腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「それでは第4種目を発表します」
BクラスとCクラスが鎬を削る中、AクラスとDクラスも壁を挟んで激突している。
現在2勝1敗でAクラスが勝っている。
初戦は参加者10人の中国語だったがみーちゃんがぶっち切りの成績を出して、1番高い点数の生徒のいるクラスが勝ちの勝利条件なのでDクラスが一勝。
第2戦は参加者2人のフラッシュ暗算だったが、高円寺がボイコットして千秋が葛城に惜敗してAクラスがDクラスに並ぶ。
第3戦では参加者8人水泳でDクラスの小野寺がリードしていたが終盤に足を攣ってしまい、ギリギリで橋本に抜かされてしまった。中国語同様に1番早い生徒のいるクラスの勝ちの為、Aクラスが2勝となる。
Dクラスの種目でDクラスが負けた以上、Dクラスは最低でも1回はAクラスの土俵で勝つ必要がある。
そして第4種目は……
『チェス』
必要人数1人 持ち時間1時間(切れ負け)
ルール…通常のチェスルールに準ずる。ただし41手目以降も持ち時間は増えない。
司令塔…任意のタイミングから1手だけ指示を出すことが出来る。
Aクラスの選んだ種目だ。真澄は有栖を選択して、櫛田は綾小路を選択する。
「ここで綾小路を出すんだ。てっきりボクシングで出すと思ったわ」
「うん。ボクシングは綾小路君の担当だけど、ボクシングの前にチェスが出たらそこで使えって指示が出たからね」
櫛田としてはクラス最強の男の指示なので大人しく従った。
そして2人がモニターに移り、テーブルに向かい合う。
『宜しくお願いします。個人的には貴方とぶつかるのを楽しみにしてました』
『そうか。悪いが勝たせて貰うぞ』
『ええ。しかし私としては貴方の全力とぶつかりたいので1つ賭けをしませんか?』
『内容次第だ。神室と一緒に入浴とかなら喜んで参加するが』
「はぁ?!馬鹿じゃないの?!」
「ブレないなぁ……」
モニターに映る綾小路の発言に真澄はキレ、櫛田は呆れる。恋人も見ている中で堂々と違う女子と風呂に入る事を希望するなんてぶっ飛びすぎている。
『それは真澄さんの返答を聞いてないですからお答え出来ません……しかし賭けの内容としてはウチのクラスで綾小路君に興味を持っている可愛い女子もいるので紹介しようと思っていたのですが……』
『乗った』
綾小路は即答する。それを見た櫛田は教室でブチ切れる恵を容易に想像出来た。
『ちなみに真澄さんを気に入ってるんですか?』
『まあな。あの肉付きの良い脚に頭を乗せたい。後、神室って付き合ったら絶対に甘えん坊になりそうだし』
『わかります。文句を言いながらも甘やかしたり、クールな態度を取ってもぞんざいに扱われたら寂しそうな態度を取りそうですよね』
『ツンデレってヤツだろうな』
『ええ。中身はかなり乙女ですよ。可愛らしいピンクの下着もありますし、部屋には恋愛漫画が沢山ありますし』
『良いな』
「……っ!アイツら……!」
好き勝手言う2人に真澄の額に青筋が浮かぶ。
「神室さんって乙女なんだ」
「うっさい!」
思わず呟いた櫛田に真澄がキレる。龍園と一之瀬のやり取りに比べたら気が抜けるやり取りである。
『で?俺が負けたら何を要求するんだ?』
『そうですね……在学中に作る恋人の数を5人までにしてくれませんか?貴方が十数人恋人を作ったら八幡君も作りそうなので許容範囲の5人までにして欲しいです』
『それはセフレを捨てろという意味か?既にセフレは10人近くいるんだが』
『それでしたら今更ですので文句は言いません。恵さんと楓花さんの2人以外に恋人を3人より多く増やすなという意味です』
『わかった』
『即答ですか』
『勝てば良いだけだ。全力を持ってお前を叩き潰す』
最低の理由によりモチベーションを上げる綾小路。堂々と発言する綾小路には坂上や星之宮も絶句していて、セフレの1人である櫛田としては、余りモチベーションが上がらない。
ちなみにDクラスでは恵がブチ切れていて、男子の大半が嫉妬に満ちて、千秋達セフレが呆れていたのは言うまでもないだろう。
そんな中、2人の対決が始まるが、圧巻の一言だ。
互いにノータイムで駒を動かしていて、一切の躊躇いを見せていない。最早何手先まで読んでいるか櫛田や真澄には理解出来ずにいた。
『ふふっ、やりますね。それでこそ倒し甲斐があります』
『悪いがお前では勝てない。可愛い女子の紹介がかかっているからな』
『どんな事をモチベーションにするのかは貴方の自由ですが、女の子をモチベーションにし続けてはご両親はガッカリしますよ?』
『知った事じゃないな。それとも不満か?』
『私としてはそれが貴方のベストコンディションに繋がるなら気にしません』
言いながら2人の手は止まらないでノータイムで駒を動かし続けるが、やがと有栖の手が止まる。初めて長考だ。
しかし15秒してから駒を動かす。それに対して綾小路はルークを動かそうとしたが、寸前で手を止めて盤面を見直してナイトを動かす。櫛田には綾小路の意図はわからないがルークを動かしたら負けに繋がったと思った。
それからは再度ノータイムで動かすが10手動いた所で綾小路の動きが止まる。しかも今度は1分以上だ。
これまで殆どノータイムで打っていたので時間には余裕があるが、ここまで長いのは多目的室で試合を見ている面々も予想外である。
そして2分経過した辺りでクイーンを動かす。それに伴い、有栖も考える素振りを見せる。
『……中々いやらしい手ですね』
『まあな。ハンドテクニックには自信がある。恵や楓花さんを前戯で毎晩喘がせてるからな』
『……そっちの意味でもいやらしいのですか……しかし、これで勝ったとは思わない事です』
有栖が一手を撃つ。渾身の一撃を撃つ。有栖自身もこの一手が拮抗を破る一手と確信している。
『……良い一手だ』
綾小路の番になるが褒めるだけで動かない。有栖が長考した2分以上も動かない。
「綾小路君?大丈夫?詰まって『ちょっと黙ってろ櫛田。今夜アナル攻めするぞ』堂々と言うな馬鹿ー!」
心配だから声をかけたらセクハラの爆撃を受ける。しかも櫛田の声は教室に聞こえてるかはわからないが、綾小路の声は間違いなく聞こえているはずだ。
これには坂上や星之宮も同情的な眼差しを向けてくるので、櫛田は今夜に期待しながらも目を逸らす。
そんな中、綾小路は5分近く経過したあたりで駒を動かす。すると有栖がモニターでもハッキリわかるくらい驚きを露わにしている。
『そう来ましたか……実に素晴らしい……!』
『先に言っておく。お前の負けは確定した』
櫛田にはどのような状況かわかってないが、ああも断言した以上、可能性は充分あるだろう。
モニターでは有栖が盤面を隅から隅まで見て駒一つ一つをチェックする。
そんな動作が3分くらい経過した時だった。
『……負けですね。リザインします』
白旗をあげる。
「ちょっと坂柳?!まだ駒は沢山あるでしょ?!」
『いえ。このまま続けても抵抗出来ても逆転は無理です。これ以上粘っても格好悪いだけです』
真澄の問いに有栖はキッパリとそう返す。多目的室にいる面々にはどういった攻防があったのかサッパリわからないが、有栖がリザインした以上進行を続ける必要がある。
「ではこの種目はDクラスの勝利とする」
坂上がそう告げると綾小路と有栖も立ち上がる。
『お見事でした。つぎは負けません』
『次も負けるつもりはない。後、約束通り俺に興味を持っている可愛い女子の紹介は頼むぞ』
『ええ。春休み中にセッティングする事を約束します』
そう言って2人は教室から出て行くので櫛田も真澄も意識を切り替えて次の種目に臨んだ。
5番目の種目はAクラスが選んだ参加者7人の数学テストで、両クラス共に力を入れたが、Aクラスが641点でDクラスが619点でAクラスが勝利。
6番目の種目はDクラスが選んだ参加者6人の弓道であり、弓道部ホープの三宅が圧倒的な差をつけてそのままDクラスの勝利となる。
よってラストを残して3勝3敗となる。
そんな中、最後の種目が発表される。
「最後の種目はボクシングだ。双方1人ずつ選ぶように」
最後にDクラスの選んだ種目だ。坂上の言葉に櫛田と真澄は生徒を選ぼうとしたが、櫛田はある事実に気付き負けを確信した。
この試験では司令塔以外の選手は基本的に1回しか出れない。2回目以降は最低でも全員が1回出てからだ。
そしてDクラスの生徒数は入学当初は40人だったが、池、雪ノ下、山内が退学して、佐倉が休学して、櫛田が司令塔であるので、種目に参加する生徒は35人だ。
一方Aクラスはクラス投票試験によって退学者が2名出て、真澄が司令塔なので種目に参加する生徒は37人だ。
ここでこれまでの種目を振り返ると……
第1種目 中国語 10人
第2種目 フラッシュ暗算 2人
第3種目 水泳 8人
第4種目 チェス 1人
第5種目 数学テスト 7人
第6種目 弓道 6人
34人が参加した事になる。そして最終種目のボクシングは参加人数1人だ。
つまりDクラスは残り1人が強制的に選ばれ、Aクラスは3人の中から1人を選ぶので……
「最終種目のボクシングはAクラスの鬼頭隼とDクラスの由比ヶ浜結衣の両名で試合を行う」
Aクラス内で最強のフィジカルを持つ鬼頭と学校1の嫌われ者の由比ヶ浜の組み合わせとなった。
真面目な真嶋あたりは危険性を考慮して中止を宣言していただろうが、坂上は試合を行う事を宣言して、星之宮も止める事をしなかった。
坂上の宣言を聞いて櫛田と真澄は同時にガッツポーズを取っていた。
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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