腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
試験最終日。
無人島の時とは違い、船の中は娯楽だらけだからか進む時間は早い。
まして兎グループ以外のグループは試験を終了しているからな。
そんな中、俺はカラオケボックスにいた。隣には龍園がいて向かい側には有栖と神室が座っている。
壁にある時計を見れば時刻は8時丁度。つまり兎グループは今から最後のグループディスカッションをするのだ。
「いよいよ最後の話し合いだが、いつ裏切らせるんだ?」
龍園が向かい側に座る有栖に話しかける。兎グループを叩くのはAクラスと決めている。
「一之瀬さんが作戦を提示したら即座に裏切るように指示しています。ずっとトランプをしているようですが、なんらかの作戦を考えているでしょうから」
「ま、負けは決まってるがな。それより例の件については?」
龍園がそう言って有栖を見ると有栖は頷く。
「はい。私達AクラスはCクラスと長期的な同盟を結びます」
そう言う事でAクラスとの同盟が成立する。
「決まりだな。期間はBクラスとDクラスが再起不能レベルになるまでで、Dクラスについては再起不能になっても手を休めずに攻撃するんで良いんだな?」
「はい。龍園君達がDクラスを叩くというなら惜しみなく支援します」
「はっ。お前よっぽど由比ヶ浜が嫌いなんだな」
「ええ。大嫌いです」
だろうな。散々チビチビ言われガキ扱いされているんだ。これで有栖が由比ヶ浜を嫌ってないならドMとしか思えない。
そこまで考えていると携帯が鳴る音が聞こえてくる。同時に有栖はポケットから携帯を取り出す。
「おや、兎グループにいる森重くんからですね」
言うなり有栖はテーブルに携帯を置きスピーカーモードにして電話に出る。どうやら会話の内容を聞かせてくれるようだ。
「もしもし。どうしましたか森重君?」
『Bクラスが携帯を見せ合う作戦を提示しましたが、裏切ってもいいですよね?』
まあそんな作戦を提示したら裏切るしかないな。
その際に電話の向こう側から騒ぎ声が聞こえてくるが有栖はそれを無視する。
「お願いします。優待者はわかってますね」
確か兎グループの優待者はDクラスの軽井沢だったな。
『大丈夫です。では失礼します』
通話が切れる。それから直ぐに部屋にいる全員の携帯が鳴る。見るまでもなく、兎グループの試験の終了に関するメールだろう。
「これで全ての試験が終了しました。今回はご協力ありがとうございます」
「俺としてもメリットがあったから問題ない。それと坂柳、同盟についてはいつ発表するんだよ?」
普通同盟は秘密裏に結ぶのが得策だ。堂々と発表したら向こうも警戒するだろうから。
しかしそれはあくまで普通ならの話であり、今回は普通じゃないから龍園はそんな提案をする。
「試験結果が発表される際ですね。それまでに掲示板にメッセージを残します。そうですね……船のデッキ中央にて1年生全員で結果を見る……という感じで大丈夫ですか?」
「問題ないな。その際にBとDの悔しそうなツラ見て、その後に重大発表でお前の大嫌いな由比ヶ浜にプレゼントをする流れだな?」
「ええ。最高のプレゼントをあげる予定です」
有栖の顔には愉悦の色がある。由比ヶ浜は怒らせてはいけない人間を本気で怒らせてしまったようだ。南無
内心由比ヶ浜に合掌しながら俺は今後の予定を話す龍園と有栖を眺めるのだった。
数時間後……
「いよいよだが……俺の立ち位置変えてくれないか?」
俺は龍園にそう呟く。
現在は試験の結果発表5分前で、俺達Cクラス全員は掲示板に書かれたメッセージに従ってデッキ中央に向かっている。
それだけなら問題ないが俺の立ち位置は龍園の真後ろ、そんで俺の後ろには石崎やアルベルト、伊吹や金田にひよりなどCクラスの主力が並んでいる。
これだと俺が他クラスから龍園の右腕と思われて目立ってしまう。
「諦めろ。大体お前は他クラスの雑兵ならともかく、主力からは脅威と見られてるんだから今更だ」
「へいへい」
ため息を吐きながらもデッキ中央に向かう。そこには既に他クラスの生徒が揃っていた。
「Cクラスも来ましたか。招待に応じていただきありがとうございます」
有栖はあたかも打ち合わせをしてないかのように振る舞う。
「Aクラスのリーダー様からの招待だからな。随分と自信があるようで」
「どうでしょうね。ただこの集合が良い時間になる事を祈っています」
そう言って有栖は意味深な笑みをBクラスとDクラスの方に向ける。それに伴う形でBクラスとDクラスの生徒は身構える。
「結局坂柳さん達は何をしたのかな?最後の話し合いで森重君が裏切りの許可に関する電話をしたってことは、やっぱり初日の深夜の一斉メールは坂柳さんの仕業なの?」
兎グループに所属する一之瀬は落ち着いた表情で有栖に尋ねる。実際はAクラスとCクラスが合同で裏切ったが、そう判断してもおかしくない。
「ふふっ……結果を見れば自ずとわかりますよ」
有栖は優しい微笑みを浮かべる。
同時に遂に午後11時を迎え、俺達の携帯に一斉にメールが着信されるので見てみる。
そこには……
鼠―――裏切り者の正解により結果3とする
牛―――裏切り者の正解により結果3とする
虎―――裏切り者の正解により結果3とする
兎―――裏切り者の正解により結果3とする
竜―――裏切り者の正解により結果3とする
蛇―――裏切り者の正解により結果3とする
馬―――裏切り者の正解により結果3とする
羊―――裏切り者の正解により結果3とする
猿―――裏切り者の正解により結果3とする
鳥―――裏切り者の正解により結果3とする
犬―――裏切り者の正解により結果3とする
猪―――裏切り者の正解により結果3とする
以上の結果から本試験におけるクラス及びプライベートポイントの増減は以下とする。
cl、prという単位がポイントの後ろについてあるが、これはそれぞれクラスポイントとプライベートポイントの略称である。
Aクラス……プラス100cl プラス250万pr
Bクラス……マイナス150cl 変動無し
Cクラス……プラス150cl プラス300万pr
Dクラス……マイナス100cl プラス50万pr
結果が出てBクラスとDクラス、Aクラスの葛城派らしき生徒からは騒めきが生じる。
これを見れば馬鹿でもAクラスとCクラスが足並みを揃えて協力し合ったのがわかるからな。
この試験は優待者の法則を見抜けたら独り勝ち出来るにもかかわらず、協力し合ったのが信じられないのだろう。
ともあれクラスポイントは大きく動いた。
無人島試験が終わった時点の各クラスのポイントは……
Aクラス 1074ポイント
Bクラス 884ポイント
Cクラス 686ポイント
Dクラス 175ポイント
だが、今回の優待者当て試験により……
Aクラス 1174ポイント
Bクラス 734ポイント
Cクラス 836ポイント
Dクラス 75ポイント
となる。それにより俺達CクラスはBクラスに上がり、一之瀬のクラスはCクラスに落ちる。
「それにしても猿グループの裏切り者はDクラスの生徒ですか。これは油断が出来ませんね」
結果を見た有栖はそう言う。猿グループの裏切り者が誰かは知らないが、誰よりも早く裏切ったのだから警戒するのは必然だ。
「……結果を見るにAクラスとCクラスは手を結んだようね。でもどうして手を組んだのかしら?どっちが法則を見抜いたのかは知らないけど、独り勝ちする事も出来たはずよ」
堀北がそう口にする。まあ普通に考えたらな。
「確かに独り勝ちは出来たかもしれないが、単純にBクラスとDクラスに嫌がらせをしたかっただけだ」
堀北の問いに龍園が即答する。まあ有栖は違う理由だがな。
と、ここでギャーギャー叫ぶ奴がいた。
「ふざけんなし!アンタ達の所為でポイントが減ったじゃん!マジキモい!」
由比ヶ浜だった。怒りを露わにしてガキみたいにギャーギャー騒ぐ。
同時に有栖は冷笑を浮かべる。
「ふふっ。全ての元凶がよく騒ぎますね」
「はぁ?!わけわかんないこと言うなしチビ!」
由比ヶ浜の罵倒に有栖の額に青筋が浮かぶ。しかし有栖は声を荒げることなく、口を開ける。
「ならば改めて宣言しましょう。私達Aクラスは由比ヶ浜さんを攻める為にCクラスと長期的な同盟を結びました」
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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