腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「おい軽井沢。誰だコイツ?」
俺はいきなりポイントを寄越せと言ってきた男に不快感を抱きながら軽井沢に質問する。
軽井沢が嫌そうな表情になる。
「ウチのクラスの山内って言うんだけど……ウチのクラスの4馬鹿の1人」
ああ。コイツが山内か。キモい男子ランキングでぶっちぎりで1位だから名前だけは知っている。顔は知らなかったがDクラスの4馬鹿の須藤、池、山内、由比ヶ浜は有名だからな。悪い意味でだけど。
「はぁ?!誰が馬鹿だよ?!」
「いや山内君。今回中間試験ビリだったじゃん。由比ヶ浜さんより低い時点で恥だよ」
マジか。由比ヶ浜より成績が悪いって死ぬほど恥ずかし……待てよ。今回の中間試験は体育祭の結果次第で増減するんだったな。
由比ヶ浜については長い間嬲る為にわざとウチと有栖のクラスの雑魚をぶつけて相当な点を稼いだし、それを考えるとDクラスの馬鹿がビリを取ってもおかしくないかもな。
「アレは偶々だって!今までの俺は全然本気じゃないんだからな!」
「じゃあ本気出してよ。ウチのクラスは由比ヶ浜さんと須藤君の所為で悲惨なんだから」
そりゃそうだ。由比ヶ浜は2回停学になった挙句に全クラスに敵視される要因を作ったからな。須藤についても1回停学になった挙句、体育祭をボイコットしたしDクラスの足手纏い2トップは間違いなく由比ヶ浜と須藤だろう。
「い、いや〜。俺が動くのは本当にヤバい時じゃないと」
「いや、普通にヤバい時だから。前から思ったけど、実力がないのに嘘で実力者ぶるのはやめてくれない?」
「だよね。ただでさえ貧困と由比ヶ浜さんと須藤君の所為で辛いのに、誇張した自慢もあったら余計に疲れるよ」
「しかも初対面の人にポイントを寄越せって……そんなんだから女子に嫌われるんじゃないの?」
軽井沢の文句に佐藤と松下が便乗するが、Dクラスの大半には心底同情するわ。同時にCクラスに入学出来て良かったと思う。
「べ、別に良いだろ〜。人ってのは助け合うのが大切なんだしよ〜。それにいつも0ポイントで辛いんだよ。だったら軽井沢が恵んでくれよ。5万で良いからさ」
どんだけ厚かましいんだコイツは?俺があげたポイントだから軽井沢に使い方は任せるが、こんな奴にあげるなんて馬鹿のすることだろう。有栖は蔑んだ眼差しを向けて、ひよりは無表情になっている。
「嫌よ。どうせ比企谷君は返金を拒否するだろうし、松下さんと佐藤と三等分するから」
まあ成り行きで手に入れたポイントとはいえ、こんな図々しい奴には渡したくないよな。
「何だよそれ!自分達だけ良い思いをするなんて最低だぞ!」
「そうだそうだ!俺達にもポイントをくれよ!」
「というか元はといえば俺はそこの腐り目とチビに嵌められたんだよ!その分返してやるよ!」
と、ここで小柄な男子と須藤がキレてくる。小柄な男子は4馬鹿の池だろう。しかしもう無料定食を食べに行ったのか由比ヶ浜と雪ノ下がいないのは幸いだ。アイツらがいたらこの倍は面倒だからな。
そう思っている時だった。
「最低?夏休みにプールの女子更衣室を盗撮しようとしたあんた達にだけには言われたくないんだけど」
と、ここで軽井沢がとんでもない爆弾を落としてきた。今女子更衣室の盗撮って言わなかったか?
この爆弾にDクラスの教室には騒然とした空気となる。軽井沢本人はハッとした表情になるが思わず言っちまったように見える。
「な、何で知ってんだよ……あ、いや!な、何の話だよ?!」
山内は慌ててシラを切るが完全に自白をしてんじゃねぇか。
そう思っていると軽井沢は深呼吸をしてから表情を変える。まるで「やっちまったものは仕方ないし切り替えよう」って感じに見えるな。
「惚けないでくれない?ダクトを利用してカメラ付きのラジコンでやってでしょ?全部わかってるから」
軽井沢の糾弾に周りの騒めきが大きくなる。
「どういう事よ!やって良いこととダメなことと区別もつかないなんて小学生以下よ!」
「この変態ども!何で生きてんのよ!クラスのゴミトリオ!」
まあ当然の反応だな。女子からしたら恐怖の対象でしかないからな。
そう思っていると……
「待てって!俺達だけじゃなくて綾小路もいたからな!ラジコンだって博士が用意したものだし!」
まさか犯人が他にもいるとはな。つか綾小路も犯人の1人なのか?!これは予想外だ。そして今ので完全に自白しやがったかよ。
「ま、待て!拙者は山内殿に「ラジコンから見える景色を見たい」と頼まれたからであって、盗撮に参加していないので御座る!」
博士と呼ばれた男子はテンパりながら返事をするが、コイツは判断がつかないからグレーだな。つか口調が材木座に似てるな……
「外村君は知らないけど綾小路君は違うから。あたしにカメラの存在を教えてくれた女子の恩人だから。綾小路があたしに言わなかったらメモリーを取れなかったし」
「はぁ?!ふざけんなよ!」
「テメェ綾小路。チクってんじゃねぇよ!」
池と須藤は綾小路にキレるが、コイツらはガンガン自白してんなぁ。そりゃ由比ヶ浜と並んで馬鹿扱いされる訳だ。
「言い訳してんじゃないわよ!この性犯罪者共!」
「そうだそうだ!せめて普通の学校生活を送らせてくれよ!」
「この厄病神トリオ!今すぐ学校やめなさいよ!」
物凄い罵声がDクラスに響き渡るが、須藤が自分の机を蹴って壁に叩きつけると辺りが静まる。
「煩えよ!黙って聞いてりゃ調子に乗ってんじゃねぇよ!軽井沢も人前で言ってんじゃねぇよ!腐れビッチが!」
須藤が怒りを露わにして軽井沢の方に詰め寄ろうとするが、まさか逆恨みで殴るのかよ?!由比ヶ浜レベルの短気だな。
須藤の愚行に唖然とする中、佐藤と松下が止めようとするが、須藤が怒りを露わにしながら間に入った2人に拳を振るおうとする。
しかも拳の軌道から顔面狙いっぽいので慌てて割って止めようとする。
「邪魔すんじゃねぇよ!」
「ぐっ!」
「「「「八幡(比企谷)君!」」」」
しかし……フィジカルの差があって頬に激痛を感じながら簡単に押し負けて背後にいる2人にぶつかってしまう。ギリギリ倒れはしなかったが、かなり痛い。
「いい加減にしなさいよ!これで比企谷君が訴えたらまた停学だからね!」
「煩えよ!そもそもテメェが人前で喋ったのが悪いんだろうが!実際は撮れてなかったんだしゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ!」
体育祭の鬱憤が爆発したのか、理不尽な怒りが軽井沢に向けられ、軽井沢の顔面に拳が振るわれる。
対する軽井沢は目を瞑るが右の拳が当たる直前に綾小路が割って入り須藤の拳を受け止めている。
「綾小路ぃ……テメェ!」
「止めろ須藤。女子の顔を殴ろうとするな」
「知らねぇよ!そもそも裏切り者が意見してんじゃねぇ!」
「ダメだ須藤君!」
ドゴッ!
少し離れている場所にいる平田が止めに入るが遅く、空いてる左の拳が綾小路の顔面に命中する。これはヤバくねぇか?
そう思っていると……
「今のが、全力か?」
綾小路のいつも通りの声が聞こえてくる。鼻からは血を流しているが、表情に変化はなくいつも通りの無表情だ。アレを食らって無表情ってヤバ過ぎだろ?
これに須藤もポカンとするが、直ぐに裏切りを思い出して歯軋りをする。
「っ!俺は本気を出してねぇよ!」
ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!
その言葉と共に須藤は綾小路の顔面を何度も殴るが、綾小路の顔から血が飛び散るが綾小路の表情は全く変わらない。この前綾小路に貸したブリーチのウルキオラみたいに無表情だな。
そして須藤が驚愕の表情をうかべながらあ9発目のパンチを叩き込んだ時だった。
「さて、そろそろ正当防衛が成立出来るな。最後の警告だ。軽井沢に手を出すな。俺は軽井沢を守るが、拒否して攻撃するなら次はオレも反撃する」
血だらけになりながら表情も声も変わらない綾小路がそう告げる。まあ顔面パンチを9発を食らったのだから殺さない限り正当防衛が成立するだろう。というか綾小路の耐久力はわかったが、筋力はどれくらいなんだ。
「っ!やれるもんならやってみやがれ!裏切り者がぁ!」
ドゴッッッッッッッ!
須藤の怒声と共に右ストレートが綾小路の左に叩き込まれ、一際大きな音が鳴る。
「攻撃したな。反撃させて貰うぞ」
しかし綾小路は全くダメージがないように拳を振り上げて須藤に肩に振り下ろす。
グシャリ
須藤の左肩から潰れるような音が鳴り……
「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
須藤は左肩を押さえながら絶叫しながら地面をのたうち回る。今の一撃……肩甲骨を砕いたのか?何つーパワーをしてるんだよ?
予想外の展開にこの場にいる大半はのたうち回る須藤を無表情で眺める綾小路に呆然とした表情を浮かべているが……子供のように楽しそうに笑っている有栖の表情が印象的だった。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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