※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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調査

7月2日の朝のHRだった。

 

「今日は君達に報告がある。先日石崎君と小宮君と近藤君がDクラスの須藤君との間でトラブルが発生した」

 

坂上先生の一言によりクラスが騒めく。しかし坂上先生はそれを無視して、Dクラスの須藤と喧嘩をしたこと、場合によっては須藤が停学になる事などを淡々と告げる。

 

「先生、結論が出てないのは何故でしょうか?」

 

「石崎君達は須藤君に呼び出されて一方的に殴られたと訴えた。それに伴い昨日の放課後に須藤君に事情を聞いたところ、彼は石崎君達に呼び出されて喧嘩を売られたと言った。意見が食い違い真実がわからない為、結論が保留となっている。それと目撃者がいるなら挙手して貰いたい」

 

坂上先生がそう言ったので俺は手を挙げる。これは昨日の夜に龍園から指示を受けたからだ。審議が行われた場合に備えて戦う準備をしろってな。

 

それに伴い、Cクラスの生徒は一斉に俺を見てくる。当事者の石崎と小宮と近藤は驚きの表情を浮かべ、龍園は楽しそうに笑っている。

 

「比企谷君は見たようだが、それは本当かね?」

 

「はい。最初から見たわけではないのでどっちが喧嘩を売ったのかはわかりませんが、須藤が石崎達をボコして去って行くのは見ました」

 

「わかった。最終的な判断は来週の火曜日に下されるが、その際に行われる話し合いに参加してもらう事になるが大丈夫かね?」

 

「了解しました。時間や場所については?」

 

「それは月曜日か火曜日のHRで伝える。それではHRを終了する」

 

坂上先生はそう言って教室から出て行くと、隣に座るひよりが話しかけてくる。

 

「なんだか大変なことになりましたね」

 

「まあな。軽い悪口のぶつかり合いならスルーしていたが、須藤の暴力はやり過ぎだ」

 

ハッキリ言って須藤の暴力は石崎達が嵌める為の罠があったとわかっていてもやり過ぎだ。仮に石崎達が嵌めた事を見抜かれても須藤には重い処罰が与えられるだろう。

 

「お、おい比企谷。お前は本当に見たのか?」

 

ひよりに返事をすると当事者の1人である近藤が話しかけてくる。

 

「まあ一部だがな。一応証言はするが、余りアテにするな。俺がCクラスの生徒である以上、嘘の目撃者と疑われる可能性が高い」

 

「そ、そうだよな……」

 

近藤は俺の言葉に頷く。実際俺が見たと証言しても証拠を用意しなかったら信憑性は低いだろう。先生達はDクラスを貶める為の策と疑う可能性は充分にある。

 

しかし近藤がそんなに心配する必要はない。何せ目撃者は俺以外にもいるからな。それも他クラスで証拠の動画を持っている最強のカードだ。

 

しかしそれは言わないでおく。坂柳と通じていることがバレたら面倒だからな。

 

そう思いながら俺は1時間目の授業をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……そんなわけでDクラスの生徒は目撃者探しをしてる。Bクラスに声をかけてたけど効果について無いみたい』

 

放課後、俺は自室で調べ物をしながら坂柳の配下の神室からDクラスの動向についての報告を受けている。

 

坂柳は目撃者としての役割があるので余り動いてないが、それについては不満はない。動きまくったらCクラスと坂柳派が組んでいる事を疑われるからな。

 

「わざわざ報告ありがとな。とりあえず進展があったら連絡をくれ。報酬が欲しいなら龍園に頼んで用意して貰う」

 

『じゃあ自由』

 

「……諦めろ」

 

神室の要望を一蹴する。こればかりは万引きした神室に非があるので俺にはどうすることも出来ない。

 

『冗談。あんたにそれを希望しても無理だから。じゃあまた進展あったら連絡する』

 

そう言われてから通話が切れるので携帯を閉じてパソコンに意識を戻す。調べる事は須藤の素性についてだ。須藤の性格的に中学時代も暴力事件などを起こしている可能性が高いからそこを調べる。

 

幸い入学早々にバスケ部でレギュラー候補となっているし、中学時代も相当なバスケット選手として名を馳せていたので所属していた中学については簡単に特定出来た。

 

よって俺はその学校や中学バスケ、学校周辺に関する掲示板や2ちゃんなどを調べる事にした。可能なら学校裏サイトも探すつもりだ。

 

状況的にCクラスが勝つ可能性が高いが絶対ではない。だから俺や坂柳あたりが可能な限り絶対に近づけないといけない。

 

これが普通の生徒なら俺もここまでしないが、須藤については俺自身が気に入らない存在だし、容赦はしない。

 

全力で叩き潰す。

 

 

 

 

 

1時間後……

 

「とりあえずこの辺りにしとくか。しかしネットって情報が多いな……」

 

俺は携帯とパソコンの電源を切ってから、手元にあるメモ帳を見る。

 

そこにはネットに載っていた須藤の情報を記しているが、大半どころか全て須藤の悪評だった。

 

3日に一度は生徒と揉める、他校の生徒をボコしてバスケ名門校の推薦の取り消しを受ける、教師を殴り飛ばす、後輩から金を巻き上げている、先輩からは殴り屋として重宝されているなど、中学時代の須藤は碌でもない人間だったようだ。

 

勿論デマもあるだろう。中にはイケメンを半殺しにしてイケメンの彼女をレイプしたとか、激怒して人を殺したなんてのもあったが、これは絶対嘘だ。真実ならこの学校に入学出来ないし。

 

しかししょっちゅう生徒と揉めていた事と暴力事件を起こして推薦取り消しについてマジだろう。あらゆる掲示板などを見たがこの2つについてはどの掲示板にも載っていたし、学校での言動を考えても信憑性が高い。

 

情報収集についてはこれで良し。次は情報の信憑性を高める為に動かないとな。

 

そう判断した俺は学校のHPの掲示板に移動して須藤に関する情報提供を呼びかける。須藤の素性のみならず、これまで学校で須藤が起こした問題についても求める。

 

しかしこれだけでは足りないので有力な情報を提供した生徒にはポイントを払うとも書いた。こうすりゃ生徒も興味を持つだろう。

 

Dクラスの連中は他クラスに聞き込みをしてるようだが、他クラスの生徒からしたらメリットがないのだから報酬抜きだとマトモに取り合わないのは容易に想像出来る。俺としては早い内に情報についても差をつけておきたい。

 

「掲示板への書き込みも良し。んで次は龍園に必要経費の用意を頼んで、現場検証に行きますか」

 

俺は椅子から立ち上がり、部屋を出る。時刻は既に7時、部活が終わってる時間だから誰も特別棟には居ないだろうし、情報収集するなら今だ。

 

そう思いながら俺は龍園に報告と必要経費の準備のメールを送りながらエレベーターに乗る。そして寮を出たところで「ポイントが必要なら俺が出すから出し惜しみはするな」と何とも頼もしいメールが来た。

 

そのまま学校に入ろうとした時だった。

 

「こんな時間に学校に入るとは忘れ物か?比企谷」

 

正面からそんな声が聞こえてきたので顔を上げると堀北会長がいた。同時に俺は息を呑んでしまう。ただ話しかけられただけなのに緊張してしまう。

 

「いえ。例の事件の現場の見学に」

 

「馬鹿正直に答えるのだな」

 

「別に悪い事はしないですし」

 

というか嘘を吐いても見抜かれそうだし

 

「そういえばお前も目撃者の1人だったな」

 

「詳しいっすね。話し合いって会長も出るんですか?」

 

「今回のようなケースの場合、基本的にクラスの担任と当事者、そして生徒会との間で審議が行われる。まあ今回はお前と坂柳も参加するがな」

 

どうやら坂柳も目撃者として名乗りを上げたようだ。これで今の所順調だ。

 

「裁判のように弁護人とかはアリなんですか?」

 

「当事者、お前達Cクラスなら石崎、小宮、近藤の許可があれば2人まで許されている」

 

なら俺と龍園が弁護人に……いや、俺はともかく、龍園は既に危険人物として有名だから弁護人にしたら心証が悪くなりそうだな。

 

「そうですか。返答ありがとうございます」

 

「構わん。それよりもだ、お前は今回の審議はどうなると思う?」

 

こちらを見定めるように聞いてくるが……

 

「それは審議の内容ですか?それとも結果ですか?」

 

「両方だ」

 

「内容については泥仕合になるでしょうね。結果についてはどっちが嘘を吐いてたかはわかりませんが、須藤の暴力は過剰でしたから罰は避けれないでしょう」

 

これについては殆ど確実だ。石崎達は嘘を認めないだろうし、須藤は感情的だから泥仕合になるのは明白だ。そして須藤に対する罰は怪我をさせた時点で有罪は確実だ。

 

「だろうな。ちなみに比企谷。お前がDクラスの立場ならどう戦う?」

 

「完全無罪を勝ち取るなら馬鹿正直に審議では戦いません。どうにかして脅迫ネタを掴んで訴えを取り下げるように脅しますね。もしくは素直に負けを受け入れて、須藤に今後戒める為に罰を与えることを許容します」

 

問題を問題にしないのが1番だからな。

 

「ふっ……生徒会長を前にしてそんな大胆な発言をするとは思わなかったぞ」

 

会長は薄く笑うがひよりが浮かべる魅力的な笑みではなく、龍園や坂柳が浮かべる怖い笑みだった。

 

「この学校は完全な実力主義です。相手に訴えを取り下げさせるのも実力として問題ない筈です。ま、脅迫ネタを掴むのが難しいですけど」

 

事件が起こったばかりである以上、石崎達も警戒するだろうし。

 

「では俺はこれで失礼します。当日はよろしくお願いします」

 

小さく一礼してから特別棟に向かう。パパッと調べますか。

 

そう思いながら特別棟に入る。

 

 

 

そして調べた結果、事件現場の3階にて石崎達の血痕が残っていたので写真を撮っておく。

 

(しかし何故特別棟には監視カメラがないんだろうか?)

 

アレか?悪い事を企む時に使えって学校側の配慮……いや、しかしそれならわざわざ天井付近にコンセントを設置する事はない筈だ。

 

そう思いながらも俺は3階の写真を撮りまくるのだった。

 

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