※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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亀裂

Aクラスのベースキャンプから離れた俺は自分の拠点である洞窟に戻る。そして手元にある無線機を操作して龍園に繋げる。

 

『比企谷か。どうだった?』

 

「最初は警戒されてたが、キーカードを見せたら警戒心が消えたし多分成功だな」

 

龍園の問いかけにそう返事をする。

 

俺達の作戦はAクラスのリーダーを見抜くことだけではなく、Cクラスのキーカードを見せてからキーカードに名前が記されている俺が最終日にリタイヤする事もある。

 

リーダー指名に失敗した場合、マイナス50ポイントとかなりデカいマイナスだ。よってリーダー当てに挑戦するならキーカードそのものかキーカードの写真を確認するのは絶対だ。

 

そこで俺は敢えて龍園に殴られて『龍園のやり方には我慢出来ない。龍園を失脚させる為に情報をやる』とばかりに、自分の名前が記されたキーカードを葛城に見せた。現物を見た以上、葛城もCクラスのリーダーを指名するだろう。

 

しかし俺達は葛城を裏切るつもりだ。リーダーを指名するのは最終日の点呼、つまり最終日の朝8時だが俺は7時55分で体調不良でリタイヤしてリーダーを龍園に変える。リーダーについては正当な理由がないと変更は出来ないが体調不良は正当な理由だ。

 

葛城はリーダーを俺と誤認して俺の名前を指名するだろうが、実際のリーダーは龍園なのでこれでマイナス50ポイント。

 

更にAクラスのリーダーは戸塚とわかっているので俺達は戸塚を指名する。リーダー当てに成功したらリーダーを当てられたクラスはマイナス50ポイントに加えて、スポットのボーナスポイントが無効となる。

 

つまりこの時点でAクラスはマイナス100ポイントに加えてスポットのボーナスポイントの無効が殆ど確定している。

 

 

無人島生活初日、俺達は学校から300ポイント貰ったが、Aクラスは坂柳の欠席により270ポイントのスタートだ。

 

しかし龍園から200ポイント分の物資を貰ったから、多分1ポイントも使っておらず最終日まで変わらないだろう。

 

このまま最終日を迎えた場合、Aクラスのポイントは……

 

270ー50(Cクラスにリーダーを指名される)ー50(Cクラスのリーダー当てに失敗)=170

 

………って所だろう。スポットボーナスはリーダーを指名された時点で無効となる。

 

まあこれはあくまで今の状況が続けばだ。龍園がBとDのキーカード、もしくはキーカードの写真をAクラスに提出すればポイントは増えるだろう。

 

残念な点があるとしたら葛城に渡したキーカードを俺に返した事だろう。葛城が預かれば、俺が学校側に「葛城にキーカードを強奪された」って訴えてAクラスを失格に出来たのに。

 

無人島生活である以上、向こうはボイスレコーダーなどを持ってないだろうから十中八九潰せたと思う。

 

まあこれについては仕方ないと割り切ろう。

 

「ともあれ葛城にはキーカードを見せたし、次の作戦に備えて俺は夜まで寝る」

 

次の俺の仕事は学校側のテントの近くで他クラスのリーダーがリタイヤを確認することだ。

 

仮に戸塚がリタイヤしたのを発見したら龍園に報告して、最終日のリーダー当ての際に指名しないようにする。

 

そしてリーダーがリタイヤする場合、それが他クラスにバレないように夜中にリタイヤする筈だ。よって俺は今日から最終日まで昼は寝て夜は起きる、昼夜逆転の生活をする。

 

『ああ。ゆっくり休め』

 

龍園からそう言われたので俺は寝袋に入りゆっくりと眠りにつく。早く試験が終わってひよりや坂柳と遊びたいと強く願いながら。

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「ぅぁ〜。暇だ、暇過ぎる」

 

俺は思わずぼやいてしまう。5日目の早朝、まだ日が昇ってない中、俺は無人島にある自然の高台に位置どり、船の桟橋や教師のテント周辺を見張っている。

 

現在俺がやっているのはリタイヤする生徒の見張りをしている。もしも他クラスのリーダーがリタイヤした事に気付かなかったら、こちらに大ダメージが来るし、リタイヤする生徒の確認は重要だ。

 

他クラスのリーダーがリタイヤしたらどのクラスかは調べて龍園に報告するのが俺の仕事だが、メチャクチャ暇だ。

 

洞窟を拠点にした時はAクラスのリーダーを探るべく多少は動いたが、今回は完全に張り込み、それも来るかわからない生徒の張り込みだからマジで退屈なのだ。

 

加えて桟橋には豪華客船が見えてリタイヤしたい気持ちが湧いてくるのだ。今頃坂柳やCクラスの生徒はふかふかのベッドで熟睡してるのだろう。

 

(いかん、想像しただけでイラってきた)

 

いくらポイントの為に自分の意思で無人島で残ったとはいえ、豪華客船にいる連中が妬ましく思ってしまうのは仕方ないだろう。

 

何せ俺は2日目の夜からは洞窟で野宿して島にある野菜や果物で飢えを凌いでいるのに対し、船にいる連中はふかふかのベッドで寝て、朝昼晩には分厚いステーキや新鮮な魚料理などのご馳走を食べている……妬ましく思うのは当然だかもしれない。

 

(我慢だ。あと2日我慢すれば、俺もご馳走やベッドを堪能出来て、更に毎月最低20万ポイントが約束されるんだから)

 

そう思いながら頬を叩いて視線を桟橋とテントに向ける。とりあえず朝8時まで見張りをしたら夕方まで眠ってまた朝8時まで見張りで問題ないだろう。

 

そう思いながら退屈な気持ちを抑えながら見張りをしていること数時間……

 

 

 

 

 

 

『〜〜〜っ!』

 

『〜〜〜っ!?』

 

日が昇って少しした頃に少し離れた場所から騒ぎ声が聞こえてくる。あの方向は確かDクラスのベースキャンプがある方向だな。

 

そう判断した俺は双眼鏡を鞄から取り出してDクラスのベースキャンプの方向を見ると、ハッキリとは見えないが男子と女子が向かい合っているように見える。

 

(何をやってんだ?もしかして昨日報告にあった女子によるポイントの勝手な使用が男子にバレたのか?)

 

だとしたら好都合だ。元々Dクラスはクラスポイントが0だ。本来ならどのクラスよりも熱心に試験に挑まないといけないが、そのDクラスが仲間割れするなんて愚の骨頂だ。

 

このボーナス試験でポイントを確保出来なかったらDクラスはAクラスの座を賭けた争いから脱落するだろう。マイナス要素がない試験は何度もある筈ないし、稼げる所で稼げないなら先には絶望しかない。

 

ま、それならそれでありがたい。俺はDクラスには馬鹿が多いとは思っているが、全員が馬鹿とは思ってない。一部の生徒については油断出来ない奴がいるのは認めている。

 

しかしこの学校ではクラス単位、つまり団体戦だ。いくら強い駒が揃っていても、ボーナス試験で足を引っ張るような馬鹿が沢山いれば上に上がるのは無理だろう。

 

俺としては救いようのない馬鹿がDクラスに潜む優秀な生徒の足を引っ張って、上に上がるチャンスをガンガン潰して欲しい。そうすりゃAクラスとBクラスに集中出来るしな。

 

そう思いながらも俺は8時まで見張りをして、夕方まで寝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験6日目

 

いよいよ明日の正午には無人島生活は終わる。よって俺は最終日の点呼直前にリタイヤするまで一睡もしないで見張りをしようと思う。

 

何故なら5日目の夜から6日目の朝にかけて雨が降っていたからだ。今は降ってないがどんよりとした雲が空に広がっていて、雨が降りそうだ。

 

雨の中で寝るのは無理だし、雨に乗じて他クラスのリーダーがリタイヤする可能性は充分にあるので、今から俺は寝るつもりはない。

 

そう判断しながらも俺は高台にて見張りを続ける。尚、風邪をひかないよう念には念を入れて学校側から無料で支給されたビニール袋を繋ぎ合わせて巨大なマントのようにして身体に纏わせている。

 

(しかし龍園は大丈夫か?)

 

無線で連絡は取り合っているが、アイツは風邪をひいてないよな。もしも俺がリタイヤする際に風邪をひいていたとか勘弁してくれよ……

 

内心ため息を吐きながらも俺は双眼鏡を使って砂浜にある学校のテントを見張るが、昨日から1人も来てない。これはリタイヤ作戦を考えてないのか、最終日ギリギリにリタイヤするか判断がつかない。

 

まあアイツが風邪をひくとは思えないけど。というか伊吹は上手くやってんのか?金田はBのリーダーの特定に成功したらしいが。

 

そんな事を考えながら何気なくDクラスのベースキャンプの方に双眼鏡を向けると……

 

「ぶっ!」

 

予想外の光景が目に入り吹き出してしまう。

 

何と堀北が川で下着姿になっていたのだ。大方汚れたから身を清める為だと思うが……

 

(エロ過ぎだろ……)

 

見てはダメと頭ではわかっているが、堀北のエロさと今日まで暇を持て余していた事が相まって双眼鏡の位置は固定されたままだ。

 

(これって覗きに……ならないな)

 

女子更衣室や女子トイレでこれをやったら犯罪かもしれないが、堀北は川、自然の中で水浴びをしているのだし。

 

(バレたらど変態の扱い……ん?)

 

と、ここで更に予想外の光景が目に入る。双眼鏡のレンズの隅にて伊吹が身を屈めて何かを漁っている。状況から察するに堀北の服を漁っているのかもしれない。

 

まさかキーカードがある、とか?

 

だとしたら一気に試験が動くかもしれない。場合によっては俺も助けに行った方がいいかもな。

 

そう判断した俺は双眼鏡を下ろして、動く準備を始める。

 

ここで上手くいけば、龍園からデカい報酬があるから頑張らないとな。

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