腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「相変わらず、孤高と孤独を履き違えてるようだな。ところで……そこで動画を撮っているのもお前の知り合いか?」
ば、バレてる……
俺は咄嗟に物陰に隠れようと考えたが、それも一瞬で却下した。堀北会長の運動能力なら一瞬で捕まるだろうし。
そう判断した俺は無抵抗を示すべく両手を上げて3人の前に現れる。
「1年Cクラス比企谷八幡か。動画を撮ったのは俺からポイントを巻き上げて、今日の取引で使ったポイントを補填する為か?」
すると会長か目を細めてそんな事を言ってくるが……
「……おかしいですね。何で会長がそれを知ってるんですか?」
俺は3年Dクラスの先輩に取引を持ちかけた筈だ。3年Aクラスの会長が知っているとは完全に予想外だ。もしかして生徒会長は生徒間のポイントのやり取りを把握出来る権限を持っているのか?
「取引現場の近くにいたからな。ああいう事は隅でやった方がいい」
どうやら会長もスーパーで買い物をしていて偶然俺の話を聞いていたようだ。女先輩も言ったように今後は気を付けて取引しよう。
「あの先輩にも言われましたが以後気をつけます」
「それで?幾らポイントを要求するつもりだ?」
「いや。会長を敵に回すのはヤバそうなんで遠慮します。携帯渡すんで消して構いませんよ」
言いながら携帯を投げ渡す。さっきの攻防を見て交渉カードにする馬鹿はいないだろう。
すると会長は物凄いスピードで携帯を操作して俺に返してくる。
「ただ一つ聞きたいんですけど、答えてくれませんか?」
「何だ?」
「簡単な話です。次の中間試験においてクラスポイントは最大でどのくらい貰えるんですか?」
そこを知りたい。数値次第では過去問を公開するタイミングをずらす必要性があるからな。
「なるほどな。見つけた攻略法を公開するタイミングを見計らうつもりか。答えを言うと最大で100ポイントだ。基準についてはクラスごとの平均点や高順位の生徒の数など様々だ」
「そうですがご助言ありがとうございます」
「この程度助言の内に入らない。しかしCクラスには龍園以外にも面白い奴がいるとはな」
えぇ……アイツと同列扱いって凄い嫌なんだけど。それじゃ俺が問題児みたいじゃねぇか。
「上のクラスに上がりたかったら死に物狂いで足掻け。それしか方法はない」
会長はそう言って去って行く。同時に汗がドッと出てくる。夜風に当たるつもりがとんでもない事になっちまったな。
ため息を吐きながら自販機に向かおうとする時だった。
「待って」
後ろから声をかけられたので振り向くと女生徒が俺を見ていた。
「?何か用か?」
「さっき攻略法とか言っていたけど、赤点を絶対に回避出来る方法があるの?」
なるほど。俺から情報を得たいようだが、馬鹿正直過ぎる。これでは龍園や坂柳を出し抜くのは無理だろう。
「ある……が、それを教えるつもりはない。他クラスにポイントを稼ぐ方法を教えるほどお人好しじゃない」
それにCクラスの大将は退学した場合に生まれるであろうペナルティを知りたがっているから教えない。
つか龍園の性格的にSシステムについて更なる理解を得たら他クラスの生徒を嵌めて、停学や退学によるペナルティを知ろうとするだろう。
「ま、無理に全員を赤点回避させるより、小テストで赤点を取るような馬鹿を切り捨てるのも悪くないんじゃないか?」
というかそうしてくれ。こちらとしてもデータが手に入るし。
「……それも選択肢の一つとして考えてるわ。多分クラスポイントが減る可能性はあるけど私達に失うポイントはないから」
クラスポイントに関しては0以下にはならないし、悪くない戦術だ。
まあ見えないマイナスはあるかもしれないが。例えば「退学者を出したクラスがAクラスに上がる為にはクラスポイント以外にも条件が追加される」みたいな感じの見えないマイナス要素があってもおかしくない。この学校は普通の学校じゃないし。
「それも悪くないかもな。あ、それと失うポイントがないって事はお前Dクラスだろ?由比ヶ浜結衣って奴がいると思うが、アイツはどうなんだ?同中だから気になってな」
退学になり得るか気になっている。
「由比ヶ浜さん?彼女は小テストで5点とDクラスの中でも退学者筆頭候補よ」
おいおい、あんな簡単な簡単なテストで5点って……予想より遥かに馬鹿だな。この学校に合格したから浮かれて知識を失ったのか?
「情報ありがとよ。ま、お前らがどんな行動を取るかは知らないが、俺達に迫ってきたら相手をする」
最後にそう言って俺は2人に背を向け、自販機で無料ミネラルウォーターを5本買って寮の中に戻る。
そしてエレベーターに乗って自分の部屋に戻り、ミネラルウォーターを冷蔵庫に入れてベッドに寝転がる。
(しかし中間試験で最大で100クラスポイント貰えるのは中々デカイな)
もちろん100ポイント貰えるとは思えないが、70〜80貰えたら十分だ。それだけで1ヶ月に買える本の数も増えるし。
そう判断した俺は龍園に先程の一件についてメールをして目を閉じる。堀北会長に見つかったからか精神的に疲れ果てたし。
(それにしても会長とやり合っていた男、名前は知れなかったが警戒が必要だな)
奴は会長と話してる時も淡々としていたし相当な修羅場をくぐっている可能性が高い。多分Dクラスだと思うが油断はしない方がいいだろう。
俺はDクラスに馬鹿が多いとは思ってはいるが、馬鹿しかいないとは思ってない。この学校は成績や運動能力のみではなく、素行などもクラス分けをする際の判断材料になっていると思う。実際龍園がCクラスにいるのは些か疑問だ。アイツならAでも通用すると思うし。
まあそれを考えても仕方ないし、寝よう。
今はどうこう出来ないし、テストに備えて勉強するだけだ。可能ならまた明日椎名に勉強を教わって……
ーーークラス間の争いをするよりも、比企谷君と一緒に本を読むのが1番楽しいですからーーー
ーーーただ……大丈夫とは思いますが比企谷君は退学にならないでくださいね。大切なお友達が居なくなるのは寂しいですからーーー
しまった……余計な事を思い出して眠れる気がしない……
翌日……
「ふぁぁ……眠い」
俺は欠伸をしながら部屋を出てエレベーターのボタンを押す。昨日は結局椎名の爆弾発言を思い出してしまい、全く眠れなかった。あの天然核爆弾はある意味学年最強だろう。
するとエレベーターのドアが開いたので中に入ろうとすると……
「おや、おはようございます比企谷君」
天敵の1人である坂柳が神室を連れながら挨拶をしてきた。よりによって朝からコイツと遭遇するとは……
「よう神室。おはよ……って杖で叩くな!」
面倒だからスルーしようとしたら杖で脛を叩かれる。このロリガキ、幾ら痛くないからって叩くなよ。
「挨拶をされたら挨拶を返すのですよ?」
「悪かったな。おはよう」
「はい。おはようございます。早速ですが中間試験の勉強は順調ですか?」
「ぼちぼちだ」
「なら良かったです。私としてもお気に入りのおもちゃ……お友達が退学になるのは嫌ですから」
「もうここまで来たらハッキリとおもちゃって言って良いからな?つかおもちゃで遊ぶって時点で幼女だな」
「私は幼女ではありませんっ」
すると坂柳は珍しくムキになって杖でツンツン足を突いてくる。その仕草が小さくまた可愛らしい」
「小さいと言わないでください、馬鹿……」
どうやら口にしていたようで、坂柳はそっぽを向いて私怒ってますオーラをだす。少しからかい過ぎたようだな。
「悪かった、よく考えたら身体的特徴でからかうのは駄目だな」
俺も腐った目によって色々な奴にdisられてきたが、そいつらと同じ事をしたのだ。今後は自省しよう。
「あ、いえ。こちらもからかい過ぎました」
俺が謝ると坂柳も拍子抜けしたようにそう返してくる。同時にエレベーターが開くので外に出ると……
「ヒッキー何してるし?!女の子を脅して連れ歩くなんてマジキモい!」
隣のエレベーターから退学者筆頭候補の由比ヶ浜が出てきて鉢合わせしてしまった。
今日は厄日か?
もしもガイルキャラが高度育成高等学校に入学したら?
高度育成高等学校学生データベース (4/6時点)
氏名 雪ノ下陽乃
クラス 1年A組
学籍番号 S01T004759
部活 無所属
誕生日 7月7日
評価
学力 A
知性 A
判断力 A
身体能力 A
協調性 A
面接官コメント
成績、身体能力共に数年に1人の逸材と言えるほど高いポテンシャルを持っている。加えて中学時代には文化祭実行委員長を務めたり、実家の仕事の為に社交界に参加した事から高いカリスマ性や社交性、処世術など、既に社会人として必要なものを兼ね備えている事からAクラス配属とする
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