腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「失礼します……って、留守かよ。賞味期限切れ……じゃなくて星之宮先生は夕食か?」
医務室に入ると誰も居ない。時間的に賞味期限……星之宮先生も夕食に行っている可能性が高い。
「ハチ君。幾ら事実だからって先生を賞味期限切れなんて言っちゃダメだよ」
俺の背中に乗っているなずな先輩は俺の頭をコツンと叩きながら注意してくるが、貴方も賞味期限切れと思ってるじゃないですか。
「すみません。何にせよ座ってください」
言いながらなずな先輩をベッドに下ろして、戸棚を開けて傷薬と包帯を取る。
そしてズボンを少しだけ捲ると、右膝より少し下の箇所が若干赤くなっていた。綺麗な肌だけに凄く目立つな。
「染みるかもしれないですが、ちょっと我慢してください」
言いながら傷薬を塗るとなずな先輩は顔を顰めるが声は上げず、大人しく治療を受ける。
そして包帯を巻いて身体を立たすといつも通りの表情になっている。
「どうもありがとうハチ君」
「お気になさらず。それより災難だしたね」
「まあね。私、ひよりと同じ大グループなんだけど、由比ヶ浜さんって毎回ああなの?今日の実習でも事あるごとに騒いでいたんだけど」
顔には疲労が見えている。相当苦労しているのがわかる。
大グループに所属しているなずな先輩でこれなのだ。小グループのひよりや松下はなずな先輩より遥かに苦労しているのは明白。時間があればしっかり労ってやらないといけないな。
「まあそうですね。Dクラスからはノイローゼになりかけている生徒もいるらしいですから」
「大変だね。それとハチ君。何かお礼をしたいんだけど」
「お礼?別に気にしなくて良いですよね」
俺が勝手にやった事だし、由比ヶ浜の愚行から誰かを助けるのはこの学校の生徒として当たり前だからな。
「私が気にしちゃうから。で、さっきまで背負われながら考えたんだけど……」
なずな先輩はそう言うと恥じらいながらベッド周りのカーテンを閉めたかと思えばジャージを脱いで体操着姿になり……
「んっ……しょっ」
いきなり体操着を捲り上げてピンク色のブラジャーが露わになる。
「な、なずな先輩?!いきなりどうしうむっ!」
俺が驚く中、なずな先輩は俺の胸ぐらを掴んで引っ張り、そのまま直ぐに両腕を後頭部に回し、胸元に俺の顔面を寄せる。
同時に顔には柔らかな感触が伝わり、鼻に1日の実習によって生まれた汗と女子特有の香りが刺激をぶつけてきて変な気分になってしまう。
頭がクラクラする中、後頭部に柔らかな感触が伝わってくる。
「ハチ君、良い子良い子……好きなだけ甘えて、ね?」
後頭部に感じる感触……なずな先輩の手はゆっくりと動き、俺に良い子良い子と頭を撫でてくる。
胸の柔らかさと女子と汗が混ざり合った匂い、手から伝わる優しさが俺の力を抜いてくる。
そしてなずなさんが抱きしめる力を強めると感じる母性が強くなり、甘えたい感情が強くなる。
「んむっ、なずな先輩……どうしてこんな大胆な真似を?」
人が居ない医務室でカーテンで囲んでいるとはいえ、中々の上級プレイに思わず質問する。
「だってハチ君。私のおっぱい好きでしょ?スパ施設に行った際にも胸に視線を感じたから」
ぐっ……否定はしない。確かになずな先輩の胸に目を引いてしまったのは否定しない。だってセクシーな水着によって出来た谷間とか滅茶苦茶エロかったし。
「だからお礼にって……嫌じゃないならハチ君が満足するまで甘えて良いからね……?」
そんな風に艶のある声でそんな事を言って更に強くギュッとしてくる。更に増す母性になずな先輩をお母さんって呼びそうになってしまうな」
「お母さん……そんなに母性を感じるのかな?」
どうやら口にしてしまったようだ。これは誤魔化せないな。
「え、ええ。結構感じましたね」
「そうなんだ……あっ!じゃあハチ君、1回だけ私の事をママって言ってくれない?」
「ぶほっ!い、いきなり何を言ってるんですか?」
ママなんて小学校に入るまでの言葉だろう。高1の俺が高2のなずな先輩に言うのは犯罪臭を感じるぞ。
「そんな風に言われてからハチ君を見たら可愛く見えたから……ね?言ってくれないかな?」
なずな先輩は俺の顔を覗き込みながらそう言ってくる。目には懇願の色が見えて、更に右手で俺の後頭部を撫でながら、左手で俺の顔を胸により強く埋めてくる。
口元に触れるなずな先輩の胸の柔らかさが俺の理性の壁を攻撃して……
「お願い……ハチくん」
艶のある眼差しからのおねだり……これは逆らえない……
俺はなずなさんに押し負ける形で口を開け……
「ま、ママ……」
つい口にしてしまった。
1時間後……
「で、結局ママって言っちまったんだが、そしたらなずな先輩が可愛い可愛いって思い切り甘やかしてきて、「2人きりの時はママって呼ぶように」って強引に約束してきたんだよ」
大浴場の湯船の隅にて俺は隣で湯船に浸かっている綾小路に医務室での顛末を話す。第三者には聞かせられない内容だが、俺以上に色々なプレイを勉強している綾小路なら大丈夫と判断した。
「それは羨ましいな。俺も楓花さんと姉弟ごっこをしたがママ呼びはないからな」
綾小路はウンウン頷いているが、コイツはコイツで色々楽しんでいるな。
「どんな事をするんだ?」
「お姉ちゃんって抱きついたら弟して扱ってくれて、頭を撫でたり膝枕をしたり、耳掃除をしてくれるな」
「軽井沢が見たらブチ切れそうだな」
「実際キレたな。まあ夜にローションプレイをしながら沢山ディープキスしたら許して貰えた」
「石鹸を利用した女体による洗いはやって貰ったが、ローションプレイはまだやった事ないが気持ち良いか?」
「最高だな。石鹸よりヌルヌルしてるし、途中から恵も夢中になって俺の身体に抱きついてスリスリしてきたしな」
なるほど……合宿が終わったらローションを買ってみよう。
「しかし他にママ呼びを受け入れてくる歳上の先輩は居ないのが残念だ。朝比奈先輩なんて母性を感じるし、思い切り甘えて母乳が出るまで乳首を吸ったらどうだ?」
「完全に変態じゃねぇか」
「絶対にバレない場所、朝比奈先輩の部屋とかでやれば良い。オレならするぞ」
恐れを知らないなコイツは。というか母乳って妊娠しないと出ないんじゃないのか。
「しかし歳上で母性のある女子は朝比奈先輩以外思い浮かばないな……」
「星之宮先生は?」
俺が冗談混じりにそう聞くと、綾小路は目を瞑って首を横に振る。
「オレは賞味期限が切れたゲテモノには興味はない」
同時刻……
バキィッ!
「どうした知恵?!いきなりペンを砕いて」
職員室にて書類作業をしていた星之宮が手に持つボールペンを砕いた事で隣に座っていた茶柱が驚きながら質問する。
「ごめん。ちょっと綾小路君をぶん殴りたくなっちゃった」
「綾小路?なぜそこで綾小路が出てくる?」
他クラスからしたら綾小路の存在は驚異かもしれないが、幾ら綾小路でも入浴時間にインパクトのある行動をとるとは思えない。
「わかんない。けど綾小路君を無性にぶん殴りたいの」
「……言っておくが殴ったりしたら厳罰モノだぞ」
今の時代、体罰だけでも問題なのに、教師が理由のない暴力を生徒に振るうなんて言語道断だ。
「うん、わかってる。だから後で真嶋君に付き合って貰うよ」
星之宮の言葉に茶柱が真嶋に同情の感情を抱き、同じタイミングで真嶋が職員室に入ってくる。
「あ、真嶋君。ちょっと付き合ってくれないかな?」
「っ!なんだそのドス黒いオーラは?!」
「気にしないで。それよりちょっと付き合ってよ」
星之宮はビビっている真嶋を連れて職員室から出て行き、茶柱は十字を切って真島の冥福を祈る。
数分後、離れた場所から打撃音と男の絶叫が聞こえてくるが、職員室にいる教師らは全員聞こえないフリをしながら書類作業を続けるのだった。
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