※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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図書館

ヒソヒソ……

 

「目立ってますね」

 

「言うな。はぁ……」

 

昼休みに図書館に向かっていると周りからヒソヒソと噂される。椎名の言葉に俺はため息を吐いてしまう。

 

こうなった原因はわかっている。1週間前に坂柳をお姫様抱っこして運んだ俺だが、その噂は全く消えないままの状態で椎名と歩いているからだろう。

 

俺は以前、椎名に迷惑をかけたくないから距離を置こうと提案したら椎名は「私は噂なんて気にしないです」と拒否した。椎名がそう言ってくれたのは本当に嬉しいが余計に目立ってしまっているのは事実。

 

何度目かわからないため息を吐きながら図書館に入る。昼休みと放課後に椎名と図書館に向かうのは日課となっていて、放課後はテスト勉強をして昼休みには読書をしている。

 

図書館では昼休みにも勉強している奴も結構いるが、俺からしたら休み時間にまで勉強はしたくない。つか椎名の教えに加えて過去問もあるから全く問題ない。

 

そう思いながら席に座ると近くではクラスメイトの山脇と佐藤が座って勉強をしている。龍園はまだ過去問を公表してないからか集中して勉強をしているのがわかる。

 

俺はそんな光景から目を逸らして手に持つ本を見て読み始める。こうやって静かな場所で本を読むのは最高の時間だ。

 

暫くの間、本を読んでいると……

 

「何だと?!」

 

余りにデカい声が聞こえてきたので顔を本から上げると、龍園がおもちゃにしようとしているDクラスの赤髪がクラスメイトの山脇と向かい合っていた。見れば会長とやりあっていた男もいるが、何をやってんだ?

 

「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイント査定に響くだろうな。いや、お前らには失くすポイントが無いんだっけ?って事は退学になるのかもなぁ?」

 

「上等だ、かかって来いよ!」

 

山脇の言葉に赤髪はキレるが、アイツはいつの時代のヤンキーだよ?

 

呆れていると向かい側に座る椎名が立ち上がって騒動の方に向かう。多分注意をするんだろうが、椎名の場合だとクラスポイント云々ではなく静かに本を読みたいからだろうな。

 

とはいえ無視するわけにはいかないので俺も立ち上がる。あの赤髪の短気っぷりから椎名が危険な目に遭う可能性もあるからな。

 

「すみませんが、図書館で騒ぐのは迷惑ですから静かにしてください」

 

「んだテメェは?部外者が口出しするんじゃねぇよ」

 

赤髪は椎名に凄むが椎名は気にしない。

 

「そう言うのでしたら外で騒いでください。図書館では静かにするのがルールですよ」

 

「つか山脇、ここで騒いでクラスポイントが下がる要因となったら龍園に怒られるぞ?」

 

俺の言葉に山脇が顔を青ざめる。Cクラスの生徒の大半からは龍園の存在は恐怖の対象だから仕方ないだろう。しかし騒動を収めるにはこれが1番だろう。

 

「わ、悪い比企谷。そっちの不良品どもがギャーギャー煩くてよ」

 

「んだとこらぁっ!」

 

赤髪がキレる。山脇の奴、咄嗟だからか知らんが更に挑発してんじゃねぇよ。

 

「いい加減にしなさい。ここで騒ぎを起こしたらどうなるかわからないわ。それからCクラスって時点で自慢できるようなクラスではないわ」

 

すると以前話した鈴音(苗字は知らない)って女子が赤髪を止めて、山脇を睨む。まあ確かにCクラスは自慢できないだろうな。

 

「C〜Aクラスなんて誤差みたいなもんだ。お前らDだけは別次元だけどなぁ」

 

いやいや。Aクラスのクラスポイントは940でCクラスは490、450ある差を誤差呼ばわりは無理あるだろ。つかそれならCクラスとDクラスの差も誤差になるぞ。

 

「えっと、山脇くん。450あるAクラスとの差を誤差なら490あるDクラスとの差も誤差じゃないですか?」

 

椎名の言葉に山脇が凍りつく。流石椎名、この天然っぷりに勝てる奴はいないだろう。

 

「はっ!何だよ偉そうな事言っといてテメェらも大したことないじゃねぇか!」

 

赤髪は俺達を笑うが0ポイントのコイツが偉そうに言えることじゃないだろうに。コイツの知能定数は由比ヶ浜レベルだな。

 

赤髪の言葉に山脇はキレる。

 

「1ポイントもない奴らが偉そうに言える立場じゃねぇだろうが。そんな事を言ってられるのも次の中間でそいつらの中から赤点保有者が出て退学するまでだぜ」

 

「残念だけど、彼らの中から退学者は出ないわ」

 

「由比ヶ浜については?」

 

「……彼女は雪ノ下さんの管轄だから知らないわ」

 

俺がそう尋ねると鈴音はそっぽを向く。彼女からしても由比ヶ浜は馬鹿のようだ。

 

「そもそもだ。俺たちは赤点を取らないために勉強してるんじゃなくて、より良い点数を取るために勉強してんだよ。お前らと一緒にするな。大体、お前らフランシス・ベーコンだ、とか言って喜んでるが、正気か?」

 

あ?フランシス・ベーコンだと?

 

「比企谷君。それってテスト範囲外でしたよね?」

 

「俺の記憶が正しければな」

 

元々テスト範囲だったが、テスト範囲が変わってからは違ったはずだ。

 

「はっ!テスト範囲すら知らないのかよ。やっぱ不良品だな」

 

「いい加減にしろよコラ」

 

赤髪は山脇の胸倉を掴み上げる。おいおい、椎名に注意されたのに殴るのかよ?

 

「お、おいおい。暴力振るう気か?マイナス食らうぞ?」

 

「減るポイントなんて持ってねーんだよ!」

 

赤髪はそう言って腕を引く。もういいや、ここで山脇を殴らせた方が良いな。

 

しかし……

 

「はい、ストップストップ!もし、どうしても暴力沙汰を起こしたいなら、外でやってもらえる?」

 

以前も騒動を止めた一之瀬が割って入る。正論で注意されるのは二度目だからか赤髪も舌打ちをしながら手を放す。そんな赤髪を見た一之瀬は今度は山脇に向かって話し出す。

 

「君たちも、挑発が過ぎるんじゃないかな?これ以上続けるなら、学校側にこのことを報告しなきゃいけないけど、それでもいいのかな?」

 

「引いてください山脇君。これ以上騒ぐと龍園君の耳にも入りますよ」

 

「わ、わかったよ」

 

一之瀬と椎名の言葉に山脇も挑発をやめて佐藤と一緒に片付けに入り、そのまま図書館から出て行く。全くコイツらはDクラスを見下すのは構わないが、見下すなら俺がいない場所でやれや。

 

「君達もここで勉強を続けるなら大人しくやりなよ?」

 

「俺と椎名は騒いでないがな」

 

図書館で騒ぐ連中と同じ扱いをされるとは納得出来ん。

 

「そう。まあ何にせよテストが近いんだし、問題を起こさないようにね」

 

そう言って一之瀬は去って行く。確かCクラスの連中はBクラスにちょっかいをかけていたんだっけか?だとしたら一之瀬の言ってる事も納得がいく。龍園の奴、どんだけ暴れたんだ?

 

「やれやれ……椎名。読書の続きと行こうぜ」

 

「そうですね」

 

「あ!ちょっと待って!」

 

するとDクラスの生徒が集まる席にいた元気そうな女子が話しかける。

 

「何か用か?」

 

「えっと……さっき言ってたテスト範囲外について聞いて良いかな?」

 

「フランシス・ベーコンについてか?アレは普通にテスト範囲外だろうが」

 

「ちょっと待って。大航海時代はテスト範囲じゃないの?」

 

この女は何を言ってんだ?

 

「んなわけないだろ。大航海時代はテスト範囲外になったって発表されたじゃねぇか。だよな椎名」

 

「そうですね。全科目テスト範囲が変わって、クラスから不満が出ていましたし」

 

「そんな話聞いてねぇぞ!」

 

椎名の言葉に赤髪は叫ぶが、図書館で騒ぐんじゃねーよ。つかテスト範囲が変わって話を聞いてないだと?

 

「?担任の先生から聞いてないのかよ?」

 

「聞いてないわ。変わった場所を教えてくれないかしら?」

 

「良いですよ」

 

鈴音はそう言ってテスト範囲に書かれたプリントを見せてくると、椎名は特に思う事なく、ボールペンでプリントに書き込みをする。

 

「これで合ってると思いますよ」

 

「マジかよ?!全然やってない場所じゃん!」

 

男子の1人が騒ぐが、それはコイツらが勉強してない場所って事だろう。テスト範囲においてまだやってない箇所もあるし。

 

何故Dクラス担任がテスト範囲が変わったことを教えなかったのかは知らないが、このままだと本当に退学者が出るだろう。

 

「ま、あと1週間あるし頑張れ」

 

言いながら席に戻ろうとすると制服を掴まれる。

 

「待って。前に言っていた中間試験の攻略法を教えてくれないかしら?」

 

「はぁ?そんなのがあるのかよ?!」

 

「本人とにいさ……生徒会長が話してるのを聞いたわ」

 

「悪いが前も言ったように断らせて貰う。クラスポイントがかかった重要な試験で他クラスに情報を「ぐだぐだ言ってないで教えやがれ!」ぐっ……!」

 

「比企谷君!」

 

すると赤髪が俺の胸倉を掴み上げて本棚にぶつけてくる。コイツどんだけ短気なんだよ?つか苦しい。

 

「須藤君、良い加減にしなさい。向こうが訴えるなら停学か退学にされるかもしれないわ」

 

すると鈴音が須藤とやらの腕を掴んで俺を解放してくれる。

 

「けどよ!コイツが教えないのが悪いんじゃねぇか」

 

どこがだよ?他クラスなら普通だろうが。

 

「Cクラスの彼の立場からしたら悪くないわ……私が頼んだ事で迷惑をかけたわね」

 

「お前は悪くないから気にすんな。ただ鈴音、そいつの短気っぷりは早めに改善しないとDクラスの毒になるぞ」

 

これ比喩表現抜きでそう思う。連帯責任になるこの学校ではクラスに1人問題児がいるだけで、大きく足を引っ張るし。

 

「あぁ?!」

 

「忠告は受け取っておくわ。それと名前で呼ばないで」

 

「いや、俺お前の苗字知らないし。あの時にはお前の名前しか聞いてなかった」

 

「堀北鈴音よ」

 

「そうか。なら堀北よ。今回は学校には言わないが、次からは学校に報告させて貰うからな」

 

「感謝するわ。見えないマイナス評価を受けたら溜まったものじゃないから」

 

「だろうな……行くぞ椎名」

 

「あ……はい」

 

椎名の名前を呼んで2人で図書館を後にする。昼休み終了までまだあるが本を読む気が失せてしまった。

 

とりあえず教室に戻るか。

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