『……!』
『ひぁっっ、や、んん! ぉく、まで……、あっ届いて……! っっっ!』
夜の帳が落ちて数刻が過ぎるも、日もまだ姿を見せる兆しの見えない昼の喧騒が嘘のように静まり返った暗がり。
突如現れた魔獣の大群を前に絶対魔獣戦線を築き、ひとつの文明を滅ぼすに足る災厄を前に立ち向かわんとするウルク。英雄王の采配を中心に既存の機構を時代を数世代先取りした発想と技術で塗り替えつつある都市の外れにある家屋――そこに、二人はいた。
窓から差し込む月明かりも乏しく視界の確保も難しいなか、剛直を叩きつけられるたびに寝台を軋ませ腰をよがらせる少女の肢体を少年が貪る様子はさながら獣のようで――。むき出しになった情欲を一身に浴びる少女もまた、身体の中心を穿つ衝撃と快楽に翻弄されながらも己に向けられる熱をよりつよく受け止められるように身をくねらせていじらしく少年を求める。
「ん、んんっ、はあ、はぅ、はあ……! ぐりぐりって、そんなにしちゃあ、やぁ……! また、イッ、ちゃって……、ふあ……!!」
「ッッ、本当に、これは――」
たまらない。そう小さく、理性の抜け落ちた頭で言葉をこぼす。精の絞り方というものでも覚えたのか――誘いこみ、締めつけ、擦りあげる。ヨアンを受け止める肉壺によって齎される快楽は、気を抜けば即座にでも達してしまえるだろうと判断するに足る途方もないものだった。
悦楽の宴は、日が沈んでからずっと続いていた。幾度精を吐き出したかも、10を越してから数えてはいない。
度重なる愛撫と交合を経てすっかり蕩けた秘所ではあるが、アナの身体の小ささもあってヨアンの強直を動かすにはやや膣内が狭い――幾たびものの交わりを経てぽたぽたと腿から体液を滴らせるすらりとした脚を割り開き、無防備に曝け出された膣を猛りのままに貫き、愛液と精を接合部から滴らせながら一心不乱に腰を動かし抽挿を繰り返す。暗闇の中、幼い肢体を貫かれるたびに身体を跳ね上げさせる少女は紫紺の瞳から雫を散らしながら声にならない悲鳴をあげ――突き上げられた怒張が弱いところを穿ったのか、華奢な体躯を弓なりに反らしてびくびくと震わせた。
「っ、ァ、アぁ――――、ひゃ!?」
束の間の忘我。絶頂の最中で濡れた瞳から涙を滴らせ、熱い息を唾液の零れる口元から吐き出して。割り開かれた脚を痙攣させていたアナが力を抜いた瞬間、先までのそれから欠片の衰えを見せぬ勢いで怒張を打ちつけられ嬌声を漏らした。
「や、ぁ、ああ、アッ、あ、っ。ッ、ま――」
「ぬっっ……っ、最高だ、アナ……中にっ、出すぞ……!」
絶頂の余韻から覚めることもままならずに浴びた衝撃と快楽。幼い肢体を貪る制止の言葉を絞り出すこともできぬまま総身を震わせる。簡素な寝台に敷かれた毛皮や麻布をぼたぼたと滴り落ちる体液で濡らし、休む間もなく幾度ものの性交と絶頂を果たしほとんど意識が残っていないにも関わらず男の獣欲を受け止めるように腰を振るアナに、ヨアンもまた溢れんばかりの昂ぶりのままに愛おしい少女の最奥に精をぶちまける。
「っ、ッ~~~~~~……おなかの、ぉくで。どくどく…………して…………」
「―‐」
煽情的に濡れ誘うように引き攣る肢体、過剰な快楽を浴び蕩けるように濁った紫紺の瞳。交わりを経て性器に収まりきらなくなった精液を溢れさせながら譫言をこぼす姿に、再度吐精したばかりの肉棒を膨らませそうになるが……これ以上は朝に響く。辛うじて残る理性を総動員し、己と繋がる肉壺から怒張を引き抜き――胎の奥からいなくなるのを引き留めるように怒張に吸い付いた膣の様子と引き抜いた際に震えた少女の小さな嬌声にどうにか鎮めた筈の肉欲が爆発しかけるのを堪えながら――ずぶぬれになった毛皮を気に留めることなく寝台に寝転がると、隣でその身を横たえるどちらのものかもはっきりしない体液に濡れた少女をそっとかき抱いて未だに熱い吐息を漏らす少女の横顔を見やる。
夢みたいだと、そう小さく呟いた。
「……?」
「――いや、なんでもないよ」
腕の中で、半ば意識を朦朧とさせながらもその言葉に反応したアナの頭を撫でて、情欲を鎮めるなり襲い掛かってきた睡魔に従いながら瞼を閉じる。毎度のようにこうした夜の営みをするようになって体内時計が狂い始めてきた自覚はあるが……長年の習慣は伊達ではない。日が昇り始めた頃には確実に目を覚ませる自信があった。
――微睡みの中。腕の中に抱く温もりを噛みしめながら、想う。
叶うならば――この幸せな時間が、ずっと続けば良いのに、と。
***
「──で、最近どうなんだよ」
消毒の備え。近頃戦線で目撃されるようになった
どうって? ぐつぐつと鍋の中を煮えたぎらせる燃え盛る炎。火花の散るなか投げ掛けられた問いに、おいおいしらばっくれることはないだろうと笑う同僚ムジクに──ああアナのことかと、半ば呆けながら聞き流していた言葉にヨアンが目を瞬かせる。
「あぁ、そうだな、うん。――幸せだ。本当に、幸せだよ」
──2人が一緒に暮らすようになってから、既に一週間が過ぎようとしていた。
最初の1日を、夜の帳が落ちてから日が真上に昇るまで延々とアナの肢体を貪って過ごし。休暇の日は食い犯し眠りであらゆる欲求を心ゆくまで満たしながら過ごし、兵務についた日には眠り食い鍛錬し働き帰り犯し眠り――、我ながら随分とまあ満喫していることだと半ば呆れながら笑う。他人が同様の生活を行っているとアナと出逢う前の自分が聞けば間違いなく青筋を浮かべ怒りを露わにしていただろう時間を過ごしていることを自覚しながらも、今更過去を変えられはしないし欠片の後悔もしていないのだから仕方ないとぼんやり呟く。
――この数日で、すっかり骨抜きにされてしまったという自覚はあった。
火花を勢いよく散らしながら苦笑する少年に、ムジクもまた快活に笑った。
「――お熱いことだ! いや安心したぞ、お前も最近までは随分と陰鬱な調子だったからなあ!」
「……そうか。うん……うん。ウルクでの生活にも慣れてだいぶ気楽に過ごせるようにはなったが、確かに必死だったからなあ」
家族の尽くが、暮らしていた都市の陥落と共に殺されてしまって。辛うじて連れてくることのできた妹は才能があったのだろう、ジグラッドの祭祀に見出されて神官見習いとして仕えることになったが――若い男手である自分にもまた、求められる役割というものがあった。
配属された部隊での兵務、スパルタなる語を連呼する将レオニダス主導の苛烈な訓練、既に亡き薙刀の女傑トモエの戦果を無駄にしないために行われる数々の計画の準備に魔獣相手の防衛戦線、同僚である優れたウルクの兵士たちに追いつくための苛烈な鍛錬――悲しみのままに呆然としている間も、女に現をぬかし与えられた余暇を無為に費やす時間もありはしなかった。
……今となっては、そうした過去の積み重ねがあったからこそアナと過ごすための時間を確保できるのだろう。未熟者のままでは作業一つ碌に進まず過酷な現場に延々と拘束されてもおかしくはなかった。
「あぁあああ……帰りたい……早くアナに会いたい……」
「すっかり依存してるな……そういえば、そのアナちゃんは確かカルデアとかいった者たちと暮らしていたのだろう? 王が直々に迎え入れたという客人に軽率に手を出してしまってよかったのか?」
「……」
「…………………………大丈夫、の筈だ。多分。……多分」
家に戻った後の蜜月を想いだらしなく頬を緩めていたのに盛大に冷や水を浴びせられ、ムジクの言葉にだらだらと汗を流す。応答の言葉も震えていた。いや何も疚しいことはして……公衆の面前での告白くらい他の男たちだって必要ならやるだろうし……待てやはり王の迎え入れた客人を家に迎え入れて帰さないのはまずかったのでは? いやアナは一度帰って話を通しに行っていたはず……先ほどウルクの屈強な男たちをを相手に一歩も引かず組手で打ち倒していたマシュ殿だって好意的に声をかけてくれていたし……王だって不死を追う旅から戻ってきてからは物凄い名君だけどもしある程度の合意があるとはいえ暴君スイッチ入ったら不味いかもしれないし……。
眼前の炎の熱量にも関わらず冷やりとした汗を浮かべて考え込みながらも、いや王は確か千里眼とかいった何でも見透かす目を持ってるらしいしもし自分の行動が不味いようだったらこの数日の間にでも呼び出しなり兵士を召集しての拘束なりはしていた筈だろうと結論づける。
楽観的にすぎると思わないでもなかったが、アナと過ごすようになって数日の過ぎた今でもそれといった通達が来ていない以上はさほど的外れな想像でもないだろうと思えた。
……暫くは本当に、真面目に働こう……。いや今までも無闇に怠けていたことはないけれども……。
燃え盛る炎を見守りつつ胸中で決意を固めていると、野太い叫び声と共に城壁付近が一斉に慌ただしくなる。
襲撃を伝える号令だった。隣のムジクと視線を交わし、いつでも動くことのできるように得物の槍や熱湯をぶちまけるための柄杓を用意する。魔獣の襲来も、各々が役割を果たしていくことができれば決して恐れるものではない。共に動きは機敏なものだった。
それにしても幸せそうで何よりなことだ。戦闘の様子を把握しに城壁に向かおうとするヨアンに、朋友がぽつりと呟いた。
「暫くは死ねんな……だが、死ねない理由が増えて悪いことはない。そうだろう? 子どもができたら声をかけろよ、盛大に祝ってやる」
「……そうだな」
脳裏をよぎるのは、愛する少女の持つという女神とも人間とも異なる性質。サーヴァントなる存在であるという彼女が孕むことはないらしいということは、口にはしなかった。
だが――半神半人だっているのだ、半霊半人の子が生まれてもおかしなことはあるまい。
早足で前線に向かいつつ。ひとまずはこの襲撃を撃退するべく、ヨアンは気炎を吐いた。
***
兵士の仕事は、戦うだけで終わりではない。
整備に出さなくてはならない魔獣の血肉に塗れた槍、刃の潰れた武具の運搬。損傷した障壁や機材の応急的な修復措置とその補助。消費した物資の補給。魔獣を撃退したあとに残る作業は昼の戦闘に負けず劣らずの過酷なものだった。
日はとうに沈んでいた。疲弊した体を引きずって自宅に戻り、木造りの扉を開くと――食卓に上体を預けるようにもたれかかっていたアナが、家の中に足を踏み入れたヨアンに気付くとその紫紺の瞳を瞬かせて立ち上がった。
フードを外し瞳と同じ色の美しい髪を惜しみなく晒す彼女はとてとてと歩み寄ってはやや逡巡するようにぎこちなく腕を広げると、ぎゅっと密着するようにしてヨアンに抱き着く。
「……アナ?」
「……シェリアさんから今日は魔獣の襲撃があったと聞いたから、少し――少しだけ、心配しました」
お帰りなさい。
軽く水を浴びたとはいえ多少は返り血や汗の臭いが残っているだろうに、そんなことは気にも留めないとばかりに胸に顔をうずめながら放たれた言葉に、僅かに固まって。次いで胸中の激情を隠す素振りも見せぬまま喜色満面に笑みを浮かべた少年もまた、逞しい腕を回し少女を抱きしめる。
――ただいま。
細い顎を持ち上げ口づけを交わしながら、兵務の最中は発散することもままならなかった獣欲を徐々に燃やしていく。
密かに。腕の中の愛する少女を、絶対に孕ませてやると心に決めていると――その想いを表すかのようにいきりたち始めた剛直に気付いたのか、腰巻きを内側から盛り上げるそれに手をやった少女がその瞳に熱を灯しながら呟く。
「その、いつもヨアンさんの相手は凄く大変なので。少しだけ――搾り取らせて、貰いますね」
細腕を腹部に添え、腰巻きの結び目を解く。布が解れ脱ぎ捨てられ、眼前に飛び出した怒張が既に見慣れた大きさまで膨張しているのに目を丸くしながらも、グローブを脱いだ白い手で優しく肉棒を握りしごき始めた。
――うわっ、もうこんなに熱くなってる……。
油断すれば火傷でもしかねないと錯覚させるほどの熱を発するそれ。手のひらの中で脈動するように震える肉棒を自分が普段されているような指使いを意識しつつ愛撫し擦り上げると、跪いて奉仕するアナの頭上で悶えるような声が聞こえた。
同時、しごきあげられる肉棒がいっそう膨張しながら震えるのに既に少年の我慢も限界に近くなっていることを察し。小さい口を開いて、膨れ上がる怒張を咥えこむ。
強烈な快感が、少年の脳を焼いた。
「っ、やば……!」
「あむ……んっ。むっ、んっ、ん、んっ……、ふ」
「――っ、! うぉっ……!」
口内を埋め尽くす怒張を咥えながら懸命な舌使いで口に含むなり溢れた先走りを舐めとる。熱い吐息を肉棒をくわえる口の隙間から漏らし、くすぐるように裏スジを舐めあげながら亀頭を吸い上げた。
卑猥な水音。唇で肉棒の根本まで吸っては一度口を離しては顔を股座に寄せ、精という精を搾り取らんと指先で竿をなぞりながら睾丸を舌で擦り上げる。ヨアンは頭を埋め尽くす快感に意識をくらくらさせながら、アナの唾液と先走りに濡れた肉棒が舌と、口蓋と擦れ合うたびにぐじゅ、ズチュ、と音を響かせるのに抑えが完全に効かなくなったのを自覚し。そして絶頂に達していた。
「――!」
「っっ……んん、んぐっ、っっ。ふ、んっ、ぅあ」
限界まで膨張していた怒張から解き放たれ、亀頭を咥えこんで口淫に及んでいたアナの口の中にぶちまけられる精。口内を埋め尽くしたドロドロとした精液に元々口の中いっぱいに肉棒を呑み込んでいたこともあり苦し気に顔を歪め、先端から精を垂らすアナの唾液に塗れた怒張から口を離したが――息を荒げる少年の前でごくり、ごくりと、ゆっくり精液を嚥下した。
「ん――、ふ……ん……」
口から零すことのないように注意しながら、粘ついた精液を喉を鳴らして飲み下していく。唇の端から溢れ出た白濁が垂れていることに気付くとそっと舌を伸ばして舐めとった。
その蠱惑的なまなざしは、何もかもを平らげんとする魔性のようで――
「――昨晩だって、あんなに出したのに……。こんなに出されると底なしかと思いそうになりますね。その……気持ち良かったです、か? ――実は、その、魔力の供給が絶たれていて、できればあと1、2かぃ……うぅ……」
途中から、正気に戻った。真っ赤になったアナが顔を覆う。
夜通しの性交が何度も続いて感覚が完全に壊され、「それだけ(性的に)充実した日々を送れているなら僕からの供給も必要なさそうだね!大丈夫大丈夫夜にヨアン君から好きなだけ魔力を貰い受けてくるとイイさ!」などとこれまで契約を結んでいたマーリンに唐突に供給を打ち切られ。いざことに及んだのは良いとしても、途中から完全に魔性の側にスイッチが切り替わってしまっていた。
羞恥で死ねるならガッツも無視して完全に即死している。完全に撃沈しへなへなと座り込むアナだったが――不意に抱き上げられ顔を上げると、すぐ目の前にヨアンの横顔があった。
あの、ヨアンさ――、戸惑いの声も気に留めず、すぐさま下ろされた場所は毛皮や麻布の敷かれた簡素な寝台で。もう既にある程度の察しをつけながらも、こちらの身体を慣れた手つきでまさぐり始めたヨアンに危機感も露わに慌てて呼びかける。
「ま、待ってください、ヨアンさん――待って……せめて、あと何度か精を摂らせて貰ってからじゃないと、とても――」
――アナ。
――悪いけどね、これ以上お預けされるのは勘弁かな。
そう言って唸った少年と彼に覆いかぶさられる少女の影が一つになる。
その晩の交わりは、翌日の昼ヨアンが兵務に出るまで延々と続いた。