※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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本番前日

 

 

合宿も進み、いよいよ本番前日となった。周りを見ればグループごとに明暗が分かれている。しかしそれはあくまで2年生と3年生であって、1年生についてはそこまで暗い表情は見えない。まあ俺達は勝ちより戦力を出来るだけ差が出ないようにしたからな。

 

「さて、お前ら。今日は風呂に入ったらさっさと寝ろよ。本番中に寝不足でしたなんてないようにしろよ。別に盗撮野郎が退学になろうが知った事じゃないが、成績が公表される以上、悪いと恥をかくぞ」

 

食堂に繋がる廊下にて俺はグループメンバーにそう告げる。俺達はこれまで真面目に取り組んでいたので仮にボーダーラインを下回っても、池は道連れを使えないのは明白だ。

 

俺の言葉に不満そうな池以外の全員が頷く。どうやら指揮能力はある程度認められたと思う。

 

「以上だ。じゃあ解散」

 

俺の言葉に皆がバラバラに去っていく。俺はこの1週間の疲れを少しでも減らすために先に風呂に行く。どうも食欲もわかないし、早く休むのが吉だ。

 

「おや八幡君、お疲れ様です」

 

風呂場に向かおうとしたら有栖のグループと鉢合わせする。丁度今座禅が終わったばかりのようで背後には雪ノ下もいるが、俺を睨んでくる。

 

「よう有栖。明日は試験だが調子はどうだ?」

 

「そうですね。持久走で雪ノ下さんがリタイアする点以外は不安はないですね」

 

有栖はハッキリとそう口にする。

 

「は?いやいや、高校生にもなって、たかが1キロくらいでギブアップする訳ないだろ」

 

俺はそう返すが実際は知っている。雪ノ下が本番コースを走ってギブアップした事、毎回グラウンドでのランニングでは最低でも一周は周回遅れしている事を。

 

「普通はそうなんだけどさぁ、雪ノ下さんって毎回直ぐにバテるんだよ。しかも持久走の後の授業ではグダグダになってるし」

 

「その癖足を引っ張らないようにって喚くし……本当に大変だよ」

 

そんな愚痴が飛び交って雪ノ下は真っ赤にプルプル震えるが……

 

「雪ノ下よぉ、中学時代から体力は無かったが、その事実から逃げるなよ。そんなんだから陽乃さんのデッドコピーって評価なんじゃねぇの?」

 

俺は雪ノ下が嫌う逃げって言葉や陽乃さんの名前をわざと出す。由比ヶ浜程じゃないが雪ノ下も散々ヘイトを撒き散らしていると有栖や軽井沢から聞いているので、そのくらいの意趣返しをしても良いだろう。

 

「っ!黙りなさい!屑のくせに「何をしている!」っ!」

 

雪ノ下がキレて俺のジャージを掴み、投げようとしたタイミングで教師が割って入る。

 

「先生。私達は雪ノ下さんの足の引っ張り具合に愚痴を八幡君に愚痴を吐いて、八幡君が同意したら雪ノ下さんが理不尽な逆ギレをしたのです」

 

有栖が白々しくそう話す。

 

「またか!良い加減にしろ雪ノ下!グループメンバーに迷惑をかけてばかりのみならず、暴力に走るなんて恥を知れ!」

 

先生は怒鳴るが余程ストレスが溜まっているのだろう。

 

「出鱈目です!私はこの屑に身の程を教える為に指導をしようとしただけです!」

 

「そんな言い訳が通用すると思うな。仮に比企谷に問題があるなら我々教員が指導するが、生徒のお前に生徒を指導する権利はない!」

 

紛れもない正論だ。生徒に問題があるなら教師から指導を受けるのが基本だ。

 

「全く……頼むから我々教員の手を煩わせないでくれ!お前や由比ヶ浜が数々の愚行に我々教員は頭痛に苦しんでいるんだ!茶柱先生なんかお前らの所為で白髪が増えて、胃に穴が出来て、精神病院に通ってるのだぞ!」

 

……心中察します。

 

「っ!そうやって有能な私を無能扱いするのね!もう良いわ!貴方みたいな無能教師と話していたら疲れるだけよ!」

 

雪ノ下は肩を怒らせながら去っていくが……

 

「わっ!足が滑った!」

 

「ぐっ!」

 

その途中で軽井沢が足を滑らせて雪ノ下の足と絡まり、雪ノ下を転ばせる。

 

「あっ!足が滑っちゃった!」

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!」

 

そして小野寺が足を滑らせてから雪ノ下の方に倒れて、雪ノ下の背中を肘が当たる。

 

「わわっ!足が絡まっちゃった!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

そして小野寺の足がCクラスの津辺の足に絡まり、津辺も雪ノ下の方に倒れそのまま雪ノ下の足の上に倒れ、雪ノ下は絶叫をあげる。 

 

「ごめん雪ノ下さん。足が滑っちゃった」

 

「滑りやすい床だから仕方ないよね」

 

「わざとじゃないから許してよ」

 

軽井沢と小野寺と津辺はいけしゃあしゃあと謝罪する。しかしこの場に咎める者はおらず、寧ろ良い気味だと嘲笑している人もいる。

 

「お前ら、疲れてるのはわかるが滑らないようにしっかりしろよ」

 

先生は軽井沢達に注意しながら去っていく。どうやら見て見ぬふりをしてくれたようだが、それだけで雪ノ下の嫌われようがよくわかる。

 

「では八幡君。私達は夕食を食べにいくので失礼します。今日は早く休みますが明日の試験はお互いに頑張りましょう」

 

「ああ。成績公開は楽しみだな」

 

「はい。愉しみですよ。では」

 

有栖が礼をして軽井沢達が俺に会釈をして雪ノ下を置いて食堂に向かう。

 

雪ノ下は苦しみながら地面に倒れているが助ける義理もないので俺は雪ノ下を放置して風呂場に向かう。

 

早く寝て万全の状態にならないといけないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐうっ……」

 

雪ノ下が廊下にて痛みに悶える。いきなりの不意打ちに反応出来なかったのだ。

 

「うわ見て。雪ノ下さん倒れてんじゃん」

 

「だっさ。どうせ持久走でばてたんでしょ。毎回周回遅れしてるし」

 

「坂柳さんのグループ可哀想だよね。口だけの無能がいるし」

 

「いや、可哀想な椎名さんのグループでしょ……マジで」

 

「だよね。あの塵は論外だよ。千尋ちゃんなんか凄い暴力的になったし」

 

「だよね。由比ヶ浜さんを殴っている千尋ちゃんを帆波ちゃんが注意した際には反抗した時は驚いたよ」

 

「わかる。一之瀬さん絶対主義の白波さんが反抗するなんて……余程由比ヶ浜さんがうざかったんでしょ」

 

「でも比企谷君って凄いよね。由比ヶ浜&雪ノ下の屑コンビと同じ中学で1年間同じ部活に所属してたらしいよ」

 

「だよね。比企谷君のメンタルは鋼鉄より硬いんじゃないかな?」

 

「硬いでしょ。クラスでも龍園君が唯一対等に見てるしAクラス行きの際には頼りになるよ」

 

「ウチには高円寺君や綾小路君みたいな桁違いの怪物がいるのに、桁違いの足手纏いが5人もいるから、Aクラス行きは諦めてるよ……」

 

「マジで可哀想……ウチのクラスの迷惑にならない範囲でなら助けるから困ったら相談してよ」

 

「私も可能な限り力になるよ」

 

「私も助けるからね」

 

「グスッ……ありがとう、嬉しいよ」

 

そんな声が雪ノ下の上から聞こえてきて、それがまた雪ノ下の怒りを増幅させる。

 

(ふざけないで……!何であんな低脳共が……!)

 

自分は有能で、あんな連中に見下される存在じゃない。

 

教師も教師だ。有能な自分に嫉妬して差別をしたり、更生プログラムなどに参加させるのだ。完全な屑でしかない。

 

ケヤキモールの職員も無能だ。有能な自分がバイトをしてあげるというのに拒否したのだ。

 

日本政府が重視する学校だというのに無能揃い……やはり自分がこの腐った日本を変える必要がある。自分が国の頂点に立って愚かな国民を導く事こそが絶対だ。

 

(見てなさい……!明日の試験で私がどれだけ有能を知らしめる!その為に綾小路清隆と高円寺六助は踏み台になって貰うわよ……!)

 

雪ノ下は歯軋りをしながら立ち上がり、学年最強と噂される綾小路と高円寺を纏めて上回る事を決意して食堂に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで楓花さん」

 

「何だ清隆?」

 

「1位になったら一緒にお風呂と約束しましたが、同率1位の場合も有効ですか?」

 

「ん?誰か脅威を感じるのか?」

 

「同じクラスの高円寺ですね。他には負ける気はしませんが、アイツには勝てる未来も負ける未来も見えないので」

 

「ふむ……まあ同率1位も1位だから有効で構わない」

 

「ありがとうございます。約束を楽しみにしてます」

 

「おやおや。もう勝った気か?頼もしいな」

 

「はい。楓花さんとお風呂という最高のモチベーション向上装置がありますから」

 

「全く……んっ、少し強く抱きしめ過ぎだぞ」

 

「すみません。つい興奮して」

 

校舎裏にて綾小路は鬼龍院に抱きついて甘えながら明日の試験に対して気合いを入れていた。

 

誰が相手でも負けるつもりはない。比企谷八幡であろうと龍園翔であろうと坂柳有栖であろうと一之瀬帆波であろうと葛城康平であろうと、高円寺六助であろうと全員に勝つつもりであった。

 

 

雪ノ下?綾小路の眼中には全く入っていなかった。

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