
少し甘いりんごのような匂いで嬉しいのがわかった。
オレも嬉しくてしょうがなかった。
オレ達は、地位が上がったので
部屋が別れてしまった。
柱の弟子になったり、後輩をつれて任務に着いたり
寝る時間がまちまちになったのだ。
せっかくできた同じ年齢くらいの友人たちと
離れるのは少し悲しかった。
「じゃあ また!一緒の任務になったら会おうな!」
明るく振舞ってみたけど 片づけをしている二人は無言だった。
二人から枯草のような匂いがしてた。
きっとオレも同じ匂いがしてただろうな。
夕焼けの中、三人での任務が終わり
屋敷に向かうとき、へとへとになりながらも
一本道を歩きながらたわいもない話をするのが好きだった。








初恋の病

そして修行がすべて終わり

オレは今、水柱の義勇さんのところに居る。

「主に使うのは水の呼吸だが ヒノカミ神楽の呼吸も使う」

ということで継子にはさせてもらえなかったけど

それでも オレは満足だった。

水の呼吸を使えるのはオレと義勇さんしかいない。

師匠もおなじ鱗滝さんだし。

教えてもらうのがいくらきつくても

それだけ技に思い入れがあることがわかって

道場で毎日何度何度も練習に立ち会ってくれた。

 

それで充分だった。

それだけでよかったんだ。

 

しのぶさんは 書類がたくさん乗っている机の横の椅子に

座って こっちをクルリと向いた。

しのぶさんからは藤の花の匂いがした。

オレ達はその前に正座した。

後ろに継子のカナヲの正座姿も見えた。

「あなたたち、そろそろ話したいこともあるでしょう?」

いつも通りニコニコしていた。

「?」

「女性ってなんなのか?・・・とか

異性の話はここでしかできないでしょ?」

伊之助がつまらそうに

「メスのことだろ?」

と言ったら、善逸が

「バカバカバカ!

女の子は優しくて ふわふわしてて大事なものだぞ」

と大きな声で伊之助に言った。

伊之助は

「わかんねえし」

と吐くように言った。

オレはずっとずっと疑問があって

とうとう聞いてみた。

今しかないとも思った。

「しのぶさん、付き合うってなんですか?」

しのぶさんも善逸も

目を丸くしてオレを見た。

「稽古に付き合う。

食事に付き合う。

そして 先日読んだ書籍で 

好きな女の子に告白した後も

付き合う と言うって書いてました。

どこがどう違うのですか?」

しのぶさんが

「炭治郎くんは、すごい疑問を聞いてくるのねえ」

と困った顔をした。

善逸が慌てて

「ちょ・・・ちょっと!なにそれ?

付き合いたい女の子がいるの?ねえ?」

興奮してオレを見た。

オレが嘘をつくのがすごくヘタなのはみんな知ってた。

なので黙っていた。

きっと顔は赤いはずだ。

しのぶさんが う~んと上を向いていた。

「深く内容は聞かないけど

その時の口調とか表情かしら?

ちゃんと話せば 女の子は理解すると思うわ」

ほかの二人をチラリと見て

「伊之助くんは、まだまだ異性に興味ないようだけど・・・」

「今は闘うことが生きがいなんだ。興味ないね!」

と吐き捨てるような口調で言った。

「善逸君、質問ないの?」

善逸はオレを横目で見ながら

「なんか炭治郎の話で頭が真っ白になっちゃって」

「じゃあ 今日はここまで。

また しばらくしたら呼ぶわね。

そこの二人は質問とか考えてきてね」

 

藤の花の香りの部屋の中

帰ろうと立ち上がった時

「炭治郎くん」

しのぶさんに呼び止められた。

「がんばってね」

オレは大きな声で

「が、がんばってみます!」

しのぶさんはにっこりしていた。

 

分かれ道まで3人で歩いていた。

善逸が すごくうるさかった。

「炭治郎、さっきすごい心音だったぞ!

誰だよ~教えてくれよ!オレ達の仲だろ!?」

伊之助はあくびしていた。

善逸には特に嘘がバレるし絶対つきたくない。

困ったオレは

「じゃ またな!二人とも元気でまた会おう!」

と分かれ道まで走って別れた。

背後から

「この~~裏切者~~」

って声が聞こえた。

 

急いで走ったけど

もう夕方を超えて夜になりそうだ。

食事の準備しないと!

竹林の小道を抜けると義勇さんの家がある。

住み込みのオレも そこが家になるかな。

ガラっと扉を開けて 荒い息で

「すみません。遅くなりました!

今から 夕食を・・・」

お膳には ご飯とみそ汁と焼き魚が乗っていた。

義勇さんは夕飯に手をつけながら

「作っておいた」

と小さな声で言って 食べていたが

なんか雰囲気がおかしい。

急いで手を洗って 隊服のままお膳に着くと

焦げた魚

お焦げだらけのごはん

ぶつ切りにしたネギが入った薄そうなみそ汁が

オレの分もあった。

「料理は嫌いだ」

「いえっ!オレが来てから初めて作ってくれましたよね!

嬉しいです」

「そうか」

オレは思ったことを素直に言った。

ジャリジャリの魚がおいしく感じた。

義勇さんは なんでも出来そうだけど

実は 家事系は苦手なようだ。

羽織もガタガタに縫おうとしていたので

急いで代わった。

「お前は母親のようだな。

この前もすれ違った同期生から『おふくろ』って呼ばれてたな」

「あはは。母親ですか。

長男だったから 家事も手伝ってましたしね。

母さんほどには上達しなかったですけど」

義勇さんは

「すまない」

と小さい声で言って席を立って自室へ行ってしまった。

夕飯はずいぶん残っていた。

母さんのこと話したのがまずかったのかなぁ。

気を遣わせたかな。

作ってくれた夕飯をきれいに食べた。

 

義勇さんの部屋の隣にオレ用の部屋がある。

小さな机と小さな箪笥、

布団を敷いたら ほとんど隙間が無いくらい。

充分だ。

町へ出るときなどは着物で

寝るときは浴衣。

だいたいそんな感じだ。

大抵は隊服だけど。

隊服のまま隣の広い稽古場に向かった。

隊服は重い。

だからこそ着ていないといざという時に動けない。

恋柱さんのところで習った柔軟を充分にして

素振りを始めた。もちろん呼吸に気をつけながら。

朝食作る前と寝る前のこれは習慣になった。

 

数百回の素振りで汗がぼたぼたと出てきたころ

風呂の準備に入る。

義勇さんの部屋の前で正座で

「義勇さん お風呂沸きました」

毎回返事は無い。

義勇さんが風呂から出た気配がすると

それからオレの番だ。湯を抜くときに掃除もしておく。

浴衣に着替えてから義勇さんの部屋の前で正座して

「寝ます。失礼します」

もちろん返事は帰って来ない。

本当はここからがオレの大切な時間なのだ。

その時刻が来るまで

藤の家の書庫から借りてきた本を蝋燭の明かりの中

読んで時間をつぶす。勉強にもなるし。

そして頃合いが来た頃

部屋の襖の音を出さないように廊下に出て

またもや音を立てないように

義勇さんの部屋に行き

寝ている義勇さんの背中を軽くポンポン叩いて

子守唄を小さな声で歌って部屋に戻る。

義勇さんが仰向けで寝ているときは手を軽く握って歌う。

うんと小さな声で。

きれいな長髪が少し顔にかかっていて

月明りでますます綺麗に見える。

オレから なにかが溢れ出る。

また音を立てずに

自室に戻ってオレも眠る。

 

これを始めたのは ここへ来た当日からなので 

10日目くらいになるだろうか。

普段の渋い顔以外を見れるのが嬉しかった。

オレだけしか知らない顔。

誰も知らない義勇さんの顔。

 

初日、荷物を風呂敷二つ分に詰めて

「よろしくおねがいします!お世話になります」

と 道場に居た義勇の前でペコリと挨拶をした。

「部屋は奥」

木刀を持った手を止めずに振りながら

「修行は朝から夕方まで」

「わかりました!」

「今日は夕方だから食事と風呂だけでいい。

身体を休めとけ」

「はい!食事なにか作りますね!

オレ料理得意なんです。」

台所に行くと食材があまりない。う~ん・・・

大根とお米とタケノコ・・・

大根とタケノコは煮て、ご飯を炊こう。

「お待ちどうさまでした。

明日でも買い出しに行きますね」

義勇さんは お膳の横に一升瓶を置いて

大きめの湯飲みでお酒を飲んでいた。

確か空腹でお酒飲むと酔いが強いと聞いたけど・・・

煮物を口に入れて

「うまい」

と言いつつ またお酒をぐびりと飲んだ。

うまいと言ってくれたのは嬉しいんだけど

そんなにお酒を飲んだら危ないんじゃないかなぁ。

強いお酒の匂いでオレも鼻から酔いそうだった。

それから オレが居ないかのように

数杯ぐびりと飲んだ。

目が曇っていた。

オレが煮物を口に運んでいるとき

バタン!と義勇さんは倒れた。

お膳の横で横向きに倒れた。

寝息が聞こえたので

『やっぱり飲みすぎて寝ちゃったか・・・』

なにか布をかけなくちゃ・・・

でも探せなくて オレの上着をかけた。

ギリギリ夏で良かった。

 

11日目の深夜

また義勇さんのところへ向かった。

義勇さんは 横向きで寝ていて

こっちを背にしていた。

いつものように背中をポンとしようとしたら

義勇さんが 急に起き上がって

「お前は、深夜いつもなにをやってるんだ」

はっきりした声で言った。

気が付いていたんだ・・・

『柱だしな・・・』

「・・・覚えていないんですか?」

オレは手首をぐっと握られた。

握っている長髪の青年の顔をしっかり見た。

「お酒 初めてオレと会った日飲んで倒れましたよね?

あれから一回も飲んでいないですよね。

本当は滅多に飲まないんでしょう?」

義勇さんの顔がきつくなった

「だからなんだ」

「・・・それから 何を言ったか覚えていますか?」

 

義勇さんはしっかりとした口調で

オレの顔を初めて正面から見た。

今までは すぐ目を逸らしていたのに。

「全く覚えていない。」

 

その言葉に絶望した。

オレの顔が蒼白になったので

義勇さんは

「おい」

と声をかけた。手首に力が入った。

手首を振り払って その場から立ち去ろうとすると

義勇さんはすごい力でオレの腰に手を回して

自分の布団に寝かせた。

オレを組み敷く格好になった。

涙がぼろぼろと永遠に出るんじゃないかと思うくらい出た。

見られたくなかったので片腕で目を隠した。

肩が震えてしまう。

 

義勇さんは 乱れた長髪で

「言え!オレは何をお前に話したんだ?」

大声をだした。

「言うんだ!」

「・・・どいてください。すみません。」

オレは 義勇さんが師匠なのを忘れて

胸をドンと押して 走って自室に逃げた。

布団に臥せて

覚えてない・・・あんなに酔ってたんだから・・・

しょうがない

 

しょうがない

 

心の中では納得してても・・・

涙が出すぎて 横隔膜がひっくひっくと言ってしまう。

 

忘れないと・・・ 

 

忘れないと・・・

理解しろオレ!!

 

翌朝、豆腐の味噌汁に

そこの川で泳いでいた鮎を塩焼きにして

ごはんと一緒にお膳に出した。

「朝ごはん食べましょう!きっとおいしいはずですよ」

明るく言った。

隊服の義勇さんは

「ああ・・・」

といつも通りオレを見ずに食卓についた。

「今日は 柱会議だから昼食はいらない」

二人で食べ始めた。

「わかりました。夕飯は鮭と大根の煮物にしましょうか。

好物なんですよね?

そろそろ秋鮭も出回ってくるだろうし。

こちらにお世話になるとき、しのぶさんから聞きました。」

にこやかに笑ってみせた。

目が赤くなっているの 気づかれただろうか・・・

 

夕方 料理の下準備まで終わらせてから

急いで 竹林を走った。

オレは竹林に入る小道の入り口に立っていた。

ここは義勇さんとオレしか通らないから。

匂いで分かった。

若竹のような青い匂い。

「おかえりなさい!」

大きな声で出迎えると 義勇さんは驚いて立ち止まり

「なぜいるんだ」

オレは明るい声で

「お疲れかと思って。お出迎えくらいしかできないですが」

それから 二人で帰宅した。

と言っても義勇さんがスタスタ歩くので

後ろを早足で付いて言った。

「秋鮭ありましたよ。」

「そうか」

「じっくり煮込んでいたのでおいしいはずです」

「そうか」

「あ、ちゃんと基礎練習の稽古はしました」

「そうか」

竹林の道を少し距離を置いて 

背中に向かって話しかけた。

「えらく離れたところから話すんだな」

義勇さんが前を向いたまま言った。

オレは

「そうですか?」

それしか言わなかった。

言えなかった。

涙声になりそうだったから。

 

「どうですか?おいしいですか?」

義勇さんは黙々と食べながら

「うまい」

と返事したので にこりとしたら

「なぜ 無理して笑ってる

 なぜ 空元気に見せてる」

顔を上げて こっちを見た。

「夜 部屋に来い」

ここに来て、食事時の義勇さんが

私用でオレの顔を見たのは初めてだった。

食後の自主練習も終え 風呂に入った後

浴衣に着替えて

『突き飛ばしたことだよな。 怒られるかな。』

びくつきながら

「炭治郎です。入ります」

布団の上で義勇さんが胡坐をかいていて

「好きなように座ったらいい」

怒ってるのかな。

そういう匂いはしないけど・・・

「ただし オレの目の前にだ」

「・・・失礼します。」

布団の上に正座した。

オレが目の前に座ったのを確認した義勇さんは 

両手を布団に起き 頭をオレに下げた。

ものすごく驚いた。

「ちょ・・・ちょっと頭を上げてください!」

オロオロしていると

「すまない。

なぜ お前は昨晩あんなに泣いたのか、

オレは酔ったときに何かお前に言ったのか」

顔を上げて オレに詰め寄ってきた。

こんなに他人の顔を近くで見たことが無い。

綺麗な藍色の瞳にオレが映っていた。

「お前をそんなに傷つけたんだろうか?

話してくれ 頼む」

ちゃんと言わなきゃ・・・

「・・・お話します」

月明りの中、オレはゆっくり話し出した。

 

「義勇さんがお酒で倒れたんで

オレの羽織をかけようとしたんです。

すると 義勇さんはこっちを見て

オレのことを嫌いって言いました」

「!」

目が見開いていた。

「お前を見ているとイライラすると。

お前はオレがもっていないものを全部持っていると。」

 

どんどん顔色も悪くなっているのが

深い月明りの中でもわかった。

「もちろん オレは否定しました。

義勇さんには なにも叶わないと。

すると

お前は周りの友人や 柱たちにでさえ認められている。

そして それに答えるほど頑張っていてまぶしいと。

・・・それから

・・・錆人・・・錆人、オレはどうしたらいいんだ・・・

柱会議で孤立し、これからもずっと一人で生きていくのか。

苦しい・・・水柱なんてならなくてよかったのにと。

オレを見て

『どうせ お前もオレを除外して去っていくのだろう』

オレがどんなに首を振っても

寂しい・・・寂しい・・・とずっと呟いていました。

オレは義勇さんに言いました。

オレがいます!

例え 嫌われていてもオレはあなたが好きですと」

 

義勇さんから精気が消えていた。

「義勇さんが

酒の力を借りないとこんなに話せない自分も嫌いだと。

オレは貴方に何が出来ますか?

なんでもします。

2年前に助けてもらってから

貴方に会えるまで

ここまで頑張ってきました と本当のことを言いました。

一人が寂しいなら オレは一生ここに貴方と居ます。

義勇さんがオレを好きになるまでずっと待ちます。

これがオレの本心です。

義勇さんは

お前は普通の家族を作ったほうがいいと言いました。

オレは、じゃあ オレと家族になりましょう。男じゃダメですか?

と聞きました。

義勇さんは

・・・お前の事を嫌いと言うのは嘘だ。

本当は一人でいるオレに屈託なく話しかけてくる。

お前に独占欲が湧いてきたんだ・・・

お前が好きだ・・・ずっと一緒にいてくれと。

義勇さんはオレの手を握ったまま、寝てしまいました」

義勇さんは 自分の額に手を置いた。

「ここまでです」

「酔ったとはいえ支離滅裂だ。

迷惑かけたな」

だめだ また涙がなぜかこぼれる。

「オレはすごく嬉しかったんです!」

涙が止まらなくなってきた。

だめだ。泣くのはだめだ。

 

これじゃ 崖の下の小さな花は取れない。

 

義勇さんは 自分の浴衣の袖でオレの顔を拭いた。

オレはその手をを自分の顔に充てた。

義勇さんは今までにない優しい力でオレを布団に寝かせた。

昨晩のようにオレの上に組み敷いてきた。

困ったような笑っているような初めて見た表情をしていた。

「昨日みたいに突き飛ばさないでほしい」

「オレ、 オレ・・・本当に・・・貴方が好きなんです」

義勇さんの顔が近づいて来て オレの唇を自分の唇を塞いだ。

すぐに口を離して

「先に言っておく。

オレはお前のことがきらいじゃない」

「・・・好きってことでいいんですか?」

言葉が思いつかない。

これじゃ オレの弟たちと変わらない話し方だ。

「ああ」

「ずっとここに居てもいいんですか?」

「ああ」

安堵したけど まだ聞きたいこともある。

「師匠と弟子ということはわかっています。

夜だけでも こうやってお話してくれますか?」

「ああ」

オレは義勇さん顔をじっと見た。

 

「オレと付き合ってもらえるんですか?」

 

「・・・だれから そんな言葉を聞いた?」

「しのぶさんから

付き合うってのは ちゃんと告白して

好きな人とずっと一緒にいることだって

教えてもらいました。」

「好きです。大好きなんです。義勇さん

きっと最初に出会って、助けてくれた時からずっと。」

長い髪が顔に数束かかった顔に

「大好きの上は愛だって書籍に書いてありました。」

「愛しています。義勇さん」

義勇さんの顔がすごく赤くなった気がした。

ぱあっとすごく強い水仙の香りがしたから。

「オレはご存じの通り、気が長いほうではないのです。

義勇さんはオレの事 どう思っていますか?」

オレの顔に 水滴がぽたぽた落ちてきた。

義勇さんが泣いてた。

オレをぎゅっと抱きしめて

「オレみたいなのでいいのか。きっと後悔するぞ。

言葉足らずで表現も表情も乏しい」

と 小さな声で聞いてきた。

オレは大きな暖かい胸に顔を押し付けた。

「後悔なんか絶対しません。

一生 一緒にいます。

これを愛と呼ばないなら

なにを愛と呼べばいいのかわかりません

あなたの運命の相手ならオレでいいなら

あなたがどこへ行こうと付いていきます。

どうか愛してください」

オレの肩に顔を充てて義勇さんは泣いていた。

「そうか」

「ちゃんと言ってください。

オレは子供だから言葉が欲しいのです。お願いします。」

「オレも好きだ。愛しているよ。炭治郎。

きっとお前が運命の相手だ。」

 

やっと 崖に咲いている小さな花を摘むことができた。

 

唇を寄せてきたので

義勇さんの頭を今度は自分から顔を寄せた。

今度は長かった。

涎が口からだらりと出たがそんなのはどうでもよかった。

オレの涎を また自分の袖でやさしく拭きながら

「そうか。だから 竹林の先で待っていたのか。

柱会議が嫌いだと言ったから」

「これからもずっと待ちますよ」

「オレが寂しいと言ったから、夜中来ていたのか」

「明日からは 普通に行きます」

「オレはこんなにも鈍い・・・

礼さえ言わなかったな。許してくれ。」

義勇さんはオレをまたぎゅっとして

今まで誰も見せたことが無いような

悲しそうな顔をしていた。

「笑顔はオレにしか見せないでください。

今、気が付きました。オレも義勇さんを独占したいです。」

「そうか」

いろんなことで疲れてその場で寝てしまいそうなオレは

「・・・お願いします・・・今日の事は忘れないで・・・

義勇さ・・・」

義勇さんの手を握ったまま眠ってしまった。

 

朝 起きると自分の布団の中だった。

頭がしばらく真っ白だったが

いろいろ思い出して 勝手に顔が赤くなった。

夢じゃない・・・よな・・・

慌てて飛び起き

「すみません。朝食の準備遅れました。

朝稽古も 後からきちんとやります!」

隊服のボタンを閉めながらばたばたと早歩きで向かうと

また お膳に

焦げたごはんと 昨日の煮物と 

ちぎったネギが入ったみそ汁が乗っていた。

「作ってくださったんですか?」

「まずかろうが」

下を向いて食べ始めていた。

「いえ!うれしいです。また作ってもらえて」

「もう作らない」

「わかってます。今度から寝坊しないようにします。」

「お前のが一番うまい」

義勇さんの口角が上がっていた。

『どうしよう 抱きしめたくなった』

精神的にオレは15歳以下だと思う。

こんなことで心がはしゃぐなんて。

 

朝は、技の練習を繰り返した。

訓練の後、義勇さんが

「汗まみれの肌を水で流したら

着物着てこい。町へ行くぞ。

昼飯も蕎麦でも食べるか。」

「わ・・・わかりました。」

初めて誘われた。

これはきっと最初の一歩を義勇さんが

踏み出してくれたのがわかった。

着物にあわてて着替えると

玄関で義勇さんが待っていてくれた。

「あのっ・・・竹林の道はオレ達しか通りません。

手をつないじゃダメでしょうか?」

「わかった」

手を差し出してくれた。

その手を握って思わず顔に持って行って頬にくっつけたら

「動けない」

「だって 嬉しくって」

それから ぎゅっと手を握ってゆっくり歩いた。

ちゃんと歩幅を合わせてくれる。

「義勇さん 義勇さん」

「なんだ」

「オレ 嬉しくて泣きそうです」

ため息をついたように言われた。

「もうすぐ大通りだ 泣くな」

 

大通りに出たので手を離した。

急いで義勇さんの後ろを歩いた。

周りから見ると 師匠と弟子だ。

町は相変わらず人がごった返していた。

「先に蕎麦を食べるか」

「はいっ」

「何が食べたいか」

昔ならオレが

「すみません!ザルソバください!」

と勝手に決めていたけど

こうやって聞いてくれるんだ。

義勇さんと一緒に食べるのなら

なんでもいいんだけど

う~んと考えていたら

義勇さんが

「天ぷら蕎麦、冷えたの二つ」

注文してくれた。

「滅多に天ぷらは食べないだろう」

確かにオレは大量の油料理は作らない。危ないから。

豪華な食事に

「わあ」

と歓喜の声が出た。

義勇さんの口角が上がっていた。

「オレは薬屋に行ってくる」

「ついていきます」

「いやいい。お前は食材を」

「わかりました!先に戻っていてください」

「用事が終われば この辺に立ってる」

その返事だけでも飛び上がるくらい嬉しかった。

勝手に帰らないで居てくれる・・・

白米、砂糖、塩、醤油、酢・・・あとは・・・

たくさんの袋を下げて戻ると 義勇さんが待ってた。

「すみません。お待たせしました」

「少ししか待ってない」

まわりがじろじろ見るほどオレの姿は滑稽だったんだろう。

オレは平気だけど。

少し前まで大きな木箱を背中にしょってたんだし。

白米を首で結んで風呂敷で背中に下げて

両手に一升瓶数本や大袋を持っているオレの荷物を

片方黙って持ってくれた。

「オレ大丈夫ですよ。丸太3本持ち上げてますし」

「知ってる」

スタスタ歩き出したので あわててその背中を追いかけた。

大通りを抜けると二人っきりになった。

まだ竹林じゃないので手はつなげない。

誰もいない通り道で

「夢じゃないといいのになぁ。

どうか覚めませんように」

小さい声で思わず言ってしまったら

「夢じゃない」

前から聞こえてきた。

竹林に入ったので

手が空いたほうで つないだ。

「もしかしたら このために持ってくれていたんですか?」

「そうだ」

義勇さんの顔を見上げると 口角が上がっていた。

 

岩柱さんの稽古に行ったのはいいけど夜になってしまう。

夕飯、急がないと・・・

「ただいま戻りました!」

焦げた臭いがした。

「おかえり」

「また作ってくれたんですか!」

「まずいがな」

「そんなことないです!すごく嬉しいです!」

義勇さんは茶碗を置いてこっちを見た。

「付き合っている人にしか してはいけない気がする」

嬉しくて食事中の義勇さんの袖を思わず握ってしまった。

身体を傾けられた義勇さんが口角を上げた。

「メシが食えない」

「す・・・すみません」

 

「夜 部屋に来れるか?」

「もちろんです!」

オレは義勇さんの作ったご飯を食べ始めた。

うれしい!うれしい!

ああ、なにから話そうか。

「失礼します。炭治郎です」

「入れ。

あと 失礼しますはいらない」

布団に相変わらずあぐらを掻いていた。

オレは立ったまま下を向いてしまった。

「どうした」

「オレやっぱり義勇さんが大好きなんだなぁって。」

また 涙が出た。

義勇さんが

「こっちに来い」

布団をパンと叩いた。

目の前に座ったとたん 腕を引っ張られて

唇をこの前の夜のように充てられた。

両腕をオレの背中にぎゅっと回していた。

「なぜお前はすぐに泣くんだ?」

袖でまた拭かれてしまったが まだまだ出てくる。

「だって、あの夜や昼は夢だったんじゃないかと。」

「なにもかも覚えているぞ。」

オレから唇を充てた。

布団にやさしく寝かされた。

「もう我慢できない。

これからすることが嫌なら突き飛ばしてくれ」

「え・・・?」

オレの横に座り、オレの浴衣を脱がし外した。

義勇さんも脱ぎ始めた。

鍛え上げた身体が 暗い月明りの中うっすらと見えた。

オレの褌を脱がせようとしたので

流石に驚いて

「ま、待ってください」

その手を掴んだ。

「わかった」

先に義勇さんは自分の褌を外した。

「これでお前も恥ずかしくないか」

頷いたのは見えたのだろうか。

腰を浮かせて 外しやすいようにした。

 

オレは若い青年の裸を意識して見たことが無かった。

股間が起ってる。

ぬらぬらと透明の液が垂れて オレの腹につぅっと落ちた。

「そう見るな」

「すみません」

その時オレの下半身にに電流が走った。

義勇さんが横にしゃがんでオレの股間をゆっくりつかんだ。

「ここを擦った事は無いのか?」

「は・・・はい」

「・・・そうか」

ゆっくり摩られるたび股間に血が集まるのがわかった。

「オレと一緒になったな」

真っ赤になったオレの顔に頬を摺り寄せてきた。

「好きな人の事を思ったり、行為をするとこうなる」

オレのも透明のぬるぬるしたのが出てきた。

初めての感覚で身体が震えた。

「こ、怖いです。義勇さん」

「任せておけばいい。

力が入りそうなら オレの背中を掴んでおけ」

義勇さんの広い背中を強くつかんでしまった。

ずっと摩られてて なにかが出そうな気配がした。

「手を離してください!」

背中をぎゅっとつかんだまま大きな声が出た。

「なにか出そうなんです。

義勇さんの手を汚してしまいそうなんです!」

耳元で

「出してしまえ」

甘いその声で 目の前が真っ白になって

どくっと何かが出たもので義勇さんの手のひらを汚してしまった。

白いぬるっとした液体。

肩で息をした。

「オレは病気なのでしょうか・・・」

「ちがう。オレも出る」

その出たものを 

義勇さんはペロリと舐めた。

「き・・・汚いですよ」

「愛している人に汚いものはなにも無い。

初めてだったなら尚更愛しいな」

ああ 愛してると自然に言ってくれている。

「オレは何をしたらいいですか?」

義勇さんの固い股間を寝たまま握った。

横に座った義勇さんも ピクリと肩を震わせた。

「大きくて固い・・・義勇さんの」

義勇さんの股間を優しく擦った。

「嫌ならやめたほうがいい」

「嫌じゃありません」

オレは起き上がって 義勇さんの上に乗る形にした。

その固い股間にほほを摺り寄せた。

義勇さんの濃い匂いがする。

それから 舐め始めた。

飴を舐めるように。

義勇さんの身体がビクっとした。

「愛している人のものが全部ほしいのはオレも一緒です」

「初めてはオレも同じだ」

舐めながら聞いていた。

「自分の手で擦って 自分で出していた。」

振り向いて

「誰かとしたことないのですか?」

思わず聞いてしまった。

口角を上げた義勇さんが

「ああ。好きとか愛していると言ってくれた人は

いなかったからな」

また 口に持って行こうとすると

「口に入るか?」

小さな声で聞かれた。

大きい股間を口に含むと

『大きい・・・でも大丈夫だ』

こんな大きなものを口に入れたのは初めてだ。

義勇さんは

「・・・動かせるか?」

と息荒く頼んできた。

上に乗っているオレの太ももをぎゅっと握った。

両手で根本が動かないようにやさしく握って

ゆっくり口を上下に動かした。

少し動きを速めると 喘ぎ声が大きくなった。

口の中で舌も動かしながら動きを速めた。

「炭治郎・・・そんなに激しいと・・・」

義勇さんがオレの太ももを強めにつかんだ。

そのとたん口の中にあたたかい液体がどっと入ってきた。

口からあふれてしまう前に ごくりと飲んだ。

「すまない」

義勇さんは髪を乱したまま

「飲まなくて良かったのに」

オレは義勇さんの上から降りて

息を整えて寝ている義勇さんの横に座った。

「義勇さん気持ちよかったですか?」

義勇さんはオレの頬に手を充てて

「ああものすごくな。」

「よかった。オレにも出来ることがあったんですね」

 

十五歳と二十一歳だ。

まだまだ体力も精力もある。

布団の上に二人とも座って

お互いの再び持ち上がった股間を触りあった。

快感で頭がまたぼうっとする。

どっちも股間の先から透明な液がたくさん出ていた。

「義勇さん また出そうです」

身体が震えてきた。

義勇さんがそっと手を放してゆっくり立ち上がったので

自然と股間から手が離れた。

義勇さんは棚から軟膏を出してきた。

「傷薬用だが これで痛みも減るはずだ」

「もしかして これを薬屋で・・・」

下を向いた義勇さんが言った。

「優しくするから おとなしくしていてくれないか?」

「オレはなにをされても・・・」

顔を見上げると今度は 眉毛をハの字にしていた。

「オレはなにをされても大丈夫ですから!

そういう顔しないで・・・」

義勇さんは長い髪をかき上げながら

口角を上げて見せた。

「仰向けに寝れるか?」

もちろん布団の上に寝た。

股間が起っているのが恥ずかしかった。

義勇さんがオレの股の間に割って入ってきた。

「足 開いてもきつくないか?」

「はい 大丈夫です」

「そうか」

軟膏の蓋を開けた。

オレの片足を自分の肩に乗せた。

この体勢は疑問だったけど すぐわかった。

軟膏をオレの肛門にたくさん塗りつけた。

驚いてびくっとなった。

「汚いですよ。そこは・・・」

「愛している人に汚いものは無い」

肩に乗せているオレの足に唇を充てた。

肛門の周りをずっと円を書くように撫でていた。

なんとも言えない感覚で 体がぞくぞくとした。

「・・・やだ・・・あ・・・」

「股間は喜んでいる」

確かにオレの股間から白い液が

だらだらとだらしなく出ていた。

「・・・どうして」

「愛している人にされているから・・・じゃないのか」

薄暗い月明りの中 義勇さんは口角を上げたのが見えた。

「そうです・・・ね・・・ああ また出ちゃいます」

何度も頭に光が走り 液が出てしまう。

この身体はどうかなってしまったんだろうか。

「・・・もっと愛してもらってもいいか」

オレは何度も目を閉じたまま頷いた。

「お前の赤い瞳がきれいで好きなんだ。目を閉じるな」

目を開けると足の間に座っている義勇さんが

オレを見ていた。

藍色の瞳が月で青く見えてきれいだった。  

 

口角を上げた義勇さんが

「こういう笑いかたしか まだ出来ないな

・・・練習しているんだが」

 

口角を上げているときは

義勇さんが嬉しかった時なのか。

「いいえいいえ、その顔オレにだけにください!

全部ください!」

なにかがオレの中に入ってきた。指だ。

義勇さんがオレの反応を見ながら

修行で荒れている太い指を穴に入れてきた。

そしてゆっくりとかき回してきた。不思議な感覚がした。

痛いような、気持ちがいいような・・・初めての・・・

「・・・ぎ・・・ゆ」

軟膏を指にさらに塗り付けたようで

二本に増やされたとき オレの身体が跳ねた。

奥の壁を慎重に探られた時、

「あ!」

股間から白いものがびゅるっと出た。

「そこか 書物通りだ」

指をゆっくり抜いた。

オレが大きく息をしようとした瞬間

ぐっと大きな固いものがねじ込まれた。

木刀の柄より硬くて・・・

「つらいか?」

痛いけど 首を振った。

「すまない。無理させてしまうな」

その固いものは穴に入ったとたん

びゅるっと熱い液を出してしまった。

肛門から熱いものがだらりと出るのがわかった。

「入ったとたんに出てしまったな。

炭治郎の中はきつくて気持ち良すぎる」

すぐに固くなったものは

義勇さんから出たもので再び中に進んだ

滑りがよくなって 痛みに慣れてきた。

どんどん奥に入って さっきの場所を見つけると

そこに強くぶつけてきた。

「やあ・・・あ・・・」

なにもかもわからなくなって叫ぶように

「愛しています 義勇さん。

貴方が好きなようにしてください!」

オレの股間からどろどろと液が漏れて

もう液が出なくなっているのに

身体は反応しっぱなしだった。

 

「愛しているよ 炭治郎。ずっとだ。

ずっと一緒に居よう」

義勇さんの汗がオレの腹に落ちてくる。

腰の動きがもっと激しくなった。

オレはずっと痙攣しっぱなしだった。

「お・・・しっこ・・・」

とうとうオレは快感からの尿を漏らしてしまった。

ぶしゅぶしゅと・・・

腰は動きを止めない。

「ぎ・・・ゆ・・・あい・・・してま・・・」

口も上手く動かなくなった。

そして内臓に凄い量の熱いものが噴き出たのが

わかった瞬間 気絶してしまった。

 

「大好きだ。愛してるよ炭治郎」

 

 




目が覚めると
「起きたか」
義勇さんがオレに膝枕をしていた。
浴衣を綺麗に着せられていた。
身体も拭いてもらったようだ。
「すみません。」
起きようとしたらいろんな部分が痛くて
パタンと義勇さんの膝枕に身体を預けるハメになってしまった。
「無理させたな」
「いいえ、愛してるってたくさん言ってもらえて・・・」
「いつでも言う」
義勇さんは口角を上げながら
オレの顔に唇を重ねた。

「愛しているよ。炭治郎。」
オレは義勇さんの胸に顔を押し付けて泣いてしまった。
「本当にお前は泣き虫だな」
「幸せが怖いんです・・・」
「ばかだな」
暗い月明りにオレの小さな泣き声が響いた。

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