※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

153 / 223
スピーチ

 

 

 

「もう少し真面目に授業に取り組むべきだ」

 

スピーチの授業を済ませて休み時間になると2年のグループの桐山副会長がこっちにやって来る。十中八九綾小路に対して言っているのだろうが……

 

「言われてるぞ比企谷」

 

「ぶっ殺すぞコラ。誰がどう見てもお前のぶっ飛びスピーチに対しての文句だろうが」

 

綾小路が俺のせいにしようとするので反論してしまう。マジで良い度胸だなオイ。

 

「いや、アレは紛れもない本心だ」

 

「尚悪いわ馬鹿」

 

コイツに日に日に性欲が強くなっているな。早く性欲以外の感情を得るべきだ。

 

「しかしお題には適しています。これまでに学んだ事、これから学びたい事をちゃんと話しました」

 

「モラルの話をしているのだ。普通に考えてあの内容は問題だ。他の内容を考えるか、ありふれた内容を話すべきだった」

 

「前者は兎も角、後者は嘘をつくことになりますが、課題に対して嘘に塗れた回答をするのは如何でしょうか?」

 

屁理屈にも程があるわ。桐山副会長の眉は細まる。背後にいる南雲会長は笑いを堪えているが。

 

そう考えていると……

 

「何であんた達がいるんだし!さっさと出て行くし!」

 

背後からそんな声が聞こえてくる。瞬間、この場にいる男子は全員不快そうな表情に変わる。中でも普段無表情の綾小路は心底嫌そうな表情を浮かべている。

 

チラッと後ろを見れば由比ヶ浜が俺と綾小路を睨みつけながら指差している。その背後ではひより達がゲンナリした表情を浮かべたり、苛立っていたり、両手を合わせて謝罪のジェスチャーをしていたりと様々な反応だ。

 

ママ……じゃなくてなずな先輩は謝罪のジェスチャーをしているが、貴方が謝る必要はないです。というかコイツは散々人に迷惑をかけてる自覚がある……訳ないよな。マジで苛々してきたな。

 

「何でも何も俺達が使ってたから決まってるだろ。お前こそ俺に文句言ってる暇があるならオムツを履いてろ」

 

『プッ!』

 

苛々しながらそう返すと由比ヶ浜の大グループの大半が噴き出す。特に松下と白波なんか呼吸困難になってるし。

 

「ふざけんなし!ヒッキーマジきもい!」

 

「ねぇ由比ヶ浜さん。黙るか死んでくれない?」

 

「由比ヶ浜さんの方が気持ち悪いからね?鏡見よ?」

 

由比ヶ浜が怒鳴ると松下と白波が俺の前に立って罵倒する。コイツらは由比ヶ浜によって生まれた被害者の中でもトップクラスの被害者だから仕方ないだろう。

 

その言葉に由比ヶ浜が松下に殴りかかるが松下は軽いステップで避けてから足払いで転ばせて背中を踏む。中々の動きだが、普段は手抜きをしているな?

 

「ぐふっ!」

 

「本当に頭が痛くなるよ。悪いけど綾小路君達のグループは早く出て次の授業の教室に行ってくれない?馬鹿がいつまでも煩いからさ」

 

松下は俺達に早く出るように促す。確かにここにいてもお互いに不幸になるだけだ。

 

「そうだな。恩にきる。行くぞお前ら」

 

俺が外に出るように促す。休み時間を馬鹿のために浪費するなんて勿体無い。

 

「待つし!今まであたしにやった酷い事を謝るし!悪い事をしたら謝るのが当たり前「だったら由比ヶ浜さんがDクラス全員に土下座してよ。由比ヶ浜さんの所為でクラスポイントが枯渇してるんだし」痛い痛いっ!離してよ馬鹿!クズ!ゴミ!」

 

ブーメランを投げた車由比ヶ浜に対して、松下が足に力を入れると松下に対して罵倒をぶつけまくる。確かに悪い事をしたら謝るのが当たり前なら由比ヶ浜はDクラスの生徒に土下座をする必要があるな。

 

そんな事を考えながら俺達は松下達に由比ヶ浜を任せて次の授業の教室に向かう。

 

「八幡君。昼休みに思い切り甘やかしてください」

 

「ああ。思い切り甘えろ」

 

ひよりからの言葉に強く頷く。由比ヶ浜がいるグループは他のグループより精神的ダメージが半端ないからな。可能な限りリフレッシュをするのは絶対だ。

 

俺はひよりのおねだりに応えるべきと強く決意しながら教室を出ようとすると、なずなさんの横を通り過ぎたタイミングで何かをポケットに入れられる。

 

何を渡されたか気になりながらも次の教室に行き、席に着く。そしてノートを開きながら先程ポケットに入れられた物を確認すると紙切れで……

 

 

 

 

ハチ君へ

 

今日の消灯してから1時間後に経過したら、朝の続きがしたいから良ければ炊事場に来てくれないかな?

 

ハチ君が望むなら私のおっぱいを赤ちゃんのように吸っていいからね?私もハチ君にならおっぱいを吸われていいと思ってるから

 

 

 

 

 

ゴンッ!

 

インパクトのある手紙に机に頭をぶつける。破壊力あり過ぎだろ!

 

というか朝の続きか……時間があれば間違いなくなずな先輩の胸を吸っていた続きか……

 

とりあえず俺は紙をクシャクシャにして筆記用具の中に入れる。もう授業だし、見られたらガチでヤバいからな。

 

俺は顔に熱を溜めながらチャイムが鳴るのを待つ。

 

(しかしひよりのグループはこれからスピーチだけど、由比ヶ浜がどんな内容を話すのか気になるな)

 

綾小路の場合、スピーチ内容は最低だったが内容以外は最高だった。しかし由比ヶ浜の場合、発声量以外は絶対に碌な物じゃないだろう。

 

それから直ぐにチャイムが鳴るので意識を教員と黒板に意識を向けて集中する態勢に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1年Dクラス由比ヶ浜結衣。あたしがこれまでに学んだ事は、この学校の生徒と先生も馬鹿だらけで、これからは馬鹿共がどうやって反省してあたしやゆきのんに謝るかを考えたい!皆、いい歳してあたしやゆきのんを虐めて本当にキモいし!何で政府が応援してる学校なのに馬鹿しかいないなんてマジであり得ない!Dクラスのクラスポイントが減ってるのは生徒会長や先生が馬鹿だからであたしは悪くない!本当ふざけんなし!」

 

バキィッ!

 

松下の手にある鉛筆がバキリと折れる。額には青筋が浮かびまくっている。

 

(テメェがふざけんな!)

 

怒りの余り、人格に変更が生まれる。普段から暴言を余り吐かない松下だが、今の憤怒の感情を抱いていて授業中でないなら口に出してから殴り倒している自信がある。

 

学校の教室では由比ヶ浜の近くであるが故に、クラスポイントを減らしまくる以外に叫び声が耳を刺激して迷惑を被っている。終いには脱糞のとばっちりを受けたが、松下からしたら由比ヶ浜には敵意を通り越して殺意を抱くようになっている。

 

そんな中、由比ヶ浜は罵倒まみれスピーチを終わらせるが、担当教師は呆れ顔全開だ。綾小路のスピーチが可愛く思えるレベルだからだ。

 

「それは本気で言っているのか?」

 

思わず由比ヶ浜に質問する。もしかしたら嘘ではないのかと淡い期待を抱きながら。

 

まあ……

 

「当たり前じゃん!」

 

期待は呆気なく砕ける、

 

「座禅の際に他人を思いやる気持ちは大切と教わらなかったのか?」

 

「何で逆恨みする馬鹿を思いやる必要があるんだし!思いやるとしても向こうが悪い事を土下座して謝ってからに決まってるじゃん!」

 

「自分にも反省するべき点があると思わないのか?」

 

「思わないし!当たり前のこと言わないでよ馬鹿じゃないの!」

 

最後に罵倒してから席に着く。そんな由比ヶ浜の断言に教師は匙を投げた。

 

「……次、2年生の朝比奈なずな」

 

「は、はい」

 

2年の中で1番出席番号の小さいなずなが指名されたので、なずなは教師に同情の眼差しを向けてから前に出る。

 

「2年の朝比奈なずなです。3年生に上がってから何を学びたいかですが、2年の終盤なので大学について候補を幾つか絞り、その大学で重要な科目を重点的に学び、大学の授業についても調べておきたいです。幾ら推薦で入学出来ても授業で遅れて留年したら嫌ですから、ある程度の調査は大切だと思います」

 

2年生に与えられたお題は3年に上がったら何を学びたいかだが、なずなは真面目に回答する。

 

「それと包容力を身につけたいです……折角の高校生活ですし恋愛も体験したいですその、好きな人に甘えられたいですから」

 

(あの表情……本気で八幡君に……)

 

恥ずかしそうにそう口にするなずなにひよりは対抗心を剥き出しにする。

 

なずなが八幡の恋人になるのはまだ良い。二股かけてる時点で三股になる可能性もある。

 

 

しかし1番だけは自分のもので誰にも渡すつもりはない。

 

ひよりは強い眼差しをなずなに向けて、なずなも強い眼差しでひよりを見返すのだった。

 

 

 

 

 

読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?

  • はい。
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。