※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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ペーパーシャッフル

 

 

いよいよペーパーシャッフルを迎えた当日、俺はHRが始まる20分前に教卓の前にて周りを見回す。既に全員が座っている。俺が事前に早く集まるように指示を出したからだ。

 

「さてお前ら。今日はいよいよ本番だが、全員大小差はあれどやる気があって何よりだ」

 

特に体調が悪そうな奴も居ないだろうし、万全だろうら、

 

「この1ヶ月、お前らは真剣に勉強に向き合っていたのは指導者の1人として理解出来た。前回の中間試験の時よりも間違いなく力を付けただろう」

 

俺の言葉に大半の生徒が力強く頷く。実際中間試験最下位の石崎が有栖の作った模擬テストをやった際、最初は30点くらいだったが、昨日やった時は46点と見違えた。有栖の模擬テストは中間より数段難しかったし、それを考えると伸びている。

 

「これまでウチのクラスは「暴力しか得意ではなく全く学が無い」って評価だった。しかし本当にそうだろうか?」

 

俺は一度区切ってから周りを見回すと皆が俺の言葉に耳を傾ける。

 

「本当に学が無いなら勉強会なんて碌に開かないだろうし、授業以外で模擬テストもやらないだろう。しかしお前らはそれをこなした。まだまだ足りない部分があるのは間違いないが、これまでの努力もまた間違いなく血肉となっている」

 

俺の命令を信じて全員が付いてきてくれたのは間違いない。

 

「もう直ぐテストが始まるから最後に言葉を送るが……お前達は強い、Cクラス相手にも勝ち目はある」

 

少なくとも1ヶ月前と違って勝算が0ではない。

 

「これまでの努力の跡を思い出して血肉の全てを動員しろ。相手が格上だろうと及び腰になるな」

 

一息……

 

「Cクラス、殺りに行くぞ……!」

 

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』

 

最後に一段と大きな声をあげるとクラスの大半がそれ以上の雄叫びを上げて手を挙げる。叫んでない奴も手は挙げてやる気を醸し出している。

 

士気は充分に上がった。後はテストを受けるだけだ。

 

俺は最後に一礼をしてから席に着くと坂上先生が教室に入ってくるが笑みを浮かべる。

 

「全員やる気があるようで何よりだ。Cクラスに勝つ事を祈っている……では期末テストを行う。1時間目は現代文だ。開始の合図まで用紙を表に返す事は禁止する」

 

坂上先生は生徒1人1人にテスト用紙を配っていく。

 

「試験時間は50分。体調不良や手洗いは極力控えるように。我慢できない場合は挙手してから申告するように。それ以外の退出は認めない」

 

お決まりの注意を聞きながらテスト用紙の裏面に視線を落とすが、程なくしてチャイムが鳴る。

 

「始めっ」

 

坂上先生の言葉に俺達は一斉に捲る。問題を一通り読むと確かに普段の定期考査に比べて難しいが……

 

(解けない問題じゃないな)

 

普段定期考査で文系科目を得意とする俺からすれば大差ない。ペンを持って簡単な問題を解き始める。特に引っかけ問題がないから余裕だ。

 

カンニングを疑われない程度に周りを見回すが、見える範囲ではクラスメイトはペンを止める事なく動かしている。

 

(こっちは順調……Cクラスは有栖特製のいやらしいテストはどうだ?)

 

俺は前方、Cクラスの教室に面している黒板を見ながらそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

(う〜ん。中々いやらしいね……)

 

一之瀬帆波は苦々しい気持ちになりながらも問題と向き合っている。カンニングを疑われない程度に周りを見れば、クラスメイトのペースは落ちている。

 

一之瀬らCクラスはBクラスが作成した現代文の問題を解いているが、中々手こずっている。問題が理解出来ないわけではないが、答えの出し方が難しいのだ。

 

長文問題では全ての問題で「〇〇文字以上××文字未満で答えろ」と問われているが、文字数が絶妙であり、数あるキーワードを上手く取捨選択しないと指定文字に収まらないのだ。

 

明らかに意地悪問題であるが、質問そのものは文字数制限が無いならそこまで難しくない問題だから学校が通したのだと一之瀬は判断した。

 

(でも諦めるわけにはいかないよね……)

 

この試験では負けてはいけない。クラスポイントもそうだが、それ以上に士気に関わる。

 

Cクラスの生徒は1学期早々龍園らにちょっかいをかけられた事から、Bクラスに苦手意識を持っていて、嫌っている人も少なくない。

 

そしてこれまで定期テストの結果や特別試験から「龍園のクラスはラフプレーを得意としているが、フェアプレーなら強くない」って評価されている。実際ペーパーシャッフルでBクラスとCクラスが戦う事が決まった際、Cクラスの大半はラフプレーを警戒して、学力については全然警戒してなかった。

 

しかしBクラスはラフプレーを一切しないで図書館でAクラスとの合同勉強会をするだけだった。それを見た一之瀬はBクラスは真っ向から自分のクラスを打ち破ろうとしていると確信した。

 

仮にここで負けたらCクラスの間に「小細工有りでも小細工無しでも、Bクラスの方がCクラスより上である」って考えが蔓延する可能性はある。

 

戦いでは士気は重要である。しかもAクラスとBクラスは同盟を結んでいるので次回以降の特別試験で合同で襲ってくる可能性もあるが、士気が下がった状態で相手をしたら退学者が出る可能性も高い。

 

それだけは絶対に避けないといけない。全員でAクラス卒業を目標にしている一之瀬からしたら退学者が出るシチュエーションは避けたいのが本音だ。

 

よって今回の試験は絶対に負けるわけにはいかないのだ。

 

一之瀬は一呼吸してから少しでも点数を上げる為に問題と向き合うのだったが……

 

「っ!」

 

ある問題で思考を停止してしまう。そこには……

 

次の文章にて、数字で表記された部分を漢字に直しなさい

 

スリルを味わう①(タメ)にビールを万引きするのと、高級な②(カンザシ)を欲しがっている妹の為に万引きするのは同レベルであり人間性に問題がある。

 

有栖が側近の神室と知り合った際の出来事に多少のアレンジを加え、ノリで提出した問題だが、一之瀬はガタガタと震え出してしまうのだった。

 

結果、一之瀬は担任の星之宮に心配そうに話しかけられるまでの3分間、真っ青になりながら震えることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

今回の試験は成績下位層に勉強する習慣を身につけてもらうのが最優先で、Cクラスに勝つのは二の次である。

 

そう思っていたが……

 

(順調だな。もしかしたら勝てるかもしれない)

 

4時間目の英語の問題を解きながらそう思った。Cクラスが作った問題は難易度は高いが有栖の作ったように厄介な問題はなく、解き方さえ知っていれば簡単に解ける問題だ。

 

よく言えば王道、悪く言えばテンプレなCクラスの問題をガンガン解いていく。3時間目の数学についても徹底的な対策をしたから問題なく解けたし、他の連中も時間ギリギリまで鉛筆を動かすなどやる気充分である。

 

(このまま上手くいけば勝って士気が上がるし、気合いを入れないとな)

 

そう思いながら俺は一呼吸してから少しでも点数を上げる為に問題と向き合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから30分後に今日のテストが終了して、皆が気を緩ませながらテストの感想を言い始めたので、俺は直ぐに明日に備えた勉強会を提案した。

 

その際に皆、ブーブー言いながらも勉強道具を準備したので、やる気充分のようで心底嬉しく思った。

 

 

ちなみに図書館に行く途中で一之瀬が真っ青になっていたが、解答欄でズレを作ってしまったのだろうか?

読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?

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