腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
全ての試験が終わり、俺達は体育館に集まる。全校生徒400人以上が集まるとやはり壮観だな。時刻は夕方5時前だから学校に着くのは9時位だろう。
「生徒の皆さん、お疲れ様でした。試験内容は違えど、前回行われた特別試験より全体的に高い評価となりました。ひとえに皆さんのチームワークによるものでしょう」
初めて見る初老の男性がそんな事を壇上で言ってくる。しかしそれは正解とは言えない。確かにチームワークを駆使したグループもあるだろうが、圧倒的な個の力によって高い評価を出したグループもあるだろう。ウチのグループの綾小路みたいに。
「それでは結果発表に移りますが、大グループの成績発表の前に1年生の個人成績を発表します。これはプライベートポイントの支払いによって行われますが、2年生と3年生で個人成績の知りたい人がいたら、全ての結果発表が終わってから私の方に来てポイントを支払ってください」
そんな声が上がり、上級生からは騒めきが生まれる。しかし買う人がいるかはわからない。俺達の場合は由比ヶ浜の成績を晒し上げたいって理由があるから100万払ったんだしな。
「では発表します。点数については1年生の担任は採点者に含めておらず公平に評価しましたので安心してください」
その言葉と共に壇上のスクリーンに結果が表示される。最初は1位からだったが……
1年生個人成績 一覧表
1位 Dクラス 綾小路清隆 400点
座禅 100点
筆記試験 100点
駅伝 100点
スピーチ 100点
1位 Dクラス 高円寺六助 400点
座禅 100点
筆記試験 100点
駅伝 100点
スピーチ 100点
1位 Aクラス 坂柳有栖 400点
筆記試験 200点
スピーチ 200点
※身体を考慮して座禅と駅伝を免除して、筆記試験とスピーチを点数を200点分に増加した。
4位 Cクラス 一之瀬帆波 363点
座禅 89点
筆記試験 96点
駅伝 90点
スピーチ 88点
5位 Dクラス 平田洋介 360点
座禅 92点
筆記試験 94点
駅伝 92点
スピーチ 84点
上位からの発表に騒めきが生じる。まさか満点が3人もいて、4位と40点近く差が離れているとは思わなかった。
「……良し、楓花さんと風呂だ」
隣にいる綾小路は小さくガッツポーズをするが、これだけ煩悩に満ちたガッツポーズは初めて見るな……
そして順位は徐々に発表されていき……
8位 Bクラス 比企谷八幡 342点
座禅 90点
筆記試験 96点
駅伝 82点
スピーチ 74点
葛城、櫛田に続き、俺は8位だった。スピーチが低いのは駅伝で終盤だったから疲れのせいだろう。前半に走っていたら80点は超えていただろう。
それからどんどん発表されてひよりが座禅と筆記試験とスピーチで90点以上だったのに駅伝に足を引っ張られて20位ギリギリだったり、龍園が意外にも30位と中々高かったりして……
94位 Dクラス 雪ノ下雪乃 215点
座禅 90点
筆記試験 96点
駅伝 4点
スピーチ 25点
雪ノ下の順位が発表される。座禅と筆記は高いが駅伝はまさかの1桁でスピーチは駅伝の疲労によって結構酷く、講堂に嘲笑が響く。
「うわ、普段あれだけ偉そうにしておきながら94位かよ」
「4点はねえだろ。普通に走れば40点は取れるだろ」
「普通じゃないだろあのカスは」
「っ!黙りなさい!こんなのは間違いよ!」
周囲からの罵倒に雪ノ下は怒りだすが皆は嘲笑を浮かべたままだ。
「ゆきのんを馬鹿にすんなし!ゆきのんは身体が弱いから低かっただけで、何も知らない無能が文句を言うなし!」
由比ヶ浜が割って入るが……
「いや、雪ノ下は身体が弱いんじゃなくて体力がないだけだろ。陽乃さんは健康体って言ってたぞ」
入学前に俺は雪ノ下の体力の低さは体の障害かと思い、陽乃さんに聞いてみたら「え?雪乃ちゃんは健康体だよ。単に体力のない事実から逃げただけだよ」って返されたし。
「はぁ?何テキトーな事言ってるし?!ヒッキーマジでキモい!キモ過ぎだから!」
俺の言葉に由比ヶ浜がギャーギャー喚くがマジでウザいな……大爆発とかしないかな?
内心苛立つ間にも順位が少しずつ公開されるので由比ヶ浜の喚き声をBGMに強制的にさせられながらモニターを見ると……
110位 Dクラス 須藤健 193点
座禅 60点
筆記試験 20点
駅伝 98点
スピーチ 15点
5馬鹿の1人の須藤も出てくる。駅伝のおかげで下位50位を免れているな。
まあ須藤と雪ノ下は得意分野があるから予想通りだ。しかし残りの馬鹿3人には長所がないから下位5人に入るだろう。
そしてどんどん点数は低くなっていき、ウチのクラスの本堂が155位とギリギリでワースト5を回避して……
156位 Dクラス 井の頭心 113点
座禅 32点
筆記試験 32点
駅伝 25点
スピーチ 24点
157位 Dクラス 佐倉愛里 102点
座禅 28点
筆記試験 45点
駅伝 10点
スピーチ 19点
158位 Dクラス 池寛治 95点
座禅 21点
筆記試験 21点
駅伝 22点
スピーチ 31点
159位 Dクラス 山内春樹 90点
座禅 19点
筆記試験 19点
駅伝 28点
スピーチ 24点
160位 Dクラス 由比ヶ浜結衣 35点
座禅 9点
筆記試験 3点
駅伝 18点
スピーチ 5点
下位5人の名前が最後に表示されるが……
「クハッ!二桁ってカスにも程があるだろ!」
「流石Dクラスの五馬鹿だな!」
「由比ヶ浜に至ってはブービーの盗撮ホラ吹き野郎と50点離れてるし!」
「小学生からやり直した方がいいでしょ」
「真澄さん。小学生に失礼ですよ。小学生はもう少し賢いですよ」
「だな!筆記なんて10点は小学生でも解ける常識問題だし、小学生……いや、下手したら幼稚園以下だろ」
爆笑の嵐が起こる。まあ確かに筆記試験には「去年のオリンピックの開催地は?」とか「日本の首相の名前は?」とか「ジャンプの漫画で社会現象になった鬼滅の○、○に入る文字は?」みたいな小学生でも解けるクソ簡単な問題もあったからな。
「っ!煩い!これは何かの間違いだし!もしくは採点者が私を差別したんでしょ!」
由比ヶ浜が喚きながら壇上の教員らを指差すが、どんだけ理不尽な逆恨みなんだよ?
「……採点は公平に行いました。あなたの純粋な実力です」
「嘘つくなしこの老害!どうせ「煩ぇよ!」ごほっ!」
更に喚こうとした由比ヶ浜に対して松下がキレて腹パンする。今の声、松下だよな?
「由比ヶ浜さんに何を「テメェもだカスノ下!」あぁっ!」
松下は返す刀とばかりに雪ノ下の脛を蹴り飛ばす。
「さっきからギャーギャーギャーギャー……良い加減自分の無能さを理解しろや!テメェらの幼稚園児以下の言動が皆を不愉快にさせてんだよ!もうこのまま野垂れ死ね!」
「ぐほっ!」
「がふっ!」
松下は荒々しい口調で由比ヶ浜と雪ノ下に怒鳴ってから追撃の蹴りを放つ。壇上の教員らに一礼する。
「……失礼しました。我慢出来ずに手を出してしまいました。罰はご自由に」
「待ってください!千秋ちゃんに重い罰を与えないでください!私達はずっと由比ヶ浜のゴミ屑に苦しめられたんです!」
ここで松下と同じグループの白波が叫ぶが、ゴミ屑って発言にCクラスの生徒はギョッとした表情になる。
「そうです!もし千秋ちゃんに退学みたいに重い罰を与えるなら私が退学か卒業してからこの学校の実態をバラします!」
「政府によるペナルティ?上等です!ずっと苦しんでる千秋ちゃんの為に戦います!」
「それにバラせば学校も世間からの評判と戦いますし、私達の案を受け入れてください!」
白波に続いて松下と同じグループのメンバーが次々に反論する。全員覚悟を決めた表情を浮かべて、これには教員らも気圧される。
「……松下さんの処遇については後日伝えます……が、退学にはしません」
教員もそう返すが、ひよりのグループは由比ヶ浜に苦労させられたから団結力が凄まじいな。今後特別試験などがあっても壊れないであろう絆を得れたのだ、それは大切にするべきだ。
そう思いながら俺はひより達が優しい表情で松下に近寄る光景を眺めるのだった。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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