腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
ペーパーシャッフルが終わってだいぶ経ち、今日で二学期も終わる。冬休みの宿題は無いし、最低限の勉強をする以外の時間は遊び倒す予定だ。
そしていつものように学校に行くべく、行く準備をして寮を出るが12月の寒い風が身体に障る。
「寒いな」
「ええ。学校が終わったらマフラーを買いに行きませんか?」
「もしくはネックウォーマーも良いですね」
俺の呟きに有栖とひよりがコクリと頷いてくる。これならどんどんと冷えていくので買うのは悪くないだろう。
そんな風に会話をしながら学校に向かっていると2年生の寮の近くにお守りが落ちていた。
「落とし物か?」
「そうみたいですね。場所から察するに2年生の誰かのものでしょう」
「もしくは1年生が登校の際に落としたのかもな」
言いながら俺はお守りを拾って歩くのを再開する。
「学校に届けるのですか?」
「何となくそんな気分になった」
よく見れば縁結びのお守りだからな。何となく放置するのも気が引けたし。
そう返しながら学校に着き、上履きに履き替える。
「じゃあこれ届けてくるから先に行ってくれ」
言いながら俺は2人と別れ、落とし物を取り扱う事務所に向かう。
そして到着したので中に入る。
「失礼します。落とし物を届けに「あ!これですこれです!あのお守りですからもう大丈夫です!」ん?」
事務所に入りながらお守りを見せると向日葵の髪飾りを付けたギャルっぽい女子が声を上げてくる。上履きの色から2年生である事がわかった。
ひょっとして……
「これ、2年生寮の近くで拾いましたが、貴女のですか?」
「そうそう。前に落としちゃって。どうもありがとね比企谷君」
ギャルっぽい女子はペコリと頭を下げてくるが……
「俺を知ってるんですか?」
「いや、体育祭を見た人なら誰でも知ってるからね?」
「ぐっ……」
その言葉に詰まってしまう。思い返せばあの時、有栖とひよりに全校生徒の前でキスをされたんだったな。
「あ、自己紹介をしてなかったね。2年Aクラスの朝比奈なずな。宜しくね」
2年Aクラス……入学当初はBクラスだったが、すぐにAクラスになって今じゃ元Aクラス相手に500ポイント近く引き離したクラスだったな。
まあウチのクラスも入学して半年以内にCクラスからBクラスになって、今じゃ350ポイント以上差をつけているけどな。
「知ってると思いますが1年Bクラスの比企谷八幡です」
「宜しくね。いや〜、見つかって良かったよ。このお守り、もう売られてないからさ」
朝比奈先輩は大切そうにお守りをギュッと握るが、明らかに男遊び慣れしてそうなな人がお守りを大切そうにするって中々珍しい光景だな。
「むっ……今、ギャルっぽい見た目なのにお守りを大切にするなんて変って思ったよね?」
朝比奈先輩が膨れっ面を浮かべながらそう言ってくる。
「すいません。思いました」
「正直で宜しい。けど見た目で人を判断するのは感心しないな〜」
朝比奈先輩は笑いながら頭をわしゃわしゃしてくるが、全くその通りだ。由比ヶ浜や雪ノ下は見た目は良いが中身は傲慢極まりないからな。
「以後気をつけます」
「なら良し。それにしても思ったより普通だね」
「目は腐ってますけど」
「いやいや。身体的特徴を悪く言ったり、悪く思ったりするのは人として間違ってるよ」
おぉ……意外に誠実だな。雪ノ下なんて中学時代に会って10分以内に目が腐ってるからって散々こき下ろしていたからな。そりゃDクラス行きになるわ。尤も俺がCクラスなのもよく分からんが。Dにいてもおかしくないし。
「ところでさ比企谷君って例のペーパーシャッフルで自分のクラスの指揮を執ったんだよね?」
「え?あ、はい。一応俺が執りました」
「その時に帆波に何かしたかな?や、勝負だから怒ってる訳じゃないんだけど、ただ今の帆波、負けただけにしては落ち込み過ぎてるし気になって」
帆波……ああ、一之瀬か。
「申し訳ないですがその件については無関係ですね。今回は一之瀬のクラスメイトを闇討ちしたりしないで、真っ向勝負をしました」
関係があるのは有栖であって俺や龍園は不干渉だ。
「そっか。うん、教えてくれてありがとう」
「随分呆気なく終わらせますね。一之瀬とは仲良さそうですし、問い詰めてくると思いました」
Cクラスの連中、特に普段から一之瀬と連んでいる白波、網倉、小橋あたりはしょっちゅう龍園(偶に俺)に問い詰めてくるからな。ちなみに俺は適当に流しているがその反面、龍園は煽りまくっている。頼むからCクラスの連中が由比ヶ浜化するのだけは勘弁だ。
閑話休題……
「帆波が心配なのは事実だけど、この学校じゃ騙す騙されるが日常茶飯事だからね。仮に帆波が嵌められていてもそれは帆波自身の問題で、慰めることはあっても解決は帆波自身がしないといけないよ」
流石に2年生ともなれば情に流される事はないようだ。優しそうな先輩だが、そのあたりは線引きしているのは驚いた。
「随分とドライですね」
「ドライにならないとこの学校じゃやっていけないからね」
「なら自分もそうするように心掛けますよ」
「今年の1年生は中々ユニークらしいから楽しみにしてるよ」
いや、ユニークって……意味は合ってるけど悪い意味のユニークですよ?
「そうですか。まあユニークな面々とは適当にやっていきますよ」
「いやいや。君もユニークだからね」
朝比奈先輩がそう言ってくるが、俺がユニークだと?
それはないだろう。俺は普通の生徒だろう。美少女2人に挟まれて堂々とキスをされたりスク水好きと思われたり、第三者には知られてないが毎晩ひよりと有栖を相手にペッティングをし合っているだけのどこにでも……居ないな、うん。完全にユニークじゃねぇか。
「……そうかもしれないですね。んじゃ失礼します」
「あ、最後に連絡先を交換しない?ここで会えたのも何かの縁だし。このお守りも縁に関するお守りだしね」
……そういえば上級生とのパイプは無かったし、ここらで作っておくのも悪くないな。
「……わかりました」
言いながら携帯を出して連絡先を交換する。
「ありがとね。場合によっては愚痴に付き合ってね。じゃあまたね」
朝比奈先輩はそう言ってから手を振って去って行く。久しぶりに普通の人と会ったような気がする。知り合いの大半はどこかしら変な部分があるからな。
そう思いながら廊下を歩いていると真嶋先生が地下に繋がる階段から上がってくる。しかし手にはトレーや食器があるが、地下に食堂があるのか?
「おはようございます真嶋先生。それって朝飯ですか?」
「比企谷か、おはよう。これは朝食だが俺達ではなく、Dクラスの須藤達……矯正プログラムを受けている生徒のものだ。片付けは教員が交代で担当している」
あぁ……なるほどな。つまり懲罰室は地下にあるのか……って、つまりここにいたらアイツらと鉢合わせする可能性があるじゃねぇか。
俺は早足で教室に向かい、席に座る。すると直ぐにHRの時間になって坂上先生が教室に入ってくる。
「おはよう。今日で二学期も終わりで明日から冬休みになる。しかしだからといってハメを外さずに節度ある生活を送るように」
坂上先生がお決まりの言葉を口にするが、毎晩ひよりと有栖相手にペッティングをしている時点で節度もクソもないだろう。つーか下手したら冬休みに2人の処女を奪う可能性もあるし。まあ口にはしないけど。
そんな事を考えている間にも話は進み、終業式でありがたくも面白くない話を適当に聞いて、2学期の終わりを迎えた。
さて、冬休みはどんな生活になるのだろうか。可能なら平和に過ごしたいものだ。
次回は本編ではなく、各クラスの状況や生徒の現状のまとめを書きたいと思います。どうぞ宜しくお願いします
ちなみに今回朝比奈先輩を出したのは……
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
-
はい。
-
いいえ