※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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感情的

「ふぁ〜、眠い」

 

朝、俺は欠伸をしながら学校に向かう。昨夜はひよりからのキスが原因で寝不足だ。まあひよりに文句を言うつもりはない。元々俺からキスしようとしたのであり、どのみち寝不足だろう。

 

そして学校に到着して下駄箱で上履きを履いて階段を上っていると、騒ぎ声が聞こえてきたので二階に向かうと、有栖が雪ノ下と由比ヶ浜の2人と向かい合っていた。有栖の頭には青筋が浮かんでいることからまた由比ヶ浜にチビ呼ばわりされたのだろう。

 

内心有栖に同情していると向こうも俺に気付き、由比ヶ浜が喚き出す。

 

「何ジロジロ見てるし!ヒッキーマジキモい!」

 

「いやらしい目付きね。視姦で訴えられてもおかしくないわね」

 

ヤバい。余りのウザさにさっきまで存在した眠気が全て苛立ちに変化した。

 

俺は2人を無視して有栖に話しかける。

 

「おはよう有栖」

 

同時に有栖も2人から目を逸らして俺に微笑みを浮かべてくる。

 

「おはようございます八幡君。いきなりですが放課後、ケヤキモールにあるアロママッサージに行きませんか?苛立ちが消えやすい場所として人気なんですよ」

 

ほう、そんな施設があるのか?だとしたら行ってみるのも悪くないな。苛立ちがメチャクチャ溜まってるし。

 

「わかった。じゃあ放課後に「ヒッキー無視すんなし!」煩いな……てか有栖。俺がくる前に何があったんだ?」

 

十中八九……というか絶対2人が突っかかってきたのだろうが、具体的なことはわからない。

 

「大したことではありません。由比ヶ浜さんがDクラスで虐められているのは私のせいと雪ノ下さんが文句を言ってきたのです」

 

「は?ただの逆恨みじゃねぇか」

 

「ふざけないで!貴方達の所為で由比ヶ浜さんがどれだけ苦しんでいるかわからないの?!」

 

雪ノ下が喚くが……

 

「何言ってんだ?確かに俺達は由比ヶ浜を理由に同盟を結んだが、由比ヶ浜が虐められている根本的な理由は由比ヶ浜にあるからな」

 

「そうですね。由比ヶ浜さんがクラスメイトから嫌われた1番の理由は1学期の中間試験で、過去問があるにもかかわらず赤点を取ったことでしょう」

 

有栖の言う通りだな。あの時に由比ヶ浜は赤点を取ったが、Dクラスはあそこで由比ヶ浜を切り捨てるのが最善であった。

 

クラスポイントに影響は出るだろうが、見捨てていれば他クラスに対してプライベートポイントを借りずに済んだしな。

 

というか過去問あって赤点とか今更だから馬鹿過ぎだろ?

 

「う、煩いし!あたしが赤点だったのはアンタが試験当日の朝に馬鹿にして集中出来なかったからだし!」

 

そういや有栖は試験当日の朝、寝落ちしたと思われる由比ヶ浜を煽っていたな。

 

まあ完全に逆恨みだろうけど。

 

「ほう……仮に私が悪いなら、どうして欲しいのですか?」

 

「決まってんじゃん!他のクラスへの借金をアンタが返済して、あたしに謝るし!」

 

ビキッ

 

余りに理不尽な欲求に有栖の額に青筋が増える。しかも冷笑が消えて、顔には怒りの色がハッキリと出る。ここまでキレた有栖は初めて見るな。

 

……これ以上、有栖をここに居させたら色々面倒なことになりそうだな。

 

「有栖。行こうぜ」

 

「そうですね。馬鹿と関わると疲れます」

 

有栖はそう言って俺の手を握ってくるので、俺は引率する形で去ろうとする。

 

「待つし!そうやって逃げるなんて卑怯じゃん!というかヒッキーは女子の手を握るなんてマジキモい!このロリコン!」

 

「アホか。有栖は同い年だからロリコンじゃねぇよ」

 

絵面だけ見ればロリコンかもしれないけど。

 

「う、煩いし!大体こんなチビがAクラスにいてゆきのんがDクラスなんて間違ってるし!」

 

「同感ね。父親がこの学校の理事長だからコネを使ったとしか思えないわ」

 

まあ確かに理事長の娘と言われたらコネと疑うのは仕方ないだろう。

 

しかし……

 

「雪ノ下がDクラスってのは妥当だろ」

 

「同感ですね。コミュニケーション能力や人間性などは問題があり過ぎます。学力は高いようですがそれだけですし、それも陽乃さんに比べたら劣っています」

 

判断基準はわからないが、この学校は成績だけで判断されてないのは間違いない。成績だけで決まるならウチのクラスには入学すら出来ない生徒もいるからな。

 

「ふざけないで!卑怯者やコネしかない障害者が私より上のクラスにいるなんて「黙れ」ぐっ!あぁぁぁぁっ!」

 

「ゆきのん!」

 

雪ノ下の有栖に対する侮辱に我慢出来なかった俺は、思わず雪ノ下の腹を殴っていた。有栖に対する侮辱でここまで怒るとは自分でも思わなかった。

 

「雪ノ下。俺をいくらdisっても構わないが、有栖を侮辱してんじゃねぇよ」

 

「ごほっ……事実を言っただけじゃない……!貴方こそ私にこんな事をしてタダで済むと思ってるのかしら?停学は確実よ」

 

雪ノ下は腹に手を当て、苦しそうにしながら俺を睨みつけてくる。

 

「だからどうした?テメェの戯言を聞かされるよりずっとマシだ。今から自首してやるよ」

 

殴っちまったものは仕方ない。だから今から職員室に出頭するつもりだ。自分から行けば罰が軽くなるかもしれないし。

 

そう思いながら階段を降りようとした時だった。

 

「八幡君!」

 

有栖の珍しく必死な声が聞こえてきたので振り向くと……

 

「ふざけんなし!」

 

同じタイミングで由比ヶ浜が俺の顔面を殴ってきた。そこまで痛くはないが予想以上に衝撃があり、俺は階段から足を踏み外してしまい、そのまま踊り場に叩きつけられる。

 

「ぐっ……!」

 

その際に左腕が床に強打して激痛が走る。折れてはいないがヒビが入ったかもしれない。

 

(つか由比ヶ浜の奴、本物の馬鹿だろ?)

 

俺は痛みに苦しみながらも由比ヶ浜に呆れてしまう。ここで俺を階段から落とさなかったら俺だけ罰を受けて、Bクラスのクラスポイントが減っていただろう。

 

しかし由比ヶ浜が俺に危害を加えた以上、Dクラスも何らかの罰を与えられるのは明白。雪ノ下がやり返したならまだしも手を出したのは無関係の由比ヶ浜だし。

 

「八幡君、大丈夫ですか?」

 

そう思っていると有栖が心配そうにこっちを見てくる。こんな時ではあるが初めて見る心配そうな有栖に見惚れてしまう。

 

「大丈夫……っ」

 

そう言うが結構痛い。利き腕じゃなかったのが幸いだが、こりゃ暫く体育は無理だな。

 

「痛そうにしてるではないですが……階段から落とすなんてふざけてるんですか!」

 

有栖は怒りを露わに由比ヶ浜に怒鳴る。怒りを露わにする有栖も初めて見るな。

 

「ふざけてんのはヒッキーじゃん!ゆきのんを殴ったから自業自得だし!」

 

「雪ノ下さんがやり返すならまだしも無関係の貴女が殴る資格なんてありません!」

 

「関係あるよ!ゆきのんは友達だからあたしが殴っただけで、私は何も悪くない!」

 

由比ヶ浜はそう言うが間違いなく重い罰が下されるだろうな。

 

「話になりませんね……八幡君、無視して行きましょう」

 

有栖はそう言うと由比ヶ浜が喚く。

 

「待つし!ヒッキーはゆきのんを殴ったんだから、ゆきのんに謝ってポイントを払うし!」

 

「だったらテメェも俺に謝ってポイント払えや」

 

「はぁ?あたしは悪くないし謝る必要もポイントを払う必要なんかないからね?!」

 

コイツ完全にジャイアンじゃねぇか……いや、劇場版のジャイアンは基本的にカッコいいしジャイアン以下だな。

 

内心呆れ果てている時だった。

 

「何を騒いでいる?」

 

鋭い声が聞こえてきたので見てみると階段から堀北会長が橘書記を連れてやって来ていた。

 

丁度いいタイミングと思った俺は事情を説明しようとするが、その前に由比ヶ浜が口を開ける。

 

「ヒッキーがゆきのんのお腹を殴ったから、ヒッキーの顔を殴って階段から落としたんです!会長!ヒッキーに罰を与えてください!」

 

その言葉に堀北会長は目を鋭くし、橘書記は呆然とする。

 

「確認するが、比企谷が雪ノ下を殴り、由比ヶ浜が比企谷を殴って階段から落としたんだな?」

 

「そうです!」

 

「で、比企谷に罰を与えろと言ったが、その場合自分に罰はないと思ってるのか?」

 

「当たり前です!あたしは天罰を下しただけですから悪くないです!それにヒッキーなら別に殴っても問題はないです!」

 

「貴方!」

 

由比ヶ浜の理不尽な言葉に有栖が怒りを露わにするが、堀北会長が手で制する。

 

「事情はわかった。事件現場がここなら監視カメラに全て映っている。今から先生方と確認をするが良いな?」

 

「良いですよ!」

 

由比ヶ浜は自信たっぷりに頷くが、自分に罰がないと本気で思っているようだ。

 

ともあれ俺としても殴ったのは事実だから堀北会長の問いに頷く。それは有栖も雪ノ下も同じみたいで頷く。

 

「では放課後に職員室に来るように。橘は比企谷を保健室に連れて行き、手当てをしてやれ。確か保険医は職員会議に出ていたはずだ」

 

「会長。八幡君は私が連れて行きます」

 

橘書記が頷く前に有栖が割って入る。堀北会長は有栖を見ると任せると言って橘書記を連れて去っていく。

 

「では八幡君。行きましょうか」

 

「ああ……腕の借りは絶対に返してやるよ」

 

俺はこれまで由比ヶ浜を積極的に潰そうと考えておらず有栖に一任するつもりだった。

 

が、ここまでされておいて泣き寝入りするつもりはない、積極的にDクラスを叩くつもりだ。

 

「やれるもんならやってみろし!ヒッキーは停学を食らってクラスメイトから嫌われちゃえ!」

 

嫌われるかもしれないが、悪意を向けられるかどうかは龍園の采配次第だがな。

 

まあ何にせよ放課後に全てが決まるしその時を待とう。

 

そう思いながら俺は有栖からの引率を受けて保健室に連れられるのだった。

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