※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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ボクシング

 

 

「最後の種目はボクシングに決まった。由比ヶ浜は今すぐ付いてくるように」

 

「はぁ?!何であたしが参加しないといけないんだし!他の人がいるじゃん!」

 

教室内にいる教師がそう告げると案の定、由比ヶ浜は怒りを露わにしながら立ち上がる。クラスメイトは皆うんざりした表情だ。

 

「他の人、34人は既に出た。よって最後の種目は由比ヶ浜の参加は絶対だ」

 

「嫌に決まってんじゃん!あたし喧嘩強くないのに!学校がそうなるように組み込んだんでしょう!最低!」

 

理不尽な怒りをぶつける由比ヶ浜に呆れ返るクラスメイトに教師。

 

しかし実は由比ヶ浜の発言は正解である。理事長代理の月城が仕組んだのである。

 

今回の選抜試験にて司令塔が櫛田になった為、綾小路からプロテクトポイントを奪えないので、方針を綾小路のより正確なデータを取る事に切り替えた。

 

結果として綾小路の出したチェスのデータはホワイトルーム時代より上回っているし、前の合宿にて生身で熊を倒した事や駅伝の記録を見る限り身体能力もホワイトルーム時代より上回っていると月城は判断した。

 

しかし問題があった。綾小路の成長の速さの理由がホワイトルームの教育プログラムではなく、女子が絡んだ煩悩である事だ。

 

先程のチェスでも煩悩丸出しの態度を崩さずに有栖を倒したが、今回のデータを雇い主である綾小路の父親を見せたら、どんな反応を見せるか想像出来ない。

 

何せ自身の作った環境こそ最善と思っている男の息子にしてホワイトルームの最高傑作が煩悩を利用してホワイトルームに居た時以上に成長しているのだから。

 

加えてこれまでの綾小路の記録の提出をしないといけないが月城自身に飛び火する可能性が高い。

 

そんな未来に憂鬱を感じた月城は少しでもストレスを発散出来るようにストレスの要因の1つの由比ヶ浜がボクシングで嬲られるように仕込みをしたのだ。

 

しかし周りからどうこう言われる筋合いはない。由比ヶ浜は職員室にしょっちゅうやって来て「×××に虐められたから退学にして!」と喚いて、月城もそれを聞いて苛立つことがあったのだから。

 

よって月城は最後の種目をボクシングにするように、それまでに34人参加出来るように種目を選んだ。マトモな人間なら由比ヶ浜を使うのを避けたいだろうから第5種目と第6種目に選ばれないと確信しながら。

 

「そんな訳ないだろう。1年生の担任ならまだしも、上層部が不平等な事をするはずない」

 

由比ヶ浜の喚きに教師は1年生の教師ならまだしもなんて割とアウトな発言をする。しかしクラスの人間は咎めるつもりはなかった。何せ自らの担任は5馬鹿の所為で心労に苦しんでいるのだから。

 

「何にせよルールは絶対だ。今から来て貰う」

 

「やだよ!やだやだやだ!」

 

由比ヶ浜は駄々をこねるが教師はそれを無視して女の教師が由比ヶ浜の手を引っ張り連行して行く。

 

「離すし!何であたしを虐めるの?!最低!屑!恥を知れし!」

 

由比ヶ浜の傲慢な罵倒が周りを不快にさせる。しかし皆はダンマリしている。注意したら逆切れする事はもう皆理解しているのだから口を開かない。喜ぶとしたら由比ヶ浜が教室を出てからだ。

 

そして教師が教室から出て暫くすると……

 

『よっしゃぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 

クラスメイトが喜びを露わにする。由比ヶ浜が堂々とボコボコにされるのをこれでもかというくらい喜びを露わにする。

 

ちなみに試験そのものは負けを確定しているが一部を除いて気にしていない。山内の退学によってポイントは殆ど残ってないし、勝ってポイントを得ても由比ヶ浜が直ぐに減らすとわかっているからだ。

 

そんな中、モニターが切り替わりボクシング部が使用しているリングが映る。モニターには既に鬼頭が映っていてアップをしている。

 

それに伴いクラス内の喜びが増幅する。学年屈指のフィジカルの鬼頭の一撃なら由比ヶ浜に大ダメージを与えられる可能性は高い。

 

暫くすると由比ヶ浜がスポーツウェアの格好をして入ってくるが不満丸出しの表情だ。

 

『何で男子なんだし!不公正じゃん!』

 

しかもアップしている鬼頭を見ると案の定喚き出す。

 

『これは競技ではなく試験だから不正も何もない。早く上がれ』

 

『っ!だから押すなし!学習能力がないの?!』

 

『行けと言われて行かない貴女よりはマシなつもりよ』

 

『偉そうに!本っ当最低!』

 

女教師は苛立ちを隠す事なく由比ヶ浜を押すが、由比ヶ浜の喚きは相当キツいようだ。

 

そして鬼頭と向かい合う。鬼頭が構えを見せる中、由比ヶ浜の罵倒は鬼頭にも向かう。

 

『良い?!ちゃんと手加減して負けてよね!男子が女子を殴るなんてさいていなんなからね!』

 

『…………』

 

『聞いてんの?!顔が死神みたいに腐っでるけど、耳まで腐ってるの?!』

 

『何とか言えし!もしもあたしを殴ったら絶対に許さないから!』

 

『……ゴングを鳴らせ』

 

鬼頭は無表情のまま由比ヶ浜の罵倒を流しつつ審判にそう告げると開幕のゴングが鳴る。

 

『無視すんなし!顔が死神なんだし、行動くらいは普通に『ふっ!』げほぉえっ!』

 

喚く由比ヶ浜に対して鬼頭は無表情のまま腹に一撃を放ち、由比ヶ浜は嘔吐する。容赦ない一撃にAクラスとDクラスの大半が歓喜する。

 

『ごほっ!ごほっ!さ、最低っ!女子を殴るなんてっ……本当に死ね!屑!カス!『ふんっ!』〜〜〜〜〜っ!』

 

鬼頭は聞くだけ無駄とばかりに顔面に向けて拳を放つ。腕の立つ人間なら回避したりガード出来るが、喚くだけで何もしていない由比ヶ浜には何の対処出来ず、鼻血を撒き散らしながらのたうち回る。

 

それに共に両クラスから歓声が上がり、多目的にいる司令塔の櫛田や真澄、立会人の坂上と星之宮もガッツポーズをして、監視室にいる月城が第三者に見られないように気をつけながら小さく握り拳を作っていた。

 

『……これ以上の続行は不可能であろう。勝者をAクラスとする』

 

審判の教師がそう告げる。本来ならもっと鬼頭が由比ヶ浜をボコす所を見たかったが一応教師なので私情を挟まないで、試合終了を告げて救護の手配をする。

 

それに伴い試験そのものが終了する。結果としては4勝3敗でAクラスの勝ちとなる。よってDクラスは30ポイントをAクラスに渡し、Aクラスはそれに加えて100ポイント学校から支給される。

 

3月開始の時点のクラスポイントは……

 

Aクラス 1362ポイント

Bクラス 1200ポイント

Cクラス 595ポイント

Dクラス 139ポイント

 

だった。

 

しかしクラス内投票試験でCクラスは救済措置を使って200ポイントのペナルティを与えられ、Dクラスは山内の退学によって100ポイントのペナルティが与えられたので、今朝の時点におけるクラスポイントは……

 

Aクラス 1362ポイント

Bクラス 1200ポイント

Cクラス 395ポイント

Dクラス 39ポイント

 

となり、AクラスとDクラスの対戦が終わり……

 

Aクラス 1362+30+100=1492ポイント

Bクラス 1200ポイント

Cクラス 395ポイント

Dクラス 39-30=9ポイント

 

このようになる。BクラスがCクラスに全勝すれば下剋上が起こり得る状態となっている。

 

ちなみにDクラスは大して悲観していない。何せDクラスの大半はクラス単位でAクラスに行くのを諦めているから。

 

今は3人消えたが5馬鹿に足を引っ張られまくった事にモチベーションが下がりまくり、今じゃ個人で自己研鑽して自分の夢を叶えようとしているくらいだ。今回の試験も負けても大してガッカリしないで、寧ろ由比ヶ浜がボコされて満足している。

 

そんな感じでAクラスとDクラスの試験は蟠りが生まれる事なく、無事に終わるのだった。

 

 

 

 

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