腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「お待たせしました」
昼休み、校舎裏のベンチにひよりと座っていると有栖がやってきて微笑みを浮かべてくる。
「気にすんな。とりあえず先ずは座ってくれ」
「はい。失礼します」
有栖は俺の左隣に座る。右隣にはひよりがいるが、第三者(特に男)に見られたら面倒な事になるだろう。
「では昼ごはんを食べる前に……んっ」
有栖はそのまま俺にキスをしてから弁当箱を開ける。数分前のひよりもそうだが、昼休みの度にキスをするのは恥ずかしいから控えて欲しい。幾ら自室で何百としてようが第三者がいてもおかしくない場所だとなぁ……まあ体育祭では全校生徒の前でキスをされたけど。
そう思いながら俺も弁当箱を開けてひより特製の弁当を口にするが、変わらぬ美味さで安心するな。
「それで八幡君。今回の試験についてお話があるそうですね」
「ああ。今回Cクラスと戦いたいんだが、AクラスはDか?」
「そのつもりです。予定としては全ての科目において50点分は小学生レベルの問題にして、残りの50点分は中堅以上でないと解けない意地悪問題を作るつもりです」
それ完全に由比ヶ浜を残す為だろう。有栖からしたら由比ヶ浜に生き地獄を長く与えたいので、わざと退学者を出さないように仕込むようだ。
「八幡君はCクラスと言いましたが、格上に挑む事で2年生以降に備えてますね」
「まあな。タイマンになったら今のBクラスじゃAクラスに確実に負けるからな」
「ふふっ。いざとなったら私を引き抜けば良いじゃないですか。私を八幡君の……お嫁さんにしてくれるなら龍園君の下につくのも吝かではありませんよ」
有栖は恥ずかしそうに俺を上目遣いでそう言ってくるが破壊力が半端なくて変な気分になってくるな。
「ダメです。八幡君のお嫁さんは私になります。坂柳さんはセックスフレンドまでです」
ひよりがムッとした表情で俺の右腕に抱きつくと、有栖が額に青筋を浮かべて左腕に抱きつく。
「戯言を。愛人までなのは椎名さんでは?」
バチバチと火花を散らす2人。やめて、仲良くして!
内心ヒヤヒヤしながら2人の火花が無くなるのを待つ。余計な口を出したら面倒な事になるからな。
「こほんっ。話が逸れましたが、Bクラスの方針に分りました。Cクラスに挑むならそれは構いません。しかしわざわざ呼び出すことは何かしらお願いがあるのですね?」
「ああ。同盟を組んだ際に条件としてこっちの勉強指導ってのはあったが、今回も頼みたい。それと問題作成の話だが、お前がAクラスの問題を作ると思うが、前金20万、後金50万でウチのクラスのも全問作成出来るか」
今回の厄介事は問題作成だ。問題作成が出来る生徒は限られていて、そっちに意識を向け過ぎたら学力向上が疎かになる可能性がある。よってAクラスに代理作成を頼みたいのが本音だ。
ただその場合、タダってのは理不尽過ぎる要求だからポイントによる取引を持ちかけた。
「合計70万ですか……80万ですね」
10万上乗せか……まあ仕方ないか。元々100万までは出す予定だったし
「前金20万、後金60万で良いか?」
「結構です。20万は今頂き、60万は問題作成後に八幡君達がチェックして問題が無かったら支払ってください」
「わかった」
俺は携帯を取り出して優待者試験で作った仮IDを見る。そこには5600000pptと表示されている。優待者試験で稼いだ200万とクラスメイトから徴収している3ヶ月分のポイントがあるが、そこから20万だけ有栖に送る。
「確認しました。問題400問の作成は任せてください。勉強会は今日の放課後からですか?」
「明日からですね。今日はクラスで下位の生徒の弱点と得意分野の正確な調査をする予定です」
「それと協力者の増加だな。中には力を持て余している人もいるからな」
「……ああ、そういう事ですか。しかし八幡君は龍園君のように過激な手段は取りませんね」
「別にルールギリギリの作戦でも良いが、今回は露骨な妨害抜きで挑むつもりだ。仮にCクラスと直接対決になって小細工抜きで勝てたら大きな利益が手に入るからな」
卑怯な手を使って負かしても向こうは「Bクラスが勝てたのは卑怯な手を使ったからで真っ向勝負なら負けない」と判断するだろう。
しかしこっちが真っ向勝負で勝てば「Bクラスは王道を使おうが邪道を使おうが自分達よりも上」と思い知らせられるからな。
予定としては今回王道のやり方で勝って、次回に邪道のやり方で勝ってポイントを毟り取りたい。
「勝つ為にも全力で八幡君をサポートしますね。八幡君にとって1番になりたいですから……」
ひよりは恥ずかしそうに頭を俺の肩に預けてスリスリしてくる。可愛過ぎるなオイ。
「どの口が言っているのやら。近いうちに格の差を教えてあげましょう」
有栖は張り合うように蠱惑的な表情浮かべながら俺の膝をさすってくる。エロ過ぎるなオイ。
結局俺は昼休みが終わるまで有栖に弄ばれて、ひよりに甘えられるのだった。
「ではHRを終了する」
帰りのHRが終了して坂上先生が教室から出て行くので、俺は黒板の前に立つ。
「帰る前に良いか?今日は勉強会は開かないから解散して構わない。ただ今日中に今後の方針から決めるから、成績下位の奴は明日以降は可能な限り勉強会の参加に応じてくれ。部活に所属してる生徒も休む事に寛容な部活なら休んでくれるとありがたい。それとひよりと金田はちょっと残ってくれ」
そう言うと大半が頷いてから教室を後にする。
「それで比企谷氏。重要なのは下位層の生徒の成績向上についてですか?」
金田が質問するが今回勝つ為にはクラスの下位層のレベルを上げないといけない。
実際上位だけ見ればどのクラスにも大差はない。不良品と呼ばれるDクラスにも学力が高い生徒がかなりいるし。
しかし何故クラス間に差があるのかというとウチとDクラスには馬鹿が多いからな。実際ウチのクラスの最下層数人は45〜50点であるが、AクラスとCクラスの最下層数人は55点〜60点とかなり差がある。
もちろんウチの中堅も頑張らないといけないが、下層の生徒の学力をどれだけ上げれるかが勝負のカギだ。
「ああ。まずは職員室に行って試験の答案を貰いに行き、弱点調査だ」
基本的に試験の答案用紙は返却されずに結果だけの発表だが、おそらく職員室に行けば回収出来るだろう。もしくはポイントを払うかだ。
俺達は職員室に向かうと、丁度坂上先生が職員室に入ろうとするので話しかける。
「坂上先生。ちょっと良いですか?」
「おや、早速試験に関する質問かね?」
「そんなところです。けど場所を変えてもらえませんか?職員室には茶柱先生や真嶋先生や賞味……星之宮先生がいますから他クラスに漏れる可能性がありますので」
危ねえ。思わず賞味期限切れって言いそうになっちまった。
「わかりました。それと比企谷君。星之宮先生の事はちゃんと星之宮と呼びなさい。真嶋先生は口を滑らせて何回か血祭りになっています」
真嶋先生……強く生きてください。
そう思いながら俺達は生徒指導室に案内される。噂じゃAクラスになれば教師としての評価も上がるらしいので、教師によっては生徒に肩入れする可能性も高い。特にどっかの賞味期限が過ぎてる先生とかは。
「では聞きましょうか」
「はい。ではウチのクラスの生徒の答案用紙、1年Cクラスと3年Dクラスのテスト結果が書かれた紙を入手は可能ですか?」
俺が欲しいのはこの3つだ。欲を言えばCクラスの生徒の答案用紙も欲しいが、流石にそれはポイントを出しても無理だろう。
「3年Dクラス……なるほど。3年Dクラスの成績優秀者を教育者として雇うのですね」
「ええ。彼らはもうAクラス行きを諦めているでしょうし、貧困生活を送っていますから」
3年は後半年もしないで卒業だが、AクラスとDクラスの間には1000ポイント近く差があるし、Dクラスの生徒は勝負を諦めて学生生活を満喫したいと考えていてもおかしくない。そこで俺は成績優秀者を教師役として雇いたいのだ。その為に成績結果の書かれた紙が欲しい。
「結論から言いますと可能です。ただし、自クラスの答案用紙はタダですが、他クラスの成績結果の書かれた紙についてはポイントが発生します。また他クラスの生徒の答案用紙はポイントを積んでも買えません」
「やっぱりそうですか。で?成績結果の紙は幾らですか?」
「1クラス10000ポイントです」
「んじゃ20000払います」
言いながら携帯を渡すと坂上先生がすぐに操作して返してくる。
「確かに受けとりました。では直ぐに受け取りたいですか?」
「はい。ただ第三者に見られたくないんで、坂上先生が職員室で準備してこっちに持ってきてくれませんか?」
教師を顎で使うのは申し訳ないが念には念だ。
俺の頼みに坂上先生は不満そうな表情どころか笑みを浮かべている。
「用心深いのは結構です。少し待っていてください」
そう言ってから部屋から出て行くので俺は2人を見てくる。
「さて、坂上先生が資料を持ってきたら、お前らは図書館の専用ブースで自クラスの馬鹿共とCクラスの下位の情報から分析を頼む。俺は3年Dクラスに交渉をする」
「わかりました。僕と椎名氏は今後の対策についてはしっかり考えておきます」
「頑張りますね」
「ああ。頼りにしてる」
「それと比企谷氏。今回は妨害などはいますか?」
「しない。今回は基本的に小細工抜きの真っ向勝負だ」
俺としては2年に上がる前に王道でも邪道でも戦えるクラスにしたいし、ここらで王道勝負をしたいからな。
そう返してから雑談していると坂上先生が戻ってきたので、俺達は速攻で資料を読み始め、各々で動き始めるのだった。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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