腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「バスの中での説明で、全員が試験内容を理解したものとして進行する。これから小グループを作成する時間を設ける。各学年、話し合いのもと6つのグループを作成するように。また大グループの作成時間は午後8時から設けてある。また、大小関わらず、グループ作成に関して学校側は一切関与しないことを伝えておく。以上だ」
教師がそう締めくくると俺は1年男子が並ぶ場所の最前列に立つ。
「さて、グループ決めについてだが、早速意見の1つを言わせて貰いたい」
既にBクラスの方針は決まっているのでリーダーの龍園が話すのが筋だが、龍園が話すと他クラスは絶対に疑うのは明白だ。俺が相手でも疑う奴はいるだろうが、龍園よりは遥かにマシだ。一応2学期にはCクラス相手に小細工抜きで学力勝負をしたこともあるからな。
「はぁ?!ふざけんじゃねぇよ!何でお前の意見を聞かなきゃいけないんだよ二股野郎!」
「そうだそうだ!女子にモテるからって調子に乗って「黙れ塵、肩を壊すぞ」ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
山内が怒鳴り、池が追随しようとしたが綾小路が殺意を向けて黙らせる。直に向けられた訳でないのに寒気を感じてしまう。
男子の大半は綾小路に尻込みするが、馬鹿どもを黙らせたのはありがたい。
「済まんな綾小路……さて、とりあえず意見は口にするが、感情論による反論はしないでくれ」
感情論は必要ない。状況によって役立つかもしれないが、基本的に感情論は自己中心的な意見になるから嫌われやすいし。
「じゃあ話すぞ。今回のグループ分け、基本的には6グループ全て、4クラス編成にしたい」
俺の言葉にCクラスとDクラスからは騒めきが生じる。既にAクラスとは話がついていて、有栖から一任されている。
「4クラス編成という事は試験の上位ボーナスを狙うと?確かに全グループ4クラス編成にすればどのクラスもクラスポイントを増やせるが、Bクラスは差を広げたり縮めたりするつもりはないと?それに弱いグループが出来たら退学者が出るかもしれない」
Cクラス男子のリーダーの神崎が手を挙げて質問する。
「今回の試験は1位を取るのが難しいし、何より自分達に有利なグループを作ろうとしたら他クラスとの潰し合いになりかねない。それなら可能な限り平等にすれば良い。まあ下位クラスからしたらポイントを縮めるのが難しいデメリットがあるけどな。弱いグループについては弱さに応じてメンバーチェンジをすれば良い」
責任者次第ではボーナスが付随されるが、それ以外では差がつけにくい。
「まあそれが最善だろうな。Dクラスにとっても」
「どういう意味だ綾小路。普通は少しでもクラスポイントを縮めるべきじゃないのか?」
綾小路が頷くと眼鏡の男子が文句を言ってくるが、コイツは頭が硬そうだな。
「幸村、ここで俺達が拒否をしたらBクラスは同盟相手のAクラスと2クラスのグループを作るだろう。そうなったら足並みを揃えている2クラスが上位を占領して逆に引き離されるのがオチだ」
流石綾小路。俺の提案は最初からCクラスとDクラスに拒否権がない事を理解しているな。
綾小路の言うように拒否されたら同盟相手のAクラスと組んで上位を占領する。船上試験や体育祭、ペーパーシャッフルでも足並みを揃えたからな。
「……わかった。CクラスはBクラスの提案に乗る」
神崎がそう口にするが、これは最悪の展開……AクラスとBクラスが足並みを揃えて上位を狙い、Cクラスは疫病神3人を擁するDクラスと組む……って展開を避けるためだろう。
「CがBに賛成した以上、決まりだな。残りのDクラスは雑魚らしく大人しく従え」
龍園が楽しそうにDクラスを煽り、Dクラスの連中は不満そうな表情を浮かべる。確かにAクラスとBクラスが同名を結びCクラスが賛成した以上、Dクラスに選択の余地はない。拒否したらDクラス以外の60人で10人グループを6つ作り、Dクラス全員を排斥することも可能だしな。
しかし感情的には納得してないようで不満そうな表情を隠さず、須藤は我慢出来ずに龍園に詰め寄ろうとするが、綾小路の回し蹴りが鳩尾に叩き込まれる。
「〜〜〜〜っ!綾小路ぃっ!」
「悪いな、足が滑った」
「ふざけんな!明らかにわざと「次はお前の肩に足が滑るぞ」……くそがぁっ!」
綾小路の言葉に以前肩を壊された須藤は悔しそうに叫ぶ。
「良い加減に学習しろ。お前らが救いようがないから俺達まで同レベルと思われる。他クラスに不良品と呼ばれるのはまだしも、お前らと同じ扱いをされるのはオレも我慢出来ない」
綾小路の容赦ない罵倒にDクラスの男子の大半はウンウン頷く。確かにDクラスの中にはポテンシャルが低い雑魚はいるだろうが、須藤達に比べたら人間性はマシだろう。それを考えると由比ヶ浜達と同じ扱いは失礼だ。
「良い加減にしてくれ綾小路君!そうやって暴力や脅しで押さえ込んでも何も解決しないじゃないか!」
平田が綾小路に悲痛そうに叫ぶが綾小路は微動だにしない。
「だったらどうやって馬鹿5人の問題を解決する?お前の説得は一蹴、櫛田の擁護も当然と思っている奴らをどうやってマトモにする?お前がそうやって甘やかしてるのも馬鹿5人が増長してる原因だ。そんなだから櫛田も馬鹿5人を見限ったじゃないのか?」
「そ、それは……でも……」
「4月では沢山騒ぎ、試験は毎回赤点ギリギリ、女子に対するセクハラ、暴力行為、保身を考えた言い訳多数、沢山の嘘や誇張、盗撮未遂及び反省の色無し……もう入学して半年以上経ってるのに改善しない馬鹿共に強い態度を取る事がおかしいのか?」
綾小路の容赦ない罵倒が平田を襲う。対するDクラスの男子はウンウン頷いたり、馬鹿3人を思い切り睨みつけている。
誰1人須藤達を庇ってないので綾小路の言っている事は本当のようだ。これには他クラスの男子も綾小路達に同情の眼差しを向けている。
「全く……オレは早く女子と合流して恵の胸を揉みながら、楓花さんに顎クイをされたいんだ。下らない横槍を一々挟むな」
綾小路の言葉にDクラスの男子はげんなりした表情に変わる。どうやらバスの中では相当はっちゃけていたようだ。
「動機は兎も角早く済ませたいのは同感だ。とりあえず全グループを4クラス編成とする前提でグループを組むぞ」
「しかしどうやって組むのだ?各クラスの主力が1箇所に固まるような事は避けるべきだ」
俺の言葉にAクラスの葛城が質問する。
「お前の指摘は尤もだ。だから俺としては各クラスの主力を6人選出して、残った74人の男子を適当に6グループに分けてドラフトを行う事を提案する」
「なるほどな。その際に「各クラスから3人は絶対に選ぶ」とか「選ぶ順番はくじ引きやサイコロにする」とか「余りに大きな戦力差が出た場合、トレードをする」みたいなルールを追加して、グループを作るわけだな」
神崎の言うようにドラフトに細かなルールを付着するのが最善だろう。
「そんな感じだ。反対の者はいるか……いないな。じゃあとりあえず各クラスのリーダー格、前に出ろ」
俺の言葉に先ずは龍園が出て、Cクラスからは神崎が推薦される形で前に出て、Aクラスからは戸塚が半ば強引に葛木を推薦、橋本が坂柳派幹部として前に出て、Dクラスからは平田が出る。
「綾小路、お前は出ないのか?」
「興味ない。オレは指揮するより暴れる方が向いている」
言いながら綾小路は虚空を揉む仕草をするが、アレは女の胸を揉む練習だろうな。
「そうか。何にせよ6人揃ったし、残りの74人は一旦列を崩してから適当に一列に並べ」
俺がそう言うと男子は訝しげな表情を浮かべながら並ぶ。見ればクラスも順番もメチャクチャだ。
「良し。じゃあ前から順にグループを作るが、先ずはAクラス所属は手を挙げろ……挙げたな。手を挙げた中で前にいる3人、こっちに来い」
Aクラス3人が前に出る。
「次にBクラスは手を挙げて、手を挙げた中で前にいる3人は来い」
そんな感じでBクラスからも3人出て、同じようにCクラスとDクラスも前から3人、こっちに来させる。
見た感じ出席番号もメチャクチャだ。ウチのクラスを見れば石崎、時任、アルベルトだし。
「で、俺達6人はこの12人から2人ずつ選ぶ感じでどうだ?」
俺は5人に話しかける。
「まあ内容としては文句はないが選ぶ順番はどうやって決めるのだ?」
「サイコロを使う。サイコロを2回振るが、1回目に出た目で大きさで1番目から6番目に引く順番を、2回目に出た目で7番目から12番目に引く順番を決める。反対意見はあるか?」
言いながら俺は懐からサイコロを2個取り出す。元々自由時間に遊ぶ為に持ち込んだヤツだ。
「反対意見というより追加意見を認めて欲しい。例えばこのグループ決めで俺が6番目と12番目に引いたとしたら、次のグループ決めの際にはある程度優遇する……みたいなルールを追加したい」
神崎がそう言ってくる。確かに場合によっては有利不利に差が出るな。
「じゃあ引く順番の合計が16以上の奴が居たら、ソイツは次のグループで1番目に引く権利を得る、複数居たら1番多い奴が最初で、2番目に多い奴が2番目に引く……ってのはどうだ?」
「わかった。それなら問題ない」
「決まりだな。じゃあさっさと決めるぞ。比企谷はさっさと振れ」
「わかった。じゃあ大きい数字が強いとするぞ」
龍園にそう言われて俺はサイコロを振る。すると……
1回目 1
2回目 1
最低の数字が2回出た。
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