腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「痛え……やっぱり明日は片足だけで座禅をやるか」
飯前の座禅を済ませた俺は足の痛みを感じながら立ち上がりながら食堂に向かう。持久走の後の座禅はキツ過ぎるな……
「無理してするより良いだろう。ところで比企谷」
「何だよ?」
隣を歩く綾小路が無表情でなく真剣な表情で見てくるので俺も意識を集中して綾小路を見ると……
「比企谷は坂柳や椎名相手に中出しをした事があるか?」
「ぶふぉっ!」
予想外の質問に噴き出してしまう。真剣な表情で何を言ってんだコイツは?!
「お前はいきなりどうした?!」
「いや。授業中に退屈な時に恵に中出しする場面をイメージしてたから」
「真面目に授業を受けろや」
「問題ない。半分適当に聞きながらでも満点を取れる」
綾小路は淡々と口にするが、有栖の作った超難問を全て正解した事を考えると強い説得力があるな。
「で?中出しの経験はあるのか?」
そこに戻るのか……
「ない。興味がないわけじゃないがまだ有栖の身体がセックスに慣れ切った訳じゃないしな。ひよりについても平等に扱うから当分はしないな」
するにしてもピルや安全日など万全を期してからだ。
「そうか。オレはこの合宿が終わったら恵に中出しする予定なんだ」
さ、最低な死亡フラグだ。「俺、○○が終わったら△△するんだ」ってのは漫画ではよくあるが、「俺、合宿が終わったら恵に中出しするんだ」なんて死亡フラグは初めて聞くわ。
「お前……随分と欲望に忠実だな。1学期はそういう事に全く興味なさそうだったのに」
今の綾小路は女の話をすると目の色が変わるし、俺の存在が影響したのかもしれないが変わり過ぎだ。
「否定はしない。入学直後のオレは感情を持たない虚無な存在だった」
そんな事を淡々と口にする。普通なら厨二病wwwって笑えるが、コイツの場合は本当にそうだと思えてしまう。
「感情を持たないって……洗脳でも受けたか?それとも隔離された場所で感情を不要とする暗殺者になるべく育てられたか?」
「後者に近いな。嘘だと思うなら坂柳に聞いてみろ。坂柳の父親、理事長と少し話したがアイツは幼少期のオレを見ているらしい」
え?軽い冗談で言ったがマジの話?確かに有栖に確認してみろと言ってきたり、以前に須藤の肩を躊躇いなく粉砕していたし信憑性はあるが……
「話を戻すがオレは感情が無くて1学期の頃は堀北の上から目線の物言いとかも特に気にしなかったが……由比ヶ浜の存在が浮上した」
ここで由比ヶ浜の存在が出るのかよ。
「由比ヶ浜の言動は感情のないオレの中に黒いモヤを生み出して、それが徐々に大きくなって2学期の中頃、モヤが塊となってオレ自身と一体化したように感じた。今思えばそれはモヤが不快という感情となってオレの中で定着したんだと思う」
い、嫌な展開だな。つか最初に生まれた感情が不快って……
「それによって俺は感情というものは不要って気持ちが強くなった」
そりゃそうだ。最初にプラスの感情が手に入ったならまだしも、最初に手に入れた感情が不快なら感情そのものを疎んでもおかしくない。
「そんな中、比企谷が椎名や坂柳とイチャイチャしているのを見て、女から快楽を得られるのか……と考えて恵相手に色々してみたら、徐々に胸中にピンク色の光が生まれ、やがてそれが性欲という塊になってオレの中で一体化した」
なるほどな。つまり綾小路の中にある欲は性欲しかないようだ。普通の人間なら食欲とか物欲、睡眠欲など色々あるが、綾小路はまだ性欲しかないので性欲に忠実なのだろう。つまり他の欲を知れば性欲が弱くなる可能性はある。
「そして恵を抱いた事で益々強くなったのを自覚した。複数の女子と付き合う事は学校のルール的にセーフなのは比企谷達からわかっているし、俺は楓花さんも抱きたいし、他の可愛い女子も抱きたい」
俺も大概だが、コイツもいつか刺されそうだな……
「後、俺は悦楽、嗜虐を知りたい」
「いきなりだな。龍園みたいになりたいのか?」
「なりないんじゃない。知りたいんだ。龍園は敵対する相手に身体の暴力と精神の暴力を巧みに操り、快感を得るだろう?」
「まあそうだな」
「俺は須藤の肩を壊しても、馬鹿共に何回も殺意を向けて黙らせても楽しい気分にはならない。これは何故なのだろうか?」
「そりゃ怒りや不快の気持ちから暴力を振るってる、謂わば制裁に近いからだろう。嗜虐や悦楽を知りたいなら純粋な虐めを繰り返すつもりじゃないと無理だろう」
「純粋な虐め……堀北にやってみるか」
コイツ平然と屑な事を言っているな。どんだけ感情について知りたがっているんだよ……
「お前なぁ……」
「良いんだよ。1学期は感情が無かったからまだしも、2学期になってからはAクラスに上がるために協力しろって口煩くてな。昨日も協力しろって煩かったし」
綾小路は淡々としているが、場合によっては堀北をボコして性奴隷にしそうだ。何せAVの影響から青姦するくらいだし。
そう思いながら俺達は食堂に向かっていると……
『嘘つくなし!絶対にあたしを攻撃する為にわざとぶつかったに決まってんじゃん!』
『だから決めつけるのはやめてくれないかな?!同じ大グループのメンバーを攻撃する理由なんかないから!』
前方から由比ヶ浜となずな先輩の叫び声が聞こえてくる。アイツはまた何かやらかしたのか?
そう思いながら俺は人混みを掻き分けながら前に出ると由比ヶ浜となずな先輩が睨み合っている。しかもなずな先輩は膝をついて痛そうにしている。
同じグループのひより達は居ない。多分実習後も由比ヶ浜と居たくないから別行動をしているのだろう。
「なずな先輩。大丈夫ですか?」
俺が話しかけるとなずな先輩は顔に喜色を作り、由比ヶ浜は俺を睨んでくる。
「あっ!ハチ君!ちょっとトラブルに巻き込まれ「ヒッキーは関係ないじゃん!この人が悪いんだから引っ込んでてよ!マジキモい!」ちょっと!ハチ君を悪く言わないでよ!ハチ君はキモくない!ハチ君は優しいしカッコいいから!」
いつものようにギャーギャー喚く由比ヶ浜になずな先輩は怒るが、怒る所はそこですか?結構恥ずかしいんですけど。
「事実を言って何が悪いんだし!ヒッキーはキモいから!ヒッキーもハチ君呼びされてデレデレすんなし!」
ウゼェ……脱糞野郎にキモいって言われるのは凄い屈辱なんだけど。綾小路が近くにいるし脱糞させるように頼む……いや、食堂前だしダメだ。衛生的に酷過ぎる。
「で?なずな先輩は何があったんですか?」
「あ、うん。曲がり角でぶつかって謝ったんだけど、怪我させるためにわざとぶつかったって言いがかりを「言い訳すんなし!わざとに決まってんだから土下座して謝ってよ!」っ!」
由比ヶ浜は逆恨みとばかりに持ってる鞄をなずな先輩に振るおうとするので俺はなずな先輩の前に立って、由比ヶ浜の鞄に蹴りを放つ。すると鞄は由比ヶ浜の顔面に激突する。
「痛っ!暴力なんて最低!2人まとめて訴えてやる!」
由比ヶ浜はそう言って去っていくが、周りの皆の嫌そうな表情を見る限り口裏を合わせて俺を庇ってくれそうだ。
まああの馬鹿はどうでも良い。今はなずな先輩だ。
「なずな先輩。もしかして足を殴られましたか?」
「うん。鞄で思いっきり」
あの野郎、なずな先輩には怪我をさせられた云々言っといて自分は殴ったのかよ?
「救いようがないな……何にせよ医務室まで連れて行きます。乗ってください」
「え?!わ、悪いから良いよ」
俺が背中を向けると背後からそんな驚きの声が聞こえてくるが、ここまで来たら今更だ。
「その痛そうな表情で何を言ってんすか?早く乗ってください」
「わかったよ……ハチ君って意外と強引だね」
なずな先輩はそう言いながら俺の背中に乗ってくるので、俺は綾小路に会釈をしてから医務室に向かうのだった。
……しっかし、抱えるのが恥ずかしいから背負ったのだが……大きいな。
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