※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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謀略

 

 

 

 

「邪魔するし!試験当日にあたしとゆきのんに賞賛票を入れて貰うから!」

 

由比ヶ浜の登場にウチのクラスの空気が死んでいく。龍園も心底嫌そうな表情を浮かべ、ひよりに至っては不快のオーラを醸し出している。こんなひより、見たくなった……

 

「……はぁ、で?賞賛票を入れる事に対する見返りは?」

 

龍園が嫌そうにそう返す。そんな龍園に対して由比ヶ浜は理解不能といった表情に変わる。

 

「見返り?同じ学校の生徒が困ってるなら助けるのは当たり前じゃん!見返りを要求するなんて間違ってるから!」

 

コイツ、本気で言ってやがる。図々しいにも程があるな。

 

「……悪いが、こっちも救済措置について1人分考えてるから無理だ。他クラスより自分のクラスを優先する」

 

これは由比ヶ浜に対する嘘だろう。龍園が無能を救済するはずがないからな。

 

「そんなのほっとけば良いじゃん。逆恨みされてるあたしと違って、どうせ無能なんだし」

 

コイツ、自分を棚上げしてやがる……どう返せば良いんだ?

 

「……わかったわかった。じゃあ今日から授業中に喋ったり、携帯を弄ってDのクラスポイントを減らす行動を取れ。そしたらお前に賞賛票を入れるようにクラスに話しとく」

 

龍園が投げやりな表情を浮かべながらそう口にする。龍園の言葉にひよりはショックを受ける。余程由比ヶ浜が消えて欲しいようだ。

 

「本当!わかった!絶対だよ!」

 

由比ヶ浜が満足そうに頷き教室から出て行く。皆が安心した表情を浮かべる。

 

「で?実際はどうすんだ?騒がせるだけ騒がせて口約束を利用して、身に覚えがないって賞賛票を入れないのか?」

 

「話すだけ話して私達が断ればそれで良いですから」

 

俺とひよりが質問する。契約書がないなら問題ないだろう。

 

「くくっ……まあ投票日に話してやるよ。とりあえず今は1時間目の授業の準備をしな」

 

龍園はそれはそれは良い笑顔を浮かべながらそう言ってくるが、絶対碌でもないことだろうな。

 

pipipi

 

「あ、千尋さんから返信が来ました。一之瀬さんが話をしたいらしいです」

 

「釣れたな。後は比企谷に任せる」

 

「了解。じゃあひより。昼休みに話をしたいからそれまでにクラスの総資産を把握しろとメールしといてくれ」

 

「わかりました」

 

ひよりがメールを打ち、打ち終わるとチャイムが鳴るので授業を受けるの準備をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後……

 

キーンコーンカーンコーン

 

4時間目のチャイムが鳴るので俺とひよりは教材を片付けて教室を出ると、有栖と神室が廊下を歩いてくる。

 

「いましたか。申し訳ありませんがDクラスの方に用事があるので昼食は遅れます」

 

「いや、俺達もCクラスに用があるし、また後でな」

 

「なるほど……一之瀬さんに宜しくお願いします」

 

そう言っているが目には鬼畜の色がある。どうやらやろうとしている事は把握しているようだ。

 

「ああ」

 

俺達は一礼してからCクラスに入る。

 

「失礼します」

 

「来てくれてありがとうね。それにしてもようやく馬鹿女が消えるかもね!」

 

白波が真っ先に駆け寄り良い笑顔を浮かべている。どんだけ由比ヶ浜が憎いのかわかる。

 

「まだわかりませんよ。朝、アレがクラスに乗り込んで賞賛票を要求してましたが、龍園が何かを企んでましたから」

 

「えー!あのゴミ女、生きてる価値はないんだし消せば良いじゃん。というかアレを殺しても罪に問われなきゃ良いのに」

 

可愛い顔で物凄い毒を吐く白波。男子はドン引き、一之瀬は白波の豹変に悲しそうに見ている。

 

「そこまでにしろ。一之瀬は俺に話をしたいんだろ?」

 

「あ、うん。わざわざ交渉の席に来てくれてありがとうね」

 

「気にすんな。こっちは順調に試験も進んでるしな」

 

「Bクラスはやはり龍園が不要の生徒を指名したのか?」

 

神崎が質問してくるので首を横に振る。

 

「いや、龍園は試験の説明が終わって直ぐに予行練習を行う事を提案して、各々が消えるべき生徒3人の名前を紙に書いて坂上先生に渡した。放課後に結果発表だな」

 

「……なるほどな。直ぐに予行練習を行えば裏でグループを作れなくなるし、良い作戦だな。票が多い生徒には地獄だがな」

 

「それは自業自得だ。俺や龍園が消す相手を話し合う……話が逸れたな。俺と交渉するって事は2人分救済措置を考えてるんだな?」

 

俺は一之瀬を見ると一之瀬は頷く。

 

「うん。クラスメイトを切り捨てられないよ」

 

「由比ヶ浜みたいな屑がいれば簡単に切り捨てられるのにな」

 

「それは……ううん、やっぱりクラスメイトを切り捨てるのはダメだよ」

 

一之瀬は口籠るが、一之瀬ですら一瞬とはいえ、救済を躊躇うってヤバすぎだろ。

 

「……まあ良い。2人分救済するとして、幾ら足りないんだ?10000単位で言ってくれ」

 

「えっと……464万ポイントだね」

 

「なるほどな……結論から言えばポイントは貸してやっても構わない」

 

俺個人の資産でも払えるし、クラスで集めた貯金があるしな。Cクラスに464万の借金を背負わせて200クラスポイントの損失を与えられるし、クラスメイトも反対しないだろう。

 

しかし俺の仕事は一之瀬の精神を攻撃する事だから普通には貸さない。

 

「本当っ?」

 

「ああ……ただよく考えなくて良いのか?損害はデカイぞ」

 

マジで。

 

「うん。プライベートポイントやクラスポイントは取り戻せるけど、クラスメイトだけは取り戻せないから」

 

「違う。ポイントについては大した問題じゃない。お前はこの試験の本質を知ってるのか?」

 

「本質?クラスメイトから退学者を出す試験じゃないの?」

 

「それは正確じゃない。この試験の本質は「実力者と人気者がプロテクトポイントを賭けて争う事」と「雑魚と嫌われ者が退学回避を賭けて争う事」にある」

 

退学者を出すのは勿論の中で、その中でクラス内における格付けを行うことをする必要がある。今後似たような試験が起こってもスムーズにこなせるように。

 

そして……

 

「そして中堅クラスについてはプロテクトポイントも退学も関係ない、ある意味いつも通りだ。そんな連中が全員「クラスメイトの為だ。俺の全財産を投げ打って、借金も覚悟してやる!」って思っていると一之瀬は考えているのか?」

 

「それは……」

 

一之瀬は苦しそうな表情を浮かべる。クラスメイトを守る事を最優先に考えて、退学のリスクがない生徒の不満を失念していたようだ。

 

「それにだ。今回の救済を社会に例えたら「株式会社Cクラスは経営不振に陥り、社員を1人リストラしないといけない。それに対して一之瀬社長は社員の全財産+銀行からの借金によってリストラを出さずに済んだ」って事だぞ。お前らは将来そんな会社に入りたいのか?一般社員でもリストラ候補でも地獄を見るぞ」

 

前者なら財産を投げだしたから、後者なら救済されても他の社員から恨まれるだろうから。

 

「確かに……」

 

「俺、コツコツポイント貯めたポイントがあるけど、今の聞いたら手放したくなくなってきたな」

 

「私も……」

 

クラスからポツリポツリと俺に賛成の声が聞こえてくるが、狙い通りだ。俺はCクラスの生徒に対して真剣な態度で話しているから、悪意剥き出しで挑発する龍園の言葉より説得力がある。

 

というかCクラスを叩くなら龍園より俺が担当した方がいい気がする。龍園のやり方だと団結力が増しかねないし。

 

「待てって!ポイントの為にクラスポイントを切り捨てるなんて間違いだからな!」

 

ここで柴田が咎める口調でそう口にするが……

 

「それはお前の価値観だ。自分の価値観を大切にするのは自由だが、だからといって他人の価値観を悪と断じて変更を強いる権利はない」

 

「い、いや、そうだけど……」

 

救済したい気持ちを持とうが、見捨てたい気持ちを持とうがそれは自由だ。しかし団結を重視クラスで価値観の強要をしたら裏でギスギスするのがオチだ。

 

「まあこのクラスが救済措置を使うのはアリだと思うけどな」

 

「え?散々否定要素を挙げてなかった?」

 

白波を筆頭に大半が疑問符を浮かべている。

 

「俺はお前らが救済措置を使うのを否定してない。よく考えてから救済措置を使えって話だ。退学者を出すのが嫌だから問答無用で救済措置を使って進歩があるのか?」

 

「ないな……つまりギリギリまで粘れって事か?」

 

「そうだ。不足額の確認、貸し手の捜索、返済プランの設計、返済失敗のペナルティの考慮、中堅以上の不満の対応、救済措置を使えなかった場合における退学者の選定、次回以降に似たような試験があった際の線引きの設定……など救済措置を使う際に必要な事は山ほどあるが、クラスのリーダーが思考を放棄して後先考えないで救済を強行するのは間違いだと思うが」

 

「うぅ……」

 

一之瀬は辛そうに俯く。俺が言った事はリーダーとしてやらなければいけない事だが、中堅以上の不満の対応や退学者の選定は一之瀬からしたら避けたい道だろう。

 

「……以上だ。お前らが救済措置を使うのは自由だし、ポイントは貸してやっても良いが、もうちょっと考えてから交渉した方が良いぞ……行くぞひより」

 

これ以上ここにいる意味はない。というかここで一之瀬が救済を強行したらクラスは崩壊の道へ一直線だ。

 

「わかりました。では千尋さん、また連絡してください」

 

ひよりも一礼してから俺に続く。

 

仕込みは順調だ。その気になればCクラスから救済措置を使う気を消し飛ばす必殺の一言を使ったが、今回は一之瀬の精神にダメージを与えながら救済措置を使わせる事を目的としているので使っていない。

 

中途半端な攻めで終わらせたし、一之瀬は多少の反対は押し切って救済措置を使おうとする。

 

……いや、使って貰わないと困る。

 

何せ俺としてはCクラスが救済措置を使った後、龍園に必殺の言葉をCクラスに言って貰って、Cクラスの不満を高めさせたいのだから。

 

そう思いながら俺達はCクラスを出てDクラスの方に向かう。

 

有栖は何をやっているのやら……

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