腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
追加の特別試験が発表されてから3日、いよいよ試験前日の金曜日となった。
ウチのクラスは真鍋グループ以外は普段通りの学校生活を送っていて、真鍋と諸藤は昨日同じグループの山下と薮の粗を話して批判票の対象を移そうとしていて、山下と薮はそれに対して真鍋と諸藤の粗を話して批判票の対象を変えないようにするなど醜い争いをしていたが……
ーーーうだうだ煩えな。批判票の対象はテメェらのグループのみなんだから自らの無能さを恨めーーー
龍園が殺意混じりの雰囲気で強引に黙らせた。実際真鍋グループ以外に批判票を入れるつもりはないし、各クラスが持つ他クラスへの賞賛票についても9割以上、龍園と有栖が握っている事もあり、真鍋達も詰みだと理解したようで絶望感全開で黙った。
今もお通夜のように暗い雰囲気だが、後1日しかない学校生活なんだし、最後くらい遊んどけ。
「坂上先生、ちょっと付き合って貰えますか?」
「ああ、例の話ですね。いいでしょう」
そんな風に思いながら俺は帰りの支度をしながら立ち上がり、坂上先生を連れてCクラスの教室に入る。
「邪魔するぞ」
俺が入ると注目が集まる。中でも網倉と小橋は恥ずかしそうに見ている。まあ白波の誘いによって明日の試験が終わったら乱交パーティーに参加だからな。
星之宮先生もいるし、話を進められるな。
「明日が本番だが例の契約を結ぶなら全員サインをしろ」
「うん、皆で話し合った結果、サインをするよ」
「じゃあまずは契約書を作ったから再確認しろ」
一之瀬が頷いたので俺は契約書を取り出す。
契約書
1.比企谷八幡は一之瀬帆波の所属するクラス(以降は一之瀬クラスとする)に464万483ポイントを貸し付ける
2.一之瀬クラスは今年の8月2日までに464万483ポイントを返済する
3.1の条件が履行された場合、一之瀬クラスはクラス投票において「他クラスの賞賛票」を比企谷八幡の指示に従って投票する
4.1の条件には一之瀬クラス全員のサインを必要とする
5.2の条件を達成出来なかった場合、返済不足額が200万ポイント以上の場合、一之瀬クラスは来年度において1つの特別試験で全面的に比企谷八幡の所属するクラス(以降は比企谷クラスとする)に協力する。(返済不足額200万ポイント以下の場合、額に応じて比企谷八幡が教師の立ち会いの下でペナルティを決める)
6.5の条件において比企谷八幡が満足できなかった場合、学校側の調査を挟む。その際に手抜きをしたと判断された場合、その時の一之瀬クラスのクラスポイントの4分の1を比企谷クラスに移譲する
7.3の条件を無視した生徒は退学処分とする
比企谷八幡
こんな感じの契約だ。退学については他クラスへの賞賛票を指示した奴以外に入れな場合なので緩いだろう。
「言われた通りだね……あ、もう1つ良いかな?この全面的な協力なんだけど、ペナルティに退学がある試験の除外って、無理かな?」
一之瀬がそんな提案をしてくるが……
「それは賛成しかねるな。今後の試験は2年生や3年生の退学数を考えたら、ペナルティに退学がある試験が多いだろうからな」
下手したら今後は全部退学のペナルティがある特別試験かもしれない。そうなったら協力を得られずに大損だ。
「それは……そうだけど」
「そもそも退学が嫌なら己を高めれば良いだけだ。それこそ俺達に協力しても尚、退学の危険にならないほどにな」
そうでもしなきゃ、ウチとAクラス連合には勝てないのは明白だ。
「そうだな……一之瀬、条件を変える必要ない。この全面的な協力は200万ポイント分返済出来なかったらの話で、返済すれば問題ない」
「寧ろそれだけの額を返済できないようじゃ、今後Aクラスなんて夢のまた夢だよ」
「それに比企谷君が一之瀬さんの話を受け入れる条件として違う形の要求をしてくる可能性もあるし。今は無利子無利息なんだからこの条件は変えちゃダメだと思う」
神崎が一之瀬に苦言を呈して、白波と姫野が追従する。まあ実際俺の契約はかなり優しいだろう。救済措置を使った場合、一之瀬クラスは400までクラスポイントが落ちるが、それでも1ヶ月に160万貰える計算だ。
で、今日から8月2日まで支給日は4月1日、5月1日、6月1日、7月1日、8月1日と5回あるし、今のクラスポイントをキープ出来れば800万入る計算だからな。
まあ特別試験で大敗したらアレだが、そこは知らん。
「……わかったよ。サインする」
一之瀬がサインすると他の皆もサインする。
全員がサインすると俺はボイスレコーダーを2つ出しながら2人の教師に契約書を渡す。
「じゃあこれにサインをお願いします」
「ええ、わかりました」
「はーい」
「ありがとうございます……では全員が契約したので契約書の内容を履行する。まずは一之瀬の端末にポイントを送る」
俺は464万483ポイントを一之瀬の携帯に送金する。一之瀬は端末を操作してから俺に画面を見せるが、2000万pptと表示される。
「送られたな。で、他クラスへの賞賛票だが男子は……に、女子は……に入れろ」
俺はボイスレコーダーを口に突きつけながらそう命じる。で、この片方のボイスレコーダーと契約書のコピーを学校に渡せば終了だ。
「なるほど……こういう作戦か」
「まあな。既に契約を結んだから違う奴に賞賛票を入れたら退学だからな……これで今やれる事は全てだし、解散してくれ。一之瀬と星之宮先生と坂上先生は契約書のコピーを渡したいんでもう少し付き合ってください」
「ええ、では職員室に行きましょうか」
坂上先生らが頷いたので俺達はCクラスを出て、職員室に向かう。
「そこを何とか!退学者を出したくないんだ!」
「しつけぇな。それ以前にCクラスについては400万ちょいと払える額だから貸付をしたが、テメェらは2000万だから足りないから物理的に金を貸せねぇよ」
向かっていると廊下で平田が土下座をしながら龍園に金の貸し出しを頼んで、龍園が一蹴している。
実際ウチのクラスは2000万貸せるだろうが、リスクとリターンが釣り合ってない。一之瀬クラスにはクラスポイントを減らせるリターンがあるさ、返せる可能性はある。
一方Dクラスについては五馬鹿がガンガンクラスポイントを減らすし、リターンが薄いんだよなぁ。
「救済したいなら臓器でも売って金を作れや」
龍園がヤクザのような事を言って階段を降りていく。平田は土下座したまま項垂れるが……
「馬鹿かアイツは?屑を消すチャンスなのに不意にするなんて。クラスメイトを大切なら屑を嫌う30人以上のクラスメイトの為に率先して消せば良いものを」
俺ならこの試験を歓迎するがな。
「そんな言い方は良くないよ。どんな相手でもクラスメイトを守ろうとする事を否定するのは間違ってるよ」
「アレは人じゃなくて塵だろ。食物連鎖って言葉を知らないのか?弱者は強者の糧になってしかるべきだ。お前だって日頃豚や牛、魚を食ってるだろ。それと同じだ。五馬鹿は消えて、それ以外のメンバーに対してストレス発散という糧になるべきだ」
「それはスケールが「生物という点では同じだ。まさか人じゃないなら淘汰して良いと?」それは……」
「まあお前の甘さのおかげでこっちはクラスポイントに差を作れるからどうこう言わないが、その甘さは早い内に改善した方が良いぜ」
でないと卒業まで有栖と龍園のオモチャになるだろうからな。
そんな風に話していると職員室に着いたのでコピーで3枚コピーして3人に渡す。
「確かに受け取ったよ。じゃあ8月2日まで無くさないように」
「了解っす……あ、契約を終えたばかりで穴に気付いたんです質問良いですか?」
「良いですよ、何ですか?」
「もしもこの間に無人島試験のように携帯を使えない試験があったらどうするんですか?」
去年の夏休みに1週間も無人島試験があったし、返済期日中に試験があるかもしれない。
「うーん、もしもその期間中にそんな試験があったら、特別試験直前に一之瀬さんは払えるだけ払って。足りなかったら、その分は私達が8月1日に支給されるCクラスのプライベートポイントから引き落としておくから」
「わかりました。ではその後に40等分します」
「ただ期日は8月2日だから、それ以降に特別試験で得た報酬を返済に使うのは認められないから。もしも8月1日に支給されるポイントで全額返済できないなら契約不履行でペナルティがあるから注意してね」
そりゃそうだ。あくまで返済期日は8月2日だし、それ以降に稼いだ金を返済に使うのはズルだろう。良かったよかった。
「んじゃ話は終わりです。失礼します」
俺は一礼して職員室を出ると携帯が鳴るので見れば有栖からメールが来ていた。
ーーー先程契約を済ませたそうですが、こちらもDクラスに賞賛票を入れる相手を指示しましたーーー
そんな一文が書かれている。さぁて、いよいよ明日だが楽しみで楽しみで仕方ないな……
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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