※この作品はR-18です。

約束された別れまで   作:風剣

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自分に一目惚れしたスーパーウルク人の精力に完敗するアナちゃんを見たかっただけ


はじまりは突然に

 燦燦と、気持ちよく晴れ渡る日のことだった。

 人々が見守るなか、華奢な体躯に黒の外套を纏う少女の前に、一人の少年が傅く。

 

「アナちゃん! どうか俺と──結婚してくれはしないだろうか!!」

 

「……え?」

 

 高らかに。晴れやかに。

 己に向け花束を差し出し、輝くような笑顔を向けて求婚をする、年相応のあどけなさを残しながらも一端の戦士らしい精悍さを宿した少年に、アナは――メドゥーサは、その宝石が如き紫紺の瞳を限界まで見開いて、疑問の声を絞り出した。

 

「……え?」

 

「一目惚れだった! 結婚して欲しい! してくれ!! もし君がこの拙い求婚に頷いてくれるのならば、俺はあの天の鎖にも、否真の災厄の顕現たる熾天の神牛にさえも立ち向かって見せよう!!」

 

「……ぃや、あの、えっっっと……!?」

 

 ぶつけられた言葉には一欠片の悪意もない、人のいいウルクの住民たちからたびたび受け取りつつも、未だ慣れることのない純然たる好意の塊に、足場の尽くが抜け落ちたような混乱に見舞われる。困り果てて眼前の少年から目を逸らし、助けを求めるように視線を彷徨わせて──この場が、人理最古の文明を支える城塞都市の、人々の行き交う街路のど真ん中であることを今更ながらに認識する。

 具体的には、ものすごく悪目立ちしてしまっていた。露店を営む主人は揶揄うように口笛を吹き、立ち話をしていた婦人たちはまあまあまあと微笑みながらたじろぐ少女とぴくりとも動かず彼女を見つめる少年の様子を見守る。おそらくは少年の同僚であろう筋肉質な男たちが杯を片腕に「やるじゃあねえか!」「はははは!度胸見せたなあヨアン!」と少年に喝采を飛ばし、雑踏のなかからようやく見つけ出した人類最後のマスターは、なんだかものすごく生温かい視線でこちらを見つめてきていた。その隣に控えるマシュに至っては頬を染め両の手を覆い、憧れるような目でこちらを見ている。

 集中砲火するように突き刺さる数多の視線、狼狽え目深に被ったフードから露出した頬を真っ赤に染め――アナは、逃げ出した。

 目にもとまらぬ速さで振るった鎖で縛りつけた少年を拉致して、全速でその場から逃げ出す。

 

『アナさーーん!?』『駆け落ちか、駆け落ちなのか!?』『幸せになれよーー!』

 

「――――!??!」

 

「うぉおおおおおお!!??」

 

 突然身動きできなくなったかと思えば想定をぶち抜く少女の膂力に何もできずに連れ去られ絶叫する少年を連れての逃避行。

 屋根を飛び越え壁を踏み宙を駆け……ウルクを走り去るアナの暴走は、顔を青白くさせ静かになった少年に気付いた彼女が落ち着きを取り戻すまで続いた。

 

 

 

 

 

「その、本当に、すいません……」

 

「いやいや気にしないでいいよ、勢いのままにあのような場で求婚したこちらにも非はあるさ」

 

「本当に勢いだったんですか……」

 

 基本的に防衛や守衛などの任務、鍛錬に出るとき以外にウルクの兵士が暑苦しい鎧を身に纏うことはないのだろう。レオニダスブートキャンプや魔獣相手の防衛戦線を中心に鍛えられた肉体を惜しみなくさらす少年は、きつく巻きついた鎖の痕を気にする素振りを見せながらも頭を下げるアナに朗らかな笑顔で応じた。

 

「んーでも今なんとなく思っただけどさあ。人気のない場所に呼び出して求婚したとしても絶対君は警戒したんじゃないかなと思うんだよなあ。露骨に不審だし、怪しいし。妹にもしそんなことやらかす男がいたら俺だってキレる自信があるし。もしかしてあれが一番の最適解だったんじゃあ……」

 

「……言いたいことはわかりますけれど、少なくともあれが一番の正解だったとはとても思えないし思いたくないです」

 

「うーん求婚って難しいなあ……」

 

 逃走し混乱し迷走し、辿り着いたのはカルデア大使館――ではない。

 だってあのような無様を晒してしまって、どの顔をしてマシュやマスター……藤丸立香に会いにいけというのだ。サーヴァントの膂力に振り回され目を回した少年を路上に捨て去る訳にもいかず、途方に暮れたアナに声をかけ意識を取り戻した少年――ヨアンと名乗ったウルクの若い戦士が誘導したのは、彼の住まう家だった。

 ……なにかしらの作意を感じないでもないが。少なくともカルデア大使館を除いてアナには居場所が存在しない。それに――求婚を受け動揺し物理的に振り回してしまったこと以外にも、アナには少年に対する負い目というものがあった。

 

「……その、すいませんでした。折角、花を贈ってくださったのに……」

 

「ん? あぁ……うん。それはまあ、気にしないでいいよ。俺の力不足だった」

 

 食卓の上に乗せられた花束──見る影もなく花びらの散り、弱々しく垂れ落ちたその姿に居たたまれなくなりながら肩を竦める。残念ではあるが、花束を庇いきれなかったこちらにも責はあると微笑むのに申し訳ないと頭を下げた。

 

「……んー、でもそうだな。アナちゃんさえ良ければ、また花を買うのに付き合ってくれないかな?君の好みも知っておきたいし、お近づきになれるのなら尚良い」

 

「……そう、ですね。別に花に関して特別な好き嫌いがある訳ではありません、が……それで、貴方が満足してくれるのならば」

 

「ん、それは良かった。別に俺は今日でも構わないけれど……どうしたものかな。ああも悪目立ちしてしまったからなあ」

 

「……あんな衆目のなかで、辱めるだなんて」

 

 言い方に悪意を感じる……。頬を染めぷいとそっぽを向くアナの様子に苦笑を浮かべたヨアンは、求婚に対しそっけなくあしらわれるか手酷く振られることもありえた少女と再び一緒にすごすことができる言質をとれたことに内心で歓喜に満ち満ちた喝采をあげる。うっかり外面に胸中をかき乱す歓喜を表してしまわないよう注意をはらいつつも、アナを案内しての帰路で購入した果実をにこやかに振舞った。

 

「それにしても、アナちゃんは……カルデア、大使館? 最近ウルクで様々な依頼を請け負っているという人たちと一緒に暮らしているんだろう、そちらに戻らなくて大丈夫なのかい? 心配されているのかもしれないぞ」

 

「……」

 

「…………いや、うん。帰りづらいという気持ちはわかる、衝動のままに衆目のなか求婚した俺にも多少の非はあるのは認めるが、むぅ。求婚の返事も貰えてないのに、君のような娘をこの家に拘束するというのもなあ……」

 

「求婚、には、応えられません。だって私は、人間じゃあ――」

 

「知ってるとも」

 

 ――解ってるさ。

 そっと、手を伸ばす。眼前の少女の被るフードをまくると露わになったのは、確かな幼さを有しながらも成長すればそれこそ女神にも勝るとも劣らぬ美貌となるだろう整った顔立ちと、油断すればそのまま吸い込まれてしまいそうな神秘的な輝きをもつ宝石の瞳だ。フードを剥がされながらも抵抗する素振りを見せず目を丸くしたアナに、胸中の熱を吐き出すように嘆息する。

 

「家族をぶち殺されてからは必死に、必死に、それこそ何も考えずに済むように無心で鍛錬と兵務をこなし続けていたんだけれどなあ……それでこれだ。我ながら随分と厄介な性質をしてると思うよ」

 

 女の趣味は決しておかしくないと断言できるけどな。アナちゃんは可愛い、凄く可愛い、結婚したい。満面の笑みでそう言い放つ彼に、つい渋面を浮かべてしまいつつも……アナは、彼の言葉をどう受け取るべきか判じかねてた。

 向けられる感情が悪意でも害意でもない以上は、無下にするのも憚れた。けれど自分はサーヴァントであり、己の全てを賭けてでも刺し違えなければいない存在もいる。軽率にウルクの住民であるヨアンの言葉に応えることも、できなくて――それでも、彼の想いに応えたいという感情は、否定しきれなかった。

 

「……結婚は、できません。本当に、ごめんなさい」

 

「…………うん。それもそうだ、すまな――」

 

「でも」

「貴方の言葉は、想いは。決して嫌なものではなかった、です」

「結婚は、できません。でも、貴方さえ、よければ」

「私が、ウルクにいる間――カルデアの皆さんのお手伝いがない時は、ヨアンさんの傍に居させてもらっても、良いですか」

 

「……」

「………………………………」

「――――はっっっ、喜んで!!!!!! 物凄く嬉しいよ、ありがとう!!!!」

 

 上目遣いだった。悩まし気に潤んだ目を揺らしての、己の想いを受け入れてくれる言葉だった。

 心臓をディンギルに穿たれたような衝撃から復帰しての大声にびくりと肩を揺らしたアナの両手を握りぶんぶんと振る。

 

「よっしゃあ……! やばいな、すごく嬉しい! 今すぐ酒場に行って嫁ができたって自慢したいけれどそれじゃあ駄目なんだよなあああああ糞! ああやばい幸せだ! ぜんぶ報われた気がしてる!!」

「あ、あのっ、えっと」

「何て説明すれば良いんだろうかこれは、愛人……愛人でいいのか……?いやそれだと話が拗れそうな気がするなあ、いや待てよ普通に恋人で、あっビリスたちにも教えないとな……!? あ、アナちゃん本当にありがとう! 何か困ったことがあれば何でも言ってくれよ! 俺にできることならなんでもするからな!!」

「……ふふっ」

 

 

「……はい。よろしく、お願いしますね」

 

 

 

 一度2人はヨナン宅から出ると別れ、再び家で落ち合う運びとなった。

 ヨナンは彼を応援してくれたという同僚たちへの報告と相談、アナはカルデア大使館に戻っての状況報告。

 とはいえ未だカルデアのマスターとデミ・サーヴァントの少女に対しどのような顔で会えばいいのかわからなかったこともあり、人目を忍んでの隠密行動である。物音ひとつたてることなくマスターに英雄王から宛がわれた家屋に忍び込んだ彼女は、下手な隠し事は逆効果でしかないと苦渋の末受け入れ――それでもマスターたちに直接会う気にはどうしてもなれず――暫く求婚してきた戦士の家に滞在する旨と、ヨアンの住居の所在について記した書置きを残して立ち去る。

 立ち去ろうとしていた。

 

「やあアナ、ヨアン君の人となりはどうぉおおおお危ないなあっ!?」

「――」

 

 このウルクに召喚されてからの度重なる戦闘を経て、最も疾く、鋭く、重い、放った側であったアナですら驚くほどに完成された一撃。

 頸を刈り取らんと迫った鎌を冷や汗を流しながら回避したマーリンに、声を認識するよりも早く反射的に刃を振るってしまったアナは一瞬の硬直のあと、動揺を押し隠すようにして冷徹の仮面を形作る。

 というかいつの間にか鎖でグランド糞野郎を雁字搦めに縛り付けてしまっていた。自分でもどうやってこの掴みどころのない放蕩魔術師を捕らえられたのか思い出せないが、まあそれならそれで都合がいいと鎌の刃先でついついとマーリンの頸をつっつく。

 

「マーリン……全て、貴方の差し金だったんですか」

 

「え待って僕拘束されたの? 何があったのか全然わからなかったんだけど。……いやあアナがここまで強かっただなんてスカウトした側としては鼻が高いなあこれはシドゥリ祭祀長や英雄王から特別な褒賞もいたいいたいごめんって」

 

 手を上げて降参――しようとしてもがっちり鎖が巻きついてできないので肩を竦めたマーリンだったが、アナにそのジェスチャーは伝わらなかった。

 鎖に囚われたうえで転がされ、げしげしと頭を蹴っては話を聞かせろさもなくば殺すと目で雄弁に語るアナに弱り果てたように苦笑を浮かべ、マーリンは白状する。

 

「いや、君もまだ警戒を残していたこともあってウルクに馴染めていなかっただろう? せっかく善き人ばかりの良い街だというのにそれではもったいないと思っていたタイミングで、良い具合の感情を感じ取ってね。君に特別な想いを抱いていたヨアンくんに声をかけて相談に乗っていたんだよ、別に変な知識や情操を植え付けたりはしていないよ? そりゃあそっと背中を押しはしていたけれど、あくまで彼の意思さ、僕も花束を購入してから真っすぐ求婚に向かうとは思っていなかったけれど、まあ――」

 

 その様子なら彼の想いは実ったようでなによりだよ、とにこにこしながら微笑みかけてくるマーリンを真っ赤になった顔で睨みつけるアナは、魔術師を縛り付ける鎖を握る手にあらんかぎりの力をこめて――莫大な衝撃とともに響いた鈍い音が、周辺の家屋を揺らした。

 

 

 

 

 

「……」

 

 結局、自身の発した物音によって様子を見に出てきた藤丸立香やマシュ・キリエライトに捕まってしまいどこか浮足立ったような調子で逃走してからの話を追求され――マシュに至っては話を聞くたびに頬を赤く染め憧れるような目を向けてくるのが凄く居心地が悪かった――ようやくアナがカルデア大使館を抜け出すことができた時には、既に日は沈み月が天に昇っていた。

 おのれマーリン……。

 割りと本気で頸を刈り取ろうとしたときのマーリンの言葉を、月を見上げながら思い出す。

 

 

 事態が動くまでに、まだ時間はある――彼はきっかけだ。君はこの都市での暮らしを存分に満喫するといいさ――。

 彼の人格は保証するよ? この僕が言うんだ間違いないとも――。

 

 

 笑顔たっぷりにそう言い残し、花吹雪を散らしてアナの拘束を抜け姿を消した魔術師。

 どうしたものかと重い息を吐く。いや今更あとには引けない以上、無様に抵抗したり強引に距離をとるつもりもないのだが――、いや、でもマーリンは許さない。シスベシフォーウ。

 次マーリンに遭ったら必ず殴ると決めつつ、暫くはお世話になることだろう家屋に向かう。

 朗らかな笑い声と焼けた肉の匂い。怒号と口笛、乾杯の音頭。

 イメージトレーニングでマーリンを殴り倒しながら昼の喧騒とはまた違う都市の姿を見せる街路を歩き、ヨアンの家に辿り着く。

 

「……失礼、します」

 

 そっと、家屋の中に足を踏み入れると――仄かな明かりを灯すランタンを乗せた食卓に上体を預けるようにして眠る、少年の姿があった。

 

「……ヨアン、さん」

 

「ん……、――あぁ、アナちゃん、か」

 

 てっきり意識もすっかり落ちているものと見えたが、比較浅い眠りだったのだろう。小さな呼びかけに軽く頭を動かした彼は、己に近づく少女に気付くと口元を緩めて笑いかけた。

 彼から漂う酒の臭いに軽く眉を寄せたアナは一度ヨアンに背を向けガサガサと家屋に保存されている食糧を漁っていたが、少しすると井戸から汲んだ水を貯めこむ壺から注いだのか、なみなみと水の注がれた杯をもってきていた。

 ありがたく受け取って一息で飲み干すと、酔いに赤らんだ顔を見とがめてか少女が胡乱な目つきになる。

 

「ん、ありがとう。いやあビリスたちに盛大に祝われてなあ。途中から現れた魔術師さまにまで奢って貰って、随分と飲んで騒いで……楽しかったなあ」

 

 ……マーリン。のらりくらりと逃げおおせた後は自分がマシュたちに拘束されている間散々遊び呆けていたのだろうロクデナシを思い浮かべ苛立ちに柳眉を歪めるが、苛立ちをここでぶつける訳にもいかない。首を振り思い浮かべた夢魔の姿を脳裏から追い出すと、楽しそうに笑うヨアンに目線を向ける。

 

「……もしかして、一度別れてからずっと飲んでいたんですか」

 

「まさか、休暇だからといってそこまで羽目を外しはしないよ。……本来ならね? ここまで飲んだのは久々だなあ。他の男たちと比べればたいした量でもないけど……いやそんな顔しないでいいって。明日急に防衛戦に呼び出されたとしても、十全に動ける程度には控えたさ」

 

「どうだか……疑わしいものですね」

 

 大丈夫大丈夫と立ち上がって歩き回るヨアンに近寄って様子を見守るが……寝起き、それも仲間たちとの宴会後にしては確かにしっかりとした足取りだった。

 それなら大丈夫ですね、そう口にしようとして――身を寄せたヨアンに抱き寄せられ、すっぽりと腕の中に華奢な身体を収めた。

 

「アナ――」

 

 がっしりとした腕の中で少年を見上げると、そこにあったのは気遣いの色を残しながらも――ギラギラと燃える、情欲の色。

 

「本当に、良いんだな?」

 

 今更、何のことかとは聞かない。

 そして答えは……沈黙と、小さな首肯だった。

 手をやり、フードをずらして露わになったアナの顔を暫し見つめたヨアンは――そのまま少女の唇を己のそれで塞いだ。

 

 ――大元が神性であり、今の霊基がそれに著しく寄った状態であるとはいえ。彼女の本性はあくまで魔に属す者だ。

 いずれ墜ちる者としての霊基が囁く。もう後戻りはできないと。お前という異形は、後から在り様を元に戻せるような存在ではないと。

 

 でも――それで、良いのだ。

 

「ん……」

 

 己を軽々と抱き上げ寝台へと向かう少年の顔を見上げ、アナは軽く目を瞬き、そして――小さく、微笑を浮かべる。

 

(ああ、でも。純粋な善意を向けられるよりは――こういう、どうしようもない獣染みた情欲を向けられる方が、分かりやすくて良いですね)

 

 人の善性は尊いものだと理解はしているが、まだ不慣れだ。このくらいの濁りが丁度いい――。

 そんな、月明かりが差し込む寝室での一抹の思考。

 

 それを少女が本気で否定し後悔することになるのは、数時間後のことだった。

 

 

 

 

 

『んっ……いや、大丈夫、です』

『んっ、ふっ、ふぅ……』

『あ、あの、胸が大きい方が好きと言う訳ではっ、ないんですか……? ひゃっ。あまり、触られると……』

『うっ……! す、すいません噛んじゃって――ひゃっ!?』

『あっ、やっ……! ~~~~~~~ッッ!!!!』

『ま、待って――、っ、そこはあっ』

『っ……けほっ。こんなに出したのに、まだ――むぐっ!?』

『あ、っ――!やぁ、もう入らなっ。ひぁっ、やめ』

『ちから、つよ……お願っ、まっ、待って――』

『そん、な吸精までしたのに……!? やっ、あっ。まって』

『やぁ……! また、なかに……!? あっ――』

『待ってっ、て……なんど、も』

『まだ収まらないんですか……? 待ってください、お願いですから。少し、休ませて――』

『………………ケダモノ……』

『えっ、なんでまた勃って――』

 

 翌日の朝。

 寝台の上で力なく白濁に濡れた肢体を投げ出すアナは、蕩けた眼差しで隣で眠る少年を見つめ――数刻後身体を清める場の確保に、奔走することとなる。

 

 

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