腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「ダメですね。この辺りで目撃情報が途絶えています。恐らく施設の中にいると思いますが……」
「こっから探すのは大変よ」
ケヤキモールの一角にて有栖達は周りを見ながら呟く。周りにはスパリゾート、スポーツジム、ボルダリング施設などがあるが、いちいち中に入っていてはキリがない。
どうしたものかと思った時だった。
ピロン
有栖のポケットから電子音が鳴るので、有栖は携帯を取り出して2人にも見えるようにして確認すると……
「ふふふふふ……八幡君は随分と手が早いようですね」
「むぅ……八幡君の馬鹿」
「へぇ〜、清隆って女子なら誰でも良いんだ」
橋本からの動画が添付されたメールが来ていて、動画を再生すると「八幡が可愛らしいビキニを着た朝比奈をお姫様抱っこしてから下ろしたかと思えば、朝比奈が八幡の腕に抱きついてジャグジーに向かう場面と、綾小路がセクシーな水着を着た鬼龍院の手を取ってエスコートする場面」が再生される。
動画が終わった頃には3人の額に青筋が大量に浮かんでいる。八幡も綾小路も1人でのんびり過ごすと言っていたのに美少女とイチャイチャしていたのだから当然だが。
「行きましょうかプールに」
「ええ」
「そうね」
有栖の提案に2人は小さく頷いてスパ施設に向かう。目的は1つ、鬼龍院と朝比奈の前で2人に甘えまくって八幡と綾小路にマーキングをする事だ。
表向き、平田と別れたばかりである恵だが躊躇うつもりない。動画を見る限り、綾小路がエスコートしている鬼龍院は自分よりも抜群なスタイルをもっているので、興味が自分から鬼龍院に移る可能性もある。
よって恵はスパ施設で場合によっては張り合うつもりだ。そして今日まで綾小路に下着姿までしか見せてなかったが、今日からは生まれたばかりの姿を見せるつもりだ。どの道クリスマスには一緒に風呂に入る予定だったのだから遅かれ早かれだ。流石に処女を捧げるのは早いけど。
3人はそのままスパ施設に入るのだった。
同時刻……
「それにしても随分と鍛えているな。何か格闘技をやっていたのか?」
ジャグジーにて鬼龍院先輩が興味深そうに綾小路の身体をペタペタと触っている。軽井沢が見たらブチ切れそうだな。
「ピアノと書道ならやってましたね。それに俺はそんな強くないですし」
「嘘こけ。須藤を一撃で沈めて、堀北先輩と余裕でやり合えたテメェが強くないなら全校生徒がカスだからな」
今でも綾小路と堀北先輩の戦闘は頭に焼き付いているが、アレの何処が強くないんだよ。
「なにそれ?堀北先輩って雅から勝負に誘われても毎回相手にしないのに。どういう状況でそうなったの?」
俺にくっついているなずなが興味深そうに綾小路に質問する。(何故か名前、それもタメ口で呼べと強く求めてきたのでそう呼んでいる)
「ちょっと色々ありまして」
綾小路ははぐらかすが俺も詳しくは知らないんだよなぁ。ただ綾小路が堀北妹を助ける為ってのは知ってるけど。
「ふ〜ん。でもそれ雅にバレない方が良いよ。私は黙っとくけどバレたら絶対にちょっかいをかけられるから」
「朝比奈せんぱ「なずな」……なずなは南雲先輩を崇拝してないんだな。2年の中には崇拝してる人がかなりいるって聞いたが」
「まあね。ウチのクラスにはかなりいるよ。けど私からしたら天狗になってるからちょっとね……それに雅ってクラスの垣根を越えて実力のある生徒をAクラスに上げたがってるけど、裏を返せば私達も下に落とされるかもしれないし」
なずなはため息を吐くが美少女のため息って絵になるな。しかし南雲先輩の方針が実現すれば下位クラスの実力者はやる気を出すだろう。下位クラスの雑魚はやる気を無くすだろうけど。
「ですが俺のクラスで長所のある生徒は南雲会長に期待してますよ」
そりゃそうだ。綾小路のDクラスは由比ヶ浜や須藤がメチャクチャ足を引っ張っているから浮上の機会がないからな。個人で活躍出来る自信がある生徒なら南雲先輩に期待するのも当然だ。
「まあ綾小路のクラスからしたらそうだろう。何なら君も力を発揮してそのチャンスを得ようとしたらどうだ?」
鬼龍院先輩は試すように綾小路の頬を突いて蠱惑的な笑みを浮かべる。この光景を写真に収めて軽井沢に見せたらどんな反応をするか気になるな。
「余り興味ありませんね。既に資金源は確保出来ていますし青春に全てを捧げたいです」
綾小路はそう返す。既に五馬鹿によってストレスが爆発的に増加した綾小路からしたら、その反動で娯楽を求めてもおかしくない。
「ほう。君の言う青春とはどういうものだ?」
「美味いものを食べて、面白い漫画を読んで、可愛い女子とエロい事をするとかですね」
堂々と言うあたり綾小路の度胸は凄いな。しかも全くいやらしさを感じないあたり本気であることが容易に想像出来るな。
「あ、あはは……正直だね」
「はははっ!そんな風に堂々と言うとは思わなかったぞ。で、比企谷はどうなんだ?」
なずなは若干赤くなりながら苦笑するが、鬼龍院先輩は笑いながら綾小路の頭をわしゃわしゃしながら俺に聞いてくる。
「青春の内容ですか?基本的には綾小路と変わりませんが、後はAクラスの座を手に入れる事とかもですね」
何だかんだ試験と向き合って動くのには充実してるしな。
それにこの学校の試験は学力が高ければ勝てるって訳ではなく、必然的にシンキング……考える力を重視しているが、これは社会に出てから必須の力だろうし、努力する事に損はないだろう。
つまり自分自身の欲求を満たす為、自分自身のスキルアップの為でも特別試験は意義あるものと考えている。
「それもまた青春だな」
鬼龍院先輩が頷くとなずなが俺の腕に抱きついてくる。
「……もしも八幡君がエッチな事をしたいなら、ちょっとだけなら付き合うよ」
なずなの大きな胸は俺の腕によって形が変わり、俺の腕には柔らかな感触が伝わってくる。
むにゅっとした感触にドキドキしている時だった。
「あらあら。随分と楽しそうですね」
「鼻の下が伸びていますね」
「清隆って上級生が好きなんだ〜」
冷たい声が3つ聞こえてきた。こ、この声は……
恐る恐る振り向くと冷笑を浮かべる有栖、膨れっ面を隠そうとしないひより、ジト目を綾小路に向ける軽井沢がいた。しかし3人とも黒いオーラを出している。中でも有栖のオーラは一段とドス黒くて怖い。
「恵か?こんなところで会うのは偶然か?」
「偶然じゃないわよ〜。匿名の情報提供者達から2人が歳上の女子2人と楽しくやってるって教えて貰ったから気になってね」
軽井沢は額に青筋を浮かばせながら綾小路に近寄るが匿名の情報提供者"達"?
1人は龍園だろう。そして女子2人と楽しくやってると軽井沢が言っていたが、なずなと会ったのはここに来てからだ。
(そして女子2人って知ってるって事は……)
俺がジャグジーに浸かりながら階段下のプールを見回すと金髪の男子が男子更衣室に逃げるように入っていった。金髪の男子は数少ないし、ひより達に情報提供出来るとなれば有栖の側近の橋本以外考えられない。後で見つけ出して問い詰めよう。
「それにしても2人は随分と楽しそうですね」
有栖が冷笑を浮かべながらそう言ってくるが、どう返事をして良いのか「そうだな。歳上の女性に弄ばれるのは悪くないな。なぁ比企谷?」綾小路ぃっ!そんな内容を俺に振るなぁ!
「ふぅぅぅぅぅぅん?清隆は歳上の女性に弄ばれたいんだ?」
「まあな。ところで恵は何で不機嫌なんだ?」
ビキィッ!
綾小路の発言に軽井沢の額にデカい青筋が生まれるが、どんだけ鈍感なんだお前は?以前に、由比ヶ浜によって負の感情が目覚めたが、それ以前は感情が無い……とか言っていたが軽井沢の嫉妬を見抜けないって事はマジで感情が無かったのかもしれないな。
「何だ?そんなに弄んで欲しいのか?可愛い後輩だな」
ビキ ビキ
鬼龍院先輩はこの状況を楽しんでいて、綾小路に顎クイをしながら頭を撫でている。当の綾小路は満更でも無さそうだが、軽井沢の額には青筋が増えている。
「何鼻の下を伸ばしてんのよ!女誑し!」
軽井沢は綾小路の右側に入り、鬼龍院先輩から綾小路を引き離そうと抱きつく。
見ている分には面白いが……
「で?八幡君はどうなんですか?」
「先程いやらしい事を付き合ってあげると言われて嬉しかったんですか?」
俺は俺で対処するべき問題があるからどうにかしないとな。2人は俺の腕に当たっているなずなの胸を見てくる。俺に押し付けられた胸はむにゅりと形を変えて、俺を昂らせてくる。
どうしたものかと悩んでいると……
「怒らないから正直に言ってください」
と、ここで有栖が聖母のような微笑みで聞いてくる。
「嬉しかった」
「帰ったらお仕置きです」
「……八幡君の馬鹿」
嘘つき、怒らないと言ったのに。
「う、嬉しかったなんて、エッチだなぁ……そこまで激しい事はしないよ?」
「待てなずな。誤解を招くような発言は「「なずな?」」いや……あの……」
俺はもう逃げれないと判断して流れに身を任せる事にした。だってこっから大逆転なんて無理だろうしな、うん。
結局俺は3人に抱きつかれながら、綾小路が鬼龍院先輩に弄ばれながら軽井沢の胸を揉んでいる光景を眺めるだけの存在と化すのだった。もうコイツは自重しなくなったが、由比ヶ浜や須藤の所為だろうな。
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