腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「……って訳で、学校は教育機関である以上、嘘をつかないようにするべきだな。そうでないと、嘘をつくのは正しいって事になるぜ」
山内がそう締めくくると拍手は起こりはしないが、意外そうな眼差しが山内に向けられるが、俺も似たような眼差しを向けているだろう。
大分グループ発表は続き、山内と佐倉の番になった。最初に山内が「この学校における問題点」ってお題で、「この学校は嘘を吐くが、それは問題だから一定の情報を生徒にしっかり教えて変えるべき」って結論を夏休みの件を引用したのだ。
夏休みの件とは2週間の旅行で無人島に上陸するまでは「1週間は無人島のペンションで過ごし、残りの1週間は豪華客船で過ごす」と説明を受けていたが、実際はペンションは無くて貧相な共同生活だった事だ。
よって言っている内容には説得力があった。言葉の表現や口調とかには粗が見えるが、それでも調査に力を入れていたのはわかる。10点以上は厳しいが8点か9点くらいはあげても良いだろう。
そう考えると山内にしては上出来だろう。雪ノ下と由比ヶ浜はボーナス以外では0点で、少し前に発表した須藤と池はボーナス込みで35点だったからな。
しかし山内の事だから他の4人と同レベルだと思っていたが、思ったよりもしっかりしていたので驚いた。アレか?変なものを食って愚かさが消えたのか?
そして山内がステージの脇に移動すると山内と同じグループのペアの佐倉のターンになるが……
(ガチガチじゃねぇか)
誰が見ても緊張感丸出しで、真っ青に他の皆がステージ中央に移動していたのに、移動してない。
ようやく移動したかと思えば……ガタガタ震える。口を動かしているのはわかるが、声が聞き取れない。
(どうだけコミュ障なんだ?)
いや、これは俺達聴者の目がキツいのかもしれない。何せパートナーが嫌われ者の山内だからな。山内とペアを組んでいる時点で、他クラスの生徒に山内に気があると思われていても仕方ない。
「あっ……えっと……私は……」
そんな風にボソボソと微かに聞こえてくるが、相当緊張しているのか内容は「ボソボソ喋んなし!喋れないなら今すぐ帰れし!」鬼かお前は?
俺は怒鳴る由比ヶ浜に内心にてそうツッコミを入れる。しかも佐倉はそれにより萎縮してしまい、俯いてしまう。こりゃダメだな……
内心佐倉に同情している間に制限時間を迎えてしまう。佐倉については残念ながら0点だろう。
それからすぐに点数が発表されるが、全員が8点でボーナスが12点で52点となった。
しかし下位3グループから免れたから雑魚2人にしては上出来だろう。
ちなみに今のトップ5は1位が坂柳グループの110点、2位が橋本グループの108点、3位が松下グループの105点、4位が軽井沢グループの100点、5位が石崎グループの95点となっていて、下位については雪ノ下グループは20点、須藤グループが35点、井の頭グループが45点、山内グループが52点、佐藤グループが60点となっている。
で、クラスポイントは1位から5位のグループに渡され、1位のグループには300、2位には200、3位には100、4位には60、5位には40のクラスポイントが与えらる。
そしてグループメンバーの所属するクラスの数だけ分割される。
そしてこのまま最後まで順番が変わらなかったら……
1位の300ポイント→有栖のAクラスと龍園のBクラスに150ポイントずつ
2位の200ポイント→橋本と神室のAクラスと高円寺のDクラスに100ポイントずつ
3位の100ポイント→ひよりのBクラスと白波のCクラスと松下&みーちゃんのDクラスに33ポイントずつ(小数点以下は四捨五入)
4位の60ポイント→軽井沢と櫛田と堀北のDクラスにそのまま60ポイント
5位の40ポイント→石崎と小宮と鈴木のBクラスにそのまま40ポイント
となり……
Aクラス→+250ポイント
Bクラス→+223ポイント
Cクラス→+33ポイント
Dクラス→+193ポイント
となる。このまま行けばDクラスは久しぶりにプラスのポイントになる。まあ由比ヶ浜が直ぐに0にするだろうけどな。
そう思いながらその後のスピーチも続き、漸く俺と綾小路の番になったので前に向かう。
「なんで2人が出てくるんだし!どうせまたズルするんでしょ!」
由比ヶ浜が叫ぶが無視させて貰う。
俺達はギャーギャー喚く由比ヶ浜を無視して俺達は発表の準備を済ませる。
「それでは発表を始めます。今回、自分と比企谷は高度育成高等学校の体制における問題の改善については発表します」
これまでの発表でもよく出されていたお題だが、俺と綾小路の発表内容は誰とも被ってないので、幸いだ。
綾小路がリモコンのボタンを押すと新しい文章が出る。
・監督生制度の導入
・Aクラス特有の特権の改案
始めるパターンに講堂から騒めきが生じる。
「では自分から「監督生制度の導入」について説明します」
綾小路がそう言ってステージの中央に立ち、俺は隅に移動する。
「監督生といえば、ハ○ー・ポ○ターの原作を読んだ人ならアレを想像すると思いますが基本的にはそれに近い感じです。未読者に簡単な説明をすると生徒の中で実力のある生徒に権力を与えて、生徒に対して罰則を与えられる生徒と思えば大丈夫です」
まあ監督生同士の減点は無理みたいなのはあるけどな。
「もちろん他クラスの生徒に罰則を与えたらクラス間闘争が泥沼化するのは間違いないでしょう」
そうだろう。監督生制度が導入された場合、他クラスの生徒に対する罰を許したら絶対に罰則の嵐になるのは明らかだ。
「しかしクラス内においてなら秩序を守る為にも役立つでしょう。例を挙げるなら気に入らないことがあればコンパスで人を刺すような問題児がいたら、その時監督生が教師と同じ権限を持ち、罰則を与えられる……ようなものです」
綾小路はわかりやすい例えをする。それにより有栖や龍園はニヤニヤ笑いを、気に入らないことがあればコンパスで人を刺す問題児……堀北に向ける。当の堀北は屈辱に満ちた表情を浮かばせながら握り拳を作っている。
「ふざけんなし!アンタの事だからあたしに逆恨みしてるから理不尽な罰を与えてんでしょ!」
「権力に酔って好き勝手暴れるのが想像出来るわね」
「大体人の肩を壊す奴が監督生なんか務まらないだろ!」
「そうだそうだ!大体俺の桔梗ちゃんの処女を奪った屑野郎が偉そうに発言してんじゃねぇよ!責任取って佐藤とか松下とか王とかの処女を俺が奪えるように貢献しろよ!」
山内以外の4人が怒鳴るが山内が怒鳴ってないのは気になるな。つか池の発言だが……
「ねぇ、マジで気持ち悪いからやめてくれないって前から言ってるよね?大体私はもう綾小路君に処女を捧げたし」
「私は比企谷君に捧げたね。というかアンタに捧げるなら首を吊るからって何回も言ったよね?わからないの?」
「私も綾小路君に捧げましたから、何回も気持ち悪い事を言わないでください!」
佐藤達が嫌そうにそう返す。口振りからして何回も言われているようだが……
『なにぃぃぃぃぃぃっ?!』
案の定、講堂には騒ぎ声が響く。担任の先生方は額に手を当てて呆れ顔全開となっている。
『櫛田ちゃん以外も抱いたのかよ?!』
『というかそのメンツって馬鹿によって苦労してるメンツじゃね?』
『苦楽を共にした同士結ばれたって訳か!』
『もしかして他にもいるのか?!』
はい。公にはなってないですが、恋人になずな先輩が、セフレに白波と姫野がいます。まあそれは口にしないけど。
「ふざけんじゃねぇよ綾小路に比企谷!恵まれてるんだから1人くらい寄越せや!」
「何でお前らだけ良い思いをして俺達は苦しめられなきゃいけないんだよ!」
「本当っキモいから!今すぐ退学してあたしとゆきのんにポイントを渡すし!」
「同感ね。貴方達のような屑より有意義に使えるから寄越しなさい」
案の定、4人は文句を言ってくるが、マジで山内が叫ばないのは不気味だ。当の本人は何かを考えながらニヤニヤしてるけど。
「……この学校では暴力行為などは訴えないと動きませんし、かといってクラス内の問題に学校が動いたらクラス全体にダメージが広がる可能性があります。よって自由に罰を考えて問題児に与えられる生徒の存在は必要だと思います」
そんな中、綾小路は馬鹿共の喚きをスルーして自分の話を締めくくる。
さて、次は俺の番だな。重要なのは馬鹿の喚きに苛立つ事なくポテンシャルを発揮する事だし頑張らないとな。
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