※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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公開

「戯言を吐かないで」

 

俺が自分が優待者じゃないと言うと、間髪いれずに口を開けるのは雪ノ下だ。

 

「貴方のような屑の事だからグループを揺らがすつもりでしょう?」

 

「酷い言われようだな比企谷」

 

雪ノ下の言葉に龍園は楽しそうに笑うが、特に怒りは抱かない。

 

「ま、屑なのは否定しないな。とはいえ優待者じゃないのは事実だし信じて貰うように動くしかないな」

 

「信じて貰うように動く?屑を信じるなんて無理に決まってるじゃない」

 

雪ノ下は好き勝手言ってくる。別に悪口を言われても気にしないが、話の最中に一々割って入られたら面倒だし、黙らせるか。

 

「人が話してる最中に話をするのはマナー違反だってわかんないのか?陽乃さんの出涸らし」

 

「なっ!ふざけないで!」

 

「事実を言っただけで喚くなよ。有栖だってそう思うだろ?」

 

「そうですね。陽乃さんと比べると全てが劣ってますね」

 

「っ!」

 

有栖の援護射撃に雪ノ下は射殺すような眼差しで睨む。

 

「おいおい。お前らが言うハルノってどんな奴なんだ?」

 

龍園がそんな風に聞いてくる。陽乃さんがどんな奴かだと?

 

そうだな……

 

「一言で言うなら運動神経抜群の有栖だな」

 

俺の中で陽乃さんのイメージはそんな感じだ。頭の良さにおいて有栖と陽乃さんはそこまで差はないと思うが、陽乃さんは運動神経も抜群だから総合力については有栖よりも数段上だろう。

 

「くはっ!そんな優秀な奴の妹がコレかよ?!完全に出涸らしじゃねぇか!」

 

龍園は楽しそうにケラケラ笑いながら雪ノ下を指差す。対する雪ノ下は龍園を睨むが、相変わらず睨む事しか出来ないようだ。

 

ともあれ黙ったので良しとしよう。

 

「話を戻すが、優待者でない事をお前らには信じて貰う」

 

「……どうやって?」

 

堀北が訝しげに尋ねる中、俺は携帯を取り出して操作してから堀北に投げ渡す。

 

対する堀北は携帯を受け取ると目を見開く。

 

「どうだ?優待者ではないだろ?嘘だと思うなら違うメールも見てもいいぞ。納得したらBのリーダー格の神崎に渡せ」

 

「……本当に優待者じゃないわね」

 

堀北は驚きながらも俺の指示に従って神崎に渡す。

 

言葉だけでは信じられないのは当然だが実際にメールを見せれば信じる……否、信じざるを得ないだろう。

 

この試験、優待者でない人間からしたら裏切って失敗する以外マイナス要素はないし優待者でない俺が見せても問題ない。

 

それに疑われている状態だと相手を探るのは難しいが、優待者でないとわかれば多少はマシになるだろう。

 

「では私もお見せしましょう。どうぞ確認してください」

 

「俺のも見せてやるよ」

 

有栖と龍園も同じように携帯をDのリーダー格の堀北に渡す。それに対して堀北は訝しげな表情で質問をする。

 

「それで?貴方達が見せたからこちらも見せろと?」

 

「いえ。あくまで自分が優待者でない事を証明するために見せただけで、そちら側に強要しません。それ以前にそのような行為はルールの琴線に触れる可能性があります」

 

まあそうだな。脅したりして他クラスの携帯を見るのは御法度だ。

 

「ともあれこれで優待者は後11人ですね。これから少しずつ数を減らして優待者を炙り出していきましょう」

 

有栖が薄い笑みを浮かべながらそう言うと部屋にはプレッシャーが生まれる。

 

そんな中、俺は部屋にいるメンバーの顔をさり気なく伺う。優待者は有栖の発したプレッシャーの中にいるが、もしかしたら僅かながらに挙動不審になるかもしれないからな。

 

そう思いながら他のメンバーを観察すると何人かが挙動不審となっているが、そいつらは優待者、もしくは裏切り者になる気満々な奴である可能性が高い。もちろん絶対ではないので全員に対して警戒をするがな。

 

俺は息を吐きながら観察を続けるが、誰が優待者か当てるのは結構難しいと思うのであった。

 

 

 

 

1時間後……

 

『1回目のグループディスカッションを終了します』

 

話し合いをしているとそんなアナウンスが流れ出す。同時に終始無言だった葛城は真っ先に部屋から出て行く。

 

「んじゃ出るか。またな」

 

言いながら俺も部屋を出る。とりあえずスパで休むか。話し合いの時に雪ノ下が偶に罵倒して苛々したし。

 

そう判断した俺は善は急げとばかりに早足で水着を借りてスパ施設に入る。グループディスカッションが終わったばかりだから誰もいないだろうし、ゆっくり出来るはずだ。

 

そしてそのままパパッと着替えて脱衣所を出て温泉に入る。あぁ……やっぱ温泉は最高だな……

 

海を眺めながら暫く入っているとガラガラと音が聞こえてくる。どうやら俺と同じ事を考えている奴がいたようだ。

 

チラッと後ろを見ると……

 

「……比企谷」

 

そこにいたのは伊吹だった。競泳水着を着ているが俺を見ると目を細める。目には警戒の色があるが、俺なんかやったか?

 

疑問符を浮かべていると伊吹も温泉に入る。といっても俺とは数メートル離れてるが。

 

「ねぇ」

 

「……何だよ?」

 

「龍園は何を考えてるの?」

 

「……いきなりどうした?」

 

「ついさっき龍園の奴が4時になったらアンタや龍園が泊まる部屋に来いってメールをしてきたの。それも私だけじゃなくて同じグループの真鍋達にも」

 

つまり一斉メールか。そんで俺には来てなかったが……

 

「多分アレだな。クラスメイトを集めて携帯のメールを確認するんだと思う。そんで優待者が誰でどのグループに所属してるのかを突き止めて、優待者の法則を見抜く腹だろ」

 

俺にメールが来てないのは俺は既に龍園に携帯を見せたからであり、多分ひよりにもメールを送ってないだろう。

 

「……なるほどね。禁則事項に接触しそうだけど、アイツならどうにでもなるね」

 

伊吹の言う通りだ。他クラスの生徒を脅したりして携帯を見るのは反則だが、同じクラスなら問題ない。誰も訴えさせないようにすればいいだけの話だ。そしてそれは龍園の十八番だ。

 

「で?行くのか?」

 

「……面倒だけどね」

 

伊吹は龍園を嫌ってはいるが龍園を王と認めているし、本人も優秀なのでCクラスではそれなりに地位がある。

 

「ま、頑張れ。そういやお前って何処のグループなんだ?」

 

「兎。一之瀬がいた」

 

へぇ。一之瀬は兎グループみたいだが、やはり腑に落ちないな。竜グループにはどのクラスからも最低1人はリーダー格が出ていたが、Bのトップの一之瀬はいなかったし。

 

「ちなみにAクラスは全員だんまりか?」

 

「葛城が提案した案を実行してる」

 

おいおい。無人島試験で葛城にダメージを与えたつもりなんだが、まだ影響力が残ってるみたいだな。

 

ま、その影響力も今回の試験で殆ど失うだろうけど。

 

「こっちも質問して良い?」

 

「答えられる事なら」

 

「じゃあ聞くけど、比企谷は今回の試験で龍園に雇われたの?」

 

「意外だな。お前がそんな質問をすると思わなかった」

 

「言っとくけどCクラスの大半はアンタの事を不気味に思ってるからね」

 

だろうな。俺は基本的にひよりと龍園、龍園の側近以外からは避けられてるし。

 

とりあえず質問には答えるか。

 

「結論を言うと今回は雇われてない。龍園と同じグループじゃなかったら仕事が来たかもしれないがな」

 

「……そ」

 

伊吹はそう言うとため息を吐いてから俺から意識を逸らす。

 

実際のところ、俺が動くようなことはないだろう。動くとしたら俺ではなく龍園と有栖だ。

 

何せアイツらの行動次第で試験は今日の深夜に終了する可能性があるからな。

 

上手く決まればあらゆる方向に攻撃が出来て龍園と有栖からしたら大儲けであり、最終決戦のフィールドを作り上げるキッカケになる。

 

俺としても最終決戦はより良いフィールドで行いたいので、反対はしてない。

 

ついでに言うと作戦を遂行した後に見てみたいものもあるからな。

 

そう思いながら俺は肩まで浸かって身体がポカポカになるまでリラックスをするのであった。




今回の話でストックが切れてしまいました。

よってストックが溜まるまで更新をお休みさせていただきます。

可能なら今年中に再開したいと思います

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