腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「それでですね。自分の行動は正しいと疑わず、自分と雪ノ下さん以外を悪と疑わないんですよ。凄く頭が痛くて辛いんです」
「お前はよくやってるよ。医務室に行って頭痛薬を貰いに行こうな?」
「はい。でも今は甘やかしてください……んっ」
「んむっ……ひより、頑張れよ」
食堂の隅の席にて俺はひよりの唇にキスをする。ひよりは目を瞑って普段より貪欲にキスをしてくる。その事からストレス発散に全力を注いでいるようだ。
「それよりグループの方はどうだ?」
「1年生内における最終順位については高くない結果になると思いますが、2年と3年の小グループはAクラスの生徒が多いので大グループの最下位はないと思います」
それを聞いて安心する。退学する人は「最下位の大グループの中で、学校が定めたボーダーラインを下回る成績を残した小グループの責任者、及び場合によっては道連れ」だ。
つまり大グループでビリにならなければ小グループの成績が酷くても大丈夫って事だ。
「それより八幡君。聞きたいことがありますが朝比奈先輩とは何処まで進んだのですか?」
「ぶふぉっ!い、いきなりの変化球だな……」
まさかここでなずな先輩の名前が出るとは思わなかった。
「先程のスピーチで朝比奈先輩は恋愛に関する内容を含めていて、私と目が合ったら負けない意思を感じました。その事から八幡君と関係を深めていると確信しました」
なずな先輩……スピーチにそんな内容を含めないでください。
「それで?八幡君は朝比奈先輩も恋人の1人にするつもりですか?」
ひよりはそんな事を聞いてくるが、眼差しには怒りの色は少ない。テッキリブチ切れていると思ったが、本当に怒りが見えない。
しかし嘘をついても見透かされそうだし……
「……まあ、もっと沢山甘えたいし、甘やかされたい気持ちはある」
なずな先輩の母性は圧倒的で甘えたい気持ちが強い。特に良い子良い子攻撃は破壊力抜群だ。俺は完全に虜になっている。流石にママ呼びしている事は言えないが。
「そうですか。私としては無理強いはしないので彼女の1人にしたいなら止めません。ただし有栖さんに対する説得は八幡君がしてください」
別に味方する訳ではないので、と締めくくるが本当に怒りを感じない。
「あの、怒ってないんですか?」
思わずそう聞くとひよりは頷く。
「まあ普通なら怒るのかもしれないですが、八幡君は元々二股していますし、時と場所を考えずに欲望感全開の綾小路君と交流を深めている事から、こうなる事は予想していましたし、卒業時は5股くらいすると思っています」
あ、こうなる事は予想されていたのですか。それはそれで何とも言えない気分だな。
「それに……」
「それに?」
俺が尋ねるとひよりは遠い目で窓の外を見る。
「由比ヶ浜さんの愚行のおかけで、殆どの事に怒りやストレスを感じなくなりましたので……アレに比べたら八幡君の3人目の恋人関係の話なんて些細な話です」
「……」
どんだけ由比ヶ浜の行動は酷いなのだろうか。一部しか見えないが毎日過ごすひよりのグループの苦痛は全く想像出来ないな……
「っと、ともあれ朝比奈先輩を3人目の恋人にしたいなら私はどうこう言いません。朝比奈先輩も事あるごとに私を気遣ってくれる優しい人ですし」
いや、なずな先輩じゃなくても気遣うと思うぞ?
「何にせよ八幡君の今後の身の振り方は後にしましょう。今は癒してください」
言いながらひよりは俺の膝に乗って抱きつくや否やキスをしてくるので俺もキスを返す。
「んっ……頑張れよ、ひより……ちゅっ」
「んむっ……ちゅっ……んあっ、辛いですけど、頑張りますっ」
ひよりが少しでも楽に過ごせますように。
そう願いながら俺は時間の許す限りひよりとキスを続けた。
尚、昼休み終盤に由比ヶ浜がギャーギャー喚きながら近寄ってきた際はひよりのストレスが一足早く再燃する事を危惧したが、松下が足払いで転ばせてから白波が顔を踏んで黙らせてくれた。
ちなみに由比ヶ浜はその事を学校に訴えたが、松下と白波は足が滑ったと言い、周りの生徒も2人の味方と嘘を吐いたので2人は軽い処分で済んで安心しました。
数時間後……
「ったく……本当に由比ヶ浜の奴、ぶっ殺したい」
脱衣所にて俺は怒りに満ちた声を呟きながら服を脱ぐ。午後の課題を全て済ませて夕食を食べ、風呂場に行こうとしたら、再度目を腐らせたひよりと出会った。
それだけで何があったのかわかったので、グループメンバーを先に風呂に行かせて、ついさっきまで校舎裏でひよりを癒していたのだ。
その際に由比ヶ浜の愚痴を聞いていたのだが、相変わらず教師や先輩にタメ口+暴言を吐きまくり、注意したなずな先輩にも暴力を振るおうとしたらしい。
その際は松下+白波が転んだ拍子に偶然クロスボンバーを叩き込んで黙らせたが、由比ヶ浜と同じグループのメンバーのストレスは爆発的に加速したらしい。
というかひより以外のメンバーはどうやってストレスを発散させているのだろうか。というかこのままだと櫛田のように白髪に悩む女子が増えそうだな……
そんな事を考えながら服を全て脱いでから腰にタオルを巻いて風呂場に行こうとしたら騒ぎ声が聞こえてくる。また馬鹿共が騒いでいるのか?
内心嫌な気分になりながらも風呂場に入ると……
「凄え……まさにTレックス同士のぶつかり合いだろ」
「ああ。というかコイツら、ヤバい薬使ってるだろ」
「その方が信憑性が高い……あ!もう1人の女誑しが来たそ!」
「本当だ!比企谷ならもしかしたら……!」
風呂場の中心にて綾小路と高円寺が下半身を曝け出していて、周りの皆が驚愕の雰囲気を生み出していて、一部の馬鹿を俺を指差す。
(やってる事は大体わかったが馬鹿をやってる事には変わりないのかよ……)
そう思っている中、周りは騒ぎ立てる。
「比企谷!外せよ!」
「そうだ!絶対王者に挑め!」
「外せ!外せ!外せ!」
外せコールが煩い。今直ぐ逃げ出したいが今逃げても明日があるから余り意味がない。
仕方ない、外すか。
そう判断した俺はため息を吐きながらバスタオルを外すと……
「は、馬鹿な……!」
「絶対王者が3人だ、と……?」
「化け物かよ……!」
周りから驚愕の声が上がる。実際俺のはかなりデカいから見せたくなかったんだよ。
内心ため息を吐く中、綾小路が口を開ける。
「どうやら王者は比企谷だな高円寺。お前はさっき大きさが同じなら経験値で勝敗が決まると言ったが、経験値なら普段3Pしている比企谷がトップだ」
「そのようだねぇ。残念ながら私は負けたようだ。敗北なんて久しぶりだ」
高円寺は目を瞑って首を横に振り、敗北を認めるがこんな勝利は全く欲しくない。
「テメェら、王者をコールしてやれよ」
ここで龍園が余計な事を言ってくるがお前はマジで黙れ。
龍園に不満を抱く中……
『比企谷!比企谷!比企谷!』
比企谷コールが始まり、頭が痛くなる。全然嬉しくないコールだ。
というか経験値は俺の方が上でも将来性は綾小路の方だし、綾小路が王者だろう。
(何か疲れを取る前に更に疲れちまった。後でなずな先輩に甘やかされる際、普段より強く甘えてみるか)
そう判断した俺は再度ため息を吐きながら身体を洗うべくシャワーに向かうのだった。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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