腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「今回の期末テストは君達生徒が作成して、他のクラスに出題するものとなっている」
坂上先生の言葉に教室に騒めきが生まれるが、俺も驚いた。まさか他クラスの期末試験を教師ではなく生徒が作るなんて予想外過ぎるわ。
「坂上。その様子じゃ全クラスが問題を作るみたいだが、俺達の作った問題はどのクラスが解くんだ?」
「君達の作った問題は3つのクラスの1つのクラスに割り当てるというものだ。そして問題が割り当てられたクラスと、自分達のクラスの総合点を比べ、勝ったクラスが負けたクラスから50ポイントを得る」
マジか。そうなると普段のテストより難しくなるだろうし、ちょっと厄介だな。しかもテストは8科目あり、各50問だから合計400問作らないといけない事になるし、面倒だなオイ。
要するに相手が作ったテストにおいて、学校が用意する赤点ラインである各教科60点以上をペアで維持しつつ、ペアで総合点を700点以上にして、更にクラス全体の総合点で対戦相手のクラスの総合点と競い合うのか。
「そして直接対決、BクラスがCクラスに問題をぶつけ、CクラスがBクラスに問題をぶつけるような直接対決になった場合、クラスポイントは一度に100動く。また可能性は極端に低いが総合点が同じだった場合、ポイントの変動はない」
それを考えるとCクラスとDクラスはウチを攻撃するだろう。Cクラスは元々Bクラスだけあって学力はウチより高いし、Dクラスは学力的にAクラスとCクラスには勝てないし。
「テストについては完成したら私に提出して貰う。そこで習ってない範囲の問題が有れば受理は不可で君達に返却する。それを繰り返して君達はテストを完成させてもらう。また完成しなかった場合、我々が作成した問題を攻撃クラスに渡すが、難易度は低いものだ」
まあそうだな。大学の問題とかガンガン入れられたら退学者が続出するだろうし、問題が完成出来なかったクラスには当然の扱いだ。
中々ハードなスケジュールだろう。期末テストまで1ヶ月ちょいだが問題の作成と赤点をとりそうな馬鹿共学力向上を同時にこなす必要があるが、問題の作成は馬鹿じゃ無理だから学力優秀な生徒がやらないとダメだ。
しかし学力優秀な生徒を問題作成に割き過ぎたら、馬鹿共の成績向上が疎かになる。
(ここはAクラスとの同盟を活かす時だな)
ウチのクラスは学力が高くないし、馬鹿正直に勉強するだけじゃ勝てないからな。
「問題の作成には教師や上級生に相談したり、図書館の参考書を参考にしたり、視聴覚室のパソコンを使うなど好きにすると良い。またクラスの指名については小テスト前日に私が君達から希望を聞いて上に報告をする。指名クラスが被った場合、我々がクジを引いて決める……これで説明は終わりだ。後は君達で考えることだ」
坂上先生はそう言って教室から出て行く。同時に騒めきが生まれるが、龍園が前に出て教卓に座ると静まり返る。
「さて、今回の試験だが……比企谷」
「何だ?」
「今回の試験についてはお前に全権を預けるから好きにやれ。暴力を使えない試験ではお前の方が使えるからな。クラス合同貯金のポイントもクラスメイトも好きに使え」
いきなり俺に丸投げしたな。
「それは命令か?お願いか?」
「命令だ」
なら俺は従うしかない。クラスの王は龍園だからな。
「了解した。好きにやらせて貰う」
言いながら俺は前に出て龍園の横に立つ。その際にひよりが小さく微笑みながら手を振ってくるが可愛らしい。
「んじゃ早速だが指名クラスについて話すぞ。Dクラスは学力的に、CクラスはBクラスに返り咲く為にウチに攻撃を仕掛けてくるだろう。これはわかるな?」
俺が確認すると全員が頷く。
「結構。で、今回俺としては一之瀬率いるCクラスと直接対決を望んでいる」
その言葉に騒めきが生じる。龍園は楽しそうに笑っていて、ひよりは俺と目が合うとクスリと笑ってくる。やっぱり可愛いな。
「いやいや。Cクラスには勝てないでしょ。今回の中間は知らないけど、1学期の期末じゃ平均点が10点近く離れたって噂だけど」
「正確には8.9点だが、まあ結構離れているのは事実だ。よって今回の試験だけを考えたら学力が低いDクラスと戦うのがベストで、同盟を組んでるAクラスと手抜き合戦して引き分けを狙うのも悪くない」
伊吹の質問に頷く。実際Cクラスは格上である。
しかし……
「けどな、格下ばかりに挑んでAクラスに上がれるのか?」
俺は一段だけ声を低くして話しかけるとクラスに静まる。
「Aクラスと組んだ以上、Bクラスで卒業は出来るだろう。Dクラスは由比ヶ浜という最高の厄病神がいるし、Cクラスについて龍園と有栖が嬉々として一之瀬をおもちゃにするだろうからな」
「まあな。アイツの芯を折って肉奴隷にするのも悪くねぇな」
龍園はケラケラと笑うがコイツなら本気でやりそうだな。
「悪趣味だな」
「そりゃ銀髪貧乳を好むお前からしたら巨乳を好むのは悪趣味かもな」
「黙れ龍園」
龍園の言葉にクラスの大半がひよりを見るが、当のひよりは蠱惑的な表情で俺を見てくる。こりゃ帰ったらエロい事をさせられるかもな。
「こほんっ……話を戻すがBクラスで卒業は出来るだろうがAクラスでの卒業は難しい。理由はシンプル、兵隊の質がこっちより上だからだ。この学校は普通の学校ほど学力の価値は高くないが、無価値って訳じゃない。その学力を疎かにしてAクラスに勝てるほど甘くない」
Aクラスとウチを比較すると身体能力はウチが僅かに上だが、学力は向こうが数段上だ。将軍である龍園と有栖にそこまで差がない以上、兵の質が重要である。
「それに2年生や3年生は退学者を10名以上出しているが、これは2年生になってからの試験がハードになる事を意味する」
「つまり比企谷氏は今回の試験ではクラスポイントを得ることよりも「2年生以降の試験に備えて各々のスキルアップ」と「学力下位の生徒に勉強する習慣を身につけてもらう」ことを優先するという訳ですね」
金田がわかりやすい説明をしてくれるので頷く。
「そうだ。その為には格上に挑戦するべく、本気で勉強に取り組むのが1番だ。そうすれば赤点の確率は下がるし、勉強する習慣や効率的な勉強法を会得できれば、今後の定期考査や学力重視の特別試験で焦らずに対処出来る」
今回負けても次回に繋げられるなら利益はあるし、まだ1年生なので巻き返しは余裕だ。重要なのは一回一回の勝負に拘るのではなく、最後にAクラスに上がる事だ。
「以上が俺がCクラスに挑む理由だ。反論があるなら聞くぞ」
そう言って周りを見回すが反論はないようだ。
「結構。じゃあ早速だが大まかな説明をするぞ」
前置きをしてから作戦を説明する。クラスメイトに対する対応は説明だけで良いが、この後はAクラスと上級生に対する交渉をしないといけないからなぁ。忙しくなりそうだ。
目標としてはCクラスと直接対決して勝つ事だが、やれる事は全部やっておく必要がある。小細工抜きの学力勝負で一之瀬のクラスを倒せればクラスの士気が大きく上がり、成長に繋がるからな。
そう思いながら俺は説明を済ませてから昼休みに有栖と話す機会を設けるべく携帯を操作してメールをするのだった。
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