腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「はぁ……」
俺はため息を吐くことしか出来なかった。朝からコイツと出会うなんてマジで厄日かもしれない。
「何ため息吐いてるし!ヒッキーマジキモい!」
すると由比ヶ浜がそんな事を言ってくるがため息を吐くだけでキモい呼ばわりされるとは思わなかったわ。
「……クラスメイト?」
すると神室が質問をしてくる。ただし明らかに嫌そうな表情で、坂柳はゴミを見る目で由比ヶ浜を見ていた。
「同じ中学だった。んでDクラス」
「なるほど。品がない事から予想はしていましたが、やはりDクラスですか」
「煩いし!子供は黙ってるし!」
あ、坂柳の額に青筋が浮かんだ。まあ今のは怒るだろうな。
「比企谷君。友人は選んだ方がいいですよ?」
「友達じゃねぇの。不本意ながら生まれた縁で知り合ったんだよ。それに多分コイツは次の中間で退学を食らうだろうし、直ぐに縁が切れるわ」
「はぁ?!赤点なんか取らないし!」
「いやいや。小テストで5点しか取れない奴が言っても説得力ないからな?」
「え?あのテストで5点ってまずくない?」
俺の返答に神室も由比ヶ浜に対してバカを見る目を向ける。坂柳に至っては冷笑を浮かべている。
「な、なんでヒッキーが知ってんだし?!キモい!マジキモい!キモ過ぎだから!」
「あん?Dクラスの女から聞いた」
昨日会長の近くにいた女にな。つか昨日のアレはマジで何だったんだか。
「それにしても彼女、本当に品がないですね。比企谷君、彼女と何が「煩いし!人の事を悪く言っちゃいけないって事もわかんないの?!子供は口出しするなし!」……決めました。もし彼女が中間試験を突破したら、学校のルールに代わって私が潰します」
坂柳の額に青筋が更に浮かび、神室は同情に満ちた眼差しを俺に向けるがそんな目で見るな。
そこまで考えているとエレベーターの音が鳴り、ドアが開く。するとそこからは雪ノ下が出てくる。畜生、よりによって雪ノ下まで来やがったよ。
「あ!ゆきのん!聞いてよあの子供があたしに酷い事を言うんだし!」
内心ため息を吐いていると由比ヶ浜は戯言を吐いて、それを聞いた雪ノ下はこちらを睨んでくるが、即座に坂柳を見る。
「坂柳さんね?」
「貴女は……どちら様ですか?比企谷君はご存知ですか?」
「雪ノ下雪乃。由比ヶ浜と同様に同じ中学出身」
「雪ノ下……ああ。貴女が陽乃さんの妹ですか」
「?お前陽乃さんを知ってんの?」
「ええ。何度かパーティーであった事がありますが中々油断出来ない人です」
だよねー。あの人と相対した人間は一瞬でも油断した瞬間に負けるだろう。
「それで?陽乃さんの妹さんが私に何の用ですか?」
「……ふん。入学早々女王様気取りとは良い身分ね」
雪ノ下はそう言う。対する坂柳は小さく笑う。
「そんなつもりはありませんよ。その口振りからしてAクラスを狙っているのですか?」
「当然よ。私がいるべき場所はDクラスなんかじゃないわ。近い未来に貴女をAクラスから引き摺り下ろす」
「そうですか。陽乃さんの妹ですから期待してますよ」
「……姉さんの妹として見るのをやめてくれないかしら?不愉快だわ」
雪ノ下は苛立たしげにそう言ってくる。そういやコイツ、陽乃さんと比べられるのが大嫌いだったな。
「それは無理ですね。私は貴女と会ったのは今日が初めてですから」
まあそうだな。情報が少ない状態だと持ってる情報から判断するしかないし。
「はぁ?!ゆきのんが止めろって言ったんだから止めるし!人の嫌がる事はしちゃいけないって知らないの?!そんな事もわかんないなんて小学生以下じゃん!」
すると由比ヶ浜がそう言ってくる。同時に坂柳の額に更に青筋が浮かぶ。
「あんたも比企谷の事をキモい呼ばわりしてんじゃん。人の嫌がることをしといて文句を言うんだ?」
すると神室が呆れた表情を浮かべながらそう言うが、あの馬鹿には効かないと思うぞ。
「ヒッキーがキモいのは当たり前のことだから良いんだし!」
ほらな。予想はしていたから特に腹が立たないけど、自分の発言がブーメランになっていることに気付いてない事に呆れてしまう。
「……もう疲れました。2人とも行きましょうか」
坂柳は呆れたような表情を浮かべてそんな提案をしてくる。これには普段坂柳を嫌っている神室も反対しないでいる。
「待つし!ゆきのんに謝るし!」
言いながら由比ヶ浜は坂柳に詰め寄ろうとする。同時に坂柳が怪我をする可能性を危惧した俺は……
「神室、走る準備をしろ。坂柳、済まん!」
「えっ……きゃぁっ!」
坂柳に謝ってから即座に抱き抱えて走り出す。その際に坂柳は可愛らしい声を出すが、それを無視して神室と走り出す。
「何やってるしヒッキー!キモい!マジでキモいから!というか待つし!その子供はゆきのんに謝らないといけないし!」
背後からそんな声が聞こえながらも坂柳が怪我をしないように気をつけながら走り、やがて振り切る。由比ヶ浜の運動神経が雑魚で良かったな。
「っと、悪かったな坂柳」
言いながら俺は坂柳をゆっくりと下ろす。いくら馬鹿どもから逃げる為とはいえ、いきなりお姫様抱っこをしたのはやり過ぎたかもしれない。
「……いえ。彼女とは関わりたくなかったので、こちらとしては気にしてないです」
坂柳は珍しく恥ずかしそうにそっぽを向くが普段とのギャップがあってドキドキする。
「怪我はないか?一応お前に気を遣って走ったが、気分は悪くないか?」
「大丈夫ですよ。しかし比企谷君、彼女とは何があったんですか?」
「それは私も気になる。あそこまでキモいキモい言ってくるなんて相当凄い喧嘩をしたの?」
坂柳と神室がそんな質問をしてくる。
「詳しい事は言いたくないがとある一件で仲違いしたんだよ。ただ、仲違いする前からアイツはキモいキモい言ってたからなぁ」
1日に最低でも5回は言われていたからな。俺からしたらアイツのキモい呼ばわりは口癖だと思っている。
「そうですか……しかし彼女、本当に高校生なんですか?」
「俺に言われても知らん」
少なくとも精神年齢は幼稚園児だろうな。
「ところで坂柳、彼女については潰すの?」
「当然です。あそこまで苛々したのは初めてですから」
坂柳は口元は笑ってはいるが目は絶対零度だった。まあ坂柳の立場からしたらブチ切れても仕方ないか。
「比企谷君も止めませんね?」
「止めねーよ。既にアイツらとは決別してる」
アイツらが退学になろうが俺からしたらどうでも良い話だ。それより我が身が大事だからな。
「なら良かったです。それと……さっきはありがとうございます」
坂柳はそう言うと珍しく含みのない笑顔を浮かべてそう言ってくる。普段は腹黒い笑みを浮かべている坂柳だが、そんな可愛らしい笑みを浮かべられるなら常日頃から浮かべて欲しい。
俺は純粋にそう思うことしか出来なかった。
15分後……
「あ、比企谷君。おはようございます」
「おはよう椎名」
Cクラスに着いた俺は椎名に挨拶をして自分の席に座る。そして授業の準備をしていると、扉が開き龍園が入ってきてクラスの空気が若干重くなる。
しかし龍園は全く気にする素振りを見せずに俺に話しかけてくる。
「よう比企谷。目立つの嫌いな癖に随分とやらかしたな」
龍園はニヤニヤ笑っていてこっちの神経を逆なでしてくるが……
「何の話だ?」
正直言って心当たりがない。もしかして由比ヶ浜との一件……いや、あの時寮のエントランスには人が殆ど居なかったから違うだろう。
すると龍園は携帯を突き出してきて……
「これだよ、これ。Aクラスリーダーの坂柳をお姫様抱っこするなんて目立つに決まってんだろ」
真っ赤になっている坂柳をお姫様抱っこしている俺の写真を見せてきた。
その写真は瞬く間に学校中に広がったのは言うまでもなかった。
Aクラス
「おはようございます」
坂柳有栖が挨拶をしながら教室に入る。普段なら坂柳派の人間は挨拶をして、葛城派の人間は睨みつけるが……
『きゃぁぁぁぁぁっ!』
今回に限っては坂柳派葛城派関係なく女子が黄色い声を出していて、これには有栖も驚いた。
「どうしたのですか?私が何かしましたか?」
有栖は近くの女子に話しかける。
「えっと……坂柳さんってCクラスの比企谷君と付き合ってるの?」
言いながら携帯を突き出してくる。そこには……
「なっ……」
八幡にお姫様抱っこされている有栖の写真が表示されていた。しかも真っ赤になって。
(まさか撮られていたとは……予想以上に恥ずかしいですね。この様子だと相当広まっているようなので火消しは無理でしょう)
有栖は黄色い声に辟易しながらもそう考え始めるのだった。その間も女子からはキラキラした目で見られ続けながら。
もしもガイルキャラが高度育成高等学校に入学したら?
高度育成高等学校学生データベース (4/6時点)
氏名 比企谷小町
クラス 1年D組
学籍番号 S01T004759
部活 無所属
誕生日 3月3日
評価
学力 D+
知性 E
判断力 D
身体能力 C
協調性 B
面接官コメント
コミュニケーション能力はあるが、成績や教養が不足しているのでDクラス配属とする。また少々自分勝手な面もあるので改善を必要とする。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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はい。
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いいえ