腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、指導していた教員が出て行く。昼休みを迎えたが、俺は先程なずな先輩から貰った手紙の事が頭から離れられずにいた。そりゃ美人な先輩から胸を吸って良いなんて手紙を受け取れば誰だってそうだろうな。
「さて昼食に行くぞ。午後は持久走だから食い過ぎず、食後に軽いストレッチをするように……ああはなるなよ」
窓の外を指差しながらそう口にする。グラウンドでは雪ノ下が倒れている。雪ノ下が所属する有栖のグループは先程まで持久走をしていたようだが、また雪ノ下は協調しないで走っていた。多分プライドの高さから自分のペースに合わせてもらうのを見下されていると勘違いしたからだろう。
しかも今回は途中で思い切り転倒して、誰1人助けなかったので、結果として前回と同じように遅くてもペースを変えずに走った他のメンバーがゴールした際は2周半の差があった。
雪ノ下以外のメンバーはゴールした瞬間にハイタッチをしていたが、この合宿でしっかり団結していて実に尊い。
ひよりのグループも由比ヶ浜以外は纏まっていると思うが、団結はしていないで疲弊しているイメージが強い。今から食堂でひよりから愚痴を沢山聞かされるだろうな。
内心ひよりに同情しながら俺達は食堂に向かうと、持久走を終えたばかりの有栖のグループメンバーが廊下を歩いている。同時に綾小路は軽井沢に抱きついて匂いを嗅いでいる。
「ちょっ清隆!いきなり抱きつかないでよ!汗臭いんだから!」
「臭くない。寧ろ汗と恵の匂いが混ざってムラってきた」
「あんっ!清隆ぁ……」
綾小路は軽井沢に抱きつきながら胸を揉む。
「済まん恵。ムラっときたから今から炊事場に行かないか?胸を吸いたい」
ど直球かお前は?!スピーチの時も思ったが、コイツドンドン欲望に忠実になっているな。
「行くか!合宿が終わったら幾らでも吸わせてあげるから我慢しなさい!」
「……わかった」
そんな会話をしているが第三者がいる為の嘘だろう。実際コイツらは既に青姦しているのは知ってるから。
「と、兎に角着替えないといけないから先に食堂に行ってて」
「わかった。楓花お姉ちゃんに甘えながら待ってる」
「甘えるな馬鹿!ちょっと比企谷君!アンタの所為で清隆はハーレムを作る気満々になったんだけど!」
「……済まん」
俺に文句を言ってくるが返す言葉がない。堂々とひよりと有栖とイチャついた事が理由で綾小路は鬼龍院先輩にアプローチするようになったからな。
ここでなずな先輩と良い関係になっている事が軽井沢にバレたらマジでぶん殴られそうだ。
「恵。比企谷を責めるな。オレは今この時間が気に入っていて、青春を教えてくれた比企谷には感謝している」
「それ間違った青春だから!」
軽井沢は怒るに怒るが、綾小路の性格的に改善する気は無さそうだ。
そう思いながら俺は軽井沢の胸を揉みながらスンスン鼻を嗅いでいる綾小路を置いて、食堂に向かうと龍園と遭遇する。
「よう。そっちの厄病神は足を引っ張ってるか?」
龍園は池を指差しながら質問する。池はといえば真っ赤になって震えている。
「由比ヶ浜みたいにキチガイみたいな行動は取ってないが、ポテンシャルが低いから足を引っ張ってるな。まあ責任者だしビリになっても大して影響はない」
真面目にやってもグループメンバーの中でも弱いからな。それでもプライドが無い小物だから由比ヶ浜や雪ノ下よりはマシだ。
「お前のところの暴力野郎はどうだ?」
「持久走以外カスだな。行動についてもアルベルトがアイツの壊れた肩を殴ったら大人しくなったぜ」
龍園はケラケラ笑いながらそう口にする。容赦は相変わらずないようだな。
「お前らの所は大人しいから良いじゃねぇか。俺の所の厄病神なんか嘘と文句ばかりで不愉快極まりないぞ」
ここで山内を擁する橋本のグループもやってくる。山内も怒りに満ちた表情を浮かべている。
「なるほどな。男の厄病神3人じゃ一番嫌われてる奴だし当然か」
「しかもDクラスのメンバーに聞いたら山内と池って入学当初にクラスの女子の胸の大きさのランキングを作る屑っぷりを示したらしいぜ」
「屑じゃねぇか」
「生きてて恥ずかしくないのか?」
橋本の暴露に俺と龍園はそう呟くが本気でドン引きした。マジで気持ち悪いんだが……
「な、何だよぉ!何でそんなに見下されなきゃいけないんだよぉ!ランキングと盗撮も軽い冗談じゃねぇか!」
山内は我慢出来ないとばかりに叫ぶが、食堂前でそんな事を叫んだら……
「ふざけんじゃないわよ!この性犯罪者!」
「高校生になってやって良い事と悪い事の区別もつかないの?!」
「本当に死んでよ!1年の綾小路君がカメラを奪わなかったらどうなっていたか、想像するだけで寒気がするわよ!」
周りにいた女子が一斉に山内に怒鳴り散らす。学年もクラスも関係なく、沢山の女子が山内に罵声を浴びせる。昼休みに全生徒が集まる場所でそんな事を叫んだのだ。女子達の怒りは当然のように爆発した。
「煩えよ!!お前らみたいなブスはどうでも良いわ!佐倉や一之瀬や櫛田ちゃんみたいな巨乳しか興味ねぇよ!」
コイツ最低極まりないな。
「ふざけんなよ山内!」
「一之瀬を盗撮だと?!そんな事を絶対にさせねぇぞ!」
「櫛田ちゃんを怖がらせるような発言してんじゃねぇよ!最近の櫛田ちゃん、白髪に悩んでるんだぞ!」
山内の発言よりウチや橋本のグループのCクラスとDクラスの生徒も怒りを露わにする。佐倉は知らんが、櫛田や一之瀬はクラス内で絶対的な人気だからな。
特に櫛田なんか半年以上由比ヶ浜を庇った事から聖人君子と評価を受けてるしな。最近は庇うのはやめて割と荒っぽい性格になったが、由比ヶ浜達によってストレスが溜まりまくったから仕方ないだろう。
「クソがっ!俺はお前らと違って優秀なんだ!絶対に後悔させてやるよ!」
山内は叫びながら走り去っていくが、何処が優秀なんだ?
「ったく、本当にDクラスの5馬鹿は碌でもない奴等だな。同じグループには迷惑をかけてばかり……生きてる意味があるのか?」
「っ!」
龍園の言葉に周りにいるメンバーの視線が山内と同じ5馬鹿の池に集まり、池は逃げ出す。
すると……
「何を甘い事を言っているのですか龍園君。由比ヶ浜さんの面倒さは他の4人とは一線を画していますよ」
ひよりがどんよりとしたオーラを全開にしながらやって来る。目も俺以上に腐って廃人のようで、普段の美少女の姿とは天と地の差がある。
「さっきの授業のスピーチでは、この学校の教師や生徒が馬鹿だから自分と雪ノ下さんに謝る方法を探すと反省の色を全く見せないふざけたスピーチをしたのですよ」
わーお……予想は薄々していたが、改めて聞くと頭が痛くなる。
「迷惑をかけられてばかり?私のグループに比べたら龍園君達は天国ですよ。不愉快ですから甘ったれた事を言わないでください」
「……済まん。俺が悪かった」
ひよりのドスのきいた声に龍園は丁寧な礼をして謝罪する。ひよりの言葉にはそれほどの重みがある。
「自分がどれだけ恵まれているか自覚してください……それで八幡君。昼休みは思い切り甘やかしてください。そうしないと午後の授業で狂ってしまいそうです」
「ああ、お前の望む限り付き合ってやる……済まんが、俺はここで」
俺はグループメンバーに断りを入れてからひよりの肩を掴み食堂の中に入る。
時間の許す限り甘やかす事を強く決意するのだった。
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