腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
冬休みは特に試験や他クラスについて考えなくても良いからかリラックス出来て、どんどん過ぎていき、もう大晦日を迎える。
「後数時間で新年か。後輩達は来年の抱負などはあるか?」
綾小路の部屋にて鬼龍院先輩が俺達にそんな風に聞いてくるが……
「馬鹿5人を避けながら青春を楽しむことです」
「馬鹿5人に絡まれないように注意しながら、あたしの清隆と仲良くする事です」
「馬鹿5人をあしらいながら平穏な学校生活を送りたいっすね」
「馬鹿5人の行動に巻き込まれないように気をつけながら八幡君の正妻ポジションに入ることです」
綾小路、軽井沢、俺、有栖が順番に答える。軽井沢は綾小路の右腕に抱きつきながら、猫がフシャー!……って威嚇するように鬼龍院先輩を睨んでいる。
しかし全員が馬鹿5人と言うがそれも仕方ないだろう。俺達は割と巻き添えを食らうタイプだし。
「鬼龍院先輩は今年の抱負とかあるのですか?」
「そうだな……見た目はクールだが、中身が情熱的な後輩を可愛がる事に専念するのも悪くないな」
鬼龍院先輩は綾小路の顎を持ち上げて、耳に息を吹きかける。それにより綾小路の無表情な口元が緩み、軽井沢が般若のような表情になる。
「鬼龍院先輩。清隆はあたしのものですが?」
「ふむ……清隆、私に可愛がられたいか?」
「はい。可愛がってください」
ビシィッ!
鬼龍院先輩の清隆呼び、綾小路の即答了承により軽井沢の額に青筋が浮かぶ。鬼龍院先輩がおちょくり、軽井沢がブチ切れるのは見ている分には面白い。
しかし他人事ではないんだよなぁ。俺は俺で先輩に甘やかされ「蕎麦出来たよ〜」噂をすればだな。
キッチンを見ればひよりとなずなが蕎麦を乗せたトレーを運んでくる。蕎麦の上には鴨肉が乗っていて中々美味そうだ。
「ご苦労さん。わざわざ全員分作ってくれて助かった」
俺達は2人に労いの言葉をかける。年越し蕎麦の準備についてはひよりとなずなが名乗り出てくれたが感謝しかない。
「気にしないでください。気にしちゃうならご褒美としてギュッと抱きしめてください」
ひよりは言いながら俺に抱きついてくる。恥ずかしくないのかって?体育祭で全生徒の前でキスをされたから今更だ。
「はいよ」
言いながら俺はひよりを抱き返すとひよりは満足そうに頷いてから席に座る。俺も座ろうとするが、視線を感じたので見れば、なずなが物欲しそうに見てくる。
「ねぇ八幡君。私も頑張ったから同じご褒美が欲しいな〜」
そして俺にギュッと抱きついてくる。それに伴い、ひよりと有栖がジト目で見てくる。
「あの、なずな。同じご褒美って「くれないと離さないから」……はいよ」
俺は諦めて抱きしめ返すと2人のジト目が強くなり、綾小路がうんうん頷き、軽井沢が綾小路の前で余計な事をしてんじゃねぇよって目で睨み、鬼龍院先輩は楽しそうに笑っている。実にカオスだ……
「ありがとね。じゃあ頂きます」
「「「「「「頂きます」」」」」」
なずなの挨拶を皮切りに俺達も挨拶をして食べ始める。ただし軽井沢は鬼龍院先輩に、ひよりと有栖はなずなにガンを付けている。やめて、仲良くして!
「それにしてももう今年も終わりだけど、冬休み明け直ぐに試験は怠いなぁ」
なずなはそう言ってくるが……
「なずな。冬休み明けに試験があるのか?」
「あるよ。それも全学年合同でね」
「毎年冬休み明けには全学年合同でペナルティに退学が含まれる特別試験があるのだよ」
俺の質問に先輩2人が頷くが、新学期早々からいやらしいな。
「去年の試験の内容を聞いても良いですか?」
「聞いても意味ないよ。堀北先輩によれば毎回全然違う内容にするらしいよ。実際今回の試験って雅が考えたみたいけど、去年と全然違ったし」
なずながそう言ってくる。生徒会長ともなれば多少のルール作成も出来るようだ。
「朝比奈先輩は今年のルールを知ってるみたいですが、教えて貰えますか?」
「んー。流石にこれ以上はタダじゃ無理かな」
綾小路の質問になずなはそう返す。
「では幾らなら?」
「ん〜、あっ……じゃ、じゃあ今度八幡君が私と2人きりでスパ施設に行くなら教えてあげる……八幡君が好きそうなエッチな水着も着るよ」
言いながらなずなは頬を染め、俺に対して上目遣いで見てくる。
「……仕方ないな。交渉成立だ」
ペナルティに退学がある試験だ。事前に情報を持っといた方が良いだろう。一応クラスのNo.2だし、身を粉にして働かないといけないからな。
「「……」」
ひよりと有栖の眼差しが強くなったような気がするが、それは今後考えよう。
「楽しみにしてるから。で、試験内容はね……」
なずなはそう前置きしてから説明を始める。大まかなルールは……
各学年ごとに小グループを6つ作る。小グループには責任者を1人作る
他学年と合流して巨大な大グループを6つ作る
そのグループで学校の用意した課題をこなし、平均点で順位をつける
最下位となった大グループの中で、学校の用意した平均点のボーダーを下回る小グループがあれば小グループの責任者は退学になる。
また退学者が出たグループに明らかに足手纏いがいたら、その者についても1名限定で道連れに出来る
「……私が知ってるのはこのくらい。報酬やグループ決めのルール、課題の内容は知らない」
思ったよりも多い情報だな。これは後日龍園に話して策を練るのも重要だろう。
しかしこの責任者と道連れについては妙に引っかかる。道連れについては手抜きをして責任者を追い込まない為だろうが、退学の際の救済に必要なポイント次第では危険なルールになり得るぞ。
「なるほどな。それなら南雲の狙いは橘を消す事か。2年を支配している南雲なら出来るし、そうすれば堀北兄にも構って貰えるからな」
綾小路がそう口にする。いきなりどうしたんだ?
「……なるほど。素晴らしい慧眼ですね綾小路君。見事です」
「凄まじい洞察力だな。何かご褒美をあげようじゃないか」
「じゃあ是非胸を揉ませてくだ「清隆ぁぁぁぁぁぁっ!」痛いな、恵」
ここで有栖と鬼龍院先輩がハッとした表情を浮かべてから綾小路を誉めて、綾小路が煩悩全開の要求をして、軽井沢が綾小路の顔面を殴る。
「えっ?!どういう事?雅は3年生を支配してないよ?」
なずなが意外そうな表情で浮かべる。確かに2年生のグループについては自在に決めれるだろうが、3年生に協力するには……待てよ。
「なぁ、3年AクラスとBクラスってどのくらいクラスポイントが離れていたっけ?」
「確か290ぐらいでしたね。しかしそこに気付けば考えは合っていますよ」
有栖が俺に微笑みを向けてくる。どうやら俺の考えは当たりのようだ。その位のクラスポイントなら協力関係を気付けるだろう。
「あ、そういう事ですか。大胆な作戦ですね」
ひよりも思いついたようで、うんうん頷く。その仕草は可愛いな。
「ねぇ、どんな作戦か教えてよ」
「清隆、説明しなさい。生徒会長の作戦と、アンタの胸好きな理由を」
なずなが興味深そうに、軽井沢が額に青筋を浮かばせながら聞いてくる。
「ん?それはだな……って感じだと思う。胸が好きなのは触った際に手に伝わる感触が気持ちからだ」
綾小路は2人に説明するが、胸好きの理由はいらんからな。
「それが本当ならエグくない?」
「あ〜、雅って堀北先輩に構って貰えてないし、気を引くためにあり得るかもね」
軽井沢はドン引きして、なずなは嫌そうな表情になる。まあ普通の感性を持つ2人なら当然の反応だな。2人には今の感性をキープして欲しいな。
「ふむ、食事中にしては重い空気になったな。どうだろう?食べ終わったら気分転換にゲームをしないか?」
「それは構いませんが何のゲームですか?」
ひよりが発案した鬼龍院先輩に質問すると、鬼龍院先輩は不敵に笑い。
「やはりイベントの王道と言えば王様ゲームだろう」
どうしよう。有栖や鬼龍院先輩や綾小路がヤバい指示を出してきてメチャクチャカオスになる未来しか見えないな。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
-
はい。
-
いいえ