腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「あ、麻子ちゃんの胸、凄く大きいね」
「も〜、夢ちゃん。変な事言わないでよ。帆波ちゃんに比べたら自信無くすよ」
「帆波ちゃんは例外だよ。でも私はあんまり大きくないから。やっぱり胸は大きいのが1番じゃん」
「違いますよ小橋さん。胸が幾ら大きくても胸の持ち主に常識が無ければ無価値になりますよ」
風呂にてCクラスの網倉麻子と小橋夢が胸の話をしていると、同じ小グループの有栖が割って入る。その言葉に重みがある。
有栖の言葉に小橋や網倉のみならず、この場にいる全員が納得した表情になる。
「だよね。由比ヶ浜さんなんか見た目とスタイルは良いけど性格が最悪だし」
「それを考えるとやっぱり人間は中身が大事だよ」
「というかひよりは大丈夫なの?昼休みに比企谷君に甘えまくっていたけど胃痛でリタイアとかないよね」
恵が有栖に質問する。ひよりと友人関係なので違うグループでも心配する。
「……わかりません。あの塵の愚行は私達の常識外ですから。とりあえず八幡君には頑張って貰います」
合宿初日の夜、有栖はひよりから「合宿中、八幡君と過ごせる時間は独り占めさせてください。由比ヶ浜さんの相手は疲れすぎます」と頼まれ、有栖は承諾した。八幡といちゃつけないのは残念だが、ひよりの気持ちも痛いほどわかるからだ。
あの異常者と1週間も同じ部屋で寝泊まりなど想像するだけで吐き気を催してしまう。
「ふぅ、疲れた疲れた」
「やっぱりお風呂が癒しだよ〜」
と、ここで由比ヶ浜が所属するグループの姫野ユキや白波千尋が身体にバスタオルを巻いて風呂場に入ってきて、少し遅れて松下や王も入ってくる。
「あ、ユキちゃんに千尋ちゃん!お疲れ様!大丈夫だった!」
「松下さんも先に洗って良いわよ!」
由比ヶ浜が所属するグループメンバーが入ると風呂場にいる女子は一斉に労い、シャワーの前にいる女子は松下達に場所を譲る。グループもクラスも関係なく、松下達に気遣いや労りの感情を向ける。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」
松下達は礼をして椅子に座る。
「そうそう。遠慮しないで。どうせ今日も由比ヶ浜さんが暴れたんでしょ?」
「ええ。椎名さんが本当に不憫よ」
「朝比奈先輩も由比ヶ浜さんに注意したら逆ギレされてマジで可哀想」
「椎名さんは比企谷君に癒されないとね。ま、椎名さんは比企谷君に甘えてるから遅れると思うよ」
そんな返事が返ってくるが、有栖は朝比奈の名前を聞いて眉を顰める。
何故ならなずなは八幡に対して明らかに好意を抱いているからだ。王様ゲームでは八幡とキスをしたし、その後にもスパ施設で八幡にディープキスをしている。
自分やひより以外の女子を恋人にする事は予想していた。現に二股かけているし、最近になって欲望に忠実になって複数の女子と恋愛をしたがっている綾小路の貪欲さが八幡に影響しているだろうから。
そして恐らく直ぐに3人目の恋人になるだろう。八幡に好意を抱くなずなは女性として高い完成度を持っている。見た目は美しくスタイルは抜群、更には精神に異常がある由比ヶ浜に対しても改善を求める真面目さ、由比ヶ浜により疲弊するひよりを気遣う優しさなど、モテる要素が詰め込まれているのだ。
そんな彼女が八幡にアプローチをしたら落ちる可能性は極めて高い。
彼女が八幡の3人目の恋人になるのは予想の範囲だ。有栖は八幡が最終的に5人くらいの恋人を作ると予想しているからだ。
しかし問題はそこではない。なずなが恋人になった瞬間、持ち前の武器を駆使して八幡の1番になる可能性が高い。悔しいが女子力は向こうが遥かに高いのだから。
(別のやり方で八幡を誘惑するのはどうでしょうか……例えば八幡君をパパと呼ぶみたいに)
小柄な身体を活かすには別のアプローチで切り込んでみるのも戦術の1つだ。以前八幡にお兄ちゃん呼びして甘えたら興奮してくれたし、やってみる可能性が高い。
「……す。有栖!」
「っ!どうしましたか恵さん?」
隣に使っている恵が話しかけてきたので、慌てて返事をする。
「いや、なんか考えているように見えたから。雪ノ下が試験の駅伝で足を引っ張らないか不安?」
「い、いえ。それも不安ですが、八幡君の女誑しっぷりについて悩んでました」
「なるほどね〜。あたしも悩んでるよ。清隆なんか昼休みにも鬼龍院先輩に抱きついてお姉ちゃん呼びして、鬼龍院先輩に顎クイされながら甘やかされていたし」
「そ、そうですか。綾小路君は中々上級プレイを好んでいますね」
ホワイトルームで淡々とチェスをしているのを見た時は全く想像出来ない光景だ。
「しかもアイツ、堀北さんをボコして性奴隷にするとか、神室さんに牝の顔を浮かばせて淫語を連発させたいとか言ってるし」
まさか自身のパシリという名前の側近を狙おうと予想外だ。スパイ云々ではなく純粋に快楽落ちさせたいのだろう。
ぶっちゃけ見てみたいと思ってしまった有栖だった。
「……まあ、同意の上なら特に突っ込みません」
「本当に貪欲なんだから……というか比企谷君はかなり朝比奈先輩に落ちかけてるよ」
「っ!それは本当ですか?情報ソースは?」
聞き捨てならない情報に有栖は聞き返す。
「清隆だけど、朝比奈先輩が比企谷君に2人きりの時はママって呼ぶように約束を取り付けたらしいよ」
本当は話す事じゃないが、恵は親友の恋愛事情を考慮して話すことにした。
(2人きりの時はママ……どうやら朝比奈先輩も甘やかすのを好むようですね。やはりここは私も偶に八幡君をパパと呼ぶしか……)
八幡が近親相姦ネタを嫌ってないのは知っている。以前八幡が部屋で綾小路に付き合って親子もののAVを見ていた際に鉢合わせしたのだから。
「そうですか。情報ありがとうございます。ところで恵さんは今夜も綾小路君とセックスをするのですか?」
こっそり耳打ちすると恵は赤くなりながら小さく頷く。想像以上に関係が進んでいるようだ。
(私も負けてはいられませんね。この合宿ではひよりさんに八幡君を譲っていますが、合宿後は負けません)
そう決意する有栖。しかし彼女はこの合宿中、なずなが想像以上に攻める事をまだ知らなかった。
「ったく、高校生にもなって男性器の大きさを比較するなんてアホだろ」
「オレとしては大きいのは悪くないぞ。恵がフェラする時とか苦しいけど頑張る姿が愛おしいからな」
「頼むから廊下で堂々と言わないでくれ」
風呂から上がった俺は綾小路と廊下を歩きながら風呂場での件を話す。
と、ここで男子が泊まる校舎に向かう途中で女子が泊まる校舎の入り口付近で揉め事が見える。
「……やっぱりダメじゃん。橘さんさぁ、適当なアドバイスはやめてくれない?」
「いや。元々は猪狩さんが言った事じゃ……」
「はぁ?私は撤回しようとしたけど橘さんが決めたんじゃん」
「そうだよ。猪狩さんに罪を擦りつけないでよ」
「酷いよね。謝りなよ」
見れば元生徒会書記の橘茜先輩が複数の女子から責められる。
「随分と容赦ない責めだな。女子って怖っ」
女子の虐めって陰湿な印象が強いんだよなぁ。総武中にいた頃も虐めで生徒会長にさせられそうになった奴が居たし。
「……いや、アレは虐めじゃなくて戦術の1つの可能性がある」
「戦術?」
「ああ。あのグループの編成次第では橘先輩を……あ、楓花お姉ちゃん」
話してる途中で綾小路は前方にいる鬼龍院先輩の元に走っていき、抱きつくな胸に顔を埋める。無表情のままお姉ちゃん呼びは笑うわ。というか話してる途中に切り上げるな。
当の鬼龍院先輩は笑いながら綾小路の頭を撫で撫でする。
「いきなりだな清隆。お風呂は気持ち良かったか?」
「まあまあ。いつかお姉ちゃんと一緒入りたい」
「仕方ない弟だ。では次の期末試験で全科目満点を取れたら一緒に入ってやろう」
「え?そんなので良いのか?余裕だな」
綾小路はそう返すが、有栖の作った問題を全問満点だったし余裕だろうな。
しかし綾小路の奴、第2の彼女を作るのに全く臆してないな。なずな先輩に対して、俺もああやって自分の欲求に素直になった方が良いのだろうか?
俺は今日のひよりの発言や綾小路の臆さない行動を頭の中で浮かべてそう考えながら一足先に部屋に戻ることにした。
だって口元に笑みを浮かべる綾小路にイラッときたしな。
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