腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ 作:トラファルガー
「………」
「………」
部屋には無言しかない。しかしこれだけなら珍しくない。停学中は基本的に一人で部屋に篭っていたからな。
しかし今は隣に有栖がいて……
「「っ!」」
お互いにチラチラ見合って、目が合うとお互いに真っ赤になって目を逸らす。さっきから30分以上この調子である。
先程俺達は唇同士のキスをした。頬にしたことは何回もあるが、有栖と唇同士のキスは初めてだから物凄く恥ずかしい。
キスした直後はひよりに何回もキスされてるし、大丈夫じゃね?……って思っていたが、そんな事は全然無かった。
有栖の唇はひよりの唇とはまた違った魅力があって、キスをした瞬間にはひよりとのキスに匹敵するくらいの心地よさを感じた。
まああくまで俺がそうであり、有栖がどう思っているかはわからないがな。
「その……悪かったな。元々俺はキスをする直前に、攻撃対象を唇から耳に変えて息を吹きかけるつもりだったんだが、こんなことになっちまって」
そう思いながらも口を開ける。いつまでもこうしてるわけにはいかないからな。
「い、いえ。元はと言えば私が地震によって揺れてしまったのが悪いですから」
「そんな事ない。ファーストキスを奪った俺を咎めても文句は言わん」
そう言うと有栖は突然モジモジし始める。そんな有栖は新鮮なので思わず二度見してしまう。
「それなんですが……八幡君とキスをした時、八幡君の唇から私の唇に温もりが伝わってきて、その温もりが全身に広がって心地良かったです。だから……」
有栖はモジモジしながらも俺を上目遣いで見上げて……
「だから……その、八幡君とキスした事は嫌ではなく……寧ろ、幸せでしたから気に病まないでください」
そんな事を言ってくるが、そんな事を言われたらマジで恥ずかしくて死にそうだ。つかひよりも似たような事を言っていたが、コイツらは俺を悶え死にさせたいのか?
「わ、わかった……ありがとな」
「い、いえ」
しかし幾ら何でも直ぐに切り替えるのは無理なので思わず上ずってしまうのは仕方ないだろう。
結局、いつも通りの態度になる事が出来たのはそれから1時間後であった。
数時間後……
「んじゃ俺はそろそろ眠るが、俺はソファーを使うからお前はベッドを使ってくれや」
何とか気まずい時間を乗り越えた俺達は勉強をしたり、各自で風呂に入ったりして、そうこうしている内に23時半になったので有栖にそう口にする。
対して有栖は首を横に振る。
「嫌です。八幡君と一緒に寝たいです」
即答かよ……確かに一緒に寝た経験はあるが、一夜を過ごすのは初めてだから緊張するし、断るしか「断ったら、明日Bクラスの教室で堂々と龍園君に相談します」貴様なんて恐ろしい事を提案しやがる?!んなことしたら停学明け以降、ずっと龍園に笑われるだろうが!
「……わかったよ。入りな」
溜息を吐きながらベッドに入ると、有栖はゆったりとした足取りでこっちに来て杖をベッドに立てかけてからベッドに入ってくる。
「ではお邪魔します」
そう言って俺に張り付いてきて、胸に顔を埋めてくる。こんな風に甘えてくる有栖を見ると、さっきのキスの事もあってドキドキしてしまう。
「……八幡君の温もり、凄く気持ちいいです」
「そうか?」
ひよりも似たような事を言っていたが、俺の温もりってそんなに気持ちいいのか?
「はい。八幡君の温もりを感じている間は幸せです」
信じられないのは事実だが、これまでに何度も抱きしめられているし信じるしかないな。
まあ俺も有栖の温もりを感じていると心地よいと思うからな。
そう思いながら俺はゆっくりと目を閉じて、襲ってくる睡魔相手に抵抗しないで眠りに身を委ねるのであった。
「すぅ……んんっ……」
「おや、八幡君は寝てしまいましたか」
八幡の口から聴こえてくる寝息に有栖はクスリと笑みを浮かべてから八幡の顔を見る。月明かりに照らされる八幡の寝顔は有栖にとって幻想的だった。
そしてそっと唇を撫でる。
「この唇を相手に……キス、したんですよね」
有栖は先程八幡としたキスを思い出す。今でもハッキリと覚えているし、あの時の感触は一生忘れない確信があった。
ファーストキスではあったが、嫌という気持ちは全くなく、寧ろまたしたいという気持ちすらあった。
そこまで考えていると……
「んんっ……あ、有栖……」
八幡は寝言を言いながら有栖を抱きしめる力を強め、顔を有栖の顔に近づけてくる。
それによりお互いの唇の距離は僅か3センチ。どっちかが少し動いただけで簡単に重なる距離だ。
その距離を前にして有栖は……
「……んっ」
そっと顔を前に動かして唇を重ねる。もう一度あの時に感じた温もりを感じたいが故に。
それにより唇から八幡の温もりを伝わってきて全身に広がり幸せな気分になる。
「不思議な人、ですね……」
言いながら有栖は八幡をギュッと抱きしめる。今まで自分に従った人間は山程いたが、些細な事でお互いにマウントを取り合う人は八幡が初めてだ。
そしてそんな風に過ごす日常は有栖にとって楽しい時間でもあり、これからもこんな風に過ごしたいと思っている。
そこまで考えいる時だった。寝ている八幡も有栖の背中に手をまわして、そのまま有栖の唇にキスをする。
「んんっ………恥ずかしいですね」
寝ている状態とはいえ、八幡からキスをされた有栖は全身に熱が溜まるのを自覚する。
有栖はそう言いながらも頬を緩ませまくりながらも、八幡を抱きしめる力を強めてゆっくりと目を閉じるのであった。
「んっ……んんっ」
朝の日差しにより目を開けると窓からは太陽の光が部屋を照らしていた。今日も良い天気で、気分は良い。
そこまで考えているとベッドに有栖が居ないことに気付く。もしかしてもう帰ったのか?
疑問符を浮かべながらも俺もベッドから起きて、洗顔をするべく洗面所に向かい、スライドドアをずらすと……
「「あ」」
そこにいたのは半裸の有栖だった。
当初有栖はポカンとしていたが、徐々に真っ赤になっていく。俺はといえば目を逸らし洗面所から出ないといけないのだが……
(め、目が離せない……)
有栖の姿がエロ過ぎて目が離せなかった。
ショーツは真っ白で中央にリボンが付いたシンプルなデザインだが、ガーターベルトとストッキングが美しさとエロさを生み出している。
更に有栖の右手にブラジャーを持っているが故に、上半身には何も付けられておらず、胸が露わとなっている。
今まで有栖の綺麗な水着姿は見たことあるが、何も付けてない有栖の胸は白くて美術品のように美しい。高校生にしては小さいが、確かな膨らみが見て取れる有栖の胸を見て見惚れない男はいないだろう。いるならソイツは間違いなくホモで、女の中でも見惚れる奴はいると思う。
すると……
「あ、あの八幡君。そんなギラギラした眼差しで見ないでください」
モジモジしながらそんな事を言ってくる。同時に正気を取り戻した俺は即座に後ろを向き、脱衣所のドアを閉める。
(何をやってんだ俺は……?)
つい見入ってしまったが、犯罪行為……なのか?いや、自分の脱衣所に入っただけだから犯罪行為ではないな。
が、法律的にセーフでも倫理的にアウトであるのは間違いない。後で有栖にしばかれそうだ。
暫くすると脱衣所のドアが開き、制服に着替えた有栖が真っ赤になりながら上目遣いで見てくる。
「昨日は唇を奪い、今日は裸を見る……八幡君は私を悶死させたいみたいですね?」
「……済まん」
「私が出す条件を呑まないなら許しません」
「条件?」
絶対にヤバい内容だと思うが聞いてみる。すると有栖は真っ赤な表情のまま、深呼吸をして……
「私のものになってください。高校を卒業したら同じ大学に入学して、仕事に就くことになっても私と同じ仕事をしてください」
そんな提案をしてくる。ぶっ飛んだ内容とは予想していたが、内容のレベルが予想よりも遥かに上回っていた。
「い、いや……流石にそれは「拒否は認めません。八幡君はいやらしいので、他の人に被害が出ないよう……わ、私が側で八幡君をずっと監視しないといけないですから」お、おう……」
そこまで言うかと言いたいが、これまでの行動が行動だからなぁ……
しかしマジでどうしようか?有栖が自分の意見を曲げるとは思えないし「ピンポーン」っと、客か。とりあえず応対をして、一旦逃げるか。
「今出る」
「あ、ちょっと待ってください!」
有栖の制止を無視して玄関に向かい、ドアを開けると……
「おはようございます八幡君」
ひよりが満面の笑みを浮かべて立っていた。あれ?そういや俺、ひよりともキスをしてたな。なんか嫌な予感がしてきた。
「時間に余裕があるので八幡君に会いに来たの、です、が……え?」
そこまで考えているとひよりはポカンとした表情になる。
しかしそれも一瞬でジト目になる。同時に背後から気配が近付いてくるのを察して……
「「どうして坂柳さん(椎名さん)が朝から八幡君の部屋にいるのですか?(来ているのですか?)」」
2人がジト目で俺を見ながら詰め寄ってくる。
面倒なことになってきたな……
読者の皆さんは森の声を聞いた事がありますか?
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