腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「う、う〜ん……」
ふと目を覚ますと辺りはまだ暗かった。壁にかけられた時計を見れば5時。起床時間まで1時間ある。
(余り眠くないし散歩にでも行くか)
寒さに身体を慣らしておく必要もあるからな。
(というか綾小路も居ないし、アイツも散歩か?)
疑問に思いながら俺はベッドから起き上がってジャージに着替えて部屋を出て廊下を歩き、校舎の外に出る。
すると寒風を直に浴びて意識がハッキリする。冬の早朝はやはり寒いな。この寒さも試験の障害になるかもしれない。
俺は寒さに震えながら歩き始める。すると直ぐにグラウンドが見えるが、メチャクチャ広い。山奥の学校だけあって広い土地をふんだんに利用したのだろう。多分試験まではあのグラウンドで走る練習をして、本番では広大な野山を走るのだと思う。
(しかしウチのグループは大丈夫か)
綾小路、時任、小宮、鬼頭あたりは身体能力が高いけど、他は平均、もしくはそれ以下だしな。しっかり対策を「あれ?ハチ君?」……ん?俺をハチ君呼びする人は……
背後から話しかけられたので振り向くと……
「あ、やっぱりハチ君だ。ハチ君も早く起きちゃったから散歩かな?」
背後にいたのはなずな先輩だ。数日前にスパ施設に行ってから俺をハチ君呼びするようになった先輩は楽しそうに笑いながらこっちに寄ってくる。
「おはようございますなずな先輩。その様子ではなずな先輩も散歩ですか?」
「お腹が痛くなっちゃって目が覚めちゃったんだよ」
「身体はお大事に。しかし俺達がこうやって会うのは大丈夫なんですかね?」
昨日坂上先生は女子と会えるのは昼休憩の時のみと言っていたし、ここでなずな先輩と会うのはペナルティの対象かもしれない。
「あ、それは大丈夫。ルールでは「起床してから就寝までの活動時間中、昼食時以外において異性とのやり取りは禁止」って書いてあるけど、つまり起床時間の午前6時から就寝時間の午後11時以外の時間は禁止されてないよ。夜に女子と1日の打ち合わせをする為に密会出来るようにルールを作ったって雅本人が言っていたから」
な、なるほど。それなら午後11時1分から翌朝の午前5時59分までは女子と話してもペナルティはないのか。ルールを作った生徒会長がそう言うなら、俺達がこうして話すのは大丈夫だろう。
「だからハチ君。30分くらい一緒に散歩しない?私はハチ君と一緒に居たいな〜、なんて……」
恥ずかしそうに笑うなずな先輩。その笑顔は凄く可愛らしく、見ているこちらをドキリとさせ、誘いを断り難くしてくる。
あざとさは感じないので狙ってやってないようだが、天然でコレならある意味あざといよりタチが悪いな……
「わかりました。同伴します」
「うん!ありがとうハチ君!」
なずな先輩は嬉しそうに頷く。見ているだけで癒されるな。
「あっ、それと……おはようハチ君」
ちゅっ
と、ここでなずな先輩はいきなり恥ずかしそうにキスをしてくる。それだけで俺の顔に熱が溜まり、恥ずかしい気持ちが生まれる。
エロいキスを得意とする有栖、甘いキスを得意とするひよりに対して、なずな先輩のキスは優しさに満ちている。みんな違ってみんな良い。
「い、いきなりごめんね。ハチ君にキスしたくなってつい……」
そんな事を言いながら謝ってくるが、特に怒ってない。寧ろ俺が場合によってはひより達に怒られそうだ。
「お気になさらず。それよりも行きましょうか」
「……うん」
なずな先輩は俺の手を握ってくるので握り返して歩き出す。まだ日差しは殆ど出ていないが、多少の灯りがあるので転ぶような事にはならないだろう。
「ハチ君の手、温かいな」
「なずな先輩の手は柔らかくて気持ち良いです」
女子の手はスベスベして握ると気持ち良いんだよな。
そんな風に考えながら校舎に沿って朝食を作る炊事場がある方に向かうと……
「ん?アレって綾小路君と軽井沢さん?」
炊事場の方から綾小路と軽井沢が出てくる。軽井沢は遠くから見ても真っ赤で息を荒げている。
「んなっ!な、何で2人がここに?!」
軽井沢達も俺に気づいて、軽井沢は更に真っ赤になって口をパクパクしている。コイツら……
「お前らまさか……ヤったのか?」
「ああ。青姦ってものをAVを見てから一度やってみたくてな」
「マジか……」
綾小路は俺の質問に躊躇いなく頷く。なずな先輩は真っ赤になって口をパクパクしているが、合宿所でヤるとか上級者過ぎるだろ。
「比企谷も朝比奈先輩を抱くのか?だったら炊事場の奥にある黒い屋根の建物の奥がオススメだぞ。今の時間帯には風が直撃しないしな」
「待てやコラ!マジなアドバイスはやめろ!」
「というかそこはあたし達が使った場所だから!エッチするなら赤い屋根の方を使って!」
「しねーよ!」
というか綾小路の奴、自分が行為に耽った場所を勧めるなんて羞恥心無さ過ぎだろ!
「どっちから誘ったのは……言うまでもないな」
綾小路以外あり得ない。
「オレだ。明日も抱く予定だが見にくるか?第三者に見られて恥じらう恵も「見せるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」痛い」
ぶっ飛んだ発言をする綾小路の顎にアッパーをする軽井沢。綾小路の自業自得であるが全く痛くなさそうだ。須藤の時も思ったが、綾小路のフィジカルは強過ぎだろ?
「良い?絶っっっっっっっっっっ対に来ないでね!」
「い、い、行かないよ!」
「行かねーよ。そんなマニアックな趣味はねぇよ。つか綾小路は自分の裸や彼女の裸を第三者に見せても気にしないのか?」
「特に気にしないな」
「アンタは少しは気にしろ!」
再度軽井沢のアッパーが綾小路の顎にモロに直撃するが、綾小路は全く気にしていない。
「やれやれ。さっきはあんなにオレを求めてきたのに酷い扱いだ」
「うっさい!早く引き上げるわよ!2人もエッチするなら黒い屋根の建物は使わないでね!」
「必要ならこれを使うと良い」
綾小路は俺にゴムを数個渡してから軽井沢と一緒に去っていく。アイツマジでぶっ飛ばしたい。
「え、えーっと……ハチ君は私とエッチしたいの?」
なずな先輩は真っ赤になってそんな質問をしてくる。
「なずな先輩。綾小路の馬鹿なノリに無理に合わせて答え難い質問をしないでください」
そりゃ興味がないと言えば嘘になる。なずな先輩のキスも胸の柔らかさも知っている俺からしたら更に先を知りたい気持ちがないわけじゃない。
しかし馬鹿正直に変態扱いされるのは避けたいからな話を流す選択を取る。
しかし……
「……誤魔化さないで。したいの?したくないの?」
なずな先輩は恥ずかしそうに問い詰めてくる。え?これは答えないとダメ系か?
「……まあ、興味がないって言ったら嘘になります」
男だからな。
「そっか……ねぇハチ君」
「なんすか?」
なずな先輩は恥ずかしそうにしながらも俺を見上げて……
「ハチ君が私とエッチしたいなら……いつかしてあげるから」
むにゅ
ちゅっ
爆弾投下をしてから抱きつく形で豊満な胸を押し付けて、先程と同じように唇にキスをしてきたのだった。
……………………
……………………
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キーンコーンカーンコーン
6時のチャイムが鳴ると俺と綾小路以外のメンバーが呻きながら身体を起こす。全員が寒さに震えている。
「おはよう比企谷。今日から頑張……ん?」
俺の上のベッドに寝ていた時任はベッドから降りながら俺に挨拶をするが、ジーッと見てくる。
「どうした時任?」
「いや、顔が真っ赤だが、風邪とかじゃないよな?」
まだ薄暗いのによく見えたな。
「済まん。さっきまでエロい夢を見たからかもしれん。体調は悪くないから安心しろ。とりあえず洗顔しに行くぞ」
「あっ、お、おう、そうだな」
俺はベッドから降りて顔を見せないように注意しながら水飲み場に向かう。
エロい夢ではなくエロい事をしたなんて言えないからな。
俺は水飲み場に到着すると、俺以上にエロい事をした綾小路の横で顔を洗い始めるのだった。
ちなみに綾小路に「ゴムは使ったのか?」と聞かれて肘打ちをしてしまったが、俺は悪くないだろう。
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