腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
龍園からコンタクトを取られた俺はそのまま教室に戻り、椎名から本についての話を聞いて、そのまま入学式に参加した。
まあ入学式は普通の学校と大差なく偉い人の話を聞いて無難に終了した。
そして昼前に敷地内について説明を受けた後、初日という事もあって即解散となった。
そんな中、クラスの大半はグループを作ってカフェやショッピングモールに向かっていく。
俺はというと、誰とも組まず図書館に向かう。入学前から図書館が有名であるのはパンフレットで知っていたからな。
そして昇降口で靴を履き替えて図書館に向かうが、入学初日だからか閉館していた。
(ちっ、夕方まで時間を潰そうと思ったが仕方ないか)
こうなったらショッピングモールで服や飯を購入するしかないだろう。後は娯楽として本を買いたい。
ポイントに関する詳細は全くわからないので無駄遣いする気はないが、多少は遊びに使いたい。
とりあえず5月までに6万は残すと決めた俺は図書館を出てショッピングモールがある方向に向かおうとすると椎名がこちらに歩いてきた。向こうも俺に気付いたのか会釈をしてくる。
「お前も図書館に用があったのか?だとしたら今日は閉まってるから諦めろ」
そう言うと椎名は残念そうな表情になる。
「残念です……比企谷君は寮に?」
「いや、服や飯、後は本でも見に行くつもりだ」
「本を買いに行くのですかっ。私も一緒に行きます」
しまった。本の虫の椎名に火がついてしまったようだ。テンションが上がりながら俺にそう言ってくる。
しかも「一緒に行きませんか」ではなく「一緒に行きます」ときた。
前者なら適当な理由を付けて断われるが、後者の場合勝手に付いていく事になる。
コミュ障の俺からしたら面倒極まりないが、椎名は見た目からして凄い美少女だ。今後クラスで人気者になる可能性があり、邪険にするのは得策じゃない。
「実は今日買いたい本があったので……」
一方の椎名は楽しそうに本の話をしているが俺と一緒に行くことが決定事項のようだ。
そんな椎名に対して俺は相槌をうつことしか出来なかった。
30分後……
「ありがとうございましたー」
ショッピングモールの本屋にて、店員さんから礼の言葉を受けながら本屋を出ると先に会計を済ませた椎名が楽しそうに本の入った袋を抱きしめている。
結局俺は椎名と本屋に行き、お互いに数冊の本を購入した。しかし本当に学生証で簡単に買えるとは思わなかった。簡単に買えるし、財布もとい学生証の紐が緩まないように気をつけよう。
「比企谷君も会計が終わりましたか。何の本を買ったのですか?」
「ん」
袋を椎名に渡すと椎名は覗き込み二冊の本を取り出してくる。
「この二冊なんですが、私も読んだことがないので比企谷君が読み終わったら貸してくれませんか?」
「そのくらいなら」
「ありがとうございます」
椎名はにっこり笑ってお礼を言ってくる。その笑顔はとても魅力的で思わずドキッとしてしまう。
「ど、どういたしまして。ちなみにお前は何の本を買ったんだ?」
「こちらですね。もし読みたい本があるなら貸しますよ」
言われて袋を見ると内一冊は俺が読みたい本だった。
「じゃあコイツを今度貸してくれない「舐めてんじゃねぇよ!あぁ?!」……か?」
するといきなり背後から怒鳴り声が聞こえてきたので振り向く。すると赤髪の男子が3人の男子と対峙している。赤髪の男子の足元にはカップラーメンの汁や麺が散乱しているが、喧嘩か?
「二年の俺たちに随分な口のききようだなぁオイ。生意気な一年が入ったもんだ」
「いい度胸じゃねぇか!クソが!」
どうやら二年生が一年生を煽っているが赤髪の方は沸点低過ぎだろ?入学初日に喧嘩とかアホだろ?
「おー怖い怖い。お前クラスはなんだ?当ててやるよ──Dクラスだよな?」
「だったら何だってんだ!」
瞬間、上級生3人は笑い出す。何だ?Dクラスってだけで笑う?Dクラスって雪ノ下と由比ヶ浜がいるクラスだよな。
「聞いたかお前ら? Dクラスだってよ!」
「あ?どういう意味だよ?!」
赤髪が凄むが、上級生は嘲笑を浮かべたままだ。
「何でもねぇよ。可哀想な『不良品』に、今日はここを譲ってやるよ」
「逃げんのかオラ!」
「吠えてろ吠えてろ。どうせお前ら地獄を見るんだから」
上級生はそう言ってから去っていくが……
「どういう意味でしょうね」
椎名も不思議そうにそう言ってくる。上級生は赤髪をDクラスと見抜き、赤髪がそれを認めると嘲笑を浮かべ『不良品』とか地獄を見るとか言っている。
「……もしかしたらクラスによって特色があるのかもな。ほら、塾とかだと成績順でクラスを分けてるし」
「なるほど……確かに彼の言動は目に余りますね」
椎名が頷く先では赤髪がラーメンを片付けないどころからコンビニのゴミ箱を蹴っ飛ばして去って行く。あの赤髪の言動は高校生としては失格だろう。寧ろ小学生としても失格だ。
「そうなるとAクラスが1番上でBクラス、Cクラス、Dクラスと続いている可能性があるかもしれないですね」
「だったら俺と椎名は下から2番目、平均より下である事を意味するな」
ま、俺は別に気にしないけど。
「そうなりますね。しかし私の仮説が正しいなら、クラス分けは単なる成績順ではないと思います」
「断言するのか?」
「自慢ではありませんが私は中学時代、テストで300人いる中で10位より下にはなった事がありませんから」
なるほど。実際さっきの赤髪は馬鹿そうだし、由比ヶ浜は救いようのないほど成績が悪いが、雪ノ下は総武中学時代常にトップクラスの成績だった。偏差値が結構高い総武中でだ。
椎名の話と雪ノ下の成績を考えると、単純な入試成績でクラスを決めたとは思えない。
「そうか。まあ今更どうこう喚いても意味ないか。既にクラス分けは決まって3年間はクラスが変わらないんだし」
実際学校が決めた事に俺達生徒がギャーギャー喚いても何も変わらないだろう。寧ろ喚いたら学園側が「我々の判断にケチをつけるのか?」って睨む可能性もあるし。
……まあ仮にDクラスが不良品の集まりなら雪ノ下は絶対に学校に文句を言うだろうな。アイツ自分が優秀と信じて一切疑ってないし。
「そうですね。それに私は成績順でも好きな本が読めるなら特に気にしないです。それでは次の買い物に行きましょうか」
コイツはコイツでマイペースだな。ある意味尊敬するわ。
内心苦笑しながらも2人でコンビニに入る。そして食品やシャンプーなどを購入していると、ある一角に無料商品が売られていた。
「無料……ポイントを使い過ぎた人への救済措置、もしくは……貰えるポイントが少ない人への救済措置ですかね」
「その言い方だと椎名も気付いたのか?」
「はい。毎月10万ポイントは多過ぎますし、龍園君の質問から察するに成績や授業態度によって貰えるポイントが違うのだと思います。加えて先程の上級生のDクラスの生徒に向けられた言葉から察するに、貰えるポイントについては各クラスごとで統一されている可能性もあります」
まあ可能性としては充分にありえるな。1年生は1クラス40人で4クラスあるため160人。2年生3年生も同じだろうから東京都高度育成高等学校の全校生徒は大体480人。
そして仮に毎月10万円分のポイントが振り込まれるのだとしたら、月4800万円。年間で5億を超える。
国が運営しているとはいえそこまでの大金を払うなんてあり得ない。
多分というか十中八九椎名の考えは合ってるだろう。
そうなると今の俺達に出来る事は1つしかない。
「節約した方がいいな」
俺は無料商品の中から石鹸とタオルと歯磨きを取る。
「そうですね。念には念を入れましょう」
椎名も同じように生活に必要な物を取る。お一人様1月に3点までなのが悔しい。どうせなら10点くらい購入出来たら良いのに。
「とりあえず7万、最低でも5万は残しとくか」
「そうですね。本を沢山出来ないのは残念ですが……あ、もし比企谷君が良ければお互いにシェアしませんか?」
なるほどな。俺と椎名がそれぞれ別な本を10冊ずつ買ってシェアすれば10冊分のポイントで実質20冊購入した事になるな。
「……まあ、それくらいなら」
「ありがとうございます」
だからその笑顔は止めろ。ぼっちに向けるような笑みじゃないだろうに。
魅力的な椎名の笑みに俺は目を逸らすことしか出来なかった。
その後俺は椎名と服や食料を購入したがその際には必ず無料商品を許される数だけ購入して寮に戻った。
その際に椎名から連絡先を交換するように頼まれ、押し切られる形で連絡先を交換した。
まさか入学初日に連絡先が2人分手に入るとは……
高度育成高等学校学生データベース (4/6時点)
氏名 比企谷八幡
学籍番号 S01T004736
部活 無所属
誕生日 8月8日
評価
学力 B+
知性 A
判断力 A
身体能力 C
協調性 E
面接官コメント
学力知力共に高く身体能力も平均的でAクラス候補であったが、面接では消極的な態度を露わにしていた事、中学での内申書を考慮した結果Cクラスへの配属が妥当であると判断。基本的なポテンシャルは高いので他人との交流を経て積極的な性格になる事を望む
※データベースについては話が進むにつれて、更新します
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