腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
『国語テスト』
必要人数7人 時間50分
ルール…1年度における国語の学習範囲内の問題集を解き合計点で競う。
司令塔…1問だけ代わりに答えることが出来る。
「第1種目は国語テストだ。制限時間内に参加者を決めるように」
Dクラス担任の茶柱が顔色を悪くしながら龍園と一之瀬にそう告げる。本来なら休んで良いと他の教師から言われたが、大事な日に休んだら馬鹿どもに負けたような気がするので無理してこの場にいる。
そんな茶柱に流石の龍園も同情しつつ、参加者を選ぶ。
選んだのは金田、北川、西野、ひより、大河内、黒崎、八幡だ。このメンバーは学年上位クラスの成績を持っていたり、国語においては学年トップクラスの成績の生徒だ。
元々龍園はこの種目が出たら勝ちに行く予定だったが、最初から出たのはありがたい。今後の種目次第だが最初に優秀な生徒を使えば終盤の種目でもう一回使用できる可能性が高いからだ。
制限時間を迎えると一之瀬サイドの生徒も発表される。選ばれたのは網倉、二宮、浜口哲也、高部、時任、津辺、小橋と成績優秀組だ。
「どうやら互いに初戦に全てを注いだみたいだな」
「龍園君達Bクラスの選んだ種目は勝ち目が特に薄いからね」
「喜べよ一之瀬。もしこの種目でテメェらが勝ったら、今後Cクラスの種目でこっちの勝ちは無くなる。何せペーパーシャッフルで勝ったからって気の緩みまくって勉強しなくなった馬鹿しかいないからな」
もちろんこれは龍園の嘘である。実際のところBクラスの生徒はペーパーシャッフルを通して勉強する習慣を身につけたので、3学期に入ってから成績を伸ばしている。そして特別試験が発表されてからは更に勉強時間を増やしている。
「やっぱり……だからこの種目で最大戦力を投入したんだね」
そして一之瀬は騙されている。しかし仕方ない事だ。期末試験前に八幡がクラスメイトに「他クラスに対して気が緩んで成績が落ちたと思わせたいから、期末では手を抜け」と命じて、クラスメイトはそれに従って成績を大きく落とした。
更にCクラスにちょっかいをかけまくったり、勉強場所を耳目のある図書館からプライベートスペースの寮に変えたり、八幡を介して龍園自身が下剤の使用を考えている嘘を広めて、勉強をしていないからラフプレーで差を詰める思わせ続けた。
もし期末試験で全力で取り組んでいたら期末試験でCクラスより上になっていたかもしれないが、その場合は選抜種目試験でCクラスは死に物狂いで勉強するのは明白である。
それを考えると八幡の「期末試験で手を抜いて、以降は第三者に見られない場所でしっかり勉強しろ」という指示は見事だったと龍園は考えている。八幡の隠れた王道に自身の邪道を纏わせた結果、一之瀬も黙らせているのだからな。
そう思いながら龍園はモニターに映る八幡達を見る。皆、真剣な表情を浮かべながら問題に取り組んでいる。司令塔の関与、1問だけ代わりに答える権利は使用しない。全員龍園より成績が良いのだから足手纏いにしかならない。
「退屈だな……おい教師共。教室に行ってモンハン取りに行って良いか?」
なんだかんだ龍園も特別試験が発表されてから2Gを久しぶりにやった人間である。
「ダメだ。試験が終わるまで部屋を出る事は許されない」
「ちっ」
ただ50分も待機するのも暇でしかない。しかも他の種目でも学力試験が出たら更に退屈になる。
暫くすると鐘が鳴る。
『時間だ。ただちに採点をする』
モニター内では教員らが生徒の答案を回収して生徒が退出すると物凄いスピードで採点を始めるので龍園も欠伸をやめてモニターを注視する。モニターを挟んで向かい側にいる一之瀬からも緊張感を感じる。
暫くすると教師の1人が携帯を取り出し、同じタイミングで真嶋が携帯を取り出す。
「採点の結果が出た。Bクラスは652点、Cクラスは645点より第1種目はBクラスの勝利とする」
「っ!」
「危ねぇな」
真嶋の言葉に一之瀬の表情が曇り、龍園は小さく呟く。かなりギリギリの勝利であった。
しかし勝ちは勝ち、それもCクラスの土俵で勝利したのでBクラスの士気は上がり、Cクラスの士気は落ちたのは明白、このまま突き進んで欲しいと考える龍園。
「では次の種目を発表する」
茶柱の言葉と共にモニターが切り替わり……
「採点が終わった。結果についてだが、Bクラスは652点でCクラスは645点より第1種目はBクラスの勝利とする」
『おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
Bクラスにて見張りの教師がそう告げるとクラス内に歓声が上がる。まあ当然だろう。何せ相手の種目で勝ったのだからな。
7種目の選ばれ方は知らないが出来るだけ公平に、片方が3種目でもう片方が4種目だろう。ウチのクラスの本命が3種目なら必然的にCクラスの選んだ種目で最低1回は勝たないといけなかったが、早々に達成出来たのは良かった。
「やりましたね八幡君」
「ああ、やったな」
ひよりが笑顔を向けてくるが、それだけで喜びが増してくる。
「静粛に。次の種目と参加者を発表する」
教師の言葉に周りが静まり、モニターを注視すると……
「次の種目はモンスターハンターポータブル2Gで参加者は山脇、宍倉、鹿島、田中、石坂だ」
モンスターハンターポータブル2ndG
必要人数5人
ルール…イャンガルルガ討伐訓練における5人の合計タイム(※力尽きた場合は40分とする)
司令塔…任意のタイミングで1人に1回だけ助言しても構わない
今度はこっちの種目のようだ。選ばれたのは学力も運動能力も高くない5人だ。しかし今日までイャンガルルガ討伐訓練に全てを注ぎ込んでいる。
一方のCクラスは練習をしてないだろう。何せ2Gについては俺達が全て買い占めたからな。精々動画を見たくらいだと思う。
しかしそれでは余り意味ないだろう。凄いテクニック動画を見て参考にするのは大切だが、その前に標的の動きを把握して対応出来るようにして討伐に苦労しないレベルにする必要がある。
要は基礎をマスターしてから効率性や狩り速度を上げるのが常識だが、基礎をマスターするには実際にプレイするのは絶対だ。
そして基礎を試せない以上は差は歴然だ。まあ特別試験前から2Gを持っていたら話は別だが、可能性は低いだろう。何せ10年以上前のゲームだからな。
終いには2Gにはスタイルとか狩猟スタイルみたいにシステムアシストは無く、純粋なプレイヤー技術が重視されているから、その点が勝てる可能性を高める。
よってこの種目については100%ウチのクラスが勝つだろう。
そう思う中、モニターでは画面が10分割されて闘技場のベースキャンプが表示されている。上の5つがウチのクラスで、下がCクラスだ。
全員が動画サイトで短い記録を出していたハンマーを装備して、戦闘が始まるが……
「やはり差が出てるな」
開始数十秒、Bクラスの画面では5体のイャンガルルガがスタン状態になっているのに対して、Cクラスでは2体のイャンガルルガしかスタン状態になっていない上、3人はスタン前に攻撃を受けている。
流石試験までに300回以上、やり込んだだけの事はあるな。
そしてウチのクラスはハイペースで進んでいき、全員ノーダメージで3分以内に討伐を完了する。
一方のCクラスは1人が3分ギリギリで討伐成功するが、他の連中は手こずって……あ、1人力尽きた。
『良しっ!』
クラスから歓声が上がる。力尽きると40分扱いになるのでこっちの勝ちが決まった。
暫くすると他の4人は何とか討伐を済ませる。
「全員終了してBクラスは合計13分41秒、Cクラスは61分4秒。よってこの種目はBクラスの勝利とする」
これで2勝0敗。このまま順調に進めば良いんだがな……
「それでは第3種目と参加者を発表する」
ここで王手をかけたいが、何が出るのやら……
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