※この作品はR-18です。

腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ   作:トラファルガー

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女子騎馬戦

「ふぅ……やはり冷たい飲み物は美味しいですね」

 

自販機前にてひよりは汗を流しながら喉をコクコクと鳴らす。運動能力の高くないひよりからしたら体育祭はかなりキツいだろう。

 

「次は騎馬戦だったな。お前は騎手だから疲労は少ないだろうが無理はするなよ」

 

「はいっ、八幡君も騎手でしたよね?」

 

「ああ。んで龍園の補佐だ」

 

騎馬戦ではDクラスに嫌がらせをするのが龍園の命令だ。ターゲットにするのは雪ノ下と由比ヶ浜と須藤だ。

 

騎馬戦については勝っても中間試験の点数が増えないので、由比ヶ浜を潰しても大丈夫と有栖が判断したからだろう。

 

「お前ら女子は大変かもしれないがヤバいと判断したら直ぐに退けよ」

 

「わかっています。八幡君も龍園君の補佐は大変だと思いますが、無理しないでください」

 

ひよりは俺を気遣っているが、龍園を補佐する時点で無理をしないといけないんだよなぁ。何せ無人島試験では3日目から最終日までキャンプ道具抜きのガチのサバイバル生活をさせられたし。

 

まあそのお陰で卒業まで毎月60万近くのプライベートポイントが約束されたけど。それについてはありがたいが、今後も無茶なオーダーをするなら報酬を用意して欲しいのが本音だ。

 

そこまで話しながら俺はお茶を飲み干して、空のペットボトルをゴミ箱に入れる。

 

「さて、そろそろ行くか。俺はともかく、ひよりは直ぐに騎馬戦だしな」

 

「そうですね」

 

ひよりは頷いて俺の手を握ってくるので、歩いていると女子トイレの方から神室がやって来る。一応そこそこ仲が良いし挨拶くらいしとくか。

 

「お疲れ」

 

「お疲れ様です神室さん」

 

「……ああ、比企谷に椎名ね。お疲れ」

 

俺達に気付いた神室は気怠げに会釈をするが、直ぐにジト目になる。

 

「あんた達さ、自販機行くだけで手を繋ぐのやめてくれない?坂柳が凄く機嫌が悪くなって私に八つ当たりすんだけど」

 

神室が嫌そうにため息を吐く。本当にとばっちりだなぁ。まあ万引きしたコイツの自業自得な面もあるけど。

 

「申し訳ないですが無理ですね。八幡君の手は温かくて気持ちいいですから」

 

そう言ってくれるのは嬉しいが面と向かって言うのはやめてくれ。幾ら何回もキスされているとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 

「あっそ……はぁ」

 

神室は哀愁を漂わせながら去って行く。なんか凄く悪いことをしたみたいだ。

 

「では行きましょうか」

 

ひよりはそう言って歩くのを再開するが、体育祭が終わった後の有栖が怖いな……

 

 

 

騎馬戦は4人1組で騎馬を作り、騎手がつけているハチマキを取ることでポイントを狙う。1クラスから4騎ずつ出る決まりとなっており、両組から8騎ずつということになる。ちなみに残りのメンバーは補欠だ。

 

騎馬はそれぞれポイントを所持していて、敵のハチマキを奪えば、1本ごとにそのポイントが手に入る。加えて最後まで生き残っても同様にポイントが入るルールだ。

 

尚、4つのうち1つの騎馬は大将騎と役割づけされている。通常の3つの騎馬の所持ポイントは50だが、大将騎は100が配分されるので大将騎の扱いは難しい。

 

ちなみにウチの大将騎は伊吹の騎馬だ。一時期は運動能力の低いひよりの騎馬にするという考えもあったが、騎馬戦については勝ち負けを重視してないので伊吹の騎馬となった。

 

そうこうしている間に各クラスの女子による騎馬が4騎ずつグラウンドに現れる。

 

作戦については聞いているが雪ノ下と由比ヶ浜は兎も角、2人と一緒の騎馬の3人には同情してしまう。というかアイツらを補欠にしとけや。

 

そう思っているとスタートを告げるピストル音がグラウンドに鳴り響く。

 

同時に俺達Bクラスの女子騎馬は一斉に雪ノ下の騎馬に詰め寄る。最早Aクラスは眼中にない。

 

「おい龍園。一応聞いとくが、雪ノ下は合気道の達人である情報を共有してるよな?」

 

雪ノ下は体力はないが、格闘技の能力は高い。情報を共有してない状態だと分が悪い。

 

「当たり前だ。そもそも狙いは騎馬の由比ヶ浜だ。坂柳から頼まれたからな」

 

龍園の返事を聞く。そうする間にもBクラスの女子騎馬は雪ノ下の騎馬を囲む。

 

一方雪ノ下以外の3騎馬はフォローに入る……なんてことなく、3騎馬で一之瀬達Cクラスの4騎馬と向かい合う。

 

そしてAクラスの4騎馬も雪ノ下の騎馬を無視して、一之瀬達Cクラスの4騎馬と向かい合う。

 

結果戦場は「Bクラスの4騎馬VS雪ノ下の騎馬」と「Aクラスの4騎馬&Dクラスの3騎馬VSCクラスの4騎馬」と2つ生まれた。

 

一之瀬達Cクラスは勝ち目がないと判断したのは4騎馬で固めて、守りの体勢に入る。AD連合の7騎馬は攻めにかかるが、守りに徹しているためか中々崩せずにいた。

 

一方……

 

 

 

 

「くははっ!見ろよ比企谷!無様過ぎだろ!」

 

龍園は笑いながら雪ノ下の騎馬を指差す。見れば4人が雪ノ下を囲んでいるが、騎手は身体を後ろに傾かせ雪ノ下との距離を取り、1番前の騎馬4人が雪ノ下の騎馬の中で1番前にいる由比ヶ浜に体当たりをしている。

 

しかもタチの悪いことに相手をぶっ飛ばす威力ではなく、小さい威力で沢山の体当たりをしていて、ここからでも由比ヶ浜の苦しそうな表情が見える。しかも体当たりにより騎馬が揺れて雪ノ下はマトモに身体を動かせずにいる。

 

(多分有栖は楽しそうに笑ってるだろうな)

 

 

そう思っている間にも時間は進み、遂に終了時間まで10秒を切った瞬間だった。

 

4騎の騎馬は一斉に先程以上の体当たりをぶちかます。結果、由比ヶ浜は転んでしまい、雪ノ下は落馬してしまう。

 

同時に試合終了の笛が鳴る。赤組の騎馬は6騎残り、白組は5騎なので女子部門は向こうの勝ちだ。

 

しかし気にすることはない。騎馬戦の目的は相手に対する嫌がらせだからな。

 

「〜〜〜っ!〜〜〜!」

 

と、ここで由比ヶ浜の叫び声が聞こえてくる。離れているので聞き取りにくいが十中八九、4対1なんて卑怯云々って内容だろう。

 

しかしウチのクラスの女子は全員スルーして退場する。一方の由比ヶ浜は地団駄を踏んで醜態を晒しているが、真嶋先生がやって来て注意をしたのか、ズンズンと退場していく。

 

そうなると次はいよいよ俺達男子の番だ。

 

「行くぞお前ら」

 

龍園の言葉に皆が立ち上がり、各騎馬同士で集まる。

 

龍園の騎馬はアルベルトに石崎に近藤とフィジカルに特化した3人でかり、俺の騎馬の小宮と山崎と出水は全員運動部所属なので雑魚じゃない。

 

「比企谷」

 

「何だ?」

 

「予定通り須藤を叩くが、状況に適時対応しろ」

 

「わかってる」

 

言いながら俺達は入場して、それぞれで騎馬を作る。正面にいる須藤は騎馬のようで上には平田がいる。向こうはこっちを睨んでいるが多分フィジカルを活かしたパワーファイトをしてくるだろう。

 

全ての騎馬が準備を済ませ緊張感が高まる中……

 

 

 

パァンッ!

 

スタートを告げるピストル音が鳴り響いた。

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